【賃貸経営】賃貸経営の「出口」で損をしないために。売却か継続か迷うオーナーが押さえるべき5つのポイント
2026/01/22
賃貸経営を続けていると、「このまま持ち続けるべきか、それとも売却すべきか」という悩みが、あるタイミングで必ず訪れます。
空室が増えてきた、家賃が下がってきた、築年数が進み大規模修繕のタイミングが近づいている、相続やローン完済の節目が見えてきた──きっかけはオーナーごとに違っても、「出口戦略」を考える必要性は共通です。
一方で、売却と継続のどちらが正解なのかは、単純な損得勘定だけでは決められません。
修繕コストや空室リスク、税金や相続の問題など、複数の要素が絡み合うため、「ネットで一般論は読んだが、自分の物件に当てはめると判断しきれない」という声も多く聞かれます。
この記事では、賃貸経営でお悩みのオーナー様に向けて、「売るか・持つか」を冷静に判断するための視点と、修繕・売却・賃貸継続をトータルで検討する考え方をお伝えします。
目次
1.まず「売るべきか・持つべきか」を整理する
オーナーが悩む典型的なパターン
賃貸オーナーが「売却」を意識し始める場面には、いくつか典型的なパターンがあります。
- 空室が増え、家賃収入がローン返済や経費を十分にカバーできなくなってきた
- 築年数が進み、そろそろ大規模修繕のタイミングが近づいている
- 相続や資産整理のタイミングで、物件をどう扱うか検討する必要が出てきた
- ローン完済が近づき、「売って現金化するか、持ち続けて賃料収入を得るか」で迷っている
これらはいずれも、「今後10年・20年の目線で考えたときに、この物件を持ち続けることが本当に自分にとってプラスかどうか」という問いにつながります。
感覚だけで判断するのではなく、「数字」と「建物の状態」を一度冷静に棚卸しすることが、最初の一歩です。
キャッシュフローと将来の修繕コストを見える化する
売却か継続かを検討する際は、
- 現在の年間キャッシュフロー(賃料収入 − ローン返済 − 税金・保険料 − 修繕・管理費用など)
- 今後必要になる大規模修繕・各種工事の概算コスト
- 今売った場合の売却価格と手取り額のイメージ
を並べて比較することが重要です。
たとえば、今後10年間で予定される大規模修繕の費用が大きく、現状のキャッシュフローが薄い物件であれば、「修繕をして持ち続けた場合」と「修繕前に売却する場合」の両方をシミュレーションする必要があります。
このとき、修繕コストは「とりあえずの見積もり」ではなく、築年数・構造・過去の工事履歴などを踏まえた現実的な金額を前提に検討しなければ、判断を誤りやすくなります。
2.修繕を先送りした結果、売却で損をするケース
外壁・屋上・防水を放置したことで一気に価値が下がる
賃貸経営では、「今すぐ困っていないから」と修繕を先送りしてしまうケースが少なくありません。
しかし、外壁のひび割れやタイルの浮き、屋上の防水劣化、バルコニーの防水切れなどを放置すると、雨漏りや躯体の劣化を招き、結果的に建物の資産価値を大きく押し下げてしまいます。
買主側や金融機関は、「今の見た目」だけでなく、「今後どれくらいの修繕コストがかかりそうか」をシビアに見ています。
劣化が進んでいると判断されれば、「購入後すぐに大きなお金が出ていく物件」と評価され、価格交渉で大幅なディスカウントを求められたり、そもそも融資が付きにくくなったりする可能性もあります。
「とりあえず我慢」で空室と家賃下落が加速するメカニズム
外壁や共用部の見た目、エントランスの古さ、設備の劣化などを放置すると、競合物件との比較の中で徐々に選ばれにくくなり、結果として空室期間が長期化しやすくなります。
空室が増えると、「とりあえず家賃を下げて埋める」という判断になりがちですが、一度下げた家賃を元に戻すのは簡単ではありません。
こうして「修繕をしない」「家賃を下げる」「それでも入居が決まりにくくなる」という悪循環に入ると、数年単位で見たときの収益性は大きく低下します。
