2023.10.23
外壁塗装の高級塗料「フッ素塗料」と「無機塗料」の特徴やメリット・デメリットを紹介
外壁塗装の工事に使用する塗料の中には「フッ素塗料」や「無機塗料」といった他の塗料よりも単価の高い高級塗料があります。
高級塗料には耐久年数が長かったり、カビが発生しづらかったりといったメリットがある反面、デメリットも存在します。
価格が高いだけに高級塗料を使うのには躊躇もあるかもしれませんが、ここでは「フッ素塗料」「無機塗料」のの特徴について紹介していますので、是非塗料選びの参考にしてください。
マンション・ビルの外壁塗装の重要性
マンションやビルの外壁塗装とは、建物の美観を保つだけでなく、構造の劣化を防ぐために非常に重要です。外壁は日々、紫外線や雨風、排気ガスなど過酷な環境にさらされています。塗装が劣化すると、ひび割れや剥がれが起き、そこから雨水が侵入して建物内部にダメージを与える可能性もあります。適切な時期に外壁塗装を行うことで、防水性や耐久性を保ち、建物の資産価値を維持することができます。また、住民や利用者にとっても快適で安心な環境づくりに繋がります。
外壁塗装の高級塗料は他の塗料と何が違う?
外壁塗装で使用する塗料には様々な種類があり、㎡単価の相場が1000円ほどのものから、5000円を超えるもの間であり様々です。
安い塗料にはそれなりのデメリットがあり、まずは耐久年数が短いという点です。
耐久年数が短いとその分再塗装までの期間も短くなってしまうため、工事費用が高くついてしまいますが、耐久年数が長いと工事の回数が抑えられ、工事費用を余分に払わずに済みます。
この記事では外壁塗装の高級塗料として代表的な「フッ素塗料」「無機塗料」の2つについて紹介していきます。
外壁塗装のフッ素塗料とは
フッ素塗料はアクリル塗料、ウレタン塗料といった安価なものよりも比較的高価で高級塗料に分類されます。
高価な分、耐久性や耐候性に優れており、高層ビルや大型の商業施設、飛行機、橋、鉄塔といった頻繁に塗り替えることが難しい建物や建造物等に使用されます。
例えば、有名建築物の外壁塗装にもフッ素塗料は使われており、東京スカイツリーや六本木ヒルズなどにも採用されています。
一般住宅では価格が高いという面からそれほど多くは使用されていませんが、紫外線による劣化が激しい屋根には使用されるケースが多いです。
外壁塗装のフッ素塗料の特徴
外壁塗装のフッ素塗料には具体的にどういったメリット・デメリットがあるのでしょうか。
フッ素塗料のメリット
フッ素塗料のメリットは以下の4点です。
フッ素塗料の特徴とメリット1.耐用年数が長い
フッ素塗料は耐久性、耐候性、耐薬品性に優れているため、非常に長持ちします。
また、紫外線や温度変化、酸性雨に強く耐用年数が長いのが特徴的で、耐熱性も高く、紫外線の熱による劣化も防ぐことができます。
フッ素塗料は15年以上持つといわれており、一度塗装を行うとしばらくは再塗装の必要がなくなり、塗装の回数を減らして長期的なコスト削減につながります。
外壁塗装には塗料だけでなく足場の設置や人件費といった部分に多くの費用がかかりますので、塗装の回数を減らすことができればその分費用を削減できることとなります。
フッ素塗料の特徴とメリット2.カビ、苔が発生しにくい
防カビ性、防藻性が優れているため、カビや藻(コケ)が発生しにくいです。
日当たりや通気性が悪く、湿気が多い立地にお住いの方で、外壁にカビや藻(コケ)が付着して悩んでいるという方におすすめです。
フッ素塗料の特徴とメリット3.光沢が長持ちする
耐摩耗性に優れており、光沢が長持ちするという特徴もあります。
フッ素塗料はほこりやチリなどによる摩擦で表面に傷がつくという心配がなく、20年で10%程度しかツヤが減少しないといわれています。
美しい外観を長く維持したいという場合に選ばれる塗料です。
フッ素塗料の特徴とメリット4.親水性がある
