ビルの外壁塗装で助成金は使える?法人向け制度の種類・条件・申請方法を徹底解説【2025年最新】
2025/12/24
ビルの外壁は、築15年を超えると塗膜の劣化やひび割れが目立ち始め、テナント獲得や資産価値維持のために外壁塗装が不可欠です。
しかし、工事費用は小規模ビルでも300万円以上、中規模ビルでは1,000万円を超えることも珍しくありません。
「少しでもコストを抑えたい」と考えるビルオーナー様にとって、助成金制度の活用は非常に有効な選択肢です。
実は、法人・個人事業主がビルの外壁塗装で利用できる助成金制度は複数存在します。
国の「脱炭素ビルリノベ事業」や「ZEB補助金」、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の自治体独自の制度など、条件を満たせば数百万円から最大数千万円の補助を受けることが可能です。
本記事では、2025年最新の助成金情報をもとに、法人・事業者向け制度の種類、申請条件、手続きの流れを具体的に解説します。
助成金の情報を網羅的に知りたい方は、「外壁塗装 助成金」の解説記事もあわせてご確認ください。
目次
ビルと住宅(マンション・アパート)向けの助成金制度の違い
外壁塗装の助成金制度には、住宅向けと事業用建築物(ビル)向けの2種類があり、対象者・補助金額・申請条件が大きく異なります。
ここでは、ビルオーナー様が知っておくべき重要な違いを整理します。
| 項目 | 住宅向け助成金 | ビル向け助成金 |
|---|---|---|
| 対象建築物 | 戸建住宅、マンション専有部分 | オフィスビル、商業ビル、店舗併用ビル等 |
| 申請者 | 個人、管理組合 | 法人、個人事業主 |
| 補助金額の目安 | 10万円~30万円程度 | 数百万円~最大10億円 |
| 主な条件 | 断熱改修、遮熱塗料使用等 | 省エネ改修+CO2削減効果証明、BPI≦1.0等 |
対象建築物と申請者の違い
住宅向け助成金は、個人が所有する戸建住宅やマンションの専有部分を対象とし、申請者は居住者本人または管理組合です。
一方、ビル向け助成金はオフィスビル・商業ビル・店舗併用ビルなどの事業用建築物が対象で、申請者は法人または個人事業主となります。
住宅向けは「居住環境の改善」、ビル向けは「事業活動に伴うCO2削減」という政策目的の違いが、制度設計に反映されています。
このため、住宅向けの情報を参考にしてもビルでは利用できないケースがほとんどです。
▶「マンション外壁塗装の助成金」についてはこちら
▶「アパート外壁塗装の助成金」についてはこちら
建物の用途に合った制度を確認することが、助成金を有効に活用するポイントです。
補助金額の規模の違い
住宅向け助成金の補助額は、一般的に10万円~20万円程度、自治体によっては上限30万円程度です。
対してビル向け助成金は、国の制度で数百万円から最大10億円、自治体制度でも数十万円~1,500万円と、規模が大きく異なります。
これは、ビルの延床面積が広く、工事費用が高額になること、また省エネ効果やCO2削減効果も大きいことが理由です。
このように、住宅向けとビル向けでは助成金制度の性格が大きく異なります。ビルオーナー様は、必ず事業用建築物向けの制度を確認しましょう。
外壁塗装単体では対象外が多い
住宅・ビルに共通する重要なポイントとして、「外壁塗装単体では助成金が出ない」ケースが大半です。
多くの制度では、外壁塗装を「省エネ性能向上を伴う外皮の断熱改修」として位置づけており、遮熱塗料・断熱塗料の使用や、高効率空調・LED照明などの省エネ設備導入との併用が条件となります。
また、ビル向け制度では、改修後のBPI(建築物外皮性能指標)や一次エネルギー消費量の削減率といった具体的な数値基準をクリアする必要があります。
単なる美観回復目的の塗装では対象外となるため、注意が必要です。
ビルの外壁塗装で利用できる助成金の種類と金額【2025年最新】
2025年現在、法人・事業者がビルの外壁塗装で利用できる助成金制度は、国の制度と自治体制度の2系統に分かれます。