その時点で売却を検討しても、「修繕が必要」「収益性が落ちている」というダブルのマイナス要素があるため、オーナーが期待する価格での売却は難しくなってしまいます。
3.売却タイミングを判断する3つの軸
築年数と大規模修繕サイクルの関係
マンション・アパートは、築年数の節目ごとに大きな修繕イベントが発生します。
一般的には、外壁や防水、鉄部塗装などをまとめて行う大規模修繕は12〜15年程度のサイクルで計画されることが多く、築30年を超えると、設備や配管も含めた大掛かりな更新が必要になるケースが増えてきます。
築年数が進むほど、買主や金融機関の目線も厳しくなります。
「大規模修繕を一度も実施していない」「長期修繕計画がない」「修繕積立金が不足している」といった状態だと、購入後のリスクを考慮して価格交渉の材料にされやすくなります。
築年数とこれまでの修繕履歴を踏まえ、「どのタイミングでどの程度の工事が必要になるのか」を整理することで、売却のベストなタイミングが見えやすくなります。
金融機関・買主が見る「修繕積立金」と「管理状態」
区分マンションでも一棟でも、「管理状態」と「修繕積立金」は、買主や金融機関が重視するポイントです。
適切な長期修繕計画があり、計画に見合った積立が行われている物件は、将来の大規模修繕リスクが相対的に低いと評価されます。
逆に、修繕積立金が不足している、管理組合の合意形成がうまくいっていない、過去の工事でトラブルが発生しているといった情報があると、「将来大きな出費が必要になるのではないか」「計画通りに修繕が進まないのではないか」と懸念されます。
売却を前提にする場合でも、最低限の管理体制の整備や情報整理をしておくことで、買主側の不安を軽減し、価格面でも交渉しやすくなります。
今後10年の収支と売却価格を比較する考え方
売却タイミングを考える際には、「今売る場合」と「持ち続ける場合」の10年程度の収支を比較する視点が useful です。
- 今売却した場合の手取り額(売却価格 − ローン残債 − 諸費用・税金)
- これから10年間の賃料収入見込み(空室リスク・家賃下落を織り込む)
- その間に必要となる修繕費用(大規模修繕・設備更新など)
これらを並べてみると、「今いったん現金化して資産を組み替えるべきか」「修繕をしたうえで持ち続ける方がトータルでは有利か」の方向性が見えやすくなります。
ただし、家賃相場や今後の入居需要、金融環境など、前提条件によってシミュレーション結果は大きく変わるため、最新の市場感覚を持つ専門家のアドバイスを組み合わせることが重要です。
4.売却を前提とした「賢い修繕」の考え方
売却前にやるべき小規模修繕・やらなくてよい工事
売却を検討しているオーナーにとって悩ましいのが、「どこまで修繕にお金をかけるべきか」という問題です。
ポイントは、「やった方が明らかにプラスになる小規模修繕」と、「費用に対して売却価格への上乗せが見込みにくい大規模工事」を分けて考えることです。
例えば、
- 共有部の照明をLEDに変更し、暗さ・古さの印象を改善する
- エントランスや廊下の清掃・美装を徹底し、第一印象を上げる
- 明らかな漏水や設備不具合など、マイナス評価につながる部分だけ先に直しておく
といった小規模な改善は、比較的少ない費用で印象を大きく変えられるため、「売却前にやる価値が高い工事」といえます。
一方で、数千万円単位の大規模修繕を売却直前に実施したとしても、その全額が売却価格にそのまま上乗せされることはほとんどありません。
買主側から見れば、「必要な修繕が終わっている」ことは魅力ですが、その分を価格にどこまで反映するかは市場の評価次第であり、投下した費用を完全に回収できるとは限らないからです。
「売却+修繕」を組み合わせて出口を設計する
現実的には、「ある程度の修繕を行ったうえで売却する」「売却前提で最低限の工事をして、残りは買主側の計画に委ねる」といった柔軟な出口設計が求められます。