親水性とは、水になじみやすいということですが、フッ素塗料は親水性が高く塗料表面に水が広がりやすいため、雨が降れば雨水と一緒に表面の汚れを落としてくれます。
基本的に外壁の清掃をしなくても、雨が降るたびに表面に付着した汚れは洗い流されます。
雨が少ない時期でも、水をかけるだけで大抵の汚れは落ちるためメンテナンスがとても楽です。
フッ素塗料のデメリット
フッ素塗料のデメリットは以下の4点です。
フッ素塗料のデメリット1.価格が高い
他の塗料と比較してフッ素塗料は価格が高く敬遠されがちです。
外壁塗装の工事で使用される塗料で主流なシリコン塗料の1.5倍~2倍程度の価格で、塗料の単価が高いと一度の工事でかかる費用も高額になります。
ただ、高額な分長持ちするので、1回の工事で多少価格が高くなっても長期的なメンテナンスコストを抑えたい、工事の回数を少しでも減らしたいという人向けの塗料です。
フッ素塗料のデメリット2.ツヤ消し塗料がない
外壁のツヤは好みの分かれる部分ですが、フッ素塗料の塗膜は親水性が高いということからも光沢のある仕上がりとなります。
マットな見た目のツヤ消し塗料がないという点はツヤを出したくない人にとってはデメリットです。
フッ素塗料のデメリット3.再塗装が難しい
フッ素塗料は非常に長持ちする反面、短いスパンで外観を変えたいと人は不向きです。
高価な塗料なため短い期間ですぐに塗り替えをするのはもったいないですし、劣化が進んでいないフッ素塗料は塗り重ねをするのが難しいです。
高機能な下塗り材を使用しても弾いてしまって再塗装ができません。
フッ素塗料のデメリット4.塗膜が硬くて弾力性がない
フッ素塗料は他の塗料に比べて塗膜が固くなり、外壁にひび割れが発生した際に塗膜も一緒に割れてしまう可能性があります。
継ぎ目部分の目地の充填剤である外壁サイディングのコーキングとの相性が悪く、コーキング部分の塗膜がひび割れてしまう恐れもあります。
最高級塗料の無機塗料について解説
フッ素塗料の上にさらに高級な「無機塗料」があります。
無機塗料のメリット
- カビ、苔が発生しにくい
- 耐用年数が長い
- 親水性がある
- 光沢が長持ちする
- 不燃性がある
基本的にはフッ素塗料と同じ特徴を持っていますが、耐用年数が15年~20年のフッ素塗料に比べて、無機塗料は15年から25年以上も持つと言われています。
また、不燃性があるという点も特長の一つで、無機物質であるため火事の際に燃えにくいです。
フッ素塗料も比較的燃えにくいですが、無機塗料の方がより信頼性は高いと言えます。
無機塗料のデメリット
- 価格が高い
- ツヤ消し塗料がない
- 再塗装が難しい
- 塗膜が硬くて弾力性がない
デメリットの部分に関しても基本的にはフッ素塗料と全く同じです。
価格はフッ素塗料が1㎡あたり3,500~5,000円ほどなのに対し、無機塗料は1㎡あたり4,500~5,500円と高額です。
ただし、耐久年数はフッ素塗料よりも長いので次の工事までの期間も長くなりその分費用が抑えられるという見方もできます。
高級塗料を使用するのにオススメなケース
ここまで「フッ素塗料」「無機塗料」を紹介してきましたが、高級塗料を使用するのにオススメなケースをいくつか紹介します。
塗り替え頻度を減らしたい
「フッ素塗料」「無機塗料」 の高級塗料は耐用年数が長いため、塗り替え回数を最小限に抑えることが出来ます。
外壁塗装の工事は塗料などのニオイが発生したり、業者の出入りが多くなるなど気になる点も多いです。
工事に際して業者と綿密に打ち合わせを重ねたり、近所の人たちへ挨拶回りをしないといけないなど面倒に感じることもあるでしょう。
こうした手間や嫌なことを何度も経験するのはストレスだという人は、塗り替え回数を極力少なくするべく耐用年数が長い塗料を選びましょう。
屋根への塗装
高級塗料は外壁だけでなく屋根への塗装にも向いています。
