【賃貸物件】築古物件の収益改善|修繕・リノベ・売却どれを選ぶべきか
2026/01/29
目次
はじめに:築古物件は「問題」ではなく「選択肢」の問題
築20年、30年と経過した物件を持っていると、「このまま持ち続けていいのか」「修繕にお金をかけるべきか」「いっそ売却した方がいいのか」と悩むオーナーは多いです。
築古物件は確かに課題を抱えやすい一方で、正しい判断をすれば、まだまだ収益を生み出す資産でもあります。
逆に、判断を誤れば、修繕費をかけても回収できない、売却しても損が出る、という結果にもなりかねません。
この記事では、築古物件が抱える課題を整理したうえで、「修繕で延命」「リノベで価値向上」「売却で撤退」という3つの選択肢を比較し、どの選択肢が自分の状況に合っているかを判断するためのフレームワークを提供します。
築古物件が抱える3つの課題
課題1:空室率の上昇
築年数が経過すると、新築・築浅物件との競争で不利になり、空室が埋まりにくくなる傾向があります。
特に、設備や内装が時代遅れになっている場合、同じ賃料帯の競合物件に入居者を奪われやすくなります。
課題2:賃料の下落
築古物件は、新築時と比べて賃料が下がっていくのが一般的です。
エリアや物件タイプによりますが、築20年で新築時の80〜90%、築30年で70〜80%程度まで下落するケースも珍しくありません。
課題3:修繕費の増加
築年数が進むほど、設備の故障、外壁・屋根の劣化、配管の老朽化などが進み、修繕費用が増加します。
特に、大規模修繕を1回も行っていない築20年超の物件は、複数箇所を同時に修繕する必要があり、費用負担が重くなりがちです。
選択肢1:修繕で延命する
どんな場合に向いているか
- エリアの賃貸需要がまだ安定している
- 修繕後も一定の賃料・入居率が見込める
- あと10年以上は保有する予定がある
- 建物の構造自体は健全で、表層的な修繕で対応できる
メリット
- 建物の寿命を延ばし、長期的な家賃収入を確保できる
- 売却よりも手続きがシンプルで、現状のまま経営を継続できる
- 修繕によって空室対策・賃料維持につながる可能性がある
デメリット
- 修繕費用が高額になる場合、回収までに時間がかかる
- 修繕しても賃料アップや空室改善が見込めないエリアでは効果が薄い
- 築年数が進むと、修繕しても「次の修繕」がすぐに必要になる可能性がある
費用対効果の考え方
修繕費用を「何年で回収できるか」で判断するのが基本です。
例:修繕費200万円 ÷ 年間キャッシュフロー改善額40万円 = 5年で回収
回収期間が5年以内なら積極的に検討、10年以上かかるなら慎重に、という目安が一般的です。
選択肢2:リノベーションで価値を上げる
どんな場合に向いているか
- 立地は良いが、建物・設備の古さがネックになっている
- 競合との差別化で賃料アップ・空室改善が見込める
- ターゲット層を変えることで、新たな需要を取り込める可能性がある
- 長期保有を前提に、物件の競争力を抜本的に高めたい
メリット
- 大幅な賃料アップや空室率改善が期待できる
- 物件の競争力が上がり、長期的な収益性が向上する
- 売却時の評価額アップにもつながる可能性がある
デメリット
- 修繕と比べて費用が高額になる(1戸あたり100〜300万円以上かかることも)
- 工事期間中は家賃収入が途絶える
- リノベ後の賃料・入居率が想定通りにいかないリスクがある
リノベの具体例
- 3点ユニット → バス・トイレ別に変更
- 和室 → 洋室化
- 間取り変更(2DK → 1LDKなど)
- 宅配ボックス・無料Wi-Fi・防犯カメラの設置
- デザイン性の高い内装・設備への刷新
費用対効果の考え方
リノベ費用は修繕より高額になるため、「賃料アップ額×想定保有年数」と「リノベ費用」を比較して判断します。
例:賃料アップ月1万円 × 12ヶ月 × 10年 = 120万円
→ リノベ費用が100万円以下なら投資価値あり、200万円以上なら慎重に検討
選択肢3:売却して撤退する
どんな場合に向いているか
- エリアの賃貸需要が明らかに減少している
- 修繕・リノベをしても収益改善が見込めない
- 修繕費用が高額で、回収の見通しが立たない
- 他の物件や他の投資に資金を振り向けたい
- 相続・ライフプランの変化で、不動産を整理したい
メリット
- まとまった資金を手元に戻せる
- 今後の修繕費・管理の手間から解放される
- 資金を他の物件や投資に振り向け、ポートフォリオを再構築できる
デメリット
- 売却価格がローン残高を下回る場合、持ち出しが発生する
- 売却益が出る場合、譲渡所得税がかかる
- 売却までに時間がかかる場合がある(特に築古・地方物件)
売却の判断ポイント
- 現在のローン残高と売却想定価格を比較し、「含み益」か「含み損」かを把握する
- 修繕せずに売却する場合と、修繕後に売却する場合の価格差を試算する
- 売却後の資金で何をするか(他物件購入・借入返済・現金化など)を明確にしておく
3つの選択肢を比較する判断フレームワーク
以下のフローで、どの選択肢が自分に合っているかを整理できます。
ステップ1:エリアの賃貸需要を確認
- 需要が安定 or 増加傾向 → 修繕 or リノベを検討
- 需要が減少傾向 → 売却を優先的に検討
ステップ2:建物の状態を確認
- 構造は健全、表層的な修繕で対応可能 → 修繕
- 構造は健全だが、設備・内装の刷新が必要 → リノベ
- 構造にも問題あり、修繕費が高額 → 売却 or 建替え
ステップ3:費用対効果を試算
- 修繕・リノベ費用を何年で回収できるか
- 売却した場合の手残り資金はいくらか
- どちらが「今後10年のトータルリターン」で有利か
ステップ4:オーナー自身のライフプランと照らす
- あと何年保有するつもりか
- 手間をかけられるか、任せたいか
- 相続や資金ニーズの予定はあるか
まとめ:正解は「物件ごと」に違う
築古物件の収益改善には、「修繕」「リノベ」「売却」という3つの選択肢がありますが、どれが正解かは物件の状態、エリア、オーナーのライフプランによって異なります。
大切なのは、感覚や思い入れではなく、数字とデータに基づいて判断することです。
そして、判断に迷ったときは、第三者の専門家に相談することで、客観的な視点を得ることができます。