ここで重要になるのが、「工事会社の目線」と「売却市場の目線」を両方踏まえた判断です。
- 工事会社の立場から
- どの部位が「今すぐ手を入れるべきレベル」なのか
- どこまで補修すれば、一定期間安心して使える状態になるのか
- 売却市場の立場から
- どの工事が買主からの評価につながりやすいか
- どこまで整っていれば、金融機関の評価が安定するか
これらを踏まえて、「この金額までなら、売却前に手を入れる価値がある」「ここから先は買主の判断に委ねてもよい」といったラインを決めていく必要があります。
売却の直前ではなく、1〜2年前のタイミングから出口を見据えて計画的に工事を組み立てることで、費用対効果の高い修繕と、スムーズな売却の両立がしやすくなります。
5.一人で悩まず専門家を巻き込むメリット
工事会社だからこそ言える「直したほうが得な箇所/やらなくてよい箇所」
一般的な不動産会社は、売買のプロであっても、工事の技術的な中身までは踏み込めないことが多くあります。
そのため、「とりあえず修繕した方が印象は良くなります」といった抽象的なアドバイスに留まり、具体的にどこまで手を入れるべきかはオーナー任せになりがちです。
一方で、防水・外壁・大規模修繕の実務を多く手がけている工事会社であれば、
- 現在の劣化状況から見て、放置するとどの程度のリスクがあるか
- 最小限の費用で、どこまで安心できる状態にできるか
- 今やるべき工事と、次のオーナーに任せてもよい工事の線引き
といった現実的な判断基準を示すことができます。
売却と修繕が絡む局面では、「工事会社ならではの視点」を組み合わせることで、ムダな投資を避けつつ、物件の価値を守ることが可能になります。
売却・修繕・賃貸継続を並べて比較し、最適な選択肢を提案
オーナーにとっていちばん困るのは、「誰に相談しても、売却だけ・工事だけ・管理だけの話になってしまい、全体像が見えない」という状況です。
本来必要なのは、
- 売却した場合のシミュレーション
- 修繕をして持ち続けた場合のシミュレーション
- 管理や運営を見直して収益性を高める選択肢
を横並びで比較し、「どの選択が、そのオーナーと物件にとってベストか」を一緒に考えることです。
賃貸経営でお悩みのオーナー様向けLPでは、まさにこうした「全体設計」を重視し、物件の現状やオーナーの事情に合わせて、売却・修繕・賃貸継続の選択肢を整理するコンセプトが掲げられています。
一方向に誘導するのではなく、「メリット・デメリットを正直にお伝えし、そのうえで最適な判断材料を提供する」というスタンスで関わることが、長期的な信頼につながると考えられています。
無料相談でできること
売却か継続かで悩んでいる段階でも、早めに専門家へ相談することで、独りで悩んでいるだけでは見えてこなかった選択肢が見えてきます。
例えば、
- 図面・長期修繕計画・過去の工事履歴の棚卸し
- 現地確認による劣化状況のチェックと、必要工事の優先順位付け
- エリアの賃貸需要と売却市場の両方を踏まえたシミュレーション
- 「今すぐ売る」「数年後の売却を見据えて準備する」「修繕して持ち続ける」など複数パターンの検討
といった内容を整理することで、漠然とした不安が「具体的な選択肢」と「数字」に置き換わります。
そのうえで、「最終的にどの道を選ぶか」はオーナー自身が決めることですが、その判断をするための材料づくりを一緒に行うのが、専門家の役割です。
賃貸経営の出口は、一度決めてしまうと後戻りが難しいテーマです。
だからこそ、「修繕」「空室」「資産価値」「相続」といった要素をバラバラに見るのではなく、全体をつなげて整理することが重要になります。
売却か継続かで迷っている時期こそ、最も価値のある相談のタイミングです。
「まだ決めきれていない」「方向性を整理したい」という段階からでも、ぜひ遠慮なく専門家を巻き込み、物件とご自身にとって納得のいく出口戦略を一緒に組み立ててください。