防水コーキング施工の価格はどれぐらい?工事の費用相場から流れ・安くする方法まで解説
2025/11/17
外壁のメンテナンスを検討していて、「防水コーキング施工っていくらかかるの?」と不安を感じていませんか。
初めてのリフォームでは、適正価格が分からず悩んでしまうものです。
実は、防水コーキング施工の価格は、工法や使用する材料、施工箇所によって大きく変動します。
適切な知識がないと、高額な費用を請求されたり、逆に安すぎて品質に問題が出たりする可能性もあるのです。
この記事では、防水コーキング施工の価格相場を徹底解説します。
新築とリフォームの違い、ベランダの施工費用、さらに費用を抑えるコツまで、あなたが知りたい情報をすべてお伝えします。
この記事を読めば、安心して業者選びができるようになりますよ。
目次
防水コーキング施工とは?
防水コーキング施工について、まずは基本的な知識を押さえておきましょう。
コーキングとシーリングの違いや、工事の種類を理解することで、業者との打ち合わせもスムーズになります。
ここでは、外壁メンテナンスに欠かせないコーキング施工の基礎を分かりやすく解説します。
シーリング材とは?
シーリング材とは、外壁材の目地や隙間を埋めるための充填材のことです。
サイディング外壁やALCパネルの継ぎ目、窓枠周りなど、建物のあらゆる隙間に使用されています。
主な役割は防水性の確保と建物の緩衝材としての機能です。地震や温度変化による建物の動きを吸収し、外壁材の破損を防ぎます。
また、雨水の侵入を防ぐことで、建物内部の腐食やカビの発生を抑える重要な役割を担っています。
なお、「コーキング」と「シーリング」は基本的に同じ意味で使われます。
業者によって呼び方が異なるだけですので、どちらの言葉を使っても問題ありません。
打ち替え工事と打ち増し工事の違い
コーキング工事には「打ち替え」と「打ち増し(増し打ち)」の2つの工法があります。
この違いを理解することが、適切な工事選びの第一歩です。
| 項目 | 打ち替え工事 | 打ち増し工事 |
|---|---|---|
| 施工内容 | 既存の古いシーリング材を完全に撤去し、 新しいシーリング材に入れ替える | 既存シーリング材の上から追加で シーリング材を盛り足す |
| 耐久性 | 高い (新規施工のため長持ち) | 低め (内部が劣化している場合は効果が限定的) |
| 費用 | 高い | 安い |
| メリット | 根本から修復でき、防水性が高い | 工期が短い・低コストで対応可能 |
| デメリット | 施工費用が高く時間がかかる | 劣化が進んだ状態では適用不可・耐久性が低い |
打ち替え工事は、既存の劣化したコーキング材をすべて撤去し、新しいコーキング材を充填する方法です。
完全に新しくするため、防水性や柔軟性が確保され、耐用年数は7〜10年と長持ちします。
費用はやや高めですが、建物の耐久性を考えると推奨される工法です。
一方、打ち増し工事は、既存のコーキング材の上から新しいコーキング材を重ねて充填する方法です。
撤去作業がないため費用を抑えられますが、耐用年数は2〜5年程度と短く、内部の劣化に気づきにくいというデメリットがあります。
応急処置としては有効ですが、長期的には打ち替えをおすすめします。
防水コーキング施工の価格相場
防水コーキング施工の価格相場について、具体的な数字を見ていきましょう。
工法別の費用や、必要となる追加費用を知ることで、見積もりの妥当性を判断できるようになります。
ここでは、実際の施工現場のデータをもとに、リアルな価格情報をお伝えします。
打ち替え工事の費用相場
打ち替え工事の費用相場は、1メートルあたり900〜1,200円が一般的です。
一般的な2階建て住宅で外壁全体に施工する場合、合計延長は約180メートル程度になります。
計算すると、コーキング材の費用だけで16万2千円〜21万6千円となります。
これに加えて、既存コーキングの撤去費用として1万〜3万円が別途必要です。
使用する材料によっても価格は変動します。
- シリコン系:1,000〜1,500円/m(一般住宅で多用、コストパフォーマンスが高い)
- ウレタン系:1,500〜2,000円/m(密着性が高く、塗装が必須)
- 変性シリコン系:2,000〜2,500円/m(耐久性に優れ、塗装も可能)
実際の工事では、材料費と施工費がセットになった単価で見積もられることが多いため、内訳を確認することが大切です。
増し打ち工事の費用相場
増し打ち工事の費用相場は、1メートルあたり500〜900円です。
打ち替えより安価な理由は、既存コーキングの撤去作業が不要で、使用する材料の量も少ないためです。
同じく180メートルの施工で計算すると、9万円〜16万2千円程度になります。
