分譲・賃貸マンションの大規模修繕とは?中規模・小規模との違いから費用負担・進め方・注意点を解説

マンションの大規模修繕について調べていると、「分譲マンション」と「賃貸マンション」では進め方や費用負担が全く異なることに気づかれた方も多いのではないでしょうか。

同じような建物に見えても、所有形態の違いによって、誰が意思決定をするのか、誰が費用を負担するのか、工事の範囲はどこまでかといった点で大きな差があります。

株式会社新東亜工業では、長年にわたり東京都を中心に分譲・賃貸を問わず数多くのマンション大規模修繕工事に携わってまいりました。

現場で培った経験から申し上げると、この違いを正しく理解することが、適切な修繕計画を立てる第一歩となります。

本記事では、分譲と賃貸それぞれの大規模修繕における特徴、費用負担の仕組み、実施時の注意点まで、実務に即した内容を丁寧に解説いたします。

建物管理に関わる皆様の業務にお役立ていただければ幸いです。

目次

分譲マンションと賃貸マンションの基本的な違い

大規模修繕の違いを理解する前に、まず分譲マンションと賃貸マンションの基本的な所有形態の違いを整理しておきましょう。

この所有形態の違いこそが、修繕工事の進め方や費用負担に直結する重要なポイントです。

比較項目分譲マンション賃貸マンション
所有権区分所有者が各住戸を所有オーナーが建物全体を所有
入居形態購入して居住賃貸借契約で居住
修繕の意思決定管理組合(総会決議)オーナー単独
修繕費用負担区分所有者全員で分担オーナーが全額負担
月々の負担・修繕積立金
・管理費
・家賃のみ
(修繕費は含まれない)
資産性資産として残る
売却・相続可能
資産にならない
支払った家賃は戻らない
リフォーム自由度専有部分は規約範囲内で可能原則不可
(オーナー許可が必要)
住み替え売却手続きが必要
時間とコストがかかる
契約解除で比較的容易
身軽に転居可能

このように、所有形態の違いによって、修繕における責任範囲や費用負担、意思決定のプロセスが大きく異なります。

分譲マンションとは?所有権と区分所有の仕組み

分譲マンションは、各住戸を個別に購入し、区分所有権を持つ形式の集合住宅です。

区分所有法という法律に基づき、建物は「専有部分」と「共用部分」に明確に区分されています。

専有部分とは各住戸の室内空間を指し、壁や床、天井などの構造躯体やエントランス、廊下、階段といった部分はすべて共用部分として区分所有者全員の共有財産となります。

管理組合は区分所有者全員で構成される組織であり、共用部分の管理や修繕に関する意思決定を行います。

大規模修繕についても、この管理組合が主体となって計画を立案し、総会での決議を経て実施されるのが一般的です。

賃貸マンションとは?オーナーと賃借人の関係

賃貸マンションは、建物全体をオーナー(所有者)が単独で所有し、各住戸を入居者に賃貸する形式です。

入居者は賃貸借契約に基づいて毎月家賃を支払い、居住する権利を得ますが、建物自体の所有権は持ちません。

そのため建物の管理や修繕に関する意思決定は、すべてオーナーが単独で行うことができます。

この形態では、大規模修繕の実施時期や工事内容、予算配分など、すべてをオーナーの判断で決定できる自由度がある一方、修繕費用の全額をオーナーが負担する必要があります。

