防水工事業者は外壁塗装もできる?費用相場や工事内容違いなどを分かりやすく解説
2025/07/31
防水工事を考えている場合「外壁塗装も一緒にお願いできるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
建物のメンテナンスは、足場を組むなどの大掛かりな作業が伴うため、できるだけ効率的に進めたいと考えるのは当然です。
実際、多くの防水工事業者が外壁塗装にも対応しており、工事内容が重なる部分もあるため、まとめて依頼することが可能なケースも少なくありません。
ただし、すべての業者が同じレベルで塗装や防水を行えるわけではないため、注意も必要です。
この記事では、防水工事業者が外壁塗装も手がける背景や、一括依頼する際のメリット・デメリットを丁寧に解説します。
業者選びのコツや、一括依頼が向いているケース・避けた方が良いケースもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
防水工事業者は外壁塗装にも対応している?
防水業者に塗装工事も依頼できるのか、気になる方は多いでしょう。
ここでは、防水業者が塗装にも対応する理由や注意点について解説します。
防水業者が外壁塗装も対応できる理由
多くの防水工事業者は、外壁塗装にも対応しています。
これは、建物の外装メンテナンスを総合的に請け負う中で、顧客ニーズに応える形で事業を広げているケースが多いためです。
特に中小規模の工務店やリフォーム会社では、現場経験豊富な職人が在籍し、塗装と防水のどちらも施工可能な体制を整えていることが一般的です。
また、戸建住宅やアパート・マンションのような中規模物件では、同時に外壁と屋上やバルコニーの防水処理を行う需要が高く、一括施工に対応できる業者の方が利便性が高いと評価されやすい傾向にあります。
防水工事と外壁塗装は共通する工程が多いため一括対応がしやすい
防水工事と外壁塗装は、一見すると異なる作業のように見えますが、実際には共通する工程が多数あります。
たとえば以下のような工程です。
| 共通工程 | 内容 |
|---|---|
| 足場設置 | 高所作業のため両工事とも必須 |
| 高圧洗浄 | 表面の汚れを除去し、施工品質を確保 |
| 下地補修 | クラック補修やシーリング打ち替えなど |
このように、作業の下準備段階で同じ工程が多く、段取りや施工管理も共通して行いやすいため、一括対応は現実的かつ効率的なのです。
対応できても「得意」とは限らない
注意点としては、防水業者が「塗装もできます」と言っていたとしても、それが必ずしも専門性が高いという意味ではない点です。
実際には塗装工事を下請け業者に外注しているケースもあり、仕上がりにばらつきが出る可能性もあります。
業者選びの際は「どの工事が得意なのか」「自社施工なのか外注なのか」「施工実績や職人の資格はあるか」などを事前に確認しましょう。
単に両方できるというだけで依頼すると、思わぬトラブルに発展することもあります。
防水工事と外壁塗装の違いと共通点
防水と塗装の工事は似ているようで目的や使用資材が異なります。
こでは、違いと共通点を押さえておきましょう。
目的・施工範囲の違い
防水工事の主な目的は、建物内部への水の浸入を防ぐことです。施工範囲は屋上・バルコニー・外壁のひび割れ部分など、水が浸入しやすい箇所が対象となります。
一方、外壁塗装の目的は、建物の外観を整える「美観」と、紫外線や雨風などから素材を保護する「耐候性の向上」です。
施工範囲は建物全体の外壁面で、デザインや色選びも大切なポイントになります。
使用資材と工法の違い
使用する材料や工法にも明確な違いがあります。
| 項目 | 防水工事 | 外壁塗装 |
|---|---|---|
| 使用資材 | ウレタン・FRP・塩ビシートなど | シリコン・フッ素・ラジカル塗料など |
| 施工方法 | 塗膜防水・シート貼り・アスファルト防水など | 吹き付け・ローラー・刷毛塗りなど |
| 耐用年数 | 約5〜15年(工法により異なる) | 約7〜15年(塗料により異なる) |
このように、防水と塗装は材料の選定から工法までまったく異なる技術を要するため、それぞれに専門性が求められるのです。
