【マンション経営】親のマンションを相続したら「売る・貸す・自分で住む」どれが正解?判断のポイントを分かりやすく解説
2026/01/28
目次
親のマンションを相続したあとに選べる3つの道
親のマンションを引き継いだとき、基本の選択肢は三つです。
ひとつは売って現金にすること。もうひとつは人に貸して家賃収入を得ること。最後は自分や家族が住むことです。
これらはどれかが絶対正解というものではなく、「そのマンションの条件」と「あなたの家族の事情」と「これからの暮らし方」の組み合わせで変わります。
大事なのは、「何となく雰囲気で決める」のではなく、一度立ち止まって、それぞれのメリットと注意点を知ったうえで選ぶことです。
売る場合のメリット・デメリットと向くケース
売ることの一番のメリットは、マンションを元手にまとまった現金を作れることと、その後の管理の手間から解放されることです。
ローンが残っていれば売却代金で完済し、残りを老後資金や貯金、教育費、持ち家の繰り上げ返済などに回せます。
また、持ち続けていれば必ずついて回る管理費・修繕積立金・固定資産税などの出費をゼロにできるので、「毎月じわじわ出ていくお金」がなくなる安心感もあります。
売ることが向きやすいのは、誰も住む予定がなく、そのエリアに家族が暮らし続ける可能性も低いケースです。
たとえば、地方のマンションで、自分や子どもたちは都市部に仕事と生活基盤を持っているような場合、わざわざ移り住むプランは現実的ではないことが多いでしょう。
また、築年数が古く、近いうちに大規模修繕や設備交換が必要になりそうなのに、その費用を準備する余裕がなさそうな場合も、思い切って売却しておいた方が、後から大きな請求に驚かされるリスクを減らせます。
相続税や他の借金の返済など、期限のあるお金の用事が見えているときも、売却で資金を確保するのは現実的な選択です。
一方、売ることにもデメリットがあります。
まず、必ずしも希望通りの価格で売れるとは限らないことです。築年数、駅からの距離、方角、眺望、管理の状態、周辺の売り出し状況によって、査定額は大きく変わります。もし建物全体の管理が良くない場合、築年数以上に評価が下がることもあります。
また、一度売ってしまうと、その部屋に住む可能性はほぼなくなります。将来、「やはりこのエリアで暮らしたい」と思っても、同じ部屋を買い戻すことはまずできません。
「思い出の場所」という意味合いが強い場合、この点はよく考えておく必要があります。感情とお金、どちらを優先したいのかを自分の中で整理しておくと、あとから悔いが残りにくくなります。
貸す場合のメリット・デメリットと向くケース
次に、「賃貸に出して貸す」場合です。
賃貸に出せば、家賃収入を受け取りながら、マンション自体は自分の名義のまま残すことができます。
「いまは使う予定がないけれど、将来子どもが住むかもしれない」「いきなり売るのは決めきれないので、しばらく様子を見たい」といった場合には、一度貸してみる選択は現実的です。
ただし、「貸せば家賃がそのまま丸々プラスになる」と考えるのは危険です。
実際には、家賃収入から管理費や修繕積立金、固定資産税、火災保険、共用部の電気や清掃にかかる費用など、さまざまな支出が差し引かれます。
さらに、入居者が退去すれば、その期間は家賃がゼロになりますし、次の入居者を探すために原状回復工事や設備の入れ替えが必要になることも多いです。
管理会社に委託する場合には、募集や入居者対応の代行の代わりに、管理手数料もかかります。
「貸す」ことが向いているかどうかを見るときは、そのエリアで安定して借り手がついているかどうかが重要です。
駅からの距離、周辺の賃貸募集状況、似た築年数・間取りの物件の賃料と空室率、といった情報は、不動産会社に尋ねると現場感を持って教えてもらえます。
そのうえで、仮に家賃がどのくらいで貸せそうかを教えてもらい、そこから管理費や修繕積立金、固定資産税などを引き算して、年単位でいくら残るかをざっくり計算してみると、現実のイメージがつかみやすくなります。
賃貸として持つ強みは、売るかどうかを「あとから」決められる余地が残ることです。
たとえば数年貸してみて、「思ったより安定して収入が入るからこのまま保有しよう」と判断することもできますし、「管理の手間やリスクの方が大きい」と感じた段階で売却に切り替えることもできます。
ただし、持ち続けるほど建物は古くなり、将来の修繕リスクは大きくなるので、「いつまで持つか」の目安は頭の片隅に置いておいた方が安心です。
