マンションでの工事にはどんな種類がある?工事内容や判断基準を解説
2025/11/21
マンションを長く快適に維持するためには、様々な種類の工事が必要です。
しかし、「大規模修繕」「改修工事」「予防保全」など、工事の種類が多岐にわたるため、どのような工事をいつ実施すべきか迷われる方も多いのではないでしょうか。
マンション工事には、建物全体を対象とした大規模なものから、日常的なメンテナンスまで、規模や目的によって様々な種類があります。
それぞれの工事の特徴や費用相場、実施時期を正しく理解することで、効率的な修繕計画を立てることができます。
この記事では、マンション工事の種類について、規模別・目的別・箇所別に分類し、それぞれの特徴や費用相場、実施タイミングまで詳しく解説します。
管理組合の理事や区分所有者の方が、適切な工事計画を立てるための参考にしていただける内容です。
- マンション工事の種類を分類する3つの基準(規模・目的・箇所)
- 大規模・中規模・小規模修繕の違いと特徴
- 修繕・改修・予防保全の目的別工事内容
- 外装・設備・共用部など箇所別の工事種類
- 各工事種類の費用相場と実施周期
- 工事種類を選ぶ際の判断基準と注意点
目次
マンション工事の種類とは?全体像を理解する
マンション工事には多様な種類があり、それぞれ目的や規模、対象箇所が異なります。
適切な工事計画を立てるためには、まず工事の種類の全体像を理解することが重要です。
マンション工事の種類を分類する基準
マンション工事は大きく「規模」「目的」「箇所」の3つの基準で分類できます。
規模では建物全体の工事から日常修繕まで幅広く、目的では修繕・改修・予防保全に区分されます。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 規模 | 大規模/中規模/小規模 |
| 目的 | 修繕・改修・予防保全 |
| 箇所 | 外装・設備・共用部・専有部 |
規模別では、大規模修繕は12〜15年周期で実施され、中規模は設備更新、小規模は日常メンテナンスが中心です。
目的別では現状回復か性能向上かを判断し、箇所別では工事範囲や専門性を把握する際に役立ちます。
マンション工事の種類による実施主体の違い
工事の種類によって、実施主体や費用負担者が明確に分かれます。
共用部分の工事は管理組合が主体となり、修繕積立金で対応します。
一方、専有部分は各区分所有者が個別に工事を行います。
- 共用部工事: 外壁・屋上防水・共用廊下 → 管理組合が実施
- 専有部工事: 室内リフォーム・設備交換 → 各所有者が負担
- 緊急工事: 漏水・安全上の問題 → 理事会判断で迅速対応
ただし、専有部でも配管など共用部分に関わる工事は届出や承認が必要です。
大規模工事の場合は総会決議が不可欠で、合意形成が重要になります。
マンション工事の種類を知る重要性
工事の種類を理解すると、必要な費用や優先順位を整理し、効率的な修繕計画が立てられます。
特に長期修繕計画では、大規模・中規模・小規模の工事を総合的に把握することが欠かせません。
工事の重要度を把握することで、安全性に関わる工事を優先しつつ、過剰な投資を避けられます。
また、工事内容を明確に説明できることで、住民の理解や協力も得やすくなり、工事全体がスムーズに進みます。
マンション工事の種類【規模別分類】
マンション工事を規模別に分類すると、その特徴や実施方法が明確になります。
ここでは、大規模・中規模・小規模の3つに分けて解説します。
大規模修繕工事
大規模修繕工事はマンション全体を対象とする包括的な工事で、12〜15年周期で実施されます。
足場を組んだうえで外壁・屋上・共用部をまとめて修繕し、工事期間は3〜6ヶ月が一般的です。
- 外壁塗装・タイル補修
- 防水工事(屋上・バルコニー)
- シーリング材の打ち替え
- 鉄部塗装・給排水管更新
1戸あたり100〜150万円が相場で、建物の資産価値を維持するため欠かせない工事です。
準備には建物診断や施工会社選定、総会承認など多くの工程があり、計画開始から完了まで2〜3年かかる場合もあります。
足場費用が大きいため、複数の工事を同時に行うことで効率化が図れます。
中規模修繕工事
中規模修繕工事は特定の設備や部位を対象とし、建物の機能維持や住環境向上を目的に実施されます。
工事期間は数週間〜2ヶ月、費用は数百万円〜数千万円規模が中心です。
- エレベーター更新
- 受水槽・高架水槽の交換
- 機械式駐車場の改修
- エントランスや共用部の改装
設備の耐用年数が実施時期の目安となり、例えばエレベーターは25〜30年、機械式駐車場は15〜20年で大規模改修が必要です。
