防水工事の工期はどのくらい?種類・施工条件ごとの日数と短縮のポイントについて
2025/07/31
建物の劣化を防ぐために不可欠な防水工事ですが「いったい何日かかるの?」「生活にどれくらい影響がある?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実際、防水工事の工期は使用する工法・施工面積・建物の構造・さらには天候などの条件によって大きく異なります。
また、工期が長引くことで居住者の日常生活に支障をきたしたり、雨天の影響で作業が中断されると工程が大幅にずれ込むリスクもあります。
そうしたリスクを未然に防ぐためには、工法ごとの標準的な工期の目安を正しく理解しておくと同時に、自身の物件状況に合わせた最適な工法の選択が重要です。
本記事では、防水工事の代表的な工法ごとの日数の目安・工期を左右する要因・工期を短縮するための具体的な工夫、さらには助成金制度の活用法まで、実用的な視点で詳しく解説していきます。
目次
防水工事の工期はどれくらい?
防水工事にかかる日数は、平均して3日から10日程度とされています。
ただしこれはあくまで目安であり、工法や条件によって前後します。ここでは、主要な防水工法ごとの特徴と標準的な施工日数を表で紹介します。
| 工法 | 目安日数 | 特徴 |
|---|---|---|
| ウレタン防水 | 3〜5日 | 継ぎ目がなく自由度が高い。複雑形状に対応しやすい |
| シート防水 | 2〜4日 | 広面積に最適、施工スピードが速い、耐久性が安定 |
| FRP防水 | 1〜3日 | 短工期で耐久性◎。ベランダや小規模箇所に最適 |
| アスファルト防水 | 5〜10日 | 重量施工で長寿命。大型施設向き。施工には熟練技術が必要 |
防水工事の工期に影響する5つの要素
同じ工法でも、施工条件によって日数が大きく変わることがあります。
以下では、防水工事の工期に影響する代表的な要因を解説します。
施工面積と形状の影響
当然ながら、施工面積が広いほど作業日数は増加します。
また、手すりや室外機・配管などの障害物が多い場合は、養生や処理工程が増えるため、工期が延びる傾向にあります。
さらに、屋根やバルコニーに段差があったり、複雑な構造をしている場合には、塗布や貼り込み作業が慎重に行われるため、作業時間が長くなります。
下地の劣化状況と補修の有無
既存の下地が傷んでいる場合は、補修作業が必要です。
例えばクラック補修や左官仕上げなどを行う場合、数日単位で工期が延びることもあります。
また、過去に行われた防水工事の撤去作業が発生するケースでは、想定よりも時間と費用がかかることもあるため、現地調査で下地の状態をしっかり確認しておくことが重要です。
季節・気温・天候による施工制限
特にウレタンやFRP防水では、気温や湿度が施工品質に直結します。
雨天時や気温が5度未満の日は施工ができず、天候次第で工事がストップする可能性もあります。
梅雨時期や台風シーズンは、天候の急変によりスケジュール通りに進めるのが難しくなるため、工程表には予備日を設けておくことをおすすめします。
工事対象(屋上・ベランダ・庇など)の種類
屋上のような開放空間では養生が大規模になりますが、庇やベランダなど限定的なスペースでは準備も比較的スムーズに行えます。
足場設置の有無も、工期に影響します。
また、屋根や屋上に太陽光パネルが設置されている場合や、配線・ダクトなどの設備があると、その取り外しや養生のために作業時間が追加されることがあります。
作業人数・施工体制の違い
1人で行うのと、2〜3人のチームで施工するのとでは作業効率が大きく異なります。
経験豊富な業者ほど作業分担がうまく、結果的に工期を短く抑えることができます。
また、現場管理者が工程を的確に指示できる体制が整っている業者は、材料の手配・作業スケジュールの調整などがスムーズに進むため、突発的なトラブルが起きても柔軟に対応できます。
防水工事の工期を短縮するための5つのポイント
防水工事の工期は、外部環境や下地の状態により延びるリスクがありますが、工夫次第である程度短縮することも可能です。
ここでは、スムーズな工事を実現するための具体的な対策をご紹介します。
専門業者に依頼して施工品質とスピードを両立
