マンションのコンクリートはなぜ防水が必要?劣化症状と工事の最適タイミングを詳しく紹介
2025/12/05
マンションの屋上やベランダは、日々の風雨や紫外線にさらされ続けています。コンクリートは一見頑丈に見えますが、実は防水対策なしでは建物の寿命を大きく縮めてしまう危険性があることをご存知でしょうか。
防水層の劣化を放置すると、雨漏りだけでなく、コンクリート内部の鉄筋が錆びて建物の構造自体が損なわれる「爆裂現象」を引き起こす可能性があります。マンションの資産価値を守り、住民が安心して暮らせる環境を維持するために、防水工事は欠かせないメンテナンスです。
本記事では、マンションのコンクリート防水について、なぜ必要なのか、どんな工事方法があるのか、費用相場はいくらなのか、そして劣化のサインを見逃さないためのポイントまで、管理組合の方や建物オーナーの方が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
目次
なぜマンションのコンクリートに防水工事が必要なのか
マンションのコンクリートは一見頑丈ですが、水分を吸収しやすい素材であり、防水層が弱まると内部まで雨水が浸透します。その結果、中性化や鉄筋腐食が進み、爆裂による重大な構造劣化へ発展する恐れがあります。
ここでは、コンクリートが受けるダメージと防水の重要性をわかりやすく解説します。
水分浸透がもたらす主な影響
コンクリート内部へ水が浸透すると、微細なひび割れや中性化が進み、鉄筋腐食のリスクが高まります。
- 乾燥と湿潤の繰り返しによる微細ひび割れの発生
- コンクリートが中性化し、鉄筋保護機能が低下
- 防水層の膨れや浮きが加速
鉄筋の腐食と爆裂現象のリスク
鉄筋コンクリート造のマンションにおいて、最も危険なのが鉄筋の腐食です。コンクリートの中性化や水分の浸入により、内部の鉄筋が酸素や水と反応して錆び始めます。
錆びた鉄筋は体積が膨張するため、周囲のコンクリートを内側から押し出す力が働きます。この結果、コンクリートが爆発したように剥離・破損する「爆裂現象」が発生します。爆裂現象が起きると、建物の構造強度が著しく低下し、大規模な修繕が必要となります。
マンションのコンクリートで採用される主な防水工事の種類
マンションのコンクリート構造は、建物の形状や使用環境によって受ける負荷が大きく、適切な防水工事を選ぶことが建物寿命に直結します。
マンションの屋上やベランダでは、防水層の劣化が雨水浸入やコンクリートの中性化を招くため、建物に合った工法を選択することが欠かせません。
ここでは、マンションで広く採用される防水工法の違いや特徴、選び方のポイントを解説します。
建物規模・形状・利用環境に合わせて、以下の4つが特に採用されやすい工法です。
| 工法 | 特徴 | 単価目安 | 耐用年数 |
|---|---|---|---|
| ウレタン防水 | 液体塗膜で複雑な形状にも対応し、マンションの細部施工に強い | 4,000〜7,000円/㎡ | 10〜13年 |
| FRP防水 | 軽量・高強度でベランダのコンクリート床に最適 | 5,000〜7,500円/㎡ | 10〜12年 |
| シート防水 | 品質が安定し、大規模マンションの屋上施工に適合 | 4,500〜6,000円/㎡ | 10〜15年 |
| アスファルト防水 | 厚みのある層で高耐久、コンクリート屋上への信頼性が高い | 6,500〜9,000円/㎡ | 15〜25年 |
マンションコンクリート防水の種類|ウレタン防水
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂をマンションの屋上やベランダに塗り重ねて、防水層を形成する工法です。コンクリート面の細かい凹凸にも密着し、室外機や配管が入り組んだマンション特有の複雑な形状でも継ぎ目のない仕上がりが可能です。
既存の防水層を撤去せずに重ね塗りできるケースも多く、材料ロスが少ないことから環境面でも評価されています。耐用年数は10〜13年で、5〜7年周期でトップコートを再塗装することで防水性能が長く維持できます。
マンションコンクリート防水の種類|FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維のマットにポリエステル樹脂を含浸させ、硬化させることで強固な防水層を作る工法です。マンションのベランダなど、人の歩行が多いコンクリート床に非常に向いており、軽量でありながら優れた耐久性があります。
硬化が速いため短い工期で施工できるのもメリットですが、硬質素材のため建物の動きに追従しにくく、微細なクラックが生じる場合があります。
マンションコンクリート防水の種類|シート防水
シート防水は、塩ビシートやゴムシートをコンクリート床に貼り付ける工法で、マンションの大規模屋上によく採用されます。工場で均一に作られたシートを使うため品質が安定しており、防水層の厚みも確保しやすい点が特徴です。
乾燥時間が不要で工期を短縮できる一方、継ぎ目処理が甘いと雨水が浸入しやすいため、施工精度が重要となります。
マンションコンクリート防水の種類|アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトを含浸させたルーフィングシートをコンクリート下地に複数層重ねる伝統的な防水工法で、マンションの屋上防水として長年採用されてきました。