大規模修繕ほどの全体合意は不要な場合も多く、必要性が高まったタイミングで柔軟に実施できる点が特徴です。
ただし、高額工事では総会承認が求められます。
小規模修繕工事
小規模修繕工事は日常的なメンテナンスや軽微な不具合を修理する工事で、建物の劣化を防ぐうえで非常に重要です。
工事期間は数時間〜数日、費用は数万円〜数十万円と小規模です。
- 共用照明の交換
- 排水溝の清掃
- ひび割れ補修
- ドアや手すりの調整・修理
これらは管理会社や理事会の判断で迅速に対応され、緊急性が高い場合は即時処置を行うこともあります。
小さな不具合を早期に対応することで、大きな修繕を未然に防ぎ、建物全体の寿命延伸につながります。
長期的なコスト削減にも効果が高く、日常管理の核となる工事です。
マンション工事の種類【目的別分類】
工事の目的による分類は、何を達成したいかという観点から工事を整理する方法です。
修繕・改修・予防保全の3つに分けて解説します。
修繕工事
修繕工事は、経年劣化によって低下した建物の機能を建築当初の状態へ回復させることを目的とした工事です。
外壁、防水、鉄部、タイルなど、劣化が進むと安全性や耐久性に影響する重要な部分を中心に対応します。
特徴は、新たな性能を付加するのではなく、既存機能の維持・回復に重点を置く点です。
工事の要否は建物診断に基づいて判断され、ひび割れの幅や防水層の劣化度などの客観的な基準をもとに適正な時期が決定されます。
適切なタイミングで実施することで、建物全体の寿命を確保し、長期的な資産価値を維持することができます。
改修工事
改修工事は、建築当初の性能を上回る水準へ建物を向上させることで、利便性・安全性・省エネ性などを強化することを目的とした工事です。
時代とともに設備や建築基準が変化する中、居住者ニーズに合わせてマンションの価値を維持・向上させる役割があります。
修繕工事と異なり、劣化の有無ではなく、将来の使い勝手や資産価値の観点から実施が判断される点が特徴です。
大規模修繕に合わせて行うことで足場などの共通費用を効率よく活用できますが、工事内容によっては追加の資金計画が求められるため、合意形成が重要になります。
予防保全工事
予防保全工事は、劣化が目に見える前の段階で計画的に対策を講じ、建物の寿命を延ばすことを目的とした工事です。
日常的な管理だけでは補いきれない潜在的な劣化を抑え、将来的な大規模修繕の負担を軽減する効果があります。
事後の修繕に比べると初期費用は発生するものの、長期で見ると工事規模を抑えられるため総コストの低減につながる点が特徴です。
実施時期は築年数や使用環境、前回工事からの経過年数を踏まえて計画的に判断され、長期修繕計画の中に組み込むことで効果を最大化できます。
近年は建物の長寿命化の観点から重要性が高まっています。
マンション工事の種類【箇所別分類】
工事対象となる箇所によって、工事の種類は大きく異なります。
ここでは4つのカテゴリーに分けて解説します。
外装関連のマンション工事の種類
外装関連工事は、建物の外観と防水性能を維持するために欠かせない工事で、大規模修繕の中心を占めます。
外壁の塗装やタイル補修、シーリング工事は風雨や紫外線に対する保護効果があり、10~15年ごとの実施が推奨されます。
また屋上防水は劣化が進むと漏水につながり、下階への影響が大きい点が特徴です。
バルコニーも専用使用権付き共用部として定期的な防水点検が必要で、全体として外装工事は大規模修繕費用の約50~60%を占める重要な工事項目です。
設備関連のマンション工事の種類
設備関連工事は、日常生活の安全性・利便性に直結する工事で、建物の機能維持に不可欠です。
給排水設備や電気設備、昇降設備、空調設備など多岐にわたり、以下の耐用年数に応じた計画的な更新が求められます。
| 設備 | 耐用年数 |
|---|---|
| 給排水管 | 30~40年程度 |
| エレベーター | 25~30年程度 |
| 機械式駐車場 | 15~20年程度 |
給排水管は更新だけでなく更生工法による延命も選択肢となり、電気設備はLED化やオートロック更新など省エネ・防犯強化に直結します。
エレベーターや機械式駐車場は高額工事となるため、長期修繕計画との整合性が重要になります。
共用部関連のマンション工事の種類
共用部関連工事は、居住者全員が使用するスペースを快適かつ安全に保つための工事です。
エントランスや廊下、階段、集会室、駐車場など多くのエリアが含まれ、建物の印象や資産価値にも大きな影響を与えます。
エントランスはマンションの「顔」であり、美観維持や設備更新は住環境向上につながります。
廊下や階段では防水性能・安全性の確保が重要で、駐車場・駐輪場は利用状況に応じて改修やレイアウト変更が行われます。
高齢化に伴うバリアフリー化も需要が高まっています。
