【賃貸経営】賃貸マンション・アパートの大規模修繕費用はいくらかかる?戸数別・㎡単価でざっくりつかむ相場感
2026/02/16
「大規模修繕って結局いくらかかるのか」「見積もりの金額が高いのか安いのか判断できない」という声は、賃貸オーナーから非常に多く聞かれます。
この記事では、賃貸マンション・アパートの大規模修繕について、「㎡あたり」「戸数あたり」の両方から相場感を整理しつつ、「こまめに修繕してきた場合」と「小さい修繕をしてこなかった場合」でどれくらい費用に差が出やすいのかも解説します。
目次
大規模修繕で何をやるのか(ざっくり中身)
大規模修繕と聞くと「外壁の塗装工事」というイメージが強いかもしれませんが、実際には次のような工事項目が一式で行われることが多いです。
- 仮設工事(足場・ネット養生など)
- 外壁の補修・洗浄・塗装
- 屋上・バルコニーの防水工事
- 共用廊下・階段の床仕上げ(長尺シートなど)の更新
- 鉄部の錆止め・塗装(手すり・階段・扉など)
- シーリング(コーキング)打ち替え
- 共用部の天井・壁の補修・塗装
こうした工事をまとめて行うことで、建物の防水性能と安全性を回復し、見た目の印象も整えるのが大規模修繕の役割です。
㎡単価から見る大規模修繕費用の目安
マンションの大規模修繕費用は、「建物全体の延べ床面積」に対する㎡単価で語られることが多くあります。
国土交通省の実態調査や各種事例をベースにすると、一般的な目安は次の通りです。
- マンション大規模修繕の費用相場
→ 1㎡あたり 約6,000〜15,000円程度
たとえば、延べ床面積が2,000㎡のマンションの場合、
- ㎡単価 6,000円の場合:2,000㎡ × 6,000円 = 約1,200万円
- ㎡単価 10,000円の場合:2,000㎡ × 1万円 = 約2,000万円
- ㎡単価 15,000円の場合:2,000㎡ × 1万5,000円 = 約3,000万円
一般に、
- 1回目の大規模修繕(築12〜15年目):㎡単価は比較的低めに収まるケースが多い
- 2回目以降(築25年・40年など):補修範囲が増え、㎡単価も高くなりやすい
と言われており、「何回目の大規模修繕か」によっても相場が変わってきます。
戸数あたりの費用(1戸あたりいくらか)で見る相場
オーナー目線で一番イメージしやすいのは、「1戸あたりでいくら負担するイメージか」という見方かもしれません。
国土交通省の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、戸あたり工事金額は次のような分布になっています。
- 戸あたり工事金額の分布
- 「100〜125万円/戸」が最も割合が高い
- 次に多いのが「75〜100万円/戸」「125〜150万円/戸」
また、工事回数別の総工事金額は、
- 1回目の大規模修繕:4,000〜6,000万円の帯が多い
- 2回目:6,000〜8,000万円の帯が多い
- 3回目以降:6,000〜8,000万円に加え、1億〜1億5,000万円も増える
このデータを踏まえると、ざっくりとしたイメージとしては、
- 初回の大規模修繕:1戸あたり 約75〜100万円前後
- 2回目以降:1戸あたり 約100〜150万円前後になることもある
と考えておくと、大きく外さない感覚になります。
戸数別のざっくり試算イメージ(10戸・20戸・50戸)
分かりやすくするために、「1戸あたり100万円」と「1戸あたり120万円」という2パターンで、戸数別のざっくり金額を並べてみます。
- 前提
- 1回目の大規模修繕:1戸あたり100万円
- やや手厚い工事を想定:1戸あたり120万円
1)10戸の小規模マンション・アパート
- 1戸あたり100万円の場合:
10戸 × 100万円 = 約1,000万円 - 1戸あたり120万円の場合:
10戸 × 120万円 = 約1,200万円
2)20戸クラスのマンション
- 1戸あたり100万円の場合:
20戸 × 100万円 = 約2,000万円 - 1戸あたり120万円の場合:
20戸 × 120万円 = 約2,400万円
3)50戸クラスのマンション
- 1戸あたり100万円の場合:
50戸 × 100万円 = 約5,000万円 - 1戸あたり120万円の場合:
50戸 × 120万円 = 約6,000万円
実際の現場では、
- 10〜40戸規模で基本的な大規模修繕だけ行う場合:戸あたり30〜50万円台
- 劣化補修や設備更新まで含めると、戸あたり70〜100万円を超えるケース