自分や家族が住む場合のメリット・デメリットと向くケース
三つ目は、「自分や家族が実際に住む」選択です。
親のマンションに住むことで、賃貸の家賃を払い続ける必要がなくなったり、今の持ち家から住み替えることでローンを抑えられたりする場合もあります。
実家や親族の近くで暮らしたい、子育てや介護の面で協力しやすい距離に住みたい、といった希望があるなら、住む選択は生活そのものを変える大きなきっかけになります。
ただし、「住めるかどうか」は、経済的な面だけでなく、生活の動線や家族のライフスタイルにも大きく左右されます。
通勤時間が極端に長くなってしまう、子どもの学校を変えざるを得ない、普段利用するスーパーや病院が遠い、といった状況になると、毎日の小さなストレスが積もりやすくなります。
今の暮らしと比べて、「ここに住むと生活が良くなるのか、悪くなるのか」「家族はどう感じているのか」をよく話し合う必要があります。
持ち主として住む場合も、管理費・修繕積立金・固定資産税は毎年かかります。
賃貸とは違い、自分がオーナー側になるので、共用部分の大規模修繕などについて、管理組合からの負担も避けられません。
古い設備や内装の場合、入居前にリフォームが必要になることもあります。キッチンやお風呂、床や壁の張り替えなど、まとまった費用を想定しておくことで、「住み始めてから思った以上にお金がかかってしまった」という戸惑いを減らせます。
「住む」選択が向いているのは、生活圏が自分たちの暮らしと相性が良く、通勤・通学・生活環境が今より大きく悪化しない、またはむしろ良くなるケースです。
逆に「便利だけど静かに暮らしたい自分たちには合わない」「今の仕事や学校との相性が悪い」と感じる場合は、住むことそのものがストレスになる可能性があります。
そうした場合は、無理をせず、「売る」か「貸す」のどちらかを選ぶ方が、結果として家族の負担は少なくなることが多いです。
三つの選択肢をどう比べるか
三つの選択肢を比べるときに迷ってしまうのは、「感情」と「数字」と「将来の暮らし方」が同時にからむからです。
ここで役立つのは、順番を決めて考えることです。
最初に、「このマンションに対して、自分や家族がどんな気持ちを持っているか」を言葉にしてみます。
親の思い出の場所として残したいのか、それとも「親には悪いけれど、自分たちの生活を優先したい」と感じているのか。
自分たちの本音を整理しておくだけでも、あとから決断したときの納得感が変わります。
次に、「数字」の話に移ります。
不動産会社にお願いして、売却した場合のおおよその価格と、貸した場合の想定賃料を教えてもらいます。
そこからローン残高、管理費・修繕積立金、固定資産税などを引き算して、「売った場合に手元にどれくらい残りそうか」「貸した場合、年にいくらくらいのプラスになりそうか」をざっくり計算してみます。
住む場合は、「今の住まいのコスト」と「親のマンションに住んだときのコスト(管理費など+リフォーム代)」を比較してみると、イメージがつきやすくなります。
最後に、「自分たちのこれからの暮らし方」と照らし合わせます。
仕事、子どもの進学、親の介護、自分たちの老後など、数年先〜十数年先のライフプランを思い浮かべたときに、どの選択肢が一番「無理が少ないか」を考えてみます。
たとえ収入面では少し損をするように見えても、生活の安定や心の余裕を優先した方がよい家庭もありますし、逆に「多少の手間はあっても、家賃収入を大事にしたい」という家庭もあります。
結局どう決めればいいのか
親のマンションを「売る・貸す・自分で住む」どれを選ぶかは、一言で言えば、
「その選択をしても、自分と家族の生活と気持ちが、長い目で見て前向きに続けられるかどうか」
で考えるのが一番シンプルです。
売ることを選んだとしても、「きちんと数字と気持ちを整理して決めた」のなら、それは立派な選択です。
貸すことを選ぶなら、「手間やリスクも含めて受け止める覚悟」があるかどうかが大切です。
住むことを選ぶなら、「生活の変化とコスト」をしっかり理解したうえで踏み出すことが大事です。
どの道を選んでも、完璧な正解はありません。
だからこそ、「情報を集め、数字を見て、家族で話し合って決めたかどうか」というプロセスの方が、あとから振り返ったときの安心につながります。
親のマンションをどうするか迷っているなら、まずは一度、今書いた視点で「売る」「貸す」「住む」を紙に書き出して比べてみてください。
その一歩が、自分たちの家族にとっていちばん無理のない答えに近づくきっかけになります。