2023.10.13
塗装工事と防水工事の違いとは?それぞれの工事の目的や必要性【依頼前に知っておきたいこと】
塗装工事と防水工事は、住宅を建てる際や、メンテナンス時に行われます。
いずれも欠かせない仕上げ工事ですが、具体的な違いについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
特にメンテナンスの場合、間違った認識で工事を依頼すると、適切な工事が行われない可能性があるため注意が必要です。
そこで、塗装工事と防水工事の違い、依頼するタイミングについて紹介します。
防水工事と塗装工事の違い
外壁工事には防水工事と塗装工事がありますが、違いについてはあまり知られていません。
「塗装工事をすれば防水性が向上するのではないか」と考えている方も多いでしょう。
しかし、防水工事と塗装工事は別物です。塗装工事だけを行っても十分な防水効果は得られないため、必要に応じて塗料を使い分けなければなりません。
防水工事とは
防水工事とは、バルコニーや屋上の床を防水材で施工することです。
最初に、防止工事の目的や特徴を紹介します。
防水工事の目的
防水工事の主な目的は、建物を水から守ることです。
新築時には外壁に防水処理を施しますが、効果は時間の経過とともに低下していきます。
最悪の場合、防水層が劣化すると雨漏りにつながることもあるため、定期的に防水工事を行い、防水層を形成し直すことが重要です。
雨水の浸入は建物や居住者に大きな影響を与える
防水工事が重要な理由は、雨水が建物に与える影響が大きいためです。
外壁の防水機能が低下し、雨水が建物内部に浸入すると木材の含水率が高くなり、カビやシロアリが発生しやすくなります。
カビや害虫の発生により建物の強度が低下し、大地震の際に倒壊する危険性があるでしょう。
また、カビの繁殖は喘息やアレルギーなど、居住者の健康被害を引き起こすこともあります。
安心・安全に暮らすためには、定期的な防水工事が必要です。
防水工事に使用される材料
防水工事に使用される主な材料を4つ確認しておきましょう。
ウレタン防水
ウレタン樹脂と呼ばれる液状の防水材を塗布し、乾燥させることで防水層を作る防水工事です。
現在の防水層の上から付帯部分を設置する複雑な形でも、簡単に防水層を作ることができます。
FRP防水
液状のポリエステル樹脂に硬化剤を添加し、ガラス繊維などで補強一体化した防水塗膜です。
軽量で耐衝撃性、耐摩耗性に優れています。
シート防水
塩ビシート防水とは、塩ビ樹脂製の防水材を1枚のシートにして防水層を形成します。
複雑な形状の場所では、付帯設備の関係で施工が難しいことが特徴です。
アスファルト防水
アスファルト防水は、合成繊維の不織布にアスファルトを含浸・塗布したシートルーフィングを張り合わせる、古くからある工法です。
仕上がりが平らでないため、歩行しない場所の施工に適しています。
塗装工事とは
次に、塗装工事の内容について紹介します。
塗装工事の目的
塗装工事の目的は、建物の美観を保ち、様々な外的要因から建物を守ることです。外壁は雨や風、紫外線などの外的要因によって常にダメージを受け、塗膜は劣化し続けています。
劣化した状態で放置していると、色あせやひび割れなどの劣化サインが外壁に目立つようになり、不潔な印象を与えてしまうでしょう。
防水効果を得ることが主目的ではない
塗装工事の主な目的は、防水効果を得ることではありません。
もちろん、外壁に使われる塗料の中には防水性に優れたものもあります。
しかし、効果は防水工事に比べると低く、塗装工事だけでは確実な防水工事はできません。
そのため、多くの塗装会社では、塗装工事とは別に防水工事を行っています。
塗装工事の平均費用
一般的なシリコン塗料を使った外壁塗装の費用は、2,500~3,500円/㎡程度です。
一般的な戸建て住宅の外壁塗装の総額は100万円前後が相場だといえます。
