平屋で外壁塗装をすると費用はどれくらい?費用相場や賢く抑える方法を紹介

平屋住宅は構造がシンプルで高さも抑えられていることから、2階建て住宅などと比べて施工の手間やコストが抑えられるケースが多く、外壁塗装においても比較的手頃な価格で工事を行える傾向があります。作業のしやすさや足場の設置範囲が小さい点も、費用を抑える理由の一つです。

しかしながら、実際の外壁塗装費用は、建物の立地条件や築年数・外壁の劣化の程度、また使用する塗料の種類やグレード・施工する工法によっても大きく左右されます。加えて、軒天や破風板・雨樋などの付帯部分の塗装が必要になるかどうかによっても、見積金額は増減します。

この記事では、平屋住宅における外壁塗装を検討している方に向けて、相場の目安や見積もり項目の内訳・坪数別の価格帯・お得に施工を進めるための方法までをわかりやすく解説します。

平屋の外壁塗装にかかる費用相場とは?

平屋住宅は階数が少なく足場設置や高所作業が少ないため、塗装費用を抑えやすいです。ただし、立地や劣化具合・塗料の種類で費用は変動します。
ここでは、平屋の外壁塗装の費用相場と具体的な目安を詳しくご紹介します。

一般的な塗装費用の目安

平屋の外壁塗装にかかる費用は、一般的に約60万円〜120万円程度が目安とされています。これは延床面積が20〜40坪程度の住宅を想定した金額で、使用する塗料の種類やグレード、外壁の劣化状況や必要な補修の有無によって価格は大きく前後します。
また、塗装を行う季節や天候の影響によって工期が延びる場合には、追加費用が発生する可能性もあります。価格の中には下地処理、養生、塗装作業のすべてが含まれていることが多いですが、細かな条件や作業内容は見積もり書をしっかり確認することが重要です。

平屋住宅の塗装費が安くなる理由

平屋住宅は、高所作業がほとんどないため、足場の設置が簡単かつ短時間で行える点が大きなメリットです。通常、2階建て以上の建物では、足場の設置・解体に多くの時間と人手がかかり、その分コストもかさみます。
しかし平屋であれば、足場の材料費や作業員の安全対策費も比較的少なく済むため、トータルコストが抑えられます。また、作業員の動線が短く、作業効率が高いため、同じ作業量でも工期が短縮されやすく、それに伴う人件費の削減にもつながります。さらに、外壁の高さが低いため、風などの自然要因による影響が少なく、塗装の仕上がりも安定しやすいという利点があります。

坪数別|平屋外壁塗装の費用目安一覧

建物の延床面積が大きくなると材料や作業時間が増え、費用も高くなります。ただし屋根形状や外壁材・窓の数などで塗布面積は変わるため、坪数だけで判断できません。
ここでは、坪数ごとの塗布面積と費用目安を表で紹介します。

延床面積と塗布面積の関係

外壁塗装では「延床面積」に1.2〜1.4程度の係数を掛けて「塗布面積」を算出するのが一般的です。これは、実際に塗装が必要な外壁の面積が、床面積よりも多くなるためです。
例えば30坪の住宅であれば、塗布面積はおよそ36坪前後(約118㎡)となり、この面積に塗料の単価を掛けた金額が塗料代の目安となります。また、窓やドアの面積を差し引いて算出する場合もあり、業者ごとに見積もりの基準が異なることも押さえておきましょう。

坪ごとの費用一覧表(目安)

坪数(延床面積)塗布面積(延床面積×1.2)費用相場(目安)
20坪(約66㎡)約79㎡約40万円〜90万円
30坪(約99㎡)約119㎡約60万円〜100万円
40坪(約132㎡)約158㎡約80万円〜130万円
50坪(約165㎡)約198㎡約90万円〜160万円
70坪(約231㎡)約277㎡約140万円〜230万円
100坪(約330㎡)約396㎡約200万円〜320万円

