マンション鉄部塗装工事の施工単価を解説|価格相場はいくら? | 株式会社新東亜工業  

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マンション鉄部塗装工事の施工単価を解説|価格相場はいくら?

鉄部の塗装は、エレベーター、エントランスのドアや枠、メーターボックスなど、マンションでも修繕・メンテナンスの頻度が高い場所です。

竣工後初めてメンテナンスを行うマンションでは、まず鉄部の塗装時期を検討する必要があるでしょう。

そこで今回は、よく実施される「鉄部塗装工事」にスポットを当て、その目的とおおよその実施時期について解説します。

マンション鉄部塗装の必要性

マンション鉄部が多少劣化していても、放置してしまうケースがあるでしょう。

最初に、マンション鉄部塗装をすべき理由、必要性を解説します。

美観を維持する

サビの発生は、建物の美観を損ねます。

実際にサビが発生し始めると、家の外観が暗く見え始め、特に「玄関の門扉やフェンス」「ドア」「郵便受け」など、家の「顔」となる部分にサビが発生します。

近隣住民や居住者に対してネガティブなイメージを与えるでしょう。

機能性を維持する

鉄部にサビが発生すると、可動部の設置が困難になるなどの実害が出ます。

門扉やポスト、シャッターなどの部品にサビが発生すると、余分な力を加えないと動かなくなることもあるため注意が必要です。

結果、力の加え方を間違えて壊してしまい、無駄な出費が発生するケースは珍しくありません。

また、鉄骨のバルコニーや階段は錆による腐食で不安定になり、歩行が困難になります。

雨漏りを防ぐ

ガルバリウム鋼板などの屋根材や、庇や傘などの付属部品が鉄製では、サビで腐食すると雨漏りの危険性があります。

雨漏りは躯体を劣化させるほか、居住者の生活に影響するため注意が必要です。

腐食してからでは塗装が不可

錆が進行して腐食すると、塗装ができなくなります。

軽度の腐食であれば、防水テープで補修して塗装することも可能です。

しかし、腐食が激しい場合は、部分的あるいは全面的に交換する必要があり、大きな出費となるでしょう。

マンション鉄部塗装のタイミング

鉄部塗装工事は、マンションでは最も修繕サイクルの短いメンテナンス項目です。

鉄部の劣化度合いや錆の発生スピードは、マンションの立地条件や各部位の環境条件によって異なります。

以下はあくまで鉄部塗装工事の実施時期の目安です。

国土交通省が定めたタイミング

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、各部位の修繕周期は、屋上防水、外壁塗装等は12年、雨で濡れる部分は4年、濡れない部分は6年としています。

雨風の建物に対する影響は大きいため、劣化が進む前に工事が必要です。

塗料メーカーが定めたタイミング

塗料メーカーでは、部分ごとに修繕周期の目安を定めています。

塗装部分修繕周期
雨掛かり部分4年
非雨掛かり部分6年
機械式駐車場5年

いずれも周期に差がないため、1度に修繕する方法が有効だといえるでしょう。

マンション鉄部塗装の単価

実際に鉄部の塗装を考えた場合、部位によってどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

一般的な鉄部塗装の参考価格を紹介します。

塗装部分単価
フェンス3万円~10万円
ベランダ5万~15万円
階段8万~20万円
ポスト8,000円前後

鉄部塗装の価格は主に塗料やサイズによって異なるため、詳しい数字は業者に確認しましょう。

鉄部塗装で使用する塗料の単価

マンション鉄部塗装で使用する塗料ごとに、単価とトータルの費用が異なります。

塗料の種類単価
アクリル塗料約1,800円/㎡
ウレタン塗料約2,000円/㎡
シリコン塗料約2,500円/㎡
フッ素塗料約3,500円/㎡

最も安価な塗料は「アクリル塗料」ですが、鉄部にはほとんど使用されません。

また、最も高価なフッ素塗料はほとんど使われありません。

鉄部を塗装する場合、平均的な価格で中間的な耐久性を持つウレタンやシリコンが使われます。

理由は、ウレタン塗料がよく使われるのは、塗膜の密着性が高く、鉄部や木部の可動部との相性が良いといわれているためです。

もちろん、シリコン系やフッ素系はウレタンよりも耐久性があります。

しかし、外壁や屋根と違い、鉄部に関しては、相性の良いウレタンとそれほど耐久性に差はありません。

そのため、安価で扱いやすいウレタン塗料が選ばれることが多いのです。

単価が変動する要素

作業は塗料の密着性に関わる最も重要な作業なため、手を抜くことはできません。

単価が変動する要素のひとつは、劣化状況です。

劣化が激しいと、旧塗膜の除去する作業に時間がかかります。

作業は塗料の密着性に関わる最も重要な作業なため、手を抜くことはできません。

下地処理が難しいため、価格も高い傾向があります。

外壁塗装と同時がお得?