専有部関連のマンション工事の種類
専有部関連工事は各住戸の内部で行われる工事ですが、配管やサッシなど共用部分と密接に関わるケースも多く、管理規約の確認と管理組合との調整が必要です。
給排水管の更新やリフォームは専有部の判断で行えますが、工事内容によっては周囲への影響が大きく、慎重な対応が求められます。
特に以下の点には、注意が必要です。
- 配管は共用部分と接続するため事前申請が必要
- サッシ・玄関ドアは外側が共用部分扱いで個別交換不可
- 騒音・振動配慮、工事時間の遵守が必須
フローリング変更には遮音基準の遵守が求められ、資材搬入や工事時間にも制限があります。専有部工事であっても、マンション全体への影響を常に考慮することが重要です。
マンション工事の種類別費用相場
各工事の種類によって、費用相場は大きく異なります。
ここでは規模別に費用の目安を解説します。
大規模修繕工事の種類ごとの費用目安
大規模修繕工事の費用は、マンションの規模や工事内容によって変動します。
| 項目 | 内容・費用相場 |
|---|---|
| 総額の目安 | 1戸あたり100~150万円 ㎡あたり1万~1.5万円 |
| 50戸の総額 | 約5,000~7,500万円 |
| 100戸の総額 | 約1億~1億5,000万円 |
| 費用割合(目安) | 仮設工事20~25% 外壁30~35% 防水15~20% 鉄部5~10% 諸経費10~15% |
| 工事回数別の違い | 1回目:比較的軽度で費用低め 2回目以降:給排水管更新などで120~200万円に増加 |
| 地域差 | 都市部は地方より10~20%高い |
| 特殊構造の増額 | タワマンは30~50%増加 |
中規模修繕工事の種類ごとの費用目安
中規模修繕工事の費用は、工事内容によって幅があります。
| 工事項目 | 費用相場 |
|---|---|
| エレベーター更新 | 1基あたり約2,000~3,000万円 (部分更新:約500~1,000万円) |
| 受水槽・高架水槽交換 | 100~300万円+給水ポンプ交換100~200万円 |
| 機械式駐車場改修 | 一部補修:数百万円 全面改修:数千万円 |
| 平面駐車場化 | 1台あたり約50~100万円 (解体+整備含む) |
| エントランス改装 | 約300~1,000万円 (オートロック追加:+300~500万円) |
| 宅配ボックス設置 | 約100~500万円 |
小規模修繕工事の種類ごとの費用目安
小規模修繕工事は、比較的少額で実施できる工事です。
| 工事項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 共用照明交換 | 1箇所数千円~数万円 全館LED化:約50~200万円 |
| ひび割れ補修 | 1箇所約1~5万円 (広範囲・構造的問題は増額) |
| 排水溝清掃 | 約10~30万円 (高圧洗浄追加で増額) |
| ドア・手すり補修 | 約数千円~数万円 |
| 共用部の塗装補修 | 約数万円~数十万円 |
| 年間費用累計 | 積み重なると 数十万円~数百万円規模に上昇 |
小規模修繕工事は個別に見ると少額ですが、年間を通じて積み重なると数十万円~数百万円規模になります。
管理費から支出されることが多く、適切な予算管理が重要です。
マンション工事の種類別実施周期とタイミング
各工事の種類には、推奨される実施周期があります。
適切なタイミングで工事を行うことが、建物の長寿命化につながります。
定期的に行うマンション工事の種類とスケジュール
定期的に実施すべき工事には明確な周期があり、長期修繕計画の柱となります。
大規模修繕は12~15年が一般的ですが、材料や管理状況によっては18年程度まで延長できるケースもあります。
鉄部塗装は3~5年、給排水管洗浄は5年ごとが理想で、配管劣化が進む築30年以上では更新も検討が必要です。
エレベーターは法定点検が毎年必要で、主要部品の交換も10~15年ごとに発生します。
これらを計画的に実施することで、故障や劣化を未然に防げます。
状況に応じて行うマンション工事の種類
計画的な工事とは別に、建物の状態や住民ニーズによって実施する工事もあります。
漏水事故やタイル剥落などの緊急修繕は最優先で対応が必要で、予備費の確保が不可欠です。
また、バリアフリー化や宅配ボックス設置などの改修工事は居住性向上のために行われ、総会での議論と合意形成によって実施が決まります。
以下のような工事は、事前に周期を設定しにくいため、柔軟な予算管理と迅速な判断が求められます。
- 緊急修繕(漏水・タイル落下など)
- 改修工事(バリアフリー化・設備追加)
- 追加設備工事(EV充電・Wi-Fi等)