この表はあくまでも一般的な目安であり、実際の費用は建物の形状や劣化具合、外壁材の種類、選ぶ塗料や施工方法によって大きく変わります。複数の業者から見積もりを取得し、費用構成を比較検討することが最適な塗装プラン選びの第一歩です。

平屋の外壁塗装費用の内訳とその目安

外壁塗装費用は「塗料代」「人件費」「足場代」などで構成されています。各内訳と価格目安を知ることで見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
費用を抑える際の削減ポイントも理解できるよう、主要項目ごとに解説します。

塗料代

塗料代は、外壁塗装全体の費用のうち20〜30%程度を占めることが一般的です。選ぶ塗料の種類により単価も耐用年数も大きく異なります。安価な塗料は短期間で再塗装が必要になる一方、高価な塗料は初期費用が高くてもメンテナンス周期が長く、長期的にはコストを抑えることができます。
以下は、代表的な塗料の種類と単価・耐用年数の目安です。

塗料の種類単価(㎡あたり)耐用年数(目安)
アクリル塗料1,000円〜1,500円約5〜7年
ウレタン塗料1,500円〜2,000円約8〜10年
シリコン塗料1,800円〜3,000円約10〜15年
フッ素塗料3,000円〜4,500円約15〜20年

※遮熱塗料・断熱塗料・光触媒塗料などの高機能塗料は、さらに高額になることがあります。

人件費

人件費は、塗装職人の人数や作業日数、作業の難易度などによって決まります。平屋は高所作業が少ないため、2階建て以上の住宅よりも人件費を抑えられることが多いですが、塗装面積が広い、劣化が激しいなどの場合は職人の作業量が増えるため費用も高くなる傾向にあります。目安としては、外壁のみで10万円〜30万円程度が一般的です。

足場・飛散防止ネット代

平屋であっても安全かつ効率的に作業を行うには、足場の設置が不可欠です。足場代は建物の周囲を囲う面積によって算出され、平屋でも10万円前後が相場です。飛散防止ネットは塗料が周囲に飛び散るのを防ぐ目的で設置され、これも足場と同時に組み合わせて使用されます。

  • 足場代:おおよそ200〜800円/㎡
  • 飛散防止ネット代:100〜200円/㎡

資材代

塗装に使用するマスキングテープ、ローラー、刷毛、養生シートなどの消耗品費用です。塗装面積が広いほど使用資材の量も増えますが、全体費用に占める割合は比較的小さく、1万円〜3万円前後が目安となります。

付帯部塗装費

付帯部とは、破風板・鼻隠し・軒天・雨樋・雨戸・シャッターボックス・水切りなど、建物本体以外の部分を指します。これらの塗装は外壁と同時に行うことで統一感が出るため、別途費用がかかります。以下は目安価格です。

部位単価(目安)
軒天500〜1,500円/㎡
雨樋1,500〜3,000円/㎡
雨戸・戸袋1,500〜4,000円/枚
シャッターボックス1,500〜3,000円/個
水切り300〜1,000円/m

コーキング補修

コーキングは外壁の目地やサッシ周辺に使用される防水材で、経年劣化によりひび割れや硬化が起きると雨漏りの原因になります。補修には「打ち替え」と「増し打ち」の2種類があり、状態に応じて選ばれます。

  • 打ち替え:900〜1,200円/m
  • 増し打ち:500〜1,000円/m

諸経費

諸経費には、現地調査費・交通費・廃材処分費・駐車場代・事務手数料などが含まれます。通常は見積書の最下部に「諸経費」として一括表示され、全体費用の5〜10%程度を占めることが多いです。

平屋外壁塗装の注意点とは?素材ごとに押さえておきたいポイント

外壁材の種類によって、塗料の相性や施工方法、注意すべき劣化症状は異なります。平屋住宅に多く見られる主要な外壁材について、それぞれの特徴と塗装時のポイントを把握することで、より適切なメンテナンスが可能になります。