といった試算も紹介されています。
建物の規模が小さいほど足場など共通工事の比率が高くなり、戸あたり単価は割高になりやすい点にも注意が必要です。
こまめに修繕してきた場合と、してこなかった場合の費用の違い
ここで気になるのが、「こまめに小さな修繕をしてきた場合」と「小さな修繕をほとんどしてこなかった場合」で、大規模修繕の費用がどれくらい変わるのか、という点だと思います。
複数の専門コラムや実務解説では、
- 外壁クラックや防水劣化を放置すると、躯体内部まで傷み、補修範囲が拡大して工事費が増加する
- 先延ばしした結果、「早期なら数十万円で済んだ工事が、数百万円規模になった」ケースもある
といった指摘がされています。
また、「大規模修繕の先延ばしは劣化を悪化させ、結果的に修繕費用を増やす」という警鐘も繰り返し出されています。
ざっくりとしたイメージとしては、
- 計画的にこまめな補修(防水の部分補修・クラック補修・鉄部塗装など)を行っている物件
→ 大規模修繕時の㎡単価が、相場レンジの“下〜中くらい”(例:6,000〜10,000円/㎡)に収まりやすい - 小さな修繕をほとんどしてこなかった物件
→ 劣化が進行して補修箇所が増え、㎡単価が“上のレンジ”(例:1万〜1万5,000円/㎡)に近づき、総額が数十%〜場合によっては倍近くに膨らむリスクがあると指摘されています。
例えば、延べ床面積2,000㎡のマンションで考えると、
- こまめに修繕してきたケース(㎡単価8,000円):
2,000㎡ × 8,000円 = 約1,600万円 - 小さな修繕を先送りしてきたケース(㎡単価1万3,000円):
2,000㎡ × 1万3,000円 = 約2,600万円
といった形で、同じ規模でも1,000万円前後の差が出るイメージになります(あくまでイメージの試算ですが、専門家も「先送りでトータルコストが膨らむ」と警告しています)。
つまり、こまめに修繕している物件は「日々の支出は増えるが、大規模修繕の爆発的な追加費用を抑えやすい」のに対し、小さな修繕をしてこなかった物件は「目先の支出は減るが、大規模修繕のときに工事項目が増え、トータルで割高になりやすい」という構図になりがちです。
費用が高くなりやすいケース・安く済みやすいケース
大規模修繕の費用相場は、次のような要因でも大きく変動します。
費用が高くなりやすいケース
- 劣化が進んでおり、補修箇所が多い
- ALCやタイル貼りなど、補修手間のかかる外壁仕様
- 2回目・3回目の大規模修繕で、前回までの補修に加えて張り替え等が必要
- エレベーター更新や給排水管工事など、設備更新を同時に行う
- 選ぶ塗料・防水材のグレードを高くして耐用年数を伸ばす
費用が抑えやすいケース
- 劣化が軽微な段階で計画的に修繕している
- 共通仮設(足場・ネットなど)を活かしながら、工事項目を絞って実施
- 地域密着の施工会社に依頼し、遠方からの出張・宿泊費などがかからない
見積もりをチェックする際は、
- ㎡単価(6,000〜15,000円/㎡)と比較して極端に高すぎないか
- 1戸あたりの金額が、初回であればおおむね75〜100万円前後に収まっているか
- 劣化状況や工事内容の説明が、金額とつり合っているか
といったポイントを見ると、相場から大きく外れていないかを判断しやすくなります。
「相場」を知ったうえで、自分の物件の数字に落とし込む
ここまで見てきたように、賃貸マンション・アパートの大規模修繕費用は、
- ㎡単価:おおむね6,000〜15,000円/㎡
- 1戸あたり:初回で75〜100万円前後が多く、条件によっては100〜150万円もあり得る
- こまめな修繕の有無によって、同じ規模でも総額に数十%以上の差が出る可能性がある
というのが現実です。
大切なのは、この「相場」と「劣化の進み方」を知ったうえで、
- 自分の物件の戸数・延べ床面積に当てはめる
- 日々の小さな修繕も含めて、10〜15年スパンで「次の大規模修繕までにいくら貯めるか」を逆算する
- いま出ている見積もりが、このレンジから見て極端に高くないか、劣化状況と中身が釣り合っているかを確認する
というステップを踏むことです。
もし、
- 1㎡あたりの単価が相場より極端に高い
- 戸あたり金額が相場から大きく外れている
- 劣化状況の説明と工事内容・金額が噛み合っていない
といった違和感があれば、「小さな修繕の履歴」も含めて見直しつつ、別の会社にも見積もりを依頼し、「相場と中身」の両方を比較してみることをおすすめします。