防水塗装の種類には何がある?目的別の選び方から費用相場までわかりやすく解説

建物を雨水から守る防水塗装は、住宅の寿命を大きく左右する重要な役割を担っています。

しかし、防水塗装にはさまざまな種類があり、どれを選べばよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。

外壁用とベランダ用では求められる性能が異なり、それぞれに適した防水塗装の種類が存在します。

また、塗装する場所の材質や環境によっても最適な種類は変わってきます。

間違った種類を選んでしまうと、期待した防水効果が得られないばかりか、建物の劣化を早めてしまう可能性もあります。

本記事では、防水塗装の種類について基礎知識から実践的な選び方まで徹底的に解説します。

壁用と床用の違い、それぞれの特徴や費用相場、さらにはDIYと業者依頼の判断基準まで、防水塗装を検討する上で必要な情報をすべて網羅しました。

この記事を読めば、あなたの家に最適な防水塗装の種類が必ず見つかります。

この記事で分かること
  • 防水塗装の種類における壁用と床用の違いと見分け方
  • 弾性塗料4タイプの特徴と耐用年数の比較
  • 場所別に最適な防水塗装の種類の選び方
  • DIYと業者依頼それぞれのメリット・デメリット
  • 防水塗装の種類を選ぶ際の4つの重要なチェックポイント

防水塗装の種類とは?基本知識を理解しよう

防水塗装とは、建物を雨水の侵入から守るために施される特殊な塗装のことです。

通常の塗料よりも高い防水性能を持ち、建物の耐久性を保つ重要な役割を果たします。

防水塗装の種類は大きく分けて「壁用」と「床用」の2つに分類されます。

それぞれ施工する場所や目的が異なるため、混同しないように注意が必要です。

防水塗装の種類は大きく2つ|壁用と床用の違い

防水塗装は「壁用」と「床用」に分かれ、用途と機能が大きく異なります。

壁用はコンクリートやモルタル外壁に使われる「弾性塗料」で、ゴムのように伸縮するため微細なひび割れにも追従し、雨水の侵入を防ぎます。主に着色と外壁の防水性能向上を目的としています。

一方、床用の防水塗装はベランダや屋上などの水平面に使用される「トップコート」で、防水層を紫外線や摩耗から守る役割があります。

壁用と床用の違い

種類主な用途特徴
壁用(弾性塗料)外壁伸縮性が高くひび割れ追従
床用(トップコート)ベランダ・屋上厚みと耐摩耗性が必要

用途を誤ると防水効果が発揮されないため、購入時には必ず種類を確認しましょう。

非防水塗料との違い|防水塗装の種類が必要な理由

防水塗料と非防水塗料の最大の違いは「弾性の有無」と「防水性能」です。

非防水塗料は硬化しやすく、年月が経つと塗膜が割れやすくなり、ひび割れから雨水が侵入して内部劣化を引き起こします。

一方、防水塗料は伸縮性が高く、外壁の動きや微細なひび割れに追従し、雨水の浸入を長期間防ぎます。

防水塗料と非防水塗料の違い

項目防水塗料非防水塗料
弾性あり(伸びる)ほぼなし
ひび割れ追従性追従しやすい割れやすい
防水性能高いほとんど無い
主な目的ひび割れ防止・防水美観向上
適した場所外壁・屋外室内・通気性重視の場所