ここでは、それぞれの制度の概要、補助金額、申請条件を具体的に解説します。
国の助成金制度1.【脱炭素ビルリノベ事業】業務用建築物の脱炭素改修加速化事業
脱炭素ビルリノベ事業は、環境省が実施する既存の業務用建築物の省エネ改修を支援する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ事業) |
| 実施機関 | 環境省 |
| 予算額 | 令和6年度補正予算343億円(~令和9年度まで) |
| 公募期間 | 2025年3月31日(月)~2025年12月25日(木)23:59締切 ※交付決定額の合計が予算額に達した場合、公募期間内でも受付終了 |
| 対象建築物 | 既存の業務用建築物(オフィスビル、商業施設、教育施設等) |
| 補助率 | 定額1/2相当 または 定率1/3 |
| 補助上限 | 上限10億円(下限200万円) |
| 主な補助対象工事 | ・外皮の断熱改修(断熱窓、断熱材) ・高効率空調設備の導入 ・制御機能付きLED照明器具の導入 ・業務用給湯器の高効率化 ・BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)の導入 |
| 主な申請条件 | ・改修後の外皮性能BPIが1.0以下 ・一次エネルギー消費量を省エネ基準から用途に応じて30%または40%以上削減 (ホテル・病院・百貨店・飲食店等:30%、事務所・学校等:40%) ・BEMSによるエネルギー管理を行うこと |
| 公式サイト | https://bl-renos.jp/r6/about/ |
令和6年度補正予算で343億円(~令和9年度まで)が計上され、2025年3月31日から12月25日まで公募が実施されています。
外皮(外壁・窓)の断熱改修と高効率設備の導入を組み合わせることで、最大10億円の補助を受けることが可能です。
補助率は定額1/2相当または定率1/3で、改修後のBPI(建築物外皮性能指標)が1.0以下、かつ一次エネルギー消費量を省エネ基準から用途に応じて30%または40%以上削減することが条件です。
なお、交付決定額の合計が予算額に達した場合、公募期間内でも受付が終了します。
国の助成金制度2.【ZEB補助金】ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業
ZEB補助金は、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにするビル)の新築・既存改修を支援する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業 |
| 実施機関 | 国土交通省・経済産業省・環境省(3省連携) 執行団体:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII) |
| 対象 | ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの新築・既存改修 ※年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにするビル |
| 補助率 | 補助対象経費の2/3以内 |
| 補助上限 | 5億円/年 |
| 令和7年度公募状況 | ・第1回公募:2025年6月11日~7月9日(終了) ・第2回公募:2025年9月5日~9月26日(終了) |
| 既存建築物の基本要件 | ・延床面積2,000㎡以上 ・公募要領に定める建物用途に該当すること ・ZEBの構成要素を満たすこと |
| 令和8年度以降の見通し | 予算案の動向により実施される見込みだが、詳細は未定 ※最新情報は公式サイトで確認が必要 |
| 公式サイト | https://sii.or.jp/zeb07/public.html |
国土交通省・経済産業省・環境省の3省連携で実施され、補助率は補助対象経費の2/3以内、補助上限は5億円/年です。