防水工事の工法ごとに、必要な知識と技術は異なります。
経験豊富な専門業者は施工の段取りに熟れており、材料の手配から乾燥時間の管理・品質管理までを的確に行うため、無駄のない工期設定が可能です。
また、自社施工の業者であれば中間マージンも不要になり、費用面でもメリットがあります。
事前に過去の施工実績や施工事例を確認し、信頼できる業者を選定することが、結果的に工期短縮へとつながります。
相見積もりと事前打ち合わせで最適なスケジュールを確保
複数業者から相見積もりを取得し、それぞれの工法提案や工期設定を比較検討することは非常に有効です。
業者ごとに工程の考え方や段取りが異なるため、事前に打ち合わせを重ね、工程表や使用材料・作業人数などを具体的に確認しましょう。
特に「乾燥工程に何日必要か」「予備日をどう確保しているか」など、細かい点を可視化することで、想定外の遅延を防ぐことができます。
劣化が進行する前に早めの施工を
防水層の劣化が軽度なうちであれば、補修範囲も限定的となり、工程の大幅な短縮が可能です。
例えば、ウレタン防水の場合、表面のトップコートのみを再塗装するメンテナンスで済めば、わずか1〜2日で完了するケースもあります。
逆に、劣化が深刻化している場合には下地補修や既存層の撤去が必要となり、工期は数日〜1週間以上長引く可能性があります。
早期の判断が、結果的にコストと期間の両方を抑えるカギになります。
天候に配慮した施工時期の選定
防水工事は基本的に雨天時の施工ができないため、施工スケジュールを立てる際には季節や天候傾向を考慮する必要があります。
梅雨時期や台風シーズンを避け、天候が安定している春・秋に施工を行うことで、工事の中断リスクを最小限に抑えることができます。
また、気温が低い冬季は乾燥時間が長くなるため、ウレタンやFRPの施工には向いていないこともあります。
工法選定にも気象条件を踏まえる視点が求められます。
工期短縮に効果的な素材や工法の活用
近年では、速乾性のあるウレタン材料や、高強度・高耐久性を兼ね備えた新素材も開発されています。
これらを適切に選定・導入することで、従来よりも短期間で施工を完了させることが可能です。
例えば、速硬化型ウレタンを使用すれば、1日のうちに複数層を塗布することも可能となり、従来3〜5日かかっていた施工を2日で終えることも実現できます。
防水工事の工期が長引くリスクとその対処法
どれほど準備を整えても、工期が予定より長引くリスクはゼロではありません。
ここでは代表的なトラブルと、それに対する備えをご紹介します。
雨天による作業中断
屋外施工の場合、雨が降ればすぐに作業が中断されるのが一般的です。
特にウレタンやFRPなど液状材料を使用する工法では、乾燥前に水が混入すると硬化不良や膨れの原因になります。
【対策】
- 施工期間を確保し、予備日を設けておく
- 雨天時に中止する工法を事前に確認しておく
- 天候予測に応じたフレキシブルな工程管理
工事中の仕様変更や追加補修
施工中に下地の破損が発見されることや、見積り時点では判明しなかった劣化箇所の補修が必要になるケースもあります。
【対策】
- 現地調査時に詳細な写真と報告書を確認する
- 着工後の変更にも柔軟に対応できる業者を選ぶ
資材や職人の手配遅れ
資材の納品遅れや職人の手配ミスによっても、工期がずれ込むことがあります。
【対策】
- 自社職人を抱える業者を選ぶ(外注業者より納期管理がしやすい)
- 材料の在庫確認を事前に行う
防水工事に活用できる補助金・助成金制度の基礎知識
防水工事は、建物の安全性や快適性を維持するために欠かせないメンテナンスです。
雨漏りや湿気による内部構造の劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばす効果がある一方で、施工費用は決して安価ではなく、工事の規模や内容によっては数十万円から百万円を超える場合もあります。
そのような費用負担を軽減するために、ぜひ活用したいのが「補助金」や「助成金」といった公的な支援制度です。
スムーズな資金計画のためにも、どのようなも種類があるのか・申請時の注意点などを押さえておきましょう。
よくある支援制度の種類
省エネ改修支援
遮熱塗料や断熱材を用いた防水工事が、断熱性能向上の目的で支援対象になるケースがあります。