一見すると費用を大幅に抑えられるように見えますが、注意が必要です。
増し打ちの最大のデメリットは耐久性の低さです。
古いコーキング材の上に重ねるため、下地の劣化が進んでいると、数年で再度工事が必要になる可能性があります。
結果的に、短期間で複数回工事することになり、トータルコストが高くなるケースも少なくありません。
応急処置として部分的に施工する場合や、既存コーキングの状態が良好な場合を除き、長期的な視点では打ち替えをおすすめします。
足場代や撤去費用
コーキング工事の総費用を考える際、足場代は見落とせない重要な項目です。
2階建て以上の住宅では、安全に作業するために足場の設置が必須となります。
足場代の相場は15万〜20万円です。
住宅の大きさや形状、周辺環境によって変動しますが、一般的な延床面積100〜130㎡の住宅であれば、この範囲に収まることが多いでしょう。
総費用の内訳をまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 打ち替え工事 | 増し打ち工事 |
|---|---|---|
| コーキング材・施工費(180m) | 16万2千円〜21万6千円 | 9万円〜16万2千円 |
| 既存コーキング撤去費 | 1万〜3万円 | 不要 |
| 足場代 | 15万〜20万円 | 15万〜20万円 |
| 合計 | 33万〜45万円 | 24万〜37万円 |
足場代は工事の種類にかかわらず発生するため、外壁塗装など他のメンテナンスと同時に行うことで、足場代を1回分に抑えられるというメリットがあります。
防水コーキング工事の価格・単価はどう決まる?
コーキング工事の価格は、さまざまな要因によって決まります。
見積書を見たときに「なぜこの金額なのか」を理解できると、適正価格かどうかを判断しやすくなります。
ここでは、価格を左右する3つの主な要素について詳しく解説します。
メートル単価と一式単価の違い
コーキング工事の見積もりには、「メートル単価」と「一式単価」の2つの表記方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、違いを理解しておきましょう。
メートル単価は、施工する長さ(m)に応じて費用を計算する方法です。
例えば「打ち替え1,000円/m×180m=18万円」のように、明確な根拠がわかりやすいのが特徴です。
施工範囲が明確で、透明性の高い見積もりといえます。
一方、一式単価は、住宅全体のコーキング工事を一括りにして「コーキング工事一式:12万円」のように表記する方法です。
住宅の大きさや階数によって総額が変動するため、具体的な施工範囲や延長メートル数を確認することが重要です。
業者によって表記方法が異なるため、見積もりを比較する際は、必ず施工範囲と総延長を確認し、実質的な単価を計算して比較しましょう。
使用するシーリング材による価格差
シーリング材には複数の種類があり、使用する材料によって価格が大きく変わります。
それぞれの特徴を理解して、建物の状況に合った材料を選ぶことが大切です。
| 種類 | 特徴 | 耐用年数 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| 変性シリコン系 | ・外壁工事で最も多く使用 ・耐久性・施工性のバランスが良い ・塗装が可能 | 約10〜15年 | 高め |
| ウレタン系 | ・密着性が高い ・ひび割れ補修に適している | 約10〜15年 | 中程度 |
| アクリル系 | ・価格が安く扱いやすい | 約10年前後 | 安価 |
材料選びでは、初期費用だけでなく、耐用年数を考慮したトータルコストで判断することをおすすめします。
安価な材料で数年後に再工事が必要になるより、高品質な材料で長持ちさせる方が、結果的に経済的です。
施工箇所による費用の変動
施工箇所によっても、コーキング工事の費用は変動します。作業の難易度や必要な技術レベルが異なるためです。
外壁のサイディング目地は、比較的作業しやすく標準的な単価で施工できます。
一方、窓枠周りや換気扇フード周りは、細かい作業が必要で手間がかかるため、やや単価が高くなる傾向があります。
また、高所作業が必要な3階部分や屋根周りは、安全対策が必要なため追加費用が発生することがあります。
ベランダの床面など、水平面のコーキングも、特殊な施工技術が求められる場合は単価が上がります。
見積もりを依頼する際は、すべての施工箇所を明確に伝え、箇所別の単価も確認しておくと安心です。
現地調査の際に、劣化が気になる箇所をすべて指摘し、漏れなく見積もりに含めてもらいましょう。
防水コーキング工事の価格は新築とリフォームで変わる?