防水性が不要な室内では非防水塗料が向くケースもありますが、外壁など雨水の影響を受ける部分では防水塗料が必須です。

用途に応じて正しく使い分けることで、建物の耐久性を大きく左右します。

防水塗装の種類における「外壁用」と「床用」の見分け方

防水塗装の種類を見分ける最も確実な方法は、製品パッケージの用途表示を確認することです。

外壁用には「外壁用」「コンクリート用」「弾性塗料」などの表記があり、縦面でも垂れにくい粘度に調整されています。

床用には「ベランダ用」「屋上用」「床防水」などの記載があり、水平面に均一に塗り広げやすい流動性が特徴です。

パッケージ表示の例

用途よくある表記
外壁用外壁用・弾性塗料・コンクリート用
床用ベランダ用・屋上防水・床用防水

見た目や缶の色だけで判断すると失敗しやすく、誤った種類を使えば防水性能が十分に発揮されません。

購入時は商品説明・仕様書をよく確認し、塗装したい場所に適した種類を選ぶことが大切です。

壁用の防水塗装の種類|弾性塗料の4タイプ

壁用の防水塗装は、主成分である合成樹脂の種類によって4つのタイプに分類されます。

それぞれ耐久年数や価格が異なるため、予算と目的に応じて選ぶことが重要です。

壁用防水塗装の種類|アクリル系弾性塗料

アクリル系弾性塗料は、軽量で扱いやすく、手頃な価格で導入できる点が特徴の塗料です。

発色がよく塗り重ねにも適しているため、以前は外壁塗装の主流として広く使用されていました。

塗膜は適度な弾性を持ち、細かなひび割れには一定の追従性を発揮します。

また、透湿性が高く建物内部の湿気を逃がしやすい特徴もあります。

ただし耐久性は比較的低く、短期間での塗り替えが前提となる塗料です。初期費用を重視する場合に向いています。

アクリル系弾性塗料のメリット
  • 初期費用が最も安く導入しやすい
  • DIYでも扱いやすく施工難易度が低い
  • 発色が良く、塗り重ねもしやすい
  • 軽量で建物への負担が少ない
  • 透湿性が高く湿気を逃がしやすい
アクリル系弾性塗料のデメリット
  • 耐久性が低く、5~6年で劣化しやすい
  • 紫外線に弱く色褪せが早い
  • 頻繁な塗り替えが必要で長期コストは高め
  • 汚れが付きやすく美観維持が難しい

壁用防水塗装の種類|ウレタン系弾性塗料

ウレタン系弾性塗料は、弾力性・密着性・仕上がりの美しさがバランス良くそろった、防水塗装の中でも汎用性の高い種類です。

さまざまな下地に密着しやすく、光沢のある仕上がりが得られるため外壁の美観向上にも適しています。

ひび割れに対する追従性も高く、防水性を確保しながら中価格帯で導入できる点が魅力です。

一定の耐久性を持ちながらコストも抑えられるため、総合的なバランスを重視する場合に適した塗料です。

ウレタン系弾性塗料のメリット
  • 弾性が高く、ひび割れへの追従性が優秀
  • さまざまな下地に密着しやすい
  • 光沢のある美しい仕上がり
  • 価格と性能のバランスが良い
  • 防水性が安定している
ウレタン系弾性塗料のデメリット
  • 紫外線に弱く、変色しやすい
  • 汚れが付着しやすい傾向がある
  • 耐久年数は8~10年と中程度
  • 定期メンテナンスが必須

壁用防水塗装の種類|シリコン系弾性塗料

シリコン系弾性塗料は、現在の外壁塗装で最も広く採用されているスタンダードな防水塗料です。

耐久性・美観・コストのバランスに優れているため、多くの住宅で選ばれています。

汚れが付きにくく、光沢を長く保てるため外観の美しさを維持しやすい点も魅力です。

また、カビや藻の発生を抑える性能も備えており、湿気の多い環境でも効果を発揮します。

耐用年数も10〜12年と比較的長く、コストパフォーマンスに優れた万能型の塗料です。

シリコン系弾性塗料のメリット
  • 耐久性が高く長寿命(10~12年)
  • 汚れがつきにくく美観を維持しやすい
  • カビ・藻を抑制する効果がある
  • コストと性能のバランスが良い
  • 光沢を長期間保持しやすい
シリコン系弾性塗料のデメリット
  • 弾性はやや劣り、大きなひび割れには不向き
  • 既に損傷が進んだ外壁では効果が出にくい
  • 下地処理が不十分だと密着不良が起こることも

壁用防水塗装の種類|フッ素系弾性塗料

フッ素系弾性塗料は、防水塗装の中でも最上位グレードに位置する高性能塗料です。

非常に高い耐久性を持ち、厳しい気候環境でも長期間性能を維持できるのが特徴です。

耐熱性・耐寒性・耐水性・耐候性すべてが優れており、紫外線による色褪せや劣化が起こりにくい点も強みです。

耐用年数は15~20年と圧倒的に長く、塗り替え回数を大幅に減らせるため、長期的なコストパフォーマンスが優れています。

フッ素系弾性塗料のメリット
  • 圧倒的に長寿命(15~20年)
  • 紫外線・熱・雨に強く劣化しにくい
  • 汚れが付きにくく美観を長期間保持
  • 長期的なメンテナンスコストを削減
フッ素系弾性塗料のデメリット
  • 初期費用が高く導入ハードルがある
  • 材料費・施工費ともに高額
  • DIYには不向き

