【賃貸経営】<第1回>これから賃貸経営を始める人がまず読む記事|失敗しないための目的設定・準備・出口戦略
2026/01/27
目次
賃貸経営は「買って終わり」ではない
「節税になる」「年金代わりになる」「ほったらかしで家賃収入」といった言葉に惹かれて、アパート・マンション・ビルの賃貸経営を検討する人は少なくありません。
しかし、準備不足のまま始めてしまうと、数年後に「思ったよりお金が残らない」「修繕とローンで資金繰りが苦しい」という状況に陥るケースも多いのが現実です。
この記事では、これから賃貸経営を始める初心者向けに、
- 始める前に決めておくべきこと(目的・予算・出口)
- 物件選びで気をつけるポイント
- 初心者にありがちなミス・落とし穴と、その対処法
を整理し、「始めてから後悔しない」ための考え方を解説します。
始める前に決めるべき「目的・予算・出口」
目的があいまいなまま始めるとブレやすい
まずは、「なぜ賃貸経営をしたいのか」をはっきり言葉にすることが重要です。
- 老後資金のために、毎月〇万円の手残りが欲しい
- 将来の子どもの学費やライフイベントに備えたい
- 将来自分で住むことも視野に入れておきたい
目的が具体的だと、物件規模・エリア・ローン年数などの判断基準もぶれにくくなります。
無理のない「予算」と「リスク許容度」を決める
次に、「最悪どこまでなら耐えられるか」を決めておきます。
- 毎月の持ち出し(赤字)はいくらまでなら許容できるか
- ローン残高に対して、預貯金や他の資産とのバランスは大丈夫か
- 仕事や家族状況が変わっても返済を続けられるか
「銀行が貸してくれる金額」=「自分が借りていい金額」ではありません。
将来の収入変動や家族のライフプランも考えて、「ここを超えたら危険」というラインを自分なりに決めておきましょう。
出口戦略を「買う前」にざっくり決める
賃貸経営で見落とされがちなのが、「いつ・どうやって終わるか(出口)」です。
- ローン完済まで持ち続ける前提なのか
- 何年目で売却益を狙うのか
- 相続まで見据えて子どもに引き継ぐ前提なのか
出口をざっくりでも決めておくと、売却しやすいエリア・間取り・規模かどうかも物件選びの基準になります。
物件選びで必ずチェックしたいポイント
「利回りだけ」で選ぶのは危険
ネットや営業資料に出ている表面利回りだけで判断するのは危険です。
- 想定賃料が相場より高く設定されていないか
- 空室期間や賃料下落を織り込んだ「実質利回り」になっているか
- 修繕費・管理費・税金を引いたあとの手残りがどれくらいか
「利回り〇%」よりも、「実際に年間いくら残るか」「5年後・10年後も同じ水準が続くか」を見る癖をつけましょう。
エリアと建物の「将来性」を見る
- 人口や世帯数が増えているエリアか
- 駅距離・生活利便性・学校・病院など、入居者から見た魅力があるか
- 競合物件(新築・リノベ)の供給状況はどうか
築年数だけでなく、「10年後も入居者から選ばれる場所か」を意識してチェックすることが大切です。
初心者にありがちなミス・落とし穴と対処法
ミス① 節税メリットだけで判断してしまう
「節税になるから」「給与の税金を減らせるから」と勧められて始め、実際にはキャッシュフローがマイナスになってしまう例があります。
【落とし穴】
- 節税で税金は減っても、手元のお金自体は目減りしている
- 収入が減ったり、ローン返済が重くなると一気に苦しくなる
【対処法】
- 「税金をいくら減らせるか」ではなく、「現金がいくら残るか」を最優先で見る
- 税理士など第三者に、節税後のキャッシュフローも含めてシミュレーションしてもらう
ミス② 修繕費と大規模修繕を甘く見ている
築古物件ほど、「外壁・屋上防水・設備更新」などの大きな修繕が必要になります。
【落とし穴】
- 表面利回りは高いが、数年後の大規模修繕で一気にキャッシュアウト
- 修繕を先送りしているうちに、入居者離れや事故リスクが高まる
【対処法】
- 購入前に、過去の修繕履歴と今後の修繕見込みを必ず確認する
- 買ってから数年間は、家賃収入の一部を「修繕積立」として別口座に貯めておく
ミス③ 空室リスクと賃料下落を織り込んでいない
満室想定の収支表だけを見て「大丈夫」と判断すると、想定外の空室で一気に計画が崩れます。
【落とし穴】
- 1〜2室空いただけで赤字に転落する設計になっている
- 周辺に新築物件が建ち、家賃を下げないと埋まらなくなる
【対処法】
- 最初から「平均80〜90%稼働」くらいで収支を組んでみる
- 周辺相場と競合状況を定期的にチェックし、必要なら賃料・募集条件・リフォームで柔軟に対応する
もし失敗してしまったときの「立て直し方」
「もう買ってしまった」「思っていたより厳しい」という状況でも、打てる手はあります。
- 現状の収支とローン残高を整理する(見える化)
- 修繕計画と優先順位をプロと一緒に作り直す
- 家賃・空室・コストの見直しで、できる限りキャッシュフローを改善する
- 必要であれば、一部売却や借換えも含めて「規模の調整」を検討する
大切なのは、「なんとなく我慢して持ち続ける」か「感情的に投げ売りする」かの二択にしないことです。
数字と現実を整理したうえで、「持ち続けるか・規模を縮小するか・撤退するか」を冷静に選び直すことで、ダメージを最小限に抑えられます。
これから始める人への答え
これから賃貸経営(アパート・マンション・ビル)を始めるなら、
- 目的・予算・出口を「買う前」に決める
- 表面利回りではなく、「将来の修繕」と「現金の手残り」で見る
- 初心者が陥りやすいミス(節税だけで判断・修繕軽視・空室リスク軽視)を避ける
この3つを意識するだけで、失敗の確率は大きく下げられます。
賃貸経営は、うまく設計できれば長期的に家計と資産を支えてくれる仕組みになりますが、準備不足のまま走り出すと「もう限界」と感じる日も早くやってきます。
だからこそ、「始める前にしっかり考える」「もし想定と違ったら立て直す」という2つの視点を持って、一歩を踏み出していくことが大切です。