サイディング

近年最も普及している外壁材で、窯業系・金属系など複数の種類があります。とくに窯業系サイディングは塗装が必要な素材であり、10年〜15年を目安に再塗装が推奨されます。注意点としては、継ぎ目のコーキングの劣化や、凍害による割れ・浮きなどがあり、早期発見・補修が大切です。

  • 推奨塗料:シリコン塗料、ラジカル制御型塗料
  • 注意点:コーキング補修を同時に行うと効果的

モルタル

セメントと砂、水を混ぜて塗り付ける左官仕上げの外壁材で、重厚感ある風合いが特徴です。クラック(ひび割れ)が発生しやすく、塗膜でしっかり保護する必要があります。下地の吸水性が高いため、下塗り塗料の選定が品質に直結します。

  • 推奨塗料:弾性塗料、微弾性フィラーを含む塗料
  • 注意点:ヘアークラックや構造クラックの補修が必須

タイル

タイル外壁は基本的に塗装の必要がない素材ですが、目地の劣化や浮きがある場合は補修が必要です。また、タイルが剥がれると落下の危険もあるため、定期的な点検が欠かせません。塗装が必要なのは主に目地の防水処理部分であり、クリア塗装などで保護する場合もあります。

  • 推奨塗料:クリア系塗料(光沢維持を目的とした保護)
  • 注意点:高圧洗浄や打診調査での事前確認が重要

ALCパネル

軽量気泡コンクリートパネルで、断熱性・耐火性に優れる反面、吸水性が高く、防水性能の確保が必須です。塗膜による防水性の保持が極めて重要で、専用の下塗り材や防水性塗料の使用が求められます。コーキングのメンテナンスも忘れてはなりません。

  • 推奨塗料:防水性の高いアクリルシリコン系、フッ素系塗料
  • 注意点:コーキングとのセット施工が前提

平屋でも外壁塗装の足場は必要?

「平屋なら足場を設置せずに塗装できるのでは?」と考える方も少なくありません。しかし、実際には平屋であっても足場は必須と言えます。
ここでは、なぜ足場が必要なのか、その理由と効果について解説します。

足場設置が必要な理由

たとえ平屋でも屋根や軒・窓の上部などの作業には一定の高さがあり、脚立では不安定かつ危険です。足場を組むことで作業員の安全性が保たれ、手元が安定することで施工品質も向上します。労働安全衛生法でも、一定以上の高さでの作業には足場の設置が義務付けられており、プロの施工には欠かせない工程です。

安全性と仕上がり品質への影響

足場があることで、作業員は細部にまで丁寧に塗装できるようになります。特に軒下や破風・屋根との境目など、細かい部分までムラなく仕上げるには安定した足元が必要です。また、高圧洗浄や下地処理などの作業もしやすくなり、結果として耐久性の高い施工が実現できます。

平屋の外壁塗装は屋根塗装と同時がお得?

平屋の外壁塗装を行う際、屋根塗装も同時に行うことで全体の工事費用を抑えらえます。
ここでは、なぜ屋根と外壁を一緒に塗装するとコストメリットがあるのか、具体的な理由を解説します。

足場費用を1回分で済ませる

外壁塗装と屋根塗装はどちらも足場の設置が必要です。別々のタイミングで施工すると、その都度足場費用が発生してしまいますが、同時に行えば足場は1回の設置で済み、約10万円前後のコスト削減につながる可能性があります。また、飛散防止ネットの設置や養生作業も共通で行えるため、作業の効率が上がる点でもメリットがあります。

外観が一新され、資産価値もアップ

屋根と外壁の色合いや質感を統一することで、住宅全体の見た目が美しくリフレッシュされます。デザインや配色をトータルでコーディネートすることで、より高級感のある仕上がりになるだけでなく、住宅の資産価値を高める効果も期待できます。リフォーム後の印象をガラリと変えたい方にもおすすめの施工方法です。