厚みのある防水層がしっかりと建物を守り、15〜25年と長い耐用年数を誇ります。トーチ工法や常温工法など施工方法も複数あり、建物状況に応じた選択が可能ですが、重量があるためマンションの構造条件によっては採用できない場合があります。
マンションのコンクリート防水工事にかかる費用相場
マンションのコンクリート防水工事にかかる費用は、採用する防水工法・施工面積・既存防水層の劣化状態によって大きく変わります。
マンションの修繕計画を立てる際には、コンクリート下地に適した工法を理解し、適正価格の範囲を把握しておくことが重要です。
ここでは、防水工事の相場を比較しながら解説します。
工法別の防水工事単価と耐用年数の比較
| 防水工法 | 単価目安(1㎡あたり) | 耐用年数 |
|---|---|---|
| ウレタン防水 | 4,000〜7,000円 | 10〜13年 |
| FRP防水 | 5,000〜7,500円 | 10〜12年 |
| シート防水 | 4,500〜6,000円 | 10〜15年 |
| アスファルト防水 | 6,500〜9,000円 | 15〜25年 |
マンションのコンクリート面に施工される防水工事では、工法ごとに価格と耐久性が異なります。
なお、上記の単価には材料費と施工費が含まれていますが、建物の状態によっては 高圧洗浄費用・足場代・既存防水層の撤去費 が追加で発生する場合があります。
マンションコンクリート防水の費用を抑えるポイント
マンションの防水工事では、工法選びや施工時期によって総費用が大きく変動します。
コンクリートの劣化が軽度な段階で対応することで、結果的に大きな補修費用を抑えることが可能です。
以下のポイントを押さえておくと工事費を削減しやすくなります。
- 劣化小のうちにコンクリートの劣化を対処し、大規模補修を防ぐ
- 複数社の相見積もりを取る
- 外壁塗装と同時施工で足場代を削減
防水工事を検討すべき劣化のサイン|コンクリートのひび割れ・カビなど早期発見がカギ!
防水層の劣化は、目に見える形でいくつかのサインを発します。これらのサインを早期に発見し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが、建物を長持ちさせる秘訣です。
防水層やコンクリートが劣化すると、次のような症状が現れます。
- 防水層の膨れ・浮き(押すと柔らかい)
- コンクリートのひび割れ(0.3mm以上は要注意)
- 雨後に水たまりが残りやすい場所がある
- 白華(白い粉)やカビ・コケの発生
詳しく見ていきましょう。
マンションの劣化症状|防水層の膨れや浮きが見られる
防水層の下に湿気が溜まったり、接着力が低下したりすると、シートや塗膜が風船のように膨れ上がることがあります。手で押すとブヨブヨとした感触があり、放置すると破れて雨水の直接的な浸入口となります。
この症状は、下地に水分が残った状態で防水層を施工した場合や、経年劣化によって接着剤の効果が失われた場合に発生します。膨れを見つけたら、早急に専門業者に相談しましょう。
マンションの劣化症状|コンクリートのひび割れや塗膜の剥がれ
コンクリート表面にひび割れ(クラック)が見られる場合、特に幅0.3mm以上のひび割れは構造的な影響を及ぼす可能性があります。また、防水層の表面を保護しているトップコートが剥がれている箇所は、紫外線や雨水の影響を直接受けて劣化が急速に進行します。
ひび割れから雨水が侵入すると、内部の鉄筋腐食や爆裂現象につながるため、早期の補修が必要です。
水たまりができやすい箇所がある
雨が降った後、屋上やベランダの特定の場所にいつまでも水たまりが残っている場合、排水口(ドレン)の詰まりや、床面の勾配不良が考えられます。
常に水に浸かっている状態は、防水層に過度な負担をかけ、劣化を早める原因となります。排水口周りの清掃と、勾配の見直しが必要な場合があります。
白華現象やカビ・コケの発生
コンクリート表面に白い粉状の物質が浮き出る「白華現象(エフロレッセンス)」は、コンクリート内部の成分が水分と反応して表出したものです。これは、水分がコンクリート内部まで浸透している明確なサインです。
また、カビやコケが広範囲に発生している場合も、常に湿気がある状態を示しており、防水機能の低下が疑われます。
マンションのコンクリート防水工事の適切な実施タイミング
マンションのコンクリートは日々の風雨や紫外線によって徐々に劣化していくため、防水工事は劣化が深刻化する前に計画的に行うことが大切です。
特にマンションの屋上やベランダは防水層の負担が大きく、コンクリートの耐久性を守るためにも適切なタイミングを把握しておく必要があります。
- 築12〜15年:初回大規模修繕のタイミング
- トップコートの塗り替え:5〜7年周期
- 劣化症状が出た場合:築年数に関係なく早期対応
築年数を基準にした目安
マンションのコンクリート防水層は、新築時から10年程度経過すると徐々に性能低下が始まります。国土交通省のガイドラインでも、12〜15年ごとの大規模修繕が推奨されており、この周期に合わせて防水工事を行うことで、コンクリートの中性化や鉄筋腐食のリスクを抑えることができます。