入居者は工事の影響を受けることはあっても、費用負担や意思決定には基本的に関与しません。

分譲賃貸マンションという選択肢

近年増えているのが「分譲賃貸マンション」です。

これは本来分譲用として販売された住戸を、所有者が第三者に賃貸している物件を指します。

建物全体としては分譲マンションであり、管理組合も存在しますが、実際には賃貸として入居している世帯が混在している状態です。

この形態では、大規模修繕の意思決定は管理組合が行いますが、修繕積立金の負担は各住戸の所有者(大家)が行い、賃借人は直接的な費用負担はしません。

ただし、工事中の生活への影響は受けるため、事前の説明が重要となります。

所有と居住が分離しているため、修繕計画への関心度に温度差が生じやすい点が特徴的です。

大規模修繕における「分譲」と「賃貸」の決定的な違い

所有形態の違いは、大規模修繕の進め方に大きく影響します。

ここでは意思決定のプロセス、費用負担の主体、工事範囲の決定など、実務上最も重要な相違点について詳しく見ていきましょう。

分譲マンションの大規模修繕|管理組合主導と合意形成

分譲マンションでは、管理組合が大規模修繕の実施主体となります。

長期修繕計画に基づいて修繕委員会を組織し、建物診断の実施、施工会社の選定、工事内容の検討などを段階的に進めます。

最終的な工事の実施可否や予算については、管理組合総会での決議が必要です。

総会では区分所有者の過半数の賛成が求められるため、住民説明会を重ねて合意形成を図ることが不可欠です。

築年数が経過したマンションでは高齢者世帯の増加により、修繕費用の負担に対する懸念が強まることもあります。

一方で、資産価値の維持を重視する所有者も多く、丁寧なコミュニケーションが工事成功の鍵となります。

賃貸マンションの大規模修繕|オーナー単独判断のメリット・デメリット

賃貸マンションでは、オーナーが単独で修繕の時期や内容、予算を決定できます。

合意形成のプロセスが不要なため、迅速に意思決定できる点が最大のメリットです。

建物の劣化状況や入居率、賃料相場などを総合的に判断し、費用対効果の高い修繕計画を柔軟に組み立てることが可能です。

デメリットとしては、修繕費用の全額をオーナーが負担する必要がある点が挙げられます。

数千万円規模の費用が必要となるため、計画的な資金準備や修繕ローンの活用が欠かせません。

また、工事内容の検討から業者選定、入居者対応まで、すべてをオーナー側で管理する必要があり、手間と時間がかかることも理解しておく必要があります。

分譲マンションの大規模修繕|費用負担と資金計画

分譲マンションでは、区分所有者全員が修繕費用を分担する仕組みが整っています。

ここでは、修繕積立金制度の詳細と実際の費用相場、資金不足時の対応策について解説します。

修繕積立金の仕組みと相場

修繕積立金は、将来の大規模修繕に備えて区分所有者が毎月積み立てる資金です。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、1戸あたりの月額平均は約13,000円となっています。

この金額は専有面積に応じて按分されるため、広い住戸ほど負担額が大きくなる仕組みです。

積立方式には「均等積立方式」と「段階増額方式」があります。

均等積立方式は毎月一定額を積み立てる方法で、長期的に安定した資金計画が可能です。

一方、段階増額方式は当初の負担を抑え、築年数の経過とともに段階的に増額する方法ですが、将来の負担増に対する理解が必要となります。

大規模修繕工事の費用相場

国土交通省が令和3年に実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によれば、1戸あたりの工事費用は75万円から125万円程度が相場となっています。

50戸規模のマンションであれば総額で3,750万円から6,250万円、100戸規模では7,500万円から1億2,500万円の費用が必要です。

費用は修繕回数によっても変動します。1回目の大規模修繕は比較的軽微な工事で済むことが多く、費用も抑えられる傾向にあります。

しかし2回目以降は給排水管の更新や設備の全面的なリニューアルが必要となり、費用が増加するケースが一般的です。

築30年を超えると、構造的な補強工事も検討する必要が出てくるため、より高額な予算が求められます。

修繕回数築年数目安1戸あたり費用相場主な工事内容
1回目12~15年75~100万円・外壁塗装
・防水工事
・鉄部塗装
2回目24~30年100~150万円・給排水管更新
・設備改修含む
3回目36~45年150~200万円・構造補強
・大規模リニューアル

