停電したらオートロックはどうなる?動作パターンと対応策・注意点などを解説

突然の停電や災害時、オートロック付きマンションにお住まいの方なら「停電したらドアは開くの?閉じ込められない?」という不安を感じたことがあるのではないでしょうか。

実は、オートロックは機種によって停電時の動作が大きく異なります。

解錠されるタイプもあれば、逆に施錠されるタイプもあり、事前に自分のマンションがどのタイプなのかを知っておくことが、緊急時の安全を守る第一歩です。

この記事では、停電時のオートロックの3つの動作パターンを詳しく解説し、それぞれの対処法や事前にできる備え、さらに停電中のセキュリティ対策まで、具体的かつ実践的な情報をお届けします。

いざという時に慌てず、家族みんなが安心して行動できるよう、ぜひ最後までご覧ください。

停電したらオートロックはどうなる?3つの動作パターン

オートロックは電気で動くシステムのため、停電が発生すると通常通りには作動しなくなります。

ただし、停電時にどのような状態になるかは、設置されている機種の設計思想によって異なります。

大きく分けて3つの動作パターンがありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

パターン①:停電時に「解錠される」タイプ(最も一般的)

現在最も多く採用されているのが、停電時に自動的に解錠されるタイプです。

このタイプは「フェイルセーフ」と呼ばれる設計思想に基づいており、緊急時の避難を最優先に考えられています。

停電が発生すると、エントランスのオートロックは解錠状態になり、手動でドアを押せば開閉できるようになります。

電気が復旧するまでは自動施錠機能が働かないため、外出時や帰宅時には手でドアを押して開ける必要があります。

マンションやアパートの共用エントランスでは、このタイプが比較的多く設置されている傾向にあります。

パターン②:停電時に「施錠される」タイプ

セキュリティを重視した設計として、停電時に施錠状態を保持するタイプも存在します。

このタイプは「フェイルセキュア」と呼ばれ、防犯性を優先した設計思想に基づいています。

停電が発生すると、オートロックは施錠状態のままとなります。

外側からは物理的な鍵を使って解錠でき、内側からはサムターン(つまみ)やハンドルを回すことで解錠できる仕組みになっています。

ただし、カードキーや指紋認証などの電子式解錠システムは電気が必要なため、停電中は使用できません。

このタイプの場合、必ず物理鍵を携帯しておくことが重要です。

パターン③:「停電直前の状態を保持する」タイプ

3つ目のパターンとして、停電が発生した瞬間の状態をそのまま保持するタイプがあります。

このタイプは、停電前に解錠されていれば解錠状態のまま、施錠されていれば施錠状態のままとなります。

もしドアが開閉している途中で停電が発生した場合、半開きの状態で動作が停止してしまうこともあります。

解錠操作については、外側からは物理鍵で、内側からはサムターンやハンドルを回して対応します。

このタイプは、停電が解除された際にドアが突然動き出す可能性もあるため、通過する際には注意が必要です。

自分のマンションはどのタイプ?確認方法

自分が住んでいるマンションのオートロックがどのタイプかを知っておくことは、緊急時の対応をスムーズにするために非常に重要です。

確認方法はいくつかありますので、以下を参考にしてください。

確認方法
  • 管理会社や大家さんに問い合わせる
  • 入居時の契約書類や設備説明書を確認する
  • エントランスのオートロック機器の型番を調べる
  • 管理人室で確認する

