【賃貸経営】悩んだとき「誰に相談すればいいか分からない」あなたへ|状況別の相談先と、第三者に頼るタイミング

まず「悩みの種類」をざっくり分ける

いきなり相談先を探し始めると、「銀行? 不動産会社? 税理士? 行政?」と余計に迷いが増えることがあります。
最初の一歩として、自分の悩みが次のどれに近いかをざっくり決めておくと、動きやすくなります。

1つめは「収支と空室」の悩みです。

家賃収入が思ったより残らない、空室が埋まらない、家賃を下げるべきか分からない、といったお金と募集に関するものです。

2つめは「建物と修繕」の悩みです。

外壁・屋上・共用部・設備の老朽化、管理組合からの修繕案内や見積もり、建て替えの話などが中心になります。

3つめは「税金・相続・名義」の悩みです。

所得税や住民税、相続税、譲渡税、法人化、持分の整理、親子での引き継ぎなどがここに入ります。

4つめは「人・トラブル」の悩みです。

入居者同士のトラブル、クレーム、滞納、近隣との関係、管理会社との関係悪化などが含まれます。

5つめは「全体像が分からない」という悩みです。

どれが一番の問題なのか、自分では言語化できない/複数が絡み合っている状況です。

「自分は今どの箱に近いか」を決めるだけでも、一歩前に進みます。

空室・家賃・募集条件で悩んだときにやること

空室や家賃で悩むと、つい「立地が悪いから仕方ない」とあきらめてしまいがちです。
ただ、同じエリアでも、空室が短い物件と長い物件があるのは事実で、その差は「見せ方」と「条件設定」による部分が大きいです。

相談前に、自分でやっておきたい整理は次の3つです。

1つめは「ここ1〜2年の空室状況のメモ」です。

どの部屋が、何か月空いたか、どの家賃で決まったか、簡単に書き出しておくと、プロに見せたときに話が早くなります。

2つめは「近隣の募集情報のチェック」です。

ポータルサイトで同じエリア・似た条件の物件を5〜10件ほど見て、自分の物件との違い(家賃・築年数・設備・写真の見せ方など)をざっくりメモします。

3つめは「自分ができる範囲の改善ライン」です。

たとえば「家賃ならこのくらいまで下げられる」「設備投資なら、1室あたり○万円までなら検討できる」といった、許容範囲をはっきりさせておきます。

この状態で、管理会社や近隣の仲介会社に「データを見ながら、何がネックか意見を聞かせてほしい」と相談すると、具体的な打ち手が出やすくなります。
そこで出てきた案がバラバラだったり、腹落ちしなかったりする場合に、「第三者として全体を整理してほしい」という役割の専門家が効いてきます。

修繕・大規模工事・建て替えで悩んだときにやること

修繕や建て替えの話は、金額が大きく、専門用語も多いため、ほとんどのオーナーが「よく分からないまま判子を押してしまう」危険ゾーンです。

相談前に、自分で整理しておきたいのは次の3つです。

1つめは「これまでの修繕履歴」です。

いつ、どこを、いくらかけて直したか。分かる範囲で結構なので、年表にしておきます。

2つめは「今提案されている工事の内容と金額」です。

見積書や長期修繕計画があるなら、「どの部分に、いくらかかるのか」「何年に一度を想定しているのか」に線を引いておきます。

3つめは「今の手持ち資金と、追加で出せる限度額」です。

預貯金からどこまで修繕に回せるか、新たな借入はどこまで許容できるか、自分なりのラインを書いておきます。

この材料が揃っていると、工事会社・管理会社に「本当に今必要な工事はどこか」「省いてもよい部分はどこか」を具体的に聞きやすくなります。
そして、「この工事をした場合・しなかった場合の収支や出口」をセットで見たいと感じたら、そこで初めて「経営の視点で一緒にシミュレーションしてくれる人」の出番になります。