このように回数を重ねるごとに工事の範囲が広がり、費用も増加する傾向があることを理解しておくことが重要です。

修繕積立金が不足した場合の対応策

計画通りに修繕積立金が貯まらず、工事費用が不足するケースは決して珍しくありません。

国土交通省の調査でも、約37%のマンションで修繕積立金が不足している実態が明らかになっています。

不足が判明した場合、管理組合は以下のような対応策を検討する必要があります。

対応方法説明注意点・特徴
一時金の徴収・不足分を区分所有者から徴収する方法
・総会決議が必要
・1戸あたり数十万円になるケースがある
・住民負担が大きい
修繕積立金の増額・月々の積立金を引き上げる方法・段階的に増額することが大切
・継続的な検討が必要
修繕ローンの活用・金融機関から借入を行い補う方法
・返済は積立金から行う
・長期的な返済計画が必須
・利息負担が発生する
工事内容の見直し・緊急性の高い工事に絞る方法
・優先順位の低い工事は後回し
・先延ばしするため、劣化が進むリスクあり

いずれの方法を選択する場合も、区分所有者への丁寧な説明と合意形成が不可欠です。

早めに資金状況を把握し、計画的に対応することがトラブル回避につながります。

賃貸マンションの大規模修繕|オーナーの資金計画と入居者への配慮

賃貸マンションでは、オーナーが全責任を持って修繕を進めます。

適切な資金準備と入居者への配慮が、工事を円滑に進めるための重要なポイントとなります。

オーナーが行うべき資金準備

賃貸マンションの大規模修繕費用は、建物規模や劣化状況によって大きく異なりますが、一般的には数百万円から数千万円の資金が必要です。

オーナーは年間の賃料収入の10~20%を修繕費として積み立てることが推奨されています。計画的に資金を準備することで、突然の大規模出費にも対応できる体制を整えられます。

資金が不足する場合には、リフォームローンの活用が有効です。金融機関によっては賃貸物件の修繕を対象とした専用ローン商品を提供しており、長期分割払いで負担を平準化できます。

また、省エネ改修や耐震補強などの工事には、自治体の補助金や助成金制度が利用できるケースもあるため、事前に確認しておくことをお勧めします。

入居者への事前告知とトラブル回避

大規模修繕工事は入居者の生活に大きな影響を与えます。足場の設置により窓が開けられなくなる、塗装作業中の臭いや騒音、ベランダの使用制限など、日常生活に不便が生じることは避けられません。

そのため、工事開始の1~2ヶ月前には入居者全員に対して、工事内容や期間、影響範囲を詳しく説明する必要があります。

裁判例では、賃貸借契約時に大規模修繕工事の予定を説明しなかった場合、信義則上の義務違反として損害賠償責任を負う可能性が示されています。

法律上の明確な告知義務はありませんが、トラブルを避けるためには誠実な事前説明が欠かせません。

説明会の開催や書面での通知、個別の相談対応など、丁寧なコミュニケーションを心がけることが重要です。

家賃への影響と入居率維持の工夫

大規模修繕により建物の外観や設備が改善されると、オーナーとしては家賃の見直しを検討したくなるかもしれません。

しかし、修繕直後の家賃値上げは入居者の反発を招き、退去につながるリスクがあります。特に長期入居者にとっては、工事中の不便を我慢した上での値上げとなるため、慎重な判断が求められます。

一方で、適切な修繕により建物の競争力が向上すれば、新規入居者に対してより高い家賃を設定できる可能性があります。

既存入居者の家賃は据え置きつつ、新規募集時の条件を見直すことで、段階的に収益改善を図る方法も有効です。

修繕を「コスト」ではなく「投資」として捉え、長期的な視点で入居率と収益のバランスを考えることが大切です。

分譲・賃貸マンションにおける大規模・中規模・小規模修繕の違い

マンションの修繕は規模によって大規模修繕、中規模修繕、小規模修繕に分類されます。

それぞれの特徴と実施タイミングを理解することで、より効率的な建物管理が可能になります。

大規模修繕の定義と実施周期

大規模修繕とは、建物全体に関わる包括的な修繕工事を指します。

外壁塗装、屋上防水、給排水管の更新、共用部の改修など、複数の工事を同時に実施するのが一般的です。

足場を組む必要があるため、足場関連の工事をまとめて行うことで全体の費用を抑える効果もあります。

実施周期は一般的に12~15年とされていますが、建物の立地環境や使用状況、前回の修繕内容によって変動します。海沿いの建物では塩害の影響で劣化が早まるため、10年程度で実施するケースもあります。