令和7年度の公募は、第1回(2025年6月11日~7月9日)、第2回(2025年9月5日~9月26日)ともに既に終了しています。既存建築物の場合、延床面積2,000㎡以上が基本要件となります。
令和8年度以降の公募については、予算案の動向により実施される見込みですが、詳細は未定です。
東京都の助成金制度
東京都では、既存建築物の省エネ改修を支援する制度が実施されています。
ただし、2025年12月時点で公開されている情報では、ビル(非住宅)向けの制度の詳細(補助率、上限額、延床面積要件等)は自治体に直接確認する必要があります。
また、一部の区では独自の制度があります。
例えば、文京区では屋根の遮熱塗装に対して最大40万円の助成金がありますが、ビルの外壁塗装が対象となるかは制度により異なるため、各区の窓口で事前に確認が必要です。
東京都の制度は年度ごとに内容が変更される可能性があるため、最新情報は東京都環境局の公式サイトでご確認ください。
神奈川県の助成金制度
神奈川県では、横浜市で過去に建築物の脱炭素化を支援する制度が実施されていましたが、2025年度の詳細情報(補助率、上限額、申請条件等)は自治体に直接確認する必要があります。
横浜市以外の自治体では、ビル向けの外壁塗装助成金は限定的です。
最新情報は、横浜市の公式サイトでご確認ください。
千葉県の助成金制度
千葉県内の多くの市では、ビルの外壁塗装単体を対象とした助成金制度はほとんど実施されていません。
ただし、省エネ改修との併用であれば、中小企業向けの振興助成制度やリフォーム補助金の一環として利用できる場合があります。
千葉市、船橋市、松戸市など、主要都市の制度を事前に確認することをおすすめします。
詳細は、各市の公式サイトでご確認ください。
埼玉県の助成金制度
埼玉県でもビル向けの外壁塗装助成金は限定的ですが、一部の市では中小企業向けの振興助成制度が利用できる場合があります。
例えば、川口市では住宅リフォーム補助金が実施されていますが、事業用建築物が対象となるかは制度の詳細確認が必要です。さいたま市など他の主要都市でも同様です。
詳細は、各市の公式サイトでご確認ください。
ビル外壁塗装の助成金を受けるための重要な条件と注意点
助成金を受けるためには、いくつかの重要な条件をクリアする必要があります。
申請前に必ず確認し、条件を満たすよう準備しましょう。
工事着工前の申請が絶対条件
ほぼすべての助成金制度で、工事着工前の申請が必須条件となっています。
契約や着工後に申請しても、助成金は受け取れません。
申請の流れは、「申請→審査→交付決定→工事開始」の順序を厳守する必要があります。
交付決定通知を受け取る前に工事を開始すると、助成金の対象外となるため、スケジュール管理が非常に重要です。
施工業者との契約前に、必ず自治体の窓口で制度の詳細を確認し、申請書類の準備を進めましょう。
指定仕様・材料の使用が必須
助成金制度では、使用する塗料や設備の性能基準が定められています。
外壁塗装の場合、遮熱塗料・断熱塗料の日射反射率や熱伝導率が基準値を満たす必要があります。
また、省エネ設備(空調のCOP値、照明の効率等)も同様です。
さらに、自治体によっては市内に本店・支店がある施工業者を指定する場合があります。
施工業者選定時には、助成金対応の実績があるか、必要な性能証明書を発行できるかを確認しましょう。
税金滞納がないことが前提
助成金の申請には、法人税、固定資産税、都市計画税などの税金を滞納していないことの証明が必要です。
納税証明書の提出が求められるため、申請前に税務状況を確認し、滞納がある場合は速やかに納付しておきましょう。
予算枠・先着順に注意
多くの助成金制度は、予算上限に達し次第、公募期間内でも受付が終了します。
特に国の制度(脱炭素ビルリノベ事業等)は、年度前半で予算が埋まる可能性があります。
年度の早い時期(4~6月)に情報収集と申請準備を進めることをおすすめします。