新築時とリフォーム時では、コーキング工事の価格が異なります。施工内容や必要な作業工程が違うためです。
ここでは、それぞれの費用相場と、なぜ価格差が生まれるのかを詳しく解説します。
新築時のコーキング施工費用
新築時のコーキング施工は、既存のコーキング材がないため撤去作業が不要です。
そのため、1メートルあたり800円前後と、リフォーム時の打ち替えより安価に施工できます。
新築時は、外壁材の施工と同時進行で作業が進むため、効率的に施工できることも価格を抑えられる理由です。
また、足場も建築工事全体で使用するものを共用できるため、別途足場代がかかることはありません。
使用されるシーリング材は、建物の仕様や予算に応じて選定されます。一般的な住宅では、変性シリコン系やウレタン系が多く採用されています。
新築時から高品質な材料を使用しておくことで、初回のメンテナンス時期を遅らせることができるというメリットもあります。
リフォーム時の打ち替え費用
リフォーム時の打ち替え工事では、1メートルあたり900〜1,200円が相場です。
新築時より価格が高くなる理由は、既存コーキングの撤去作業が必要だからです。
古いコーキング材を丁寧に取り除く作業は、手間と時間がかかります。
外壁材を傷つけないよう慎重に作業する必要があり、この撤去作業の人件費が単価に上乗せされます。
さらに、撤去した廃材の処分費用として、別途1万〜3万円が必要です。
また、リフォーム時は専用の足場を組む必要があるため、15万〜20万円の足場代が発生します。
これらすべてを含めた総費用は、新築時と比べて大幅に高くなります。
新築時とリフォーム時の費用比較を表にまとめました。
| 項目 | 新築時 | リフォーム時(打ち替え) |
|---|---|---|
| コーキング単価 | 約800円/m | 900〜1,200円/m |
| 撤去作業 | 不要 | 1万〜3万円 |
| 足場代 | 建築工事に含まれる | 15万〜20万円 |
| 180m施工の総費用目安 | 約14万4千円 | 33万〜45万円 |
この表からわかるように、リフォーム時は新築時の2倍以上のコストがかかることが一般的です。
だからこそ、外壁塗装など他のメンテナンスと同時に行うことで、足場代を削減する工夫が重要になります。
ベランダ防水コーキングの施工価格
ベランダの防水コーキング施工は、外壁とは異なる特性があるため、費用相場も変わってきます。
ベランダは雨水が滞留しやすく、防水性能が特に重要な箇所です。
ベランダ防水工事の費用相場は、1平方メートルあたり1万〜2万円程度です。
一般的な10平方メートルのベランダであれば、10万〜20万円が目安となります。この費用には、既存防水層の補修やトップコートの塗布も含まれます。
防水工法には主にFRP防水とウレタン防水の2種類があります。
FRP防水は強度が高く耐久性に優れており、費用相場は10万〜15万円です。一方、ウレタン防水は複雑な形状にも対応しやすく、費用は8万〜12万円とやや安価です。
ベランダの床面や立ち上がり部分、排水溝周りなど、細かい箇所へのコーキング施工も必要です。
これらのコーキング補修は1メートルあたり500〜900円で、ベランダ全体では追加で2万〜3万円程度かかることがあります。
ベランダは雨漏りの原因になりやすい場所です。防水層のひび割れや、手すり取り付け部のコーキング劣化を放置すると、建物内部への浸水リスクが高まります。
定期的な点検と適切なタイミングでのメンテナンスが、建物を長持ちさせる秘訣です。
なお、ベランダ防水工事も足場が必要な場合があるため、外壁のコーキング工事や塗装工事と同時に行うことで、足場代を効率的に活用できます。
防水コーキング施工工事の費用を抑える方法
防水コーキング施工の費用は決して安くありませんが、工夫次第で負担を軽減できます。
品質を落とさずに賢く費用を抑えるための、実践的な方法を2つご紹介します。
これらの方法を活用すれば、数十万円の節約も可能です。