長期修繕計画に基づいて定期的に建物診断を行い、最適なタイミングを見極めることが重要です。

▶参考記事:分譲マンションの大規模修繕とは?費用相場や時期・賃貸との違い・注意点などを解説

中規模修繕の特徴と実施タイミング

中規模修繕は、大規模修繕ほど全体的ではないものの、建物の性能維持のために必要な部分的な改修工事です。

外壁の一部補修、屋上防水のトップコート塗り替え、鉄部の錆止め塗装など、劣化が進行する前に計画的に実施する予防保全の性格を持ちます。

実施タイミングは築7~10年程度が目安となります。大規模修繕の間に中規模修繕を適切に実施することで、建物の劣化速度を抑え、次回の大規模修繕時の費用を軽減できる効果があります。

小規模修繕が「事後対応」であるのに対し、中規模修繕は「予防対応」という位置づけです。

▶参考記事:分譲マンションの中規模修繕とは?費用相場・実施時期・大規模修繕との違いを徹底解説

小規模修繕(日常修繕)の範囲

小規模修繕は、日常的に発生する軽微な不具合への対応です。

共用廊下の照明交換、外壁のひび割れ補修、排水管の詰まり除去、手すりの補修など、比較的短時間かつ低予算で実施できる工事が該当します。

費用は数万円から数十万円程度で、随時対応が基本です。

▶参考記事:分譲マンションの小規模修繕とは?費用相場・実施時期・業者選びのポイントを解説

修繕種類実施周期費用規模主な工事内容
大規模修繕12~15年数千万円~数億円・外壁塗装
・防水工事
・設備更新
中規模修繕7~10年数百万円~数千万円・部分補修
・予防保全
・設備部分更新
小規模修繕随時数万円~数十万円・軽微な補修
・応急処置

それぞれの修繕を適切なタイミングで組み合わせることで、建物の長寿命化とコスト最適化を両立できます。

分譲・賃貸マンション大規模修繕工事の主な内容と工事期間

大規模修繕では具体的にどのような工事が行われるのでしょうか。

主要な工事項目とそれぞれの目的、そして工事期間について詳しく解説します。

外壁補修・塗装工事

外壁は紫外線や雨風に常にさらされているため、経年劣化が最も顕著に現れる部分です。

ひび割れ(クラック)が発生すると、そこから雨水が浸入し、内部の鉄筋が腐食する原因となります。

外壁補修工事では、まずひび割れ部分を専用のシーリング材で充填し、その後全体を高圧洗浄で清掃します。

塗装工事は下塗り、中塗り、上塗りの3工程で行われます。下塗りで下地を整え、中塗り・上塗りで防水性と美観を確保します。

使用する塗料によって耐用年数が異なり、アクリル系は約8年、ウレタン系は約10年、シリコン系は約15年、フッ素系は約20年が目安です。費用と性能のバランスを考慮して選択することが重要です。

防水工事(屋上・バルコニー等)

屋上やバルコニーの防水層は、建物を雨水から守る最重要部分です。防水層の劣化が進むと、最上階の住戸への漏水だけでなく、建物全体の構造劣化につながる危険性があります。