- 災害復旧(地震・台風被害)
マンション工事の種類別優先順位の決め方
複数の工事が必要な場合は、建物の状態と安全性を基準に優先順位を決める必要があります。
外壁タイルの落下や漏水など、人命・安全に関わる項目は最優先です。
次に、放置すると躯体へ深刻な影響が出る防水工事や外壁補修を優先します。法令で義務付けられている点検や調査も必ず実施すべき項目です。
- 安全性(落下・漏水・腐食)
- 躯体保護(外壁・防水)
- 法令遵守(法定点検・調査)
- 費用対効果(省エネ・長寿命化)
ただし、いかに重要な工事でも住民の理解が得られなければ実施できません。
説明会や資料作成を通じた合意形成が成功の鍵となります。
マンション工事の種類を選ぶ際の判断基準
適切な工事を選択するには、客観的な判断基準が必要です。
ここでは3つの重要な基準を解説します。
建物診断結果からマンション工事の種類を決める
建物診断は、必要な工事の種類や優先度を客観的に判断する最も重要なプロセスです。
診断には目視・打診・赤外線など複数の方法があり、外壁の浮きや防水層の劣化などを総合的に把握します。
診断結果は劣化度によってランク分けされ、C・Dランクは優先修繕、Bランクは経過観察を判断できます。
診断は大規模修繕の2~3年前が理想で、その後の設計や施工会社選定まで時間を要します。
また、第三者機関への依頼により、公正で信頼性の高い判断が可能になります。
予算に応じたマンション工事の種類の選択
工事内容の決定には、修繕積立金の残高と長期修繕計画とのバランスが重要です。
必要な工事をすべて同時に行えない場合は、安全性や躯体保護を優先し、美観向上などは次回に回す判断が求められます。
資金で判断する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 積立金残高と計画額の差を確認
- 優先度の高い工事から順に実施
- 不足額は一時金・値上げ・借入で補填
相見積もりや仕様の見直しでコスト削減も可能ですが、品質低下を防ぐバランス感覚が必要です。
自治体の補助金活用も効果的な選択肢になります。
緊急性を考慮したマンション工事の種類の決定
工事の緊急度を正しく評価することで、限られた予算の中でも最適な意思決定ができます。
外壁タイルの浮きや漏水など、安全性に直結する問題は最優先で、即時対応が必要です。
軽度の劣化は1~2年以内の中期対応とし、美観向上や利便性向上の工事は長期計画に組み込みます。
緊急工事の判断基準や決裁フローを事前に定めておくことで迅速な対応が可能になります。
最終判断には管理会社や専門家の意見を取り入れることが重要です。
マンション工事の種類別注意点とポイント
各工事の種類には、それぞれ特有の注意点があります。
事前に理解しておくことで、トラブルを防ぐことができます。
大規模修繕における各工事の種類の注意点
大規模修繕では、複数の工事を同時に進めるため、工程全体の調整が極めて重要です。
工事は足場設置から下地補修、タイル・シーリング、塗装、防水という流れで行われ、この順序を守らないと再施工や汚損のリスクが高まります。
また、塗装や防水は天候の影響を受けやすいため、梅雨や台風シーズンを避けた計画が望ましく、余裕ある工期設定が不可欠です。
品質管理では定例会議や施工写真の確認が効果的で、追加工事も発生しやすいため、予備費として総額の10%程度を確保しておくと安全です。
工事の種類による住民への影響の違い
工事内容によって、居住者の生活への影響は大きく変わります。
大規模修繕ではバルコニー使用制限や騒音・臭気、作業員の視線など日常生活に数ヶ月単位で影響が及びます。
設備工事では断水や停電が伴うことがあり、事前の周知とスケジュール調整が必要です。
小規模修繕は影響が限定的ですが、作業音や人の出入りがあるため最低限の告知は欠かせません。
これにより、工事中のトラブルを抑え、住民理解を得やすくなります。
マンション工事の種類と管理組合の承認プロセス
工事内容に応じて、必要な承認手続きは大きく異なります。
大規模修繕や高額な中規模修繕、共用部分の変更を伴う工事は総会決議が必須で、軽微な修繕や緊急対応は理事会決議で進められる場合があります。
共用部の形状・効用が大きく変わる工事では、区分所有者の4分の3以上の賛成が求められることもあります。
承認を得るためには診断結果や見積書、工事内容、資金計画を整理した資料が効果的で、反対意見には丁寧な説明が欠かせません。
決議内容や質疑を記録した議事録は、後任への引き継ぎとしても重要です。
マンション工事に関するよくある質問
マンション工事について、居住者からよく寄せられる質問をまとめました。
Q
マンション工事の種類で最も費用がかかるのはどれですか?