屋根は紫外線や雨の影響を最も受けやすい部分で、塗料の劣化も激しいです。
そのため、耐久性の高い高級塗料は屋根への使用が最大限に実力を発揮できる部分といえます。
屋根は外壁に比べて面積も小さいため、価格が高くてもそこまで気になりません。
外壁をシリコン塗料にして、屋根をフッ素塗料と塗り分けておけば劣化のタイミングを合わせることができ、まとめて工事ができて工事費を節約できます。
外壁塗装の坪・床面積別費用相場を紹介
ここでは、外壁塗装の費用相場について解説します。費用をを左右する要素ごとに費用相場をまとめています。
ただし、これは一般的な目安です。
実際に外壁塗装を行う際には、見積もりを複数取り、具体的な条件や要望を伝えることで、より正確な費用を把握することが重要です。
外壁塗装の費用相場・坪数別
坪数(延べ床面積) | 費用相場 |
20坪(66㎡) | 40万〜90万円 |
30坪(99㎡) | 60万〜100万円 |
40坪(132㎡) | 80万〜130万円 |
50坪(165㎡) | 90万〜160万円 |
外壁塗装の費用相場・居住形態別
居住形態 | 費用相場 |
戸建て住宅 | 約100万〜300万円程度 |
マンション | 約300万〜800万円程度 |
賃貸アパート | 約200万〜500万円程度 |
外壁塗装の費用相場・塗料の種類別
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場 |
アクリル塗料 | 5年〜10年 | 1,000〜1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 10年〜15年 | 1,500〜2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 15年〜20年 | 1,800〜3,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 20年以上 | 3,000〜5,000円/㎡ |
ラジカル塗料 | 20年以上 | 2,000〜4,000円/㎡ |
外壁塗装の費用内訳について|平均相場は?
外壁塗装の一般的な費用内訳は以下のようになります。
費用内訳 | 費用相場 |
①塗料費 | 約20万〜30万円 |
②人件費 | 約40万〜60万円 |
③資材費 | 約10万〜20万円 |
④追加工事費 | 約10万〜20万円 |
⑤諸経費 | 約5万〜10万円 |
諸経費
工事以外にかかる経費や手配費用を指します。例えば、業者への手数料や許可申請費用などが含まれます。
具体的な金額は塗装する建物の大きさや状態、地域によって異なる場合があります。
専門業者に見積もりを依頼することで、より正確な費用を把握することも可能です。
塗料費
外壁塗装に使用する塗料の費用です。塗料の種類や品質によって価格が異なります。
人件費
外壁塗装作業を行う職人の労働費用です。作業の規模や難易度、施工に携わる人数に応じて人件費が変動します。
資材費
外壁塗装に必要な道具や資材の費用です。足場や防護シート、塗装用具などが含まれます。
追加工事費
外壁塗装と同時に行われる場合、追加で必要な工事や修繕の費用です。例えば、ひび割れの補修や防水工事などが該当します。
外壁塗装の高級塗料「フッ素塗料」と「無機塗料」まとめ
この記事の内容をまとめると以下の通りになります。
- 外壁塗装の高級塗料は代表的なもので「フッ素塗料」「無機塗料」の2つがある
- 高級塗料は耐用年数が長い、清掃の手間が少ないなどのメリットがある
- 価格が高く安く済ませたい人には不向き
高級塗料は様々なメリット・デメリットがありますが、長い目で見れば工事の回数を減らせてコストパフォーマンスにも優れたオススメの塗料となっています。
本記事で紹介した内容を外壁塗装の塗料選びの参考にしていただければ幸いです。