防水塗装の種類の選び方|購入前の4つのチェックポイント

防水塗装を購入する際は、以下の4つのポイントを必ず確認しましょう。

適切な製品を選ぶことが、防水効果を最大限に発揮するための第一歩です。

防水塗装の種類選びのポイント|パッケージの表示を確認

防水塗料を間違えずに選ぶためには、パッケージの用途表示を正確に読み取ることが最も重要です。

「外壁用」「コンクリート用」と書かれていれば壁面向け、「ベランダ用」「屋上用」とあれば床面向けです。

用途を誤ると、本来の防水性能が発揮されません。

また、製品ごとに対応できる下地が異なるため、コンクリート・モルタル・木材・金属など自宅の素材に合っているか必ず確認しましょう。

さらに、仕様書には推奨塗り回数・乾燥時間・必要塗布量が記載されており、施工計画を立てるうえで欠かせない情報です。

缶の大きさや色だけで判断せず、文字情報をしっかり読むことが失敗しない最大のポイントです。

防水塗装の種類選びのポイント|塗装面積を計算する

購入前に塗装面積を正確に算出し、必要な塗料量を把握することが重要です。

パッケージには「標準施工面積」が記載され、1缶で塗れる面積は製品により大きく異なります。

例えば2〜3㎡の少量タイプから、10〜12㎡塗れる大容量タイプまで幅があります。

ベランダの場合は床面だけでなく、立ち上がり部分も塗装するため、床面積よりやや多めに見積もるのが安全です。

またネット通販では容量が分かりにくく、誤購入が起こりがちです。

必要量を計算せずに購入すると、後から買い足す際にロット差で色の違いが出る可能性もあります。

そのため、塗装面積と施工面積の数字を確認してから購入することが失敗を防ぐ鍵です。

防水塗装の種類選びのポイント|水性と油性の違い

防水塗料には「水性」と「油性」があり、特徴と使い勝手が大きく異なります。

水性塗料は臭いが少なく扱いやすいためDIY向きで、健康面・近隣への配慮の点でも優れています。

気温の影響で乾燥時間が変わりやすいものの、近年は耐久性が大幅に向上し、油性とほぼ同等の仕上がりが得られます。

一方、油性塗料は密着性と耐久性が高く、プロの現場で多く採用されますが、シンナー臭が強いため換気や安全対策が必須です。

気温による乾燥のブレが少なく、安定した施工が可能なのはメリットです。

特別な理由がなければDIYでは水性が無難で、臭いによるトラブルも避けられます。

防水塗装の種類選びのポイント|価格相場を知る

防水塗料は「1㎡あたりいくらで塗れるか」を基準に比較すると分かりやすくなります。

床用防水塗料の相場は1㎡あたり850〜1,000円が一般的で、800円以下は安い部類、1,000円以上は高めと判断できます。

容量の異なる製品を比較する際は、製品価格を標準施工面積で割り、1㎡単価に換算することで正確に比較できます。

例えば4,000円で5㎡なら800円/㎡、9,000円で10㎡なら900円/㎡です。

また、下塗り材が別途必要な製品もあるため、価格だけで判断すると総額が想定以上に高くなることもあります。

セット商品の場合は見た目の価格が高くても、下塗り材込みで結果的に割安なこともあるため、必要材料を確認して選ぶことが重要です。

場所別|最適な防水塗装の種類の選び方

建物の場所によって求められる防水性能は異なります。

ここでは、主要な3つの場所について最適な防水塗装の種類を解説します。

場所最適な防水塗装の種類耐用年数目安特徴・選ぶポイント
ベランダ・バルコニーFRP防水約10〜12年・ガラス繊維+樹脂で強度が高い
・軽量で木造住宅に最適・新築で多く採用
ウレタン防水(密着/通気緩衝)約10〜15年・液体で塗るため複雑形状に対応
・既存防水の上から施工可能
・改修向き
屋上・陸屋根シート防水(塩ビ/ゴム)約10〜15年・工期が短くコストも抑えられる
・機械的固定なら下地の影響を受けにくい
ウレタン防水約10〜15年・高い防水性能
・複雑形状でも対応可能
・改修現場で万能
アスファルト防水約15〜30年・最も高耐久
・大型建物や人の出入りが多い屋上に適合
外壁シリコン系弾性塗料約10〜12年・コスパ最強の標準塗料
・汚れにくく美観維持しやすい
・住宅の外壁で最も普及
フッ素系弾性塗料約15〜20年・最高クラスの耐久性
・色褪せしにくい
・長期的に塗り替え回数を減らせる
ウレタン系弾性塗料約8〜10年・初期費用が抑えられる
・密着性が高く安定した施工

場所ごとに最適な防水工法を選ぶことで、建物の耐久性は大きく向上します。

同じ防水でも特徴や寿命は異なるため、用途・素材・状態に合わせた選択が重要です。

迷った場合は専門業者に診断を依頼し、最も効果的な工法を提案してもらうと安心です。

防水塗装の種類に関するよくある質問【FAQ】

ここでは、、防水塗装の種類に関するよくある質問に関するよくある質問を紹介します。

簡潔にわかりやすく解答していますので、ぜひご覧ください。

Q

防水塗装の種類はどのくらいの頻度で塗り替えが必要ですか?