税金・相続・法人化で悩んだときにやること

税金や相続は、調べれば調べるほど不安になるテーマです。
しかも、「節税」を優先しすぎると、キャッシュフローや出口が悪くなることもあります。

相談前にやっておきたい整理は、次の3つです。

1つめは「今の名義とローン状況の一覧」です。

誰の名義で、どの物件を持っていて、ローン残高と返済期間はどうなっているかを1枚の紙にまとめます。

2つめは「今の税金のざっくりした額」です。

確定申告書や納税通知書を見ながら、「賃貸経営でどのくらい税金が出ているのか」を目で見えるようにします。

3つめは「家族構成と、ざっくりした希望」です。

誰にどのくらい残したいのか、相続人は何人か、すでに話し合いはできているのか、将来住む可能性はあるのか、といった希望を書き出します。

この状態で税理士や相続窓口に相談すれば、「現状」と「税金の効き方」はかなりクリアになります。
そのうえで、「賃貸経営として持ち続けるのか」「売却や一部整理も含めて考えるのか」を一緒に検討したいタイミングで、経営目線・相続目線の両方を俯瞰できる立場の人に入ってもらうと、判断が一気にしやすくなります。

入居者トラブル・管理会社トラブルで悩んだときにやること

人の問題は、数字以上にストレスを感じやすい部分です。
ただ、「誰が悪いか」だけを考えていると、解決より感情の対立に向かいやすくなります。

相談前にやるべきは、感情ではなく事実を整理することです。

1つめは「いつ・どこで・何が起きたか」のメモです。

日時、場所、内容、相手の言動、自分(または管理会社)が取った対応を簡潔に書いておきます。

2つめは「契約書・ルールと照らしたときにどうか」のチェックです。

賃貸借契約書や管理規約で、該当しそうな条文に蛍光ペンを引き、「これはルール違反に当たるのか」「グレーゾーンなのか」を確認しておきます。

3つめは「自分が何を望んでいるか」の整理です。

該当の入居者に出て行ってほしいのか、改善してくれればいいのか、謝罪が欲しいのか。最終的なゴールが違えば、取るべき対応も変わります。

この材料を揃えてから管理会社やトラブル窓口に相談すると、対応の選択肢とリスクを整理しやすくなります。
もし「物件自体がストレス源になっている」と感じるなら、そこで初めて「そもそもこの物件を続けるべきか」を含めて相談する段階です。

それでも分類できない・複数絡んでいるとき

実際には、「空室+修繕+ローン+相続」が一気に絡んでいるケースも多く、「どこが本丸か分からない」という状態になります。
この「複合パターン」のときこそ、最初から“誰に相談するか”を決めようとしない方がうまくいきます。

やるべきは、「悩んでいること・不安なこと・分からないこと」を箇条書きで全部出してしまうことです。
空室、家賃、修繕、税金、ローン、相続、家族の本音…。思いつくままに書き出し、それを「お金」「建物」「人」「手続き」の4つくらいにグループ分けしてみます。

そうすると、「本当に一番怖いのはどこか」が見えてきます。
・お金:このまま続けると生活が壊れそう
・建物:修繕や老朽化が怖い
・人:トラブル疲れ・家族との意見の対立
・手続き:税金や相続で何をすべきか分からない

ここまで整理したメモを持って、「まず状況を一緒に整理してほしい」と話せる相手に相談すると、「この部分は税理士に」「ここは銀行に」「ここは工事会社に」「ここは管理会社と打ち合わせを」と、地図を描いてもらいやすくなります。

賃貸経営で悩みが絡み合ってくると、「空室なのか、修繕なのか、税金なのか、自分でも何が問題の本丸なのか分からない」という状態になりがちです。通帳や見積書、管理組合からの資料を机の上に積んだまま、「そのうち時間ができたら整理しよう」と先送りしているうちに、状況は少しずつ悪化していきます。家族や配偶者にも本当の数字を話せず、一人で不安を抱え込んだまま、「どこに相談するのが正解なのか」を検索してこの記事にたどり着いている方も多いはずです。

そうなる前に、自分だけで完璧な答えを出そうとするのをいったんやめて、まずは今の状況と数字を一緒にテーブルの上に並べてくれる相手を持つことが、実は一番の近道です。どの専門家に何を頼むかを決めるより先に、「悩みの全体像」を一緒に整理してくれる人と話すことで、自然と「この部分は税理士に」「ここは工事会社に」「ここは管理会社と協議を」と道筋が見えてきます。どこに相談するかに迷って動けなくなる前に、“まず現状を一緒に整理してくれる人”に出会った方が、遠回りも失敗も少ないです。