施工タイミングを見極めるポイント

屋根と外壁は素材が異なるため、劣化のスピードやメンテナンス周期も異なりますが、おおよそ10〜15年ごとに塗装が必要とされる点は共通しています。そのため、屋根または外壁どちらかが塗り替え時期を迎えている場合は、セットでの施工を検討する価値があります。ただし、屋根材に応じては塗装ではなく葺き替えが必要なケースもあるため、施工前には現地調査で状態を確認してもらいましょう。

平屋の外壁塗装を安く抑えるコツ

同じ塗装内容でも、依頼方法や業者選びによって費用に大きな差が出ることがあります。
ここでは、平屋の外壁塗装をできるだけお得に行うためのポイントを3つ紹介します。

相見積もりを取る

必ず複数の業者に見積もりを依頼し、価格や施工内容を比較検討することが重要です。同じ面積・同じ塗料でも、業者ごとに単価や工法が異なる場合があるため、1社の見積もりだけで判断するのは避けましょう。比較する際は、総額だけでなく、項目ごとの内訳や保証内容、アフターサービスの有無もチェックしてください。

補助金・助成金を活用する

自治体によっては、住宅の省エネ改修や美観向上を目的とした外壁塗装に対し、補助金や助成金を用意しているケースがあります。特に断熱・遮熱効果のある塗料を使用する場合や、一定の施工条件を満たす場合に対象となることが多いため、事前に自治体のホームページや窓口で最新情報を確認しましょう。

信頼できる地域密着業者を選ぶ

地域に根ざした施工業者は、現地対応が早く、アフターケアにも柔軟に対応してくれる点で安心感があります。口コミや紹介、実際の施工事例などをもとに、実績のある会社を選ぶことが、トラブル防止や仕上がり満足度の向上につながります。また、無理な営業を行わない誠実な対応をしてくれるかどうかも、選定時の重要な判断基準です。

平屋の外壁塗装でよくある質問(FAQ)

Q1. 外壁塗装は何年おきに行えばよいですか?

A. 一般的には10年を目安に再塗装するのが理想とされています。ただし、使用している塗料の種類や外壁材、建物が受ける日当たりや風雨の影響などにより、適切なタイミングは前後します。定期的な目視点検や専門業者による診断を受けることが重要です。

Q2. 塗装中も家に住み続けられますか?

A. はい、通常の外壁塗装工事であれば居住したままで問題ありません。ただし、塗装期間中は足場が組まれているため、窓の開閉が制限されたり、塗料の臭いが気になることもあります。事前に生活への影響を業者とよく確認しておくと安心です。

Q3. 雨が降った場合の対応はどうなりますか?

A. 雨天時は塗装作業を中止し、天候が回復するのを待って再開するのが通常の対応です。無理に作業を進めると塗膜が流れたり乾燥不良が起こるため、品質保持のためにも天候に応じた調整が行われます。工期が多少延びる場合もありますが、それは品質を保つための必要な措置といえます。

まとめ|平屋の外壁塗装は適切な判断で費用も品質も納得の施工を

平屋住宅の外壁塗装は、施工のしやすさや足場の省略によって、2階建て以上の住宅に比べて比較的リーズナブルに抑えられるケースが多いものの、建物の状態や選ぶ塗料、工法によって費用は大きく変わります。そのため、見積もり内容の内訳をしっかり把握し、相場と照らし合わせることが大切です。

また、屋根塗装との同時施工により足場代を削減できるなど、計画的に工事を行うことで費用対効果も向上します。補助金の活用や信頼できる業者選びといった工夫を組み合わせることで、コストだけでなく品質にも満足できる塗装が実現できます。

この記事で紹介した内容を参考にしながら、ご自宅の外壁の状態や将来的なメンテナンス計画を見直し、最適なタイミングでの塗装を進めていただければ幸いです。