確認の際には、停電時の動作だけでなく、非常時の連絡先や手動開錠の方法についても合わせて聞いておくと、より安心です。

また、家族全員で情報を共有しておくことで、いざという時に誰でも適切な対応ができるようになります。

停電時のオートロック対処法|住民が取るべき行動

停電が発生した際、オートロックのタイプによって取るべき対応は異なります。

自分のマンションがどのタイプかを把握した上で、適切な行動を取ることが大切です。

ここでは、それぞれのパターンごとに具体的な対処法を解説します。

解錠されるタイプの場合の対処法

停電時に解錠されるタイプの場合、手動でドアを開閉できる状態になります。外出する際も帰宅する際も、手でドアを押して開ける必要があります。

自動ドアのように開くわけではありませんので、少し力を入れて押してください。

このタイプの最大の注意点は、誰でも自由に建物内に入れる状態になることです。

停電中はセキュリティ機能が働かないため、後述する防犯対策を必ず実施してください。

電気が復旧すれば自動的に通常の動作に戻りますので、特別な操作は必要ありません。

施錠されるタイプの場合の対処法

停電時に施錠されるタイプの場合、物理鍵を使って解錠する必要があります。

カードキーやスマートキーなど電子式の解錠方法は使用できませんので、必ず金属製の鍵を携帯してください。

内側から外出する場合は、サムターン(ドアの内側にあるつまみ)やハンドルを回すことで解錠できます。

外から帰宅する際は、鍵穴に鍵を差し込んで回せば開きます。

もし鍵を持たずに外出してしまった場合は、管理会社や大家さんに連絡して対応を依頼するか、他の住民の出入りを待って一緒に入れてもらう必要があります。

カードキー・スマートキー利用者の注意点

カードキーや指紋認証、スマートフォンアプリなどを使った電子式解錠システムは、停電時には基本的に使用できません

これらのシステムは電気を使って認証・解錠を行うため、電源が失われると機能しなくなります。

そのため、電子式解錠システムを普段使っている方は、必ず物理鍵も一緒に持ち歩く習慣をつけてください。

鍵を持たずに外出してしまうと、停電時に自宅に入れなくなるリスクがあります。

特に、夜間や休日に停電が発生した場合、管理会社に連絡が取れず長時間締め出される可能性もあります。

念のため、家族や信頼できる友人に合鍵を預けておくことも検討してください。

停電中に注意すべきセキュリティ対策

停電時は、オートロックだけでなく防犯カメラや照明などのセキュリティシステム全体が機能しなくなる可能性があります。

建物全体が無防備な状態になるため、普段以上に防犯意識を高める必要があります。

ここでは、停電中に特に注意すべきセキュリティ対策をご紹介します。

オートロック解錠時の防犯リスク

停電によってオートロックが解錠されると、誰でも建物内に侵入できる状態になります。

これは、不審者にとっては絶好の機会となり、空き巣や不法侵入のリスクが大幅に高まります。

特に注意が必要なのは、停電が長時間続く場合です。災害時などに発生する「火事場泥棒」のように、混乱に乗じて犯罪を企てる者もいます。

共用廊下やエントランスで不審な人物を見かけたら、無理に声をかけず、まずは管理会社や警察に連絡してください。

また、訪問者があってもドアを簡単に開けず、必ずインターホンやドアスコープで確認する習慣をつけましょう。

自宅の戸締まりを徹底する

停電中は建物全体のセキュリティが低下しているため、自宅の玄関ドアや窓の施錠を普段以上にしっかり確認してください。

オートロックがあるからと安心して、自宅のドアに鍵をかけない習慣がある方は特に注意が必要です。

具体的な対策として、以下のポイントを実践してください。

具体的な対策
  • 玄関ドアは必ず施錠する
  • 窓やベランダの鍵も確認する
  • 補助錠を活用する
  • 貴重品は見えない場所に保管する

また、停電時に避難が必要になった場合でも、外出する際は必ず施錠してから出るようにしてください。

空き家状態になっていることを不審者に悟られないよう、カーテンや雨戸を閉めておくことも有効です。

防犯カメラも停止することを理解する

マンションに設置されている防犯カメラの多くは、停電時には録画機能が停止します