また、塗料の種類によっては高額なものもあり、塗装費用は高額です。
特に、防水性の高い塗料を使った外壁塗装は、6,000~7,000円/㎡の費用がかかります。
外壁防水の総費用はシリコン塗料より2~3割高く、120~130万円程度になるでしょう。
防水工事の種類別の平均費用
防水工事をする際は、現状の防水層がどの程度劣化しているのかや、付帯設備の配置から施工方法や材料を選択します。
防水工事の費用相場は、使用する材料によって若干異なりますが、基本的には6,500~8,500円/㎡が相場です。
塗装工事が必要なケース
屋根や外壁の塗装に劣化が見られる場合、塗装工事を検討しましょう。
例えば、外壁の変色、表面に白い粉がつくチョーキング現象、ひび割れなどは塗膜の劣化の症状です。
塗料が劣化すると美観を損ねるだけではなく、外壁の保護機能も低下します。
劣化を放置すると外壁はすぐに傷んでしまい、建物の寿命も短くなってしまいます。
特に、塗膜の剥がれや膨れが見られる場合は、塗膜が外壁に密着しなくなり、保護機能を失っていると考えなければなりません。
外壁の変色や色あせ、チョーキング現象が発生したタイミングで塗装工事を行うことをおすすめします。
一般的な外壁塗装の寿命は10年程度ですが、日当たりのよい場所ではさらに劣化が早まる可能性が高いです。劣化の兆候が見られなくても、新築時から10年ごとに塗装する計画を立てるとよいでしょう。
防水工事が必要なケース
すでに雨漏りが発生している、室内に水が浸入している場合は、防水工事を検討しましょう。
また、外壁や屋根、バルコニーなどにひび割れが生じ、雨漏りが予測される際は防水工事が必要です。
さらに、防水シートの浮きや剥がれ、バルコニーに水たまりがある場合も点検を依頼するとよいでしょう。
雨漏りがしても、バケツを置いて対処するのみで、深刻な対策を取らない方も多いです。
しかし、雨漏りの本当の危険性は、建材にダメージを与えてしまうことです。
見えないところにも雨水が染み込み続け、気づいたときには躯体が腐り、倒壊寸前というケースも少なくありません。
大きな事故を防ぐためには、雨漏りを軽く考えずに防水工事を行う必要があります。
一般的な防水層の寿命は外壁塗装と同じく10年程度なため、新築時から10年ごとに防水工事を行うとよいでしょう。
塗装工事や防水工事を依頼する前に知っておきたいこと
塗装工事や防水工事を希望通りに行うためには、正しい業者選びをすることが大切です。
ここでは、工事の依頼前に把握しておきたいこと、業者選びのポイントや注意点を紹介します。
外壁塗装と防水塗装は異業種
外壁塗装と防水塗装は分野が異なるため、それぞれ専門の職人が施工する必要があります。
両方実施したい場合は、外壁塗装業者に一括で依頼する方法も有効です。
ただし、防水塗装の職人がいるかどうかを確認することが大切です。
費用を抑えたいときは自社施工の会社に依頼
バルコニーの外壁塗装や防水工事は、下請け業者にすべて外注する業者もいます。
下請けを使う業者は仲介手数料がかかるため、工事費が割高です。
一方、依頼と施工の両方を請け負う自社施工の業者であれば、余計なコストがかかりません。
コストを抑えるためにも、自社で仕事をしている会社を選ぶ方法がベストです。
相見積もりを取って詐欺業者を避ける
相見積もりとは、同じ工事条件で複数の業者に見積もりを依頼することです。
価格が高い悪徳業者ではないか、価格が安いから手抜き工事ではないかなどを確認するだけで、悪徳業者に騙されるリスクを減らすことができます。
塗装工事と防水工事の違いを理解して業者を選ぼう
塗装工事と防水工事はそれぞれ重要な役割を担っており、建物の状況によってどちらが必要かを判断しなければなりません。
特に防水工事は塗装工事に比べて専門業者が少なく、業者選びを間違えると適切な工事が行われないこともあります。
まずは相見積もりを取り、各専門業者に別で依頼をするか、防水工事を行える外壁塗装業者を見つけましょう。