自治体の制度も同様に先着順が多いため、早めの行動が重要です。
ビル外壁塗装の助成金申請の流れ
助成金の申請は、複数のステップを踏む必要があります。
ここでは、申請から助成金受領までの全体フローを時系列で解説します。
ステップ1.制度の確認・事前相談
まず、自社ビルが所在する地域で利用可能な助成金制度を調査します。
国の制度(脱炭素ビルリノベ、ZEB補助金)と自治体制度の両方を確認し、自社ビルの延床面積、用途、改修内容が対象となるかを判断します。
自治体の公式サイトで情報収集した後、窓口に電話・メールで事前相談することをおすすめします。
また、助成金対応の実績がある施工業者にも相談し、申請サポートの可否を確認しましょう。
ステップ2.申請書類の準備
制度の詳細が確認できたら、申請に必要な書類を準備します。
- 交付申請書
- 事業計画書
- 見積書
- 建物の登記簿謄本
- 納税証明書
- 塗料・設備の性能証明書
- 建物図面
- 施工前の写真
施工業者には、見積書(内訳明細付き)と性能証明書の作成を依頼します。
書類に不備があると審査が遅れるため、チェックリストを作成して漏れがないよう確認しましょう。
ステップ3.交付申請の提出
申請書類が揃ったら、自治体の窓口に提出します。
提出方法は、窓口持参、郵送、オンライン(jGrants等)のいずれかです。
国の制度(ZEB補助金等)では、jGrantsによる電子申請が必須の場合があり、GビズIDプライムアカウントの取得(2週間程度かかる)が必要です。
提出期限を厳守し、予算枠・先着順であることを念頭に、早めに提出しましょう。
ステップ4.審査・交付決定通知
申請書類の提出後、自治体または執行団体(SII等)による審査が行われます。
審査期間は通常2週間~1ヶ月程度ですが、申請件数が多い場合はさらに時間がかかることもあります。
審査の結果、交付決定通知が届いたら、初めて工事を開始できます。
不交付の場合は、理由を確認し、条件を満たせるよう改善して再申請が可能か検討しましょう。
ステップ5.工事の実施
交付決定通知を受け取った後、施工業者と正式に契約し、工事を開始します。
工事期間中は、施工記録(写真撮影、材料の納品書保管)を徹底しましょう。
実績報告時にこれらの記録が必要となります。
また、工事内容が交付決定の内容と異なる場合、助成金が減額または取り消される可能性があるため、計画通りに進めることが重要です。
ステップ6.実績報告書の提出
工事完了後、実績報告書を作成し、指定期限内に提出します。
報告書には、工事完了写真(施工前・施工中・施工後)、領収書・請求書のコピー、施工記録(使用材料、施工方法)などを添付します。
提出期限は「工事完了後○日以内」と定められている場合が多いため、工事完了と同時に報告書作成を進めましょう。
ステップ7.助成金の交付
実績報告書の審査が完了すると、助成金が指定口座に振り込まれます。
交付までの期間は、報告後1~2ヶ月程度が一般的です。
振込後、交付額が確定した旨の通知が届きますので、内容を確認しましょう。
ビル外壁塗装の助成金申請に必要な書類
助成金の申請と実績報告では、多くの書類が必要となります。
ここでは、各段階で必要な書類を網羅的にリスト化し、準備漏れを防ぎます。
交付申請時に必要な書類一覧
交付申請時には、以下の書類が必要です。
- 交付申請書
- 事業計画書(工事内容、期間、費用など)
- 見積書(施工業者が作成する)
- 建物の登記簿謄本(発行後3ヶ月以内のもの)
- 納税証明書(法人税、固定資産税等の滞納がないことの証明)
- 塗料・設備の性能証明書(メーカー発行、遮熱性能・省エネ性能の証明)
- 建物図面(配置図、立面図等)
- 施工前の写真(外壁全景、劣化箇所の詳細を撮影)
- その他(事業者の登記簿謄本、印鑑証明書等)
自治体や制度によって追加書類が求められる場合があるため、公募要領を必ず確認してください。
特に重要なのが、施工業者が作成する見積書と性能証明書です。
助成金対応の経験がある業者を選定し、早めに依頼しましょう。
実績報告時に必要な書類一覧