非常用電源を備えているシステムもありますが、すべてのマンションに設置されているわけではありません。

防犯カメラが機能していない状態では、不審者の行動が記録されないため、後から証拠を確認することもできません。

さらに、廊下や階段の照明も消えるため、建物全体が暗闇に包まれることもあります。

このような状況では、犯罪者にとって非常に都合の良い環境となってしまいます。

停電中は特に警戒心を持ち、不要不急の外出は控えることも検討してください。

停電時のオートロック対策|事前にできる備え

いざという時に慌てないためには、日頃からの備えが何よりも重要です。

停電は突然やってきますので、普段から対策を習慣化しておくことで、緊急時でも冷静に行動できるようになります。

ここでは、今日からでも実践できる具体的な備えをご紹介します。

物理鍵を必ず携帯する習慣をつける

カードキーやスマートキーを使っている方も、必ず金属製の物理鍵を一緒に持ち歩いてください。

電子式の解錠システムは便利ですが、停電時には全く役に立たなくなります。

具体的な対策として、以下のような方法があります。

対策方法
  • カードキーと物理鍵を同じキーホルダーにつける
  • バッグや財布に予備の鍵を入れておく
  • 職場のロッカーや車の中に合鍵を保管する
  • 家族それぞれが鍵を持つ

また、鍵を紛失した際のリスクも考慮し、信頼できる家族や友人に合鍵を預けておくことも検討してください。

特に一人暮らしの方は、万が一の際に頼れる人がいると安心です。

家族全員で対処法を共有する

停電時の対処法は、家族全員が理解しておく必要があります。

特に、高齢者や小さなお子さんがいる家庭では、事前に停電時の行動を話し合っておくことが重要です。

家族会議で共有すべき内容は以下の通りです。まず、自分のマンションのオートロックがどのタイプなのか、停電時にどうなるのかを全員で確認します。

次に、停電が発生したらどこに集合するか、誰に連絡するかなどの行動手順を決めておきます。

さらに、懐中電灯や非常用ライトの保管場所、非常用持ち出し袋の置き場所も全員で確認しましょう。

特に、お子さんが一人で留守番をすることがある家庭では、停電時に親に連絡する方法や、ドアを開けてはいけないことなどを繰り返し教えておくことが大切です。

定期的に話し合いの機会を設けることで、いざという時に慌てずに行動できるようになります。

管理会社の緊急連絡先を控えておく

停電時や緊急時には、管理会社や大家さんの連絡先がすぐに分かる状態にしておくことが重要です。

スマホのバッテリーが切れることも想定し、紙に書いて財布やバッグに入れておくことをおすすめします。

控えておくべき連絡先は、以下の通りです。

連絡先用途備考
管理会社の通常連絡先一般的な問い合わせ営業時間内の対応
管理会社の緊急連絡先夜間・休日の緊急対応24時間対応の場合もあり
大家さんの連絡先直接対応が必要な場合賃貸の場合は必須
最寄りの警察署防犯相談・緊急通報110番以外も控えておく
電力会社の連絡先停電情報の確認復旧状況を確認できる

これらの連絡先は、家族全員が見える場所(冷蔵庫や玄関など)にも貼っておくと、いざという時に誰でもすぐに連絡できます。

また、スマホの連絡先にも登録しておき、定期的に情報が最新かどうか確認することも忘れないでください。

停電時のオートロックに関するよくある質問

停電時のオートロックについて、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。

実際の状況で役立つ具体的な情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。

Q

停電から復旧後、オートロックは自動的に元に戻りますか?

A

はい、ほとんどの機種では電気が復旧すれば自動的に通常の動作に戻ります

特別な操作や設定変更は必要ありません。停電前と同じように、カードキーや暗証番号で解錠できるようになります。

ただし、まれに停電の影響でシステムエラーが発生し、正常に動作しないケースもあります。

電気が復旧した後もオートロックが機能しない場合や、解錠できない場合は、すぐに管理会社に連絡して点検を依頼してください。

また、復旧直後は動作が不安定になることもあるため、しばらく様子を見ることも大切です。

Q

カードキーは停電時に使えますか?