A

防水塗装の塗り替え頻度は種類によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

表面のトップコートは5年程度で塗り替えが推奨されます。トップコートは紫外線や摩擦から防水層を守る保護層のため、定期的な塗り替えが防水層の寿命を延ばします。

防水層自体は、ウレタン防水で10~15年、FRP防水で10~12年、シート防水で10~15年が目安です。ただし、設置環境や使用状況によって劣化速度は変わります。

早めのメンテナンスが、長期的なコスト削減につながります。

Q

防水塗装の種類で最もコストパフォーマンスが良いのはどれですか?

A

コストパフォーマンスが最も優れているのは、施工箇所によって異なります。

外壁用ならシリコン系弾性塗料が最もバランスが良いです。耐用年数10~12年、価格も適度で、現在最も広く使用されています。

ベランダや床用ならウレタン防水が優秀です。施工費用が比較的安く、耐用年数10~15年と十分な性能を持ちます。複雑な形状にも対応でき、改修工事でも使いやすい特徴があります。

初期費用だけでなく、耐用年数とメンテナンスコストを含めたトータルコストで判断することが重要です。

Q

防水塗装の種類を選ぶ際、最も重視すべきポイントは何ですか?

A

最も重視すべきは、施工場所に適した種類を選ぶことです。

壁用と床用を間違えると、期待した防水効果が得られません。パッケージの表示を必ず確認し、自分が塗装する場所に適した種類を選びましょう。

次に重要なのは、下地の状態に合った種類を選ぶことです。すでに防水層が劣化している場合は、表面だけの補修では不十分です。状態が不明な場合は、専門業者に点検してもらうことをおすすめします。

予算と耐用年数のバランスも考慮しましょう。初期費用を抑えても、早期に劣化して再工事が必要になれば、結果的に高くつきます。

Q

ベランダの防水塗装の種類で雨漏りを防ぐにはどうすればよいですか?

A

ベランダの雨漏りを防ぐには、防水層とトップコートの両方を適切に維持することが重要です。

まず、現在の防水層の状態を確認しましょう。表面のトップコートが剥がれている程度なら、トップコートの塗り替えで対応できます。しかし、防水層にひび割れや浮きがある場合は、防水層からの全面改修が必要です。

早期発見が重要です。トップコートの色褪せや剥がれを見つけたら、放置せずに早めに対処しましょう。防水層まで傷むと、工事費用が大幅に増加します。

5年を目安にトップコートを塗り替え、10年程度で防水層の点検を受けることで、雨漏りを未然に防げます。

Q

DIYで防水塗装の種類を使う際の失敗しないコツは何ですか?

A

DIYで失敗しないための最重要ポイントは、下地処理を丁寧に行うことです。

塗装前に、表面の汚れやカビ、古い塗膜の浮きを完全に除去します。高圧洗浄やブラシでしっかり清掃し、乾燥させてから塗装を開始しましょう。

次に、天候を確認することです。雨の前日や湿度が高い日は避け、晴れが数日続く日を選びます。塗料が完全に乾燥する前に雨に濡れると、防水層が台無しになります。

メーカーの施工手順を守ることも重要です。塗り回数、乾燥時間、希釈率などは、必ず製品の仕様書通りに行います。自己判断で省略すると、期待した性能が得られません。

不安がある場合や、防水層から傷んでいる場合は、無理せず専門業者に依頼することをおすすめします。

まとめ

防水塗装の種類について、基礎知識から実践的な選び方まで解説してきました。

防水塗装は建物を雨水から守る重要な役割を担っており、適切な種類を選ぶことが建物の寿命を大きく左右します。

壁用と床用では求められる性能が異なり、それぞれに適した種類が存在します。

また、施工する場所の材質や環境、予算によっても最適な選択は変わってきます。

この記事のポイント
  • 防水塗装の種類は壁用と床用で明確に分かれており混同しないよう注意が必要
  • 壁用はアクリル・ウレタン・シリコン・フッ素の4種類で耐用年数と価格が異なる
  • パッケージ表示・塗装面積・水性油性・価格相場の4点を確認して購入する
  • ベランダや屋上など施工場所ごとに最適な防水塗装の種類を選ぶことが重要
  • 小規模な補修はDIY可能だが防水層の劣化は業者依頼が確実で安心

防水塗装は定期的なメンテナンスが長期的なコスト削減につながります。

早期発見・早期対処が高額な改修工事を避ける最善の方法です。

あなたの大切な住まいを守るため、適切な防水塗装の種類を選び、定期的なメンテナンスを心がけましょう。