工事完了後の実績報告では、以下の書類が必要です。
- 実績報告書
- 工事完了写真(施工前・施工中・施工後の比較写真)
- 領収書・請求書のコピー
- 施工記録(使用材料、施工方法、施工日程の記録)
- 塗料の納品書・検収書
- その他(完了検査証明書等)
工事完了写真は、報告時に最も重要な証拠となります。
施工前・施工中・施工後の各段階で、同じアングルから撮影しておくことをおすすめします。
書類作成のポイントと注意点
書類作成では、施工業者との連携が不可欠です。
見積書や性能証明書は業者が作成しますが、事業計画書や申請書は申請者(ビルオーナー)が作成する必要があります。
また、写真撮影は工事の各段階で実施し、撮り忘れがないよう注意しましょう。
さらに、書類の保管期限にも注意が必要です。
多くの制度では、交付後5年間の書類保管が義務付けられており、自治体の検査が入る場合があります。
ビル外壁塗装の費用相場と助成金活用の効果
助成金を活用すると、どれだけコスト削減できるのでしょうか。
ここでは、ビル規模別の費用相場と、助成金活用による削減効果を具体的に示します。
ビル規模別の外壁塗装費用相場
ビルの外壁塗装費用は、規模(延床面積・階数)、外壁材の種類、塗料のグレードによって大きく変動します。
以下の表で、ビル規模別の費用相場をまとめました。
| ビル規模 | 延床面積 | 費用相場 | ㎡単価 |
|---|---|---|---|
| 小規模ビル (2~4階建て) | 300~1,000㎡ | 300万~800万円 | 8,000~12,000円/㎡ |
| 中規模ビル (5~10階建て) | 1,000~3,000㎡ | 800万~2,500万円 | 6,000~10,000円/㎡ |
| 大規模ビル (10階建て以上) | 3,000㎡~ | 2,500万~8,000万円 | 5,000~8,000円/㎡ |
費用の内訳は、足場・仮設工事(15~20%)、洗浄・下地補修(20~30%)、塗料・塗装作業(40~50%)、その他(管理費等)となります。
助成金活用によるコスト削減の具体例
助成金を活用すると、工事費の一部が補助されるため、実質負担額を大幅に削減できます。
以下に、具体的なシミュレーションを示します。
例1 : 小規模ビル(工事費500万円)で脱炭素ビルリノベ事業(補助率1/2)を利用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 工事費 | 500万円 |
| 助成金 | 250万円(工事費の1/2) |
| 実質負担額 | 250万円 |
例2 : 中規模ビル(工事費1,500万円)で自治体の省エネ改修補助(補助率1/3想定)を利用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 工事費 | 1,500万円 |
| 助成金 | 500万円(工事費の1/3) |
| 実質負担額 | 1,000万円 |
このように、助成金を活用することで、実質負担を大幅に削減できます。
助成金と税制優遇の併用
助成金だけでなく、税制優遇制度も併用することで、さらにコスト削減が可能です。
例えば、中小企業経営強化税制では、一定の設備投資に対して即時償却または税額控除が受けられます。
また、自治体によっては、省エネ改修を行った建築物に対して固定資産税の減免措置を設けている場合があります。
詳細は、税理士や自治体に確認してください。
助成金以外でビルの外壁塗装費用を抑える方法
助成金が利用できない場合やさらなるコスト削減を望む場合、他の方法も検討しましょう。
ここでは、実務的なコスト削減策を紹介します。
長期修繕計画の策定と計画的な施工
ビルの外壁は、定期的なメンテナンスを行うことで、突発的な大規模修繕を避けることができます。
10~15年周期で計画的に外壁塗装を実施し、費用を平準化しましょう。
定期点検で劣化を早期発見し、小規模な補修で済ませることで、長期的にはコスト削減につながります。