前回の防水工事から10年以上経過している場合は、見た目に問題がなくても、専門家による防水診断を受けることをお勧めします。
トップコートの塗り替え時期
防水層を保護するトップコートは、防水層本体よりも早く劣化します。
マンションのウレタン防水やFRP防水では、5〜7年ごとにトップコートを再塗装することで、紫外線や摩耗からコンクリートを守り、全体の耐用年数を延ばせます。
トップコートの色あせや光沢の消失が見られたら、塗り替えのタイミングです。
劣化症状が見られた時点での早期対応
膨れ・ひび割れ・水たまりなどの劣化症状は、マンションのコンクリートが水分を吸収し始めているサインです。築年数に関わらず、症状が確認できた段階で早急に点検を依頼することが重要です。
早期対応であれば、防水層の部分補修で済み、コンクリート内部の損傷を抑えつつ工事費も削減できます。
マンションコンクリート防水工事で信頼できる業者の選び方
マンションの防水工事は、業者の技術力や管理体制によって品質が大きく変わります。コンクリートを長く守るためにも、以下のポイントを基準に業者を選びましょう。
- マンション防水の施工実績が豊富
- 防水施工技能士(1級・2級)が在籍
- 現地調査が丁寧で、見積もり内訳が明確
- 保証内容・アフターサービスが充実
それぞれ詳しく解説します。
マンション防水工事の実績を確認する
マンションのコンクリート構造は戸建てと大きく異なるため、マンション防水の経験が豊富な業者を選ぶことが重要です。施工事例や同規模マンションでの実績を必ず確認しましょう。
有資格者の在籍状況を確認する
防水施工技能士は、防水工事の正しい施工方法を理解している証となる国家資格です。有資格者がいる会社は、マンションのコンクリート防水においても安定した品質が期待できます。
現地調査と見積もりの丁寧さをチェックする
信頼できる業者は、マンションの防水層だけでなくコンクリートの状態(ひび割れ・中性化・浮きなど)も細かく確認します。調査内容を基に適切な工法を提案し、見積書には下地処理や材料費が明確に記載されています。
保証内容とアフターサービスを確認する
施工後の不具合に対応できる保証が整っているかは非常に重要です。保証期間・範囲を確認し、可能であれば瑕疵保険加入の業者を選ぶと、マンション全体の安心につながります。
マンションのコンクリート防水に関するよくある質問
Q
マンションコンクリートの防水工事は雨の日でも可能ですか?
A
基本的に、屋外での防水工事は天候に大きく左右されます。雨の日には下地が濡れて乾燥が不十分になるため、ウレタン防水やFRP防水などの塗膜系工事は施工できません。
業者は天気予報を確認しながら工程を調整し、晴天が続く時期を選んで作業を進めます。そのため、梅雨時期などは工期が延びる可能性があることを理解しておきましょう。
Q
マンションコンクリートの防水工事中はベランダや屋上を使用できますか?
A
原則として、防水工事中は施工箇所への立ち入りが制限されます。特に塗膜系の工事では、塗布した材料が乾燥・硬化するまでの養生期間が必要で、ベランダの場合は2日から3日程度使用できなくなります。
洗濯物を干す場所の確保など、生活への影響を事前に業者と相談しておくことが大切です。
Q
マンションコンクリートはDIYで防水工事はできますか?
A
ホームセンターなどで防水材が販売されており、小規模な補修であればコンクリートの防水DIYも可能です。ただし、下地処理が不十分だったり、材料の塗布厚が不均一だったりすると、すぐに剥がれや膨れが発生し、かえって費用がかさむことになりかねません。
マンション全体に関わる屋上防水や、建物の寿命に直結するベランダ防水は、専門業者に依頼することを強くお勧めします。
Q
見積もりだけ依頼することは可能ですか?
A
多くの専門業者では、無料の現地調査と見積もりを行っています。他社と比較検討するために相見積もりを取るのは一般的な方法ですので、遠慮せず複数の業者に見積もりを依頼しましょう。
ただし、あまりに多くの業者に依頼すると対応が煩雑になるため、3社から5社程度に絞るのが現実的です。
マンションのコンクリート防水工事について|まとめ
マンションのコンクリート防水工事は、建物内部への雨水浸入を防ぎ、構造体を守るために欠かせないメンテナンスです。
特にコンクリートは水分に弱く、防水層が劣化すると中性化や鉄筋腐食が進行し、爆裂など深刻なダメージにつながります。こうしたリスクを防ぐためには、定期的な点検と適切な工法選択が重要です。
この記事のポイントを以下にまとめました。
- コンクリートは水分に弱く、防水劣化は中性化・鉄筋腐食を招く
- 劣化症状の早期発見で補修費用を大幅に削減
- 建物条件により工法選択(ウレタン・FRP・シート・アスファルト)が異なる
- 定期点検とトップコート再塗装が長寿命化の鍵
- 業者選びが品質と費用に直結する
建物の状態に合わせて最適な工法を選ぶことで、耐久性とコストのバランスを最適化できます。
劣化のサインを見逃さず早期対応することが、修繕費用の抑制につながる最も確実な方法です。
資産価値を守りながら長期的な修繕計画を実現するためにも、防水工事は計画的な実施が必要です。