重なる工程と工事の共通性
前述のように、以下の工程はどちらの工事でも共通しています。
- 足場の設置
- 高圧洗浄による下地清掃
- クラック補修やシーリング打ち替え
こうした工程が共通していることで、作業を並行して進めやすくなり、一括依頼に向いている工事ともいえます。
防水工事と外壁塗装をまとめて依頼するメリットと注意点
防水と塗装の工事を同時にまとめて行うことで、費用や工期、管理の面で多くのメリットがあります。
しかしながら、業者の専門性や施工体制によっては注意が必要な場合もあります。
ここでは一括依頼のメリットとデメリットを整理して解説します。
防水工事と外壁塗装をまとめて依頼するメリット1.足場設置を一回で済ませられる
防水工事と外壁塗装はどちらも高所作業を伴うため、足場の設置が必要です。
通常、工事を分けて行うと、そのつど足場を組み直す必要があり、1回あたり20〜30万円程度の費用が発生します。
一括で依頼すれば、足場を1回組むだけで済むため、このコストを大幅に削減できます。
特に予算が限られている場合や、できるだけ工事回数を減らしたい場合には、非常に大きなメリットとなります。
防水工事と外壁塗装をまとめて依頼するメリット2.工期短縮とスケジュールの一元管理
工事を同時に行うことで、重複する作業工程を効率化でき、全体の工期を短縮できます。
足場の設置・撤去をはじめ、高圧洗浄・養生などを一度に済ませることができ、個別施工に比べて工期が数日〜1週間ほど短くなるケースもあります。
さらに、同じ業者が管理することでスケジュール調整も容易になります。
外注が多い現場では工程の遅延が発生しがちですが、一括管理であればトラブルも最小限に抑えることが可能です。
防水工事と外壁塗装をまとめて依頼する際の注意点|業者選定
一括依頼には多くの利点がありますが、業者選びを誤ると、工事品質や管理体制に問題が出ることもあります。
以下の点に注意しましょう。
- どちらも自社施工か、それとも片方が外注か
- 塗装・防水それぞれの実績があるか
- 各工事に対応する職人の資格保有状況(例:一級塗装技能士、防水施工技能士)
- 保証内容が工事ごとに明示されているか
とくに「塗装は外注で任せている」といった場合、対応スピードや品質にバラつきが生じるリスクもあります。契約前に見積もりや担当者との面談で確認することが大切です。
防水工事と外壁塗装を安心して一括依頼できる業者とは
一括で外壁塗装と防水工事を依頼する際には、業者の対応力や施工体制が鍵になります。
ここでは、安心して任せられる業者の特徴を紹介します。
外壁塗装と防水どちらも自社施工している
最も安心なのは、塗装も防水も自社の職人が施工する業者です。
施工品質を社内で一貫して管理できるため、仕上がりにばらつきが少なく、万が一トラブルがあっても責任の所在が明確になります。
また、自社施工業者は工程管理やスケジュール調整も柔軟に対応でき、住人への対応や近隣トラブルの防止にも積極的です。
外注比率が高い会社に比べて、施主とのコミュニケーションも取りやすい点がメリットといえます。
各分野の資格保持者が在籍している
工事の品質を担保する上で、資格を持つ職人の存在は重要です。
以下のような資格を持つ作業員が在籍しているかを確認しましょう。
| 資格名 | 対象工事 | 説明 |
|---|---|---|
| 一級塗装技能士 | 外壁塗装 | 塗装に関する国家資格で、高い技術が必要 |
| 防水施工技能士 | 防水工事 | 防水作業における国家資格。信頼性の高い施工が期待できる |
| 建築施工管理技士 | 総合管理 | 工程や品質の管理能力を示す国家資格 |
資格保持者が在籍していることは、技術力だけでなく業者の施工体制や信頼性の証明にもなります。
施工事例や保証内容が明確な会社
実績をきちんと公開している会社は、信頼性が高い傾向にあります。
特に以下の点をチェックしましょう。
- 公式サイトやパンフレットに施工写真が掲載されているか
- 保証年数や保証範囲が工事ごとに書面で示されているか
- アフターフォロー体制が整っているか
保証期間は、使用する塗料や防水材の種類によって異なりますが、きちんと契約書に明記してもらうことが大切です。
防水工事と外壁塗装を別々に頼むべきケースはある?