防水工事では既存の防水層の状態を確認し、劣化が軽微であればトップコートの塗り替えで対応できます。

劣化が進行している場合は、防水層全体を更新する必要があります。工法にはウレタン防水、シート防水、アスファルト防水などがあり、それぞれ特性が異なります。

屋上の使用状況や予算に応じて最適な工法を選択することが求められます。適切な防水工事により、建物の寿命を大幅に延ばすことが可能です。

鉄部塗装・給排水設備の更新

階段の手すりや扉の金属部分、配管の支持金具などの鉄部は、錆の発生により劣化が進みます。

鉄部塗装工事では、既存の錆を完全に除去した上で錆止め塗料を塗布し、その後仕上げ塗装を行います。

錆の除去が不十分だと、塗装後も内部で錆が進行するため、丁寧な下地処理が重要です。

給排水設備は築20~30年を超えると配管内部の腐食が進み、赤水の発生や漏水のリスクが高まります。

給排水管の更新工事では、住戸内の専有部分配管はそれぞれの所有者が行い、共用部分の縦管や横引き管は管理組合が実施するのが一般的です。

工事は住戸内への立ち入りが必要となるため、入念な事前調整が求められます。

工事期間の目安と生活への影響

大規模修繕工事の期間は建物規模によって異なりますが、一般的なマンションで3~6ヶ月程度です。

50戸以下の小規模マンションでは3~4ヶ月、100戸前後の中規模マンションでは4~5ヶ月、200戸を超える大規模マンションでは6ヶ月以上かかるケースもあります。

工事中は以下のような生活への影響があります。

  • 足場による窓の開閉制限、洗濯物の外干し禁止、プライバシーへの配慮
  • 高圧洗浄時の大きな騒音と水しぶき、窓やベランダの養生
  • 塗装作業時の塗料の臭い、換気制限、エアコン使用への影響
  • 配管工事時の水道・排水の一時的な使用停止、住戸内への立ち入り

これらの影響を最小限に抑えるため、工事スケジュールは季節や天候、住民の生活リズムを考慮して計画されます。

特に夏場はエアコンが使えないと健康リスクが高まるため、窓の開閉制限期間を短縮する工夫が必要です。

分譲・賃貸マンションの大規模修繕で注意すべきポイント

大規模修繕を成功させるには、分譲と賃貸それぞれの特性に応じた注意点を押さえておく必要があります。

実務経験から得た重要なポイントをご紹介します。

分譲マンションでの合意形成のコツ

分譲マンションで最も重要なのは、区分所有者間の合意形成です。

高齢化が進むマンションでは、修繕費用の負担に対する不安が強く、工事の必要性を理解してもらうことが難しいケースがあります。

一方で若い世代は資産価値の維持を重視するため、意見の対立が生じることもあります。

合意形成を円滑に進めるには、定期的な住民説明会の開催が効果的です。建物診断の結果を写真や図面で示し、修繕を先延ばしした場合のリスクを具体的に説明することで、理解が深まります。

また、複数の施工会社から見積もりを取得し、工事内容と費用の妥当性を透明化することも信頼獲得につながります。疑問や不安に対しては個別相談の機会を設け、丁寧に対応する姿勢が大切です。

賃貸マンションでの入居者対応のポイント

賃貸マンションでは、入居者への配慮がトラブル回避の鍵となります。工事中の不便は避けられませんが、事前の説明が不十分だと入居者の不満が高まり、退去や家賃減額請求につながるリスクがあります。

工事開始の1~2ヶ月前には、工事内容、期間、影響範囲、緊急連絡先などを記載した案内文書を全戸に配布しましょう。

可能であれば説明会を開催し、質疑応答の時間を設けることで、入居者の不安を軽減できます。

工事中は定期的に進捗状況を報告し、予定変更があれば速やかに通知することも重要です。

また、特に配慮が必要な高齢者世帯や小さなお子様がいる世帯には、個別に声をかけるなどの細やかな対応が信頼関係の構築に役立ちます。

施工業者の選定基準

施工業者の選定は、工事の品質とコストを左右する重要な判断です。価格だけで決定すると、手抜き工事や追加費用の発生、アフターフォロー不足などのトラブルに見舞われる危険性があります。

業者選定では以下のポイントを確認しましょう。

  • 実績と信頼性:同規模のマンション修繕実績が豊富か、施工事例や顧客の声を確認
  • 資格と保険:建設業許可、一級建築士や施工管理技士の在籍、工事保険の加入状況
  • 見積もりの透明性:工事項目ごとの詳細な内訳、使用材料や工法の明示
  • アフターフォロー:工事完了後の保証期間、定期点検の有無
  • コミュニケーション:質問への回答が丁寧か、現場管理体制が整っているか

相見積もりは3~5社程度から取得し、価格だけでなく提案内容や対応の質を総合的に比較することをお勧めします。

極端に安い見積もりには理由があることを理解し、慎重に判断することが大切です。

分譲・賃貸マンションの大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)

大規模修繕に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問の解消にお役立てください。

Q

分譲マンションで修繕積立金が足りない場合はどうなる?