外壁塗装との同時施工を検討する
防水コーキング工事の費用を抑える最も効果的な方法は、外壁塗装と同時に施工することです。
理由は、足場代を1回分に抑えられるからです。
外壁塗装も防水コーキング工事も、どちらも足場の設置が必要です。
それぞれ別々のタイミングで工事をすると、足場代15万〜20万円が2回発生し、合計で30万〜40万円もの出費になります。
しかし同時施工なら、足場代は1回分で済むため、大幅なコスト削減が可能です。
さらに、コーキングを打ち替えた後に外壁塗装を行うと、新しいコーキング材の上から塗装することで紫外線からコーキングを保護し、耐久性が向上するというメリットもあります。
コーキング材は紫外線に弱いため、塗装による保護層があると、寿命を延ばすことができるのです。
外壁塗装の目安時期は築7〜15年です。コーキングの劣化サインが見られたら、外壁の塗膜の状態も併せてチェックし、同時施工を検討してみてください。
補助金・助成金を活用する
自治体によっては、住宅のリフォーム工事に対して補助金や助成金を用意している場合があります。
これらを活用することで、実質的な費用負担を軽減できます。
多くの自治体では、省エネリフォームや住宅の長寿命化を目的とした補助制度を設けています。
防水コーキング工事も、外壁メンテナンスの一環として対象になる可能性があります。
金額は自治体によって異なりますが、工事費用の10〜20%程度を補助してくれるケースが一般的です。
補助金を受けるためには、事前申請が必要です。工事を始める前に、お住まいの市区町村の窓口やウェブサイトで、利用できる制度がないか確認しましょう。
申請には、見積書や工事計画書の提出が求められることが多いため、業者に相談しながら準備を進めるとスムーズです。
また、申請期間や予算枠が限られているため、早めの情報収集と申請が重要です。
年度初めに募集が始まり、予算に達すると締め切られることもあるので、計画的に動きましょう。
防水コーキング施工の工事業者を選ぶ際のポイント・注意点
防水コーキング施工の品質は、業者選びで大きく左右されます。
適正価格で質の高い工事をしてもらうためには、いくつかの重要なチェックポイントがあります。
ここでは、信頼できる業者を見極めるための3つのポイントをご紹介します。
見積書のチェックポイント
まず確認すべきは、施工範囲と延長メートル数が明記されているかです。
「コーキング工事一式」とだけ書かれている場合は、具体的な内訳を尋ねましょう。
次に、材料のメーカー名や商品名が記載されているかチェックしてください。
「変性シリコン系シーリング材」だけでなく、具体的な製品名があれば、品質を自分で調べることもできます。
さらに、撤去費用、養生費用、処分費用など、細かい項目が分けて記載されているかも重要です。
これらが「諸経費」や「その他」にまとめられていると、不透明な費用が含まれている可能性があります。
複数の業者から見積もりを取り、項目や単価を比較することで、適正価格の判断がしやすくなります。
実績と資格を確認する
施工業者の実績と保有資格を確認することも、業者選びの重要なポイントです。
経験豊富な業者ほど、質の高い仕上がりが期待できます。
まず、業者のウェブサイトやパンフレットで、これまでの施工事例を確認しましょう。
写真付きで工事の詳細が紹介されていれば、技術力を判断する材料になります。
また、創業年数や年間施工件数も、業者の経験値を測る指標です。
資格面では、「防水施工技能士」や「外壁劣化診断士」などの国家資格や民間資格を持つスタッフが在籍しているかを確認してください。
これらの資格は、専門的な知識と技術を証明するものです。
さらに、建設業許可を取得しているかも重要なチェックポイントです。500万円以上の工事を請け負う場合、建設業許可が必要になります。
許可番号が記載されていれば、行政のウェブサイトで業者情報を確認できます。
口コミサイトやレビューも参考になりますが、過度に良い評価ばかりの場合は注意が必要です。