複数工事の同時実施で足場費用を削減
外壁塗装と防水工事・屋上改修を同時に実施すると、足場の設置・撤去費用(工事費の15~20%)を1回分に削減できます。
これにより、15~25%のコスト削減効果が期待できます。
複数工事を計画している場合は、同時施工を検討しましょう。
複数業者からの見積もり比較
3~5社から相見積もりを取得し、価格と内容を比較しましょう。
同じ仕様でも、業者によって10~20%の価格差が発生することがあります。
ただし、価格だけでなく、施工実績・保証内容・助成金対応の可否も比較し、総合的に判断することが重要です。
塗料選定の工夫
高耐久塗料(フッ素系・無機系)は初期費用が高いですが、耐用年数が長く、長期的にはコスト削減につながります。
例えば、シリコン系(耐用年数10~12年、㎡単価2,500~3,500円)とフッ素系(耐用年数15~18年、㎡単価3,500~5,000円)を比較すると、初期費用は高いです。
しかし、塗り替え回数が減るため、ライフサイクルコスト(LCC)では有利です。
閑散期の施工でコストダウン
塗装業界の繁忙期(春・秋)を避け、閑散期(夏・冬)に施工すると、業者によっては閑散期割引を提供している場合があります。
ただし、夏の高温多湿や冬の低温は塗料の乾燥に影響するため、施工条件を業者と事前に確認しましょう。
金融機関の事業用ローン・リース活用
助成金が利用できない場合、低金利の事業用ローンやリース契約を検討しましょう。
初期費用負担を軽減し、分割払いで対応できます。
金利負担と助成金額を比較し、最適な方法を選択してください。
ビル外壁塗装の助成金に関するよくある質問(FAQ)
ビルの外壁塗装助成金について、よくある質問とその回答をまとめました。
Q
法人でも個人事業主でも助成金は使えますか?
A
はい、多くの制度は法人・個人事業主ともに対象です。
ただし、自治体によっては「市内に本店・支店がある事業者」等の条件がある場合があります。
申請前に、対象者の要件を必ず確認してください。
Q
外壁塗装だけでは助成金は出ませんか?
A
多くの制度では、外壁塗装単体ではなく、断熱性能向上や省エネ設備導入との併用が条件となります。
遮熱塗料・断熱塗料の使用や、高効率空調・LED照明の導入などが必須です。
単なる美観回復目的の塗装では対象外となります。
Q
助成金の申請はいつまでにすればいいですか?
A
工事着工前の申請が絶対条件です。
また、多くの制度は予算上限に達し次第終了するため、年度の早い時期(4~6月)に申請することをおすすめします。
公募期間を確認し、余裕を持って準備しましょう。
Q
申請手続きは自分でやる必要がありますか?
A
申請者は建物の所有者(法人・個人事業主)ですが、書類作成は施工業者や設計事務所がサポートしてくれる場合が多いです。
事前に業者に助成金対応の可否と、サポート内容を確認しましょう。
Q
「助成金で実質無料」という業者の営業は本当ですか?
A
誇大広告の可能性が高いです。
助成金は工事費の一部を補助するもので、全額が補填されることはありません。
必ず自治体の公式サイトで制度内容を確認し、不審な営業には注意してください。
まとめ
ビルの外壁塗装で助成金を活用すれば、工事費を大幅に削減できます。
法人・事業者向けの制度として、国の「脱炭素ビルリノベ事業」(最大10億円)や「ZEB補助金」(最大5億円、令和7年度公募終了)、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の自治体独自制度が存在します。
ただし、外壁塗装単体ではなく、省エネ改修との併用が条件であり、工事着工前の申請が必須です。
助成金制度は予算枠・先着順が多いため、早めの情報収集と申請準備が成功の鍵です。
また、助成金以外にも、複数工事の同時施工や相見積もり、塗料選定の工夫など、コスト削減策を併用することで、さらに費用を抑えることができます。
信頼できる施工業者と連携し、最新情報は各自治体・省庁の公式サイトで必ず確認してください。