A

いいえ、カードキーや指紋認証などの電子式解錠システムは、停電時には使用できません

これらのシステムは電気を使って認証と解錠を行うため、電源が失われると機能しなくなります。

ただし、一部のカードキーシステムには、バッテリー内蔵タイプや非常用電源を備えたタイプもあります。

自分のマンションのシステムがどのタイプかを事前に確認しておくことをおすすめします。

基本的には、カードキーだけでなく物理鍵も必ず携帯する習慣をつけることが最も確実な対策です。

Q

停電時に締め出されたらどうすればいいですか?

A

停電時に鍵を持たずに外出してしまい締め出された場合、まずは管理会社や大家さんに連絡してください

24時間対応の緊急連絡先があれば、夜間でも対応してもらえる可能性があります。

管理会社に連絡が取れない場合は、以下の方法を試してください。

まず、他の住民が出入りするのを待ち、一緒に建物内に入れてもらいます。
※ただし、不審者と思われないよう、自分が住民であることを証明できるものを見せましょう

次に、家族や友人に合鍵を預けている場合は、すぐに連絡して持ってきてもらいます。

どうしても入れない場合は、鍵の専門業者に依頼することもできますが、費用が高額になる可能性があるため、最終手段として考えてください。

Q

賃貸物件で停電した場合、誰に連絡すればいいですか?

A

賃貸物件にお住まいの場合、停電の原因によって連絡先が異なります。

マンション全体が停電している場合は、まず管理会社や大家さんに連絡してください

地域全体の停電であれば、電力会社のホームページやアプリで復旧状況を確認できます。

一方、自分の部屋だけが停電している場合は、ブレーカーが落ちている可能性があります。

分電盤を確認してブレーカーを上げれば復旧することがほとんどです。

ただし、何度も落ちる場合は漏電や配線の不具合が考えられるため、無理に対処せず管理会社に連絡して専門業者に点検してもらってください。

賃貸物件の場合、勝手に業者を呼ぶと費用を負担できないことがあるため、必ず管理会社を通して対応することが重要です。

Q

計画停電の場合は事前に対策できますか?

A

はい、計画停電の場合は事前に準備する時間がありますので、しっかりと対策を行いましょう

管理会社から計画停電の通知があった場合、停電の日時、予想される時間、オートロックの動作について確認してください。

事前にできる対策として、以下のポイントを実践してください。

まず、物理鍵を必ず携帯し、カードキーやスマートキーだけで外出しないようにします。次に、家族全員に停電の予定を共有し、その時間帯の外出予定を調整します。

さらに、自宅の戸締まりを徹底し、貴重品は見えない場所に保管します。

また、停電中は防犯カメラも機能しないため、不審者の侵入に注意し、知らない人がエントランスにいても安易にドアを開けないようにしてください。

計画停電後は、オートロックが正常に動作しているか必ず確認することも大切です。

まとめ

停電時のオートロックの動作は機種によって異なりますが、事前に自分のマンションのタイプを知り、適切な対策を取ることで、いざという時も安心して対応できます。

ここまでご紹介した内容を、改めて重要なポイントとしてまとめます。

  • 停電時のオートロックは「解錠」「施錠」「状態保持」の3パターンに分かれます
  • 最も多いのは停電時に解錠されるタイプで、手動でドアを開閉できます
  • カードキーやスマートキーは停電時に使えないため、物理鍵の携帯が必須です
  • 停電中はオートロックだけでなく防犯カメラも停止するため、戸締まりを徹底してください
  • 管理会社の緊急連絡先を紙に書いて携帯し、家族全員で情報を共有しましょう
  • 自分のマンションがどのタイプか、事前に管理会社に確認しておくことが大切です

災害や突発的なトラブルはいつ起こるか分かりません。だからこそ、日頃からの備えと正しい知識が、あなたと家族の安全を守る鍵となります。

この記事でご紹介した対策を、ぜひ今日から実践してみてください。

万が一停電が発生しても、焦らず冷静に行動できるよう、この記事の内容を定期的に見直し、ご家族やご近所の方とも情報を共有していただければ幸いです。

安全で安心な住環境を保つために、できることから一つずつ始めていきましょう。