アフターフォロー体制の重要性
工事後のアフターフォロー体制が整っているかどうかは、業者選びで見落としがちですが非常に重要なポイントです。
施工後に不具合が生じた場合、迅速に対応してくれる業者を選びましょう。
まず確認すべきは、保証期間と保証内容です。優良業者は、施工後1〜5年程度の保証を設けていることが多いです。
保証書を発行してくれるか、保証対象となる不具合の範囲はどこまでか、具体的に確認しておきましょう。
また、定期点検サービスを提供している業者もあります。施工後1年目、3年目など、節目のタイミングで無料点検を実施してくれると、劣化の早期発見につながります。
万が一のトラブル時に頼れる業者を選ぶことで、長期的に安心してメンテナンスを任せられます。
防水コーキング工事の施工手順・流れ
防水コーキング工事がどのような手順で進められるのかを知っておくと、工事中の不安も軽減されます。
ここでは、打ち替え工事を例に、プロが行う施工の流れを7つのステップに分けて詳しく解説します。
- STEP
足場の設置と養生
2階建て以上の住宅では、安全に作業するために住宅全体を囲むように足場を組み立てます。
足場の設置には1日程度かかります。
その後、コーキング施工箇所の周囲を養生シートやマスキングテープで保護します。
- STEP
既存コーキング材の撤去
専用のカッターを使い、古くなったコーキング材を丁寧に取り除きます。
この作業が不十分だと、新しいコーキングの密着性が低下し、すぐに剥がれる原因になります。
外壁材を傷つけないよう慎重に作業することが、プロの技術の見せ所です。
撤去したコーキング材は、適切に処分されます。
- STEP
目地の清掃
コーキング材を撤去した後、目地の中に残った汚れやほこり、古いコーキングの残骸を完全に清掃します。
ブラシや専用の清掃道具を使い、目地をきれいにします。
この清掃作業を怠ると、新しいコーキング材が密着せず、防水性能が十分に発揮されません。
見えない作業ですが、非常に重要な工程です。
- STEP
プライマーの塗布
清掃が完了したら、コーキング材の密着性を高めるためのプライマー(下塗り材)を塗布します。
プライマーは、コーキング材と外壁材を強固に接着させる接着剤の役割を果たします。
プライマーが完全に乾燥するまで待つことも重要です。
乾燥時間を十分に取らないと、密着不良の原因になるため、天候や気温に応じて適切な時間を確保します。
- STEP
新しいコーキング材の充填
コーキングガンを使い、新しいコーキング材を目地に充填します。
この際、空気が入らないよう、また材料が不足しないよう、適切な量を均一に注入することが大切です。
プロの職人は、一定の速度とリズムで充填することで、ムラのない美しい仕上がりを実現します。
- STEP
ヘラで表面を整える
充填したコーキング材を、専用のヘラで表面を滑らかに整えます。
この作業を「ヘラ押さえ」といい、見た目の美しさだけでなく、防水性能を高める効果もあります。
余分なコーキング材を取り除き、目地の形状に合わせて平滑に仕上げます。
この仕上げの丁寧さが、工事品質を左右します。
- STEP
養生テープの撤去と確認
コーキング材がまだ柔らかいうちに、マスキングテープを慎重に剥がします。
タイミングを誤ると、コーキング材が一緒に剥がれてしまうため、経験が必要な作業です。
その後、施工箇所全体を確認し、仕上がりに問題がないかチェックします。
コーキング材は通常、2〜3日以上かけて完全に硬化するため、この間は触れないよう注意が必要です。
これらの工程を経て、防水コーキング工事は完了します。
丁寧な施工と適切な乾燥時間の確保が、長持ちするコーキングの秘訣です。
防水コーキング施工工事に関するよくある質問【Q&A】
防水コーキング施工について、多くの方が抱く疑問にお答えします。
ここでは、実際によく寄せられる5つの質問をピックアップし、専門家の視点から分かりやすく解説します。
Q
DIYで防水コーキング補修はできますか?