A
最も費用がかかるのは大規模修繕工事です。マンション全体で数千万円〜数億円規模になり、1戸あたり100〜150万円が一般的です。
2回目以降は給排水管更新など高額工事が加わり、費用がさらに増える傾向があります。
エレベーター全面更新や機械式駐車場の改修も高額なため、別途資金計画が必要になります。
Q
マンション工事の種類を決めるのは誰ですか?
A
工事の種類は管理組合が決定します。
理事会や修繕委員会が診断結果や専門家の意見を踏まえて計画を立案し、総会で区分所有者の承認を得て決まります。
軽微・緊急工事は理事会で判断できますが、高額工事や共用部分の変更には総会決議が必須です。
専門家は助言役であり、最終決定は管理組合が行います。
Q
マンション工事の種類によって住めなくなることはありますか?
A
ほとんどの工事は居住したまま実施できます。
大規模修繕では使用制限などの不便はありますが、退去を求められることは基本ありません。
ただし、給排水管更新では断水が必要になり、当日の在宅対応が必要です。
耐震補強など大規模な工事では、一時的に住戸を空けるケースがありますが、事前告知とサポートが行われます。
Q
マンション工事の種類を変更することはできますか?
A
工事開始前であれば変更可能です。
診断結果や予算状況により計画を見直し、再見積もりのうえ総会承認を得れば内容を変更できます。
工事開始後の変更は追加工事や工法調整に限定され、足場設置後に新たな劣化が見つかった場合などに発生します。この際は追加費用の承認が必要です。
Q
マンション工事の種類によって税金の優遇はありますか?
A
一定条件を満たす改修工事は固定資産税の減額が受けられます。
耐震改修では完了後1年間、税額が2分の1に減額されます。省エネ改修やバリアフリー改修も対象となる場合があります。
優遇を受けるには、工事完了後3ヶ月以内の申告と、基準を満たすことを示す書類提出が必要です。
事前に自治体へ確認することが重要です。
まとめ
マンション工事には様々な種類があり、それぞれ目的や規模、費用、実施時期が異なります。
適切な工事計画を立てるためには、これらの違いを正しく理解することが重要です。
- マンション工事は規模・目的・箇所の3つの基準で分類できる
- 大規模修繕は12~15年周期で1戸あたり100~150万円が相場
- 修繕は機能回復、改修は機能向上、予防保全は劣化防止が目的
- 工事の優先順位は安全性・躯体保護・法令遵守の観点で決める
- 建物診断・予算・緊急性の3要素で工事の種類を適切に選択する
マンション工事の種類を適切に選択し、計画的に実施することで、建物の長寿命化と資産価値の維持につながります。
管理組合は、専門家の意見を参考にしながらも、主体的に判断し、居住者全員の利益を考えた工事計画を立てることが求められます。
特に大規模修繕工事は多額の費用と長期間を要するプロジェクトです。早めの準備と十分な検討によって、費用を抑えつつ質の高い工事を実現できます。
また、定期的な建物診断と小規模修繕を行うことで、大規模な工事の負担を軽減し、マンション全体の維持管理を効率化できるでしょう。