一括での依頼には多くのメリットがある一方で、すべての建物や工事内容において適しているとは限りません。
状況によっては、専門性の高い業者に個別に依頼したほうが、結果的に高品質な施工につながることもあります。
以下では、別々に頼むべき代表的なケースを解説します。
改修内容が大規模または専門的な場合
マンションの大規模修繕や、特殊な外壁材を使用している建物では、それぞれの分野に特化した専門業者に依頼するのが望ましいです。
例えば、タイル張りの外壁や金属サイディング、特殊な屋上構造を持つ建物では、素材ごとに専用の施工技術が必要となります。
このような場合に無理に一括で発注すると、どちらかの工事において品質が落ちたり、保証が不十分になったりするリスクがあるため、工種ごとに専門性のある業者を選びましょう。
地域によって得意業者が分かれている場合
都市部や郊外など、地域によって得意分野の異なる業者が分かれていることもあります。
たとえば、防水工事に強い業者が多い地域と、塗装業者が豊富な地域が異なるケースなどです。
それぞれの分野で地域に根ざした実績を持つ業者がいる場合は、無理に一括で頼むよりも、信頼できる専門業者に別々に依頼することで高品質な仕上がりが期待できます。
管理会社や建築士が別業者を指定する場合
分譲マンションや賃貸物件などで、管理会社や設計監理を担当する建築士が工事を監督しているケースでは、発注先が指定されていることがあります。
この場合、工事の品質や工程を第三者が管理するため、事前に業者選定の自由度が制限されることになります。
契約前には必ず仕様書や監理者の指示内容を確認しましょう。
防水工事や外壁塗装の依頼でよくある質問
防水工事や外壁塗装工事は専門性が高く、施工頻度も5年から15年周期のため「どのように依頼すべきか」で悩まれる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、そのような疑問にお答えします。
Q
防水工事と外壁塗装、どちらを先にやるべき?
A
基本的には同時に行うのが理想ですが、別々に行う場合は「防水工事を先に、塗装はその後」が一般的です。
理由は、防水材の施工によって塗料がはがれるなどの不具合を避けるためです。順番を逆にすると、せっかくの塗装が防水施工時に傷んでしまう可能性があります。
Q
一括見積もりでも、塗装と防水の費用は分けて確認すべき?
A
はい、分けて見積もりを提出してもらうのが理想です。それぞれの工事の内容や費用が明確になり、施工範囲や保証内容の確認も容易になります。後のトラブル防止にもつながるため、必ず明細を確認しましょう。
Q
保証内容は一括にしてもらえる?
A
基本的には塗装と防水で保証内容や年数が異なります。そのため、それぞれの工事に対して個別の保証がつくのが一般的です。保証の有無・内容・年数などは、契約書で明文化されているか確認しましょう。
Q
工事期間中に雨が降ったらどうなる?
A
防水工事や塗装工事は、天候の影響を強く受けます。雨が降った場合は原則として作業を中止し、晴天に回復してから再開します。無理に進めると施工不良の原因になるため、信頼できる業者であれば安全・品質を最優先に対応してくれるはずです。
Q
住んでいる状態でも施工できる?
A
ほとんどのケースでは、居住したままの施工が可能です。ただし、騒音・塗料のにおい・洗濯物の制限など、生活に影響が出る場面もあるため、事前にスケジュールを確認し、必要な準備をしておくと安心です。
Q
自分で業者を探すのと、管理会社に任せるのはどちらが良い?
A
戸建住宅の場合は自分で業者を探す自由がありますが、マンションや賃貸物件では管理会社に任せることがほとんどです。信頼できる業者を選ぶことが最優先ですが、自主管理の場合は相見積もりを取るなどして慎重に判断しましょう。
防水工事業者への外壁塗装の依頼は入念な確認が重要|まとめ
防水工事と外壁塗装は、それぞれ目的や使用資材は異なるものの、足場設置や下地処理といった共通工程も多く、一括で依頼することでコスト削減や工期短縮につながるメリットがあります。
特に戸建て住宅やアパートなど中規模の物件では、塗装と防水を同時に施工することで効率が良く、トラブルも最小限に抑えられます。
ただし、どちらの工事にも専門性が求められるため、業者選びには十分な注意が必要です。
理想的なのは、外壁塗装と防水工事のどちらも自社施工し、必要な許認可や国家資格を持つ職人が在籍している業者です。
施工実績や保証内容を確認し、透明性のある見積もりと誠実な対応をしてくれる会社に依頼することで、長期的に安心できる外装メンテナンスが実現できます。
一括にするか分離するか迷う場合には、複数社に相談・見積もり依頼をし、建物の状態や予算に合わせた最適な提案をもらうことも、有効な選択肢となるでしょう。