【賃貸経営】賃貸経営を子どもに継がせない時代へ。「承継者がいないオーナー」が今から考えておきたい3つのこと
2026/02/24
「子どもには迷惑をかけたくない。でも、この賃貸をどう終わらせればいいのか分からない。」
「続けるにしても、いつまで続けるのか、自分が倒れたらどうなるのかが心配だ。」
60〜70代の賃貸オーナーを対象にした調査を見ると、「承継者が決まっていない」「子どもは継ぐつもりがない」が約半分というデータも出てきています。
“地主・大家の大廃業時代”という言葉も出てきましたが、これは決して他人事ではありません。
ここでは、「承継者がいない」「子どもに無理に継がせたくない」と感じているオーナーが、今から考えておきたい3つのポイントを、できるだけやさしい言葉で整理します。
目次
1. 子どもに「継がせたい」のか、「残さなくていい」のかを決める
最初に向き合うべきなのは、自分の本音です。
本当はどうしたいでしょうか。
- A:できれば子どもに残したいが、無理に押しつけたくはない
- B:子どもは別の道を歩んでいるので、自分の代で整理してもいいと思っている
- C:まだ決めきれていない(自分も、子どもの気持ちも分からない)
最近の調査では、親は「残したい」と思っていても、子どもは
- 管理や修繕が不安
- 立地や築年数にネガティブな印象
- 自分の仕事や生活で精一杯
と感じているケースが多いことが分かっています。
大事なのは、「継がせる/継がせない」の二択を今すぐ決めることではありません。
まずは、自分の中で
- 残したい気持ちがどれくらい強いか
- 子どもにどこまで負担をかけたくないか
を、ざっくり言葉にしてみることです。
2. 「続ける前提」なら、“自分が動けなくなる前”の準備を決めておく
「すぐには売らない。もうしばらく自分で賃貸経営を続けたい」という場合、ポイントになるのは
- いつまで続けるか
- その間、資金繰りと修繕をどう回すか
- 自分が急に動けなくなったとき、誰がどう代わりをするか
の3つです。
いつまで続けるか
ぼんやりでも構わないので、
- 70歳まで今のペースで続ける
- 75歳を過ぎたら、負担を減らす方向にシフトしたい
といった“目安の年齢”を決めておくと、修繕や借入の計画も立てやすくなります。
資金繰りと修繕
- ローン・固定資産税・修繕費を含めて、「この先5〜10年で、どのくらいお金が動きそうか」
- 大規模な修繕をするのか、それともそこまで手をかけずに、どこかで区切りをつけるのか
を簡単に書き出しておくだけでも、「このまま続けるのは無理がないか」を判断しやすくなります。
自分が動けなくなったとき
- 物件の情報(所在地・借入・管理会社・保険・修繕履歴など)
- 管理会社・工事会社・相談している専門家の連絡先
- 「困ったときはまずここに電話してほしい」というメモ
を、家族にも分かる形で残しておくと、万が一のときの混乱を減らせます。
「続ける前提」の準備は、自分の安心のためでもあり、家族の安心のためでもあります。
3. 「手放す・減らす前提」なら、「どれから・いつ・どの順番で」を決める
承継者がいない、あるいは子どもに無理はさせたくない場合、「どこかで手放す・減らす」ことも現実的な選択肢になります。
とはいえ、全部を一気に売る必要はありません。
どの物件から手放すか
もし複数の物件を持っているなら、次のような視点で優先順位を付けてみてください。
- 赤字・ぎりぎり黒字の物件
- これから大きな修繕が必要になりそうな築年数・状態の物件
- 自分の家から遠く、管理がしづらい物件
「残したい物件」と「どこかで整理してもいい物件」に分けることで、売却の順番が見えやすくなります。
いつのタイミングで
- 自分の年齢(あと何年動けそうか)
- 建物の状態(大規模修繕の前か後か)
- 市場の状況(売り手に有利かどうか)
をざっくり見ながら、
「この物件は○歳前後までにどうするか決める」
といった目安を、自分の中で決めておくと焦りが減ります。
「いつか考えよう」だと、いつまでも手を付けられません。
「この5年で」「70代前半のうちに」など、期間を区切るのがポイントです。
4. 家族と話すときの“言い方”を変えてみる
承継や売却の話は、家族と話すだけで気が重くなりがちなテーマです。
よくある行き違い
- 親:「せっかく残した物件だから、継いでほしい」
- 子:「大変そうだし、自分の生活もあるから不安」
こうしたすれ違いが起きる背景には、
- 親は「資産」として見ている
- 子は「手間・リスク」として見ている
という、見ているポイントの違いがあります。
話すときのヒント
- 「継いでほしい?」といきなり聞くのではなく、
- ・「この物件をどうするのが一番ラクだと思う?」
- ・「自分に何かあったとき、こうなっていたら困ることってある?」
と、“子どもの不安”から聞いてみる。
- 「残したい」か「残さなくていい」かではなく、
- ・「残すとして、どう残すと負担が少ないか」
- ・「整理するとしたら、どのタイミングが良さそうか」
と“選択肢”として一緒に考える。
相続や売却の専門家に入ってもらうときも、
- 親の希望
- 子どもの本音
- 数字と法律の現実
を第三者目線で整理してもらえるので、「親子だけで話すより楽だった」という声は少なくありません。
5. 今日からやっておきたい“ほんの一歩”
大きな決断を今すぐする必要はありません。
ただ、次の3つだけでもやってみると、頭の中がかなり整理されます。
1.「自分は、本当は物件を残したいのか、整理してもいいと思っているのか」を一行で書いてみる
2.「この賃貸を、あと何年くらい続けてもいいか」の目安の年齢を書いてみる
3.物件と借入・管理会社・修繕履歴のメモを、家族に分かる形で1枚だけまとめてみる
これができれば、もう“何も考えていないオーナー”ではありません。
あとは、
- 売却も含めて一度専門家に相談するか
- 修繕や資金繰りから整えていくか
を、無理のないペースで決めていけば良いと思います。
「承継者がいない=失敗」ではありません。
自分の代でどう整えるかを考え始めたところから、もう“次の一歩”が始まっています。