A

修繕積立金が不足している場合、管理組合は追加の資金調達を検討する必要があります。

最も一般的な方法は、区分所有者から一時金を徴収することです。総会での決議が必要で、1戸あたり数十万円の負担となることもあります。

また、修繕積立金の月額を増額する方法や、金融機関から修繕ローンを借り入れる方法もあります。

工事内容を見直して優先順位の高い項目に絞り、費用を抑える選択肢もありますが、必要な修繕を先延ばしすると後により大きな費用がかかるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

Q

賃貸マンションの修繕費用は家賃に含まれる?

A

賃貸マンションの大規模修繕費用は、基本的にオーナーが負担します。

入居者が支払う家賃には、日常的な管理費用は含まれている場合がありますが、大規模修繕のような多額の費用は通常含まれていません。

ただし、修繕後に建物の価値が向上した場合、オーナーが家賃の見直しを行うケースはあります。

既存の入居者に対する値上げは慎重に判断されるべきですが、新規募集時には改修後の設備や外観を反映した適正な家賃設定が行われることが一般的です。

Q

大規模修繕中に引っ越しは可能?

A

大規模修繕工事中も居住を続けることは可能であり、多くの住民がそのまま生活しています。

足場の設置や塗装作業による不便はありますが、基本的なライフラインは維持されます。

ただし、配管工事で一時的に水道や排水が使えなくなる時間帯があるため、事前に通知される予定を確認しておく必要があります。

どうしても工事中の環境に耐えられない場合は、一時的に仮住まいを検討することも可能ですが、その費用は基本的に自己負担となります。

分譲マンションの場合、工事期間中の転居について管理組合に相談することで、工程調整などの配慮を受けられる可能性もあります。

Q

分譲マンションと賃貸マンション、資産価値が高いのはどちら?

A

一般的には、適切に維持管理された分譲マンションの方が資産価値は高くなります。

分譲マンションは購入時から所有権を持つため、将来の売却や賃貸による収益化も可能です。

定期的な大規模修繕により建物の状態を良好に保つことで、築年数が経過しても資産価値の大幅な下落を防ぐことができます。

一方、賃貸マンションは入居者にとって資産にはならず、家賃として支払った金額は戻ってきません。

ただし、分譲マンションは購入時の初期費用や修繕積立金、管理費などのランニングコストが発生するため、ライフスタイルや資金計画に応じた選択が重要です。

まとめ

分譲マンションと賃貸マンションでは、大規模修繕における意思決定の主体、費用負担の仕組み、工事範囲の決定方法が大きく異なります。

分譲マンションでは管理組合が主導し、区分所有者全員で費用を分担するのに対し、賃貸マンションではオーナーが単独で判断し、全額を負担します。

適切な大規模修繕を実施するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • 長期修繕計画に基づいた計画的な資金準備
  • 建物診断による劣化状況の正確な把握
  • 信頼できる施工業者の選定と透明性のある契約
  • 住民や入居者への丁寧な事前説明とコミュニケーション
  • 工事中の生活への影響を最小限に抑える配慮
  • アフターフォローと次回修繕への備え

株式会社新東亜工業では、分譲・賃貸を問わず、お客様の建物に最適な修繕計画をご提案いたします。

東京都を中心に豊富な実績を持つ当社に、ぜひお気軽にご相談ください。

建物診断から施工、アフターフォローまで、一貫したサポート体制で皆様の大切な資産をお守りします。