A
ホームセンターでコーキング材や道具を購入すれば、理論上はDIYでも補修可能です。
しかし、外壁全体のコーキング工事は専門業者への依頼を強くおすすめします。
理由は、高所作業の危険性と、施工不良による雨漏りのリスクがあるためです。
2階以上の外壁作業では、はしごや脚立からの転落事故が実際に多発しています。
また、プライマーの塗布忘れや乾燥時間の不足など、素人が陥りやすい失敗が、後々深刻なトラブルにつながることがあります。
どうしてもDIYで行う場合は、1階部分の小さなひび割れ補修など、限定的な範囲に留めましょう。
Q
防水コーキング工事の寿命はどのくらいですか?
A
コーキングの寿命は、使用する材料や施工方法、立地条件によって変わりますが、一般的には打ち替えで7〜10年、増し打ちで2〜5年が目安です。
日当たりの良い南面や西面は紫外線の影響を受けやすく、劣化が早く進みます。逆に、日陰になる北面は比較的長持ちする傾向があります。
高品質な変性シリコン系シーリング材を使用し、適切に施工された場合は、12〜15年程度持つケースもあります。
5年に一度は専門業者による点検を受けることで、劣化の早期発見と適切なメンテナンスが可能になります。
Q
雨の日でも防水コーキング工事はできますか?
A
雨の日は、基本的にコーキング工事を行うことができません。
理由は、コーキング材が水分に触れると、適切に硬化せず、密着不良や気泡の発生原因になるためです。
施工中に雨が降ってきた場合は、作業を中断して養生で保護し、天候回復を待ちます。
そのため、梅雨時期や台風シーズンは工期が延びる可能性があります。
また、施工後もコーキング材が完全に硬化するまで、最低2〜3日は雨に濡れないよう注意が必要です。
Q
打ち替え工事と増し打ち工事はどちらを選ぶべきですか?
A
基本的には打ち替えを選ぶことをおすすめします。
既存コーキングをすべて撤去して新しくするため、防水性能が確実に回復し、長期間安心して暮らせるからです。
増し打ちは費用が安く済みますが、既存コーキングの内部に隠れた劣化を見逃す可能性があります。
数年後に再び工事が必要になり、結果的に総費用が高くつくケースも少なくありません。
ただし、築3〜5年程度で既存コーキングの状態が良好な場合や、一時的な応急処置が必要な場合は、増し打ちが選択肢になることもあります。
専門業者に現状を診断してもらい、適切な工法を提案してもらいましょう。
Q
外壁塗装と別のタイミングでコーキング工事をしても大丈夫ですか?
A
別々のタイミングでも問題はありませんが、コスト面では大きな損失になります。
両方の工事で足場代が2回発生し、30万〜40万円の追加費用がかかるためです。
また、コーキングを先に打ち替えて、後から塗装をすると、コーキング材が紫外線で劣化しやすくなるデメリットもあります。
塗装による保護層がないと、せっかく新しくしたコーキングの寿命が短くなってしまうのです。
外壁塗装とコーキング工事は同時に行うことで、足場代を節約し、それぞれの耐久性も高められます。
どちらか一方だけを先に行う必要がある場合は、業者に最適なタイミングを相談してみてください。
まとめ
防水コーキング施工の価格について、費用相場から工事の流れ、費用を抑える方法まで解説してきました。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめておきます。
- 打ち替え工事の費用相場は1mあたり900〜1,200円
- 増し打ちは安価だが耐久性が低く、長期的には打ち替えが経済的
- 足場代15万〜20万円が別途必要なため、外壁塗装との同時施工が賢い選択
- 新築時は800円/m前後、リフォーム時は撤去費用が加わり割高になる
- シーリング材の種類(変性シリコン、ウレタン、アクリル)で価格と性能が変わる
- 見積書の詳細確認、業者の実績・資格、アフターフォロー体制が業者選びの鍵
- 補助金・助成金を活用することで、実質負担を10〜20%軽減できる
- コーキングの寿命は7〜10年、定期点検で劣化の早期発見が重要
防水コーキング施工は、建物を雨漏りや劣化から守るための重要なメンテナンスです。
初めてのリフォームで不安を感じるのは当然ですが、適正価格を知り、信頼できる業者を選ぶことで、安心して工事を任せられます。
この記事でお伝えした知識を活用して、複数の業者から見積もりを取り、納得のいく価格と品質で工事を進めてください。
外壁塗装との同時施工や補助金の活用など、賢い選択をすることで、大切なご自宅を長く守ることができます。
あなたの住まいのメンテナンスが成功することを心より願っています。