住宅リフォーム支援
築年数の経過によって劣化が進んだ住宅の補修・改修工事の一環として、防水工事が助成対象となることがあります。
災害対策支援
台風や豪雨などの自然災害による被害を未然に防ぐ目的で実施する防水工事が、防災関連の助成対象に含まれることがあります。
バリアフリー改修に付随する施工
居住環境改善を目的とする工事に防水施工が含まれるケースでは、一部補助対象になることも。
これらの制度は、各自治体や年度によって内容や条件が大きく異なりますので、自身の住む地域の制度情報を確認することが第一歩となります。
補助制度を活用する際の注意点
- 必ず事前に申請すること…ほぼすべての補助制度は、工事着工前に申請が必要
- 自治体ごとに条件が異なる…制度の適用範囲・補助率・対象工事の種類・世帯要件(所得制限・居住年数)など、地域によって多条件設定がさまざま
- すべての防水工事が対象ではない…材料の性能(遮熱・断熱機能など)や施工の目的(雨漏り防止・防災・省エネ)に応じて、対象か否かが分かれる
- 提出書類の準備が多い…施工前後の写真・平面図・見積書・工事説明資料・住民票・固定資産証明など、多くの書類を準備する必要がある
情報の収集方法と相談先
補助制度は、年度単位で見直されることが多く、予算上限に達した時点で受付が終了する場合もあります。
そのため、最新情報を常にチェックすることが重要です。
以下のような窓口が、情報収集に役立ちます。
- 自治体の公式ホームページ(市役所・区役所の建築課や住宅課)
- 地域の住宅リフォーム相談窓口や自治体の補助金相談窓口
- 地元の防水工事に詳しい専門業者や施工店
信頼できる業者であれば、過去の申請経験をもとに制度内容や書類の準備について助言してくれることもあるため、相談してみるのも一つの方法です。
防水工事の工期に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 防水工事の工期はどのくらいかかりますか?
A. 工法や施工場所、劣化の程度によって異なりますが、一般的には1〜10日前後とされています。
小規模なベランダであれば1〜3日、大規模な屋上工事や下地補修を伴う場合は1週間以上かかることもあります。
Q2. 工事中は在宅していても問題ありませんか?
A. 基本的に外部の作業が中心であれば在宅可能ですが、工事場所によっては一時的に使用できなくなったり、音・においなどの影響が出る場合もあります。
事前に、施工業者とスケジュールや影響範囲について確認しておきましょう。
Q3. 雨が降った場合、防水工事はどうなりますか?
A. 多くの防水工法では、雨天時の施工が困難です。
ウレタン防水やFRP防水などは特に乾燥時間が重要で、雨によって仕上がりに大きく影響が出るため、基本的に作業は中止されます。
施工日には余裕を持たせ、予備日も含めて工程を組むのが望ましいです。
Q4. 工事に伴うにおいはどれくらいありますか?
A. 一部の材料(溶剤系)を使用する場合には、塗布時に独特の臭いが発生します。
特にFRPやアスファルト防水などで顕著ですが、換気対策や臭いが少ない材料の使用で対応できることが多いです。
気になる場合は、無臭タイプの材料を選べるか相談してみましょう。
Q5. 施工後すぐにベランダや屋上を使っても大丈夫ですか?
A. 多くの工法では24時間程度で歩行が可能となりますが、完全硬化までには2〜3日を要することがあります。
重い物を置いたり、洗濯物を干したりする際の使用は、業者の指示を確認のうえ慎重に行いましょう。
まとめ
防水工事は、建物を長期間守るための投資であり、資産価値を維持・向上させるうえで重要な役割を果たします。雨漏りを防ぐだけでなく、断熱性・防音性の向上にも寄与することから、生活の質の改善にもつながります。
一方で、工事費用や日程、天候の影響などによる不安もあります。
防水工法の種類と特徴を理解し、建物に最適な工法を選ぶことでスムーズな工事が実現できるでしょう。
防水工事は一度の対応で、長期間の効果を発揮します。
信頼できる専門業者を選定し、丁寧な説明と柔軟な対応を受けながら、無理のないスケジュールで防水工事を進めることで、長期的に安心して暮らせる住環境を手に入れることにつながります。