鉄部塗装の場合、外壁塗装とセットで行うと安くなります。

外壁塗装と同時に行うことで、養生や乾燥の空き時間を利用して効率よく塗装することが可能です。

ただし、外壁と異なり、鉄部は劣化が早いため注意しなければなりません。

鉄部の劣化が始まったら、外壁塗装のサイクルを待たずに、コスト面を考えて塗装した方が良いでしょう。

マンション鉄部塗装の施工方法

マンション鉄部塗装をする場合、どのような流れで施工が行われるのでしょうか。

ここでは、主な流れを紹介します。

ケレン作業

鉄部の塗装は「ケレン作業」から始まります。

工具やサンドペーパーを使用して、古い塗装や錆を取り除く作業です。

ケレン作業が適切ではないと、塗装してもすぐに塗膜が剥がれて錆が進行します。

下塗り

ケレン作業が一通り終わったら、下塗り(アンダーコーティング)です。

防錆塗料であり、主にエポキシ樹脂系の塗料が使われます。

中塗りと上塗り

下塗りの後、中塗り、上塗りと合計3回塗装をして仕上げます。

使用される塗料には様々な種類があり、耐用年数や単価も多少異なります。

マンション鉄部塗装をする際の注意点

マンション鉄部塗装を依頼する際、業者選びを誤るとトラブルが起こることがあります。

また、居住者への配慮も重要です。

ここでは、マンション鉄部塗装をする際に注意したいポイントを紹介します。

施工業者は費用の安さのみで選ばない

工事費だけで、業者を選ぶことはおすすめしません。

極端に安い見積もりを出す業者は、安くて耐用年数の短い塗料を使っていることが多く、塗り替え周期が早くなってしまいます。

費用の安さを重視すること自体は問題ありませんが、耐用年数と費用を比較しながら、どの塗料を使うのがベストなのかを決めることをおすすめします。

十分な換気が必要

鉄部の塗装作業中は、塗料特有の強い刺激臭が発生します。

「臭いが入ってくるから」と換気をせずに部屋を閉め切ると、部屋中に臭いが充満してしまい危険です。

鉄部の塗装をする際は、作業をしていない反対側の窓を開けるなど、十分な換気を心がけましょう。

塗りたての箇所に注意

鉄部の塗装作業中は、塗りたての部分に触れないように注意が必要です。

作業員がペンキを塗っている場所には「塗りたてのペンキに注意してください」と書かれた看板が立っています。

そのため、近くを通る際は上着やカバンなどが触れないようにしましょう。

ペンキが衣服に付着すると、きれいに取り除くことは困難です。

事前に掲示板等で作業範囲を案内しますが、万が一接触してしまった場合の連絡先も周知しておきましょう。

開錠や在宅の協力をマンション居住者に告知する

鉄部塗装工事に玄関ドア枠の塗装が含まれる場合、ドアと枠の取り合い部分を塗装するため、玄関ドアを開ける必要があります。

事前に在宅可能日のアンケートを記入してもらい、玄関ドア枠塗装工事予定日は在宅の協力を得ましょう。

また、マンションによっては、エントランス横やバルコニーの収納スペースが共用部分に含まれ、工事の対象となる場合があります。

その場合は在宅の必要はありませんが、事前に物置の解錠と荷物の片付けに協力してもらいましょう。

車両養生が必要なことがある

鉄部の塗装に限らず、塗料を使用する工事では塗料の飛散を防ぐため、工事箇所以外や住民の持ち物、車やバイクを養生することがあります。

また、錆が重い場合はサンダーなどの電動工具で洗浄しなければなりません。

作業中に錆が飛散する恐れがあるため、塗装工事と同様に飛散の恐れがある箇所には養生を施す必要があります。

特に養生カバーが装着している場合、出庫時に養生カバーを外すため通常より時間がかかる場合があるでしょう。

作業場所の近くや、飛散の恐れがある場所への駐車はしないことが大切です。

マンションの鉄部塗装工事を成功させるポイント

マンションの鉄部塗装工事を適切に行うためには、材料の選定、作業内容の確認が重要です。

ここでは、工事を成功させるためのチェックポイントを紹介します。

長期修繕計画に合った材料を使用

鉄部塗装工事は、屋上防水工事や外壁塗装工事など他の工事に比べて修繕周期が短いです。

使用されている材料の耐久性について施工業者に確認するか、メーカーのカタログをチェックして、現在予想される修繕周期に適しているかどうかを確認しましょう。

ケレン作業を適切に行う

塗装工事では「塗る」工程に目が行きがちですが、鉄部の塗装では塗装前のケレン作業が耐久性や仕上がりに大きく影響します。

塗装前にケレン作業がされているかを確認したい場合や、完成後に確認したい場合は、完成後の施工写真で施工工程を確認できます。

なお、「施工写真」とは、工事の経過(施工前・各工程・施工後)を記録したものです。

中塗り・上塗りの前に錆止め塗装を実施

錆止めは、鉄部の塗装において非常に重要な工程といえます。

錆止めをせずに中塗りや上塗りを行っていないか、作業の内容確認することが重要です。

また、使用する下塗り塗料に防錆効果があるかどうかも確認しましょう。

既定の塗布量を守る

鉄部塗装工事に限らず、塗料の種類ごとに標準使用量が各メーカーによって決められています。

適量を塗布することで、塗料の耐久性を十分に発揮できます。

規定の塗布量が守られているかどうかは、塗布量試験で確認可能です。

標準使用量とは、メーカーが定めた1㎡あたりの塗料使用量をいいます。

塗布量試験とは、規定の使用量(塗布量)をクリアしているかを確認する試験で、塗布前の塗料の重量から塗布後の塗料の重量を差し引いたものです。

面積で割り、平方メートルあたりの使用量を算出します。

予算内でマンション鉄部塗装を依頼しよう

マンションの資産価値を維持するためには、各種工事を適切な時期に実施し、長期にわたって品質を維持することが重要です。

特に鉄骨塗装工事で重要な「防錆」の効果を十分に発揮させるためには、適切な手順と適切な材料が使用されているか、自分の目で確認しましょう。

鉄骨塗装工事に限らず、マンションの修繕・維持管理は、マンションごとの劣化状況を見ながら工事の時期や内容を決め、長期修繕計画を定期的に見直す必要があります。

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