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マンション大規模修繕でタイルの浮きを工事すべき理由|タイル浮きの原因や補修費用相場も解説

マンションの外壁に多く使用されているタイルは、経年劣化により汚染、浮き、ひび割れなどが発生します。

大がかりな補修工事を行う場合、「補修しなくても大丈夫」と自己判断してしまうこともあるでしょう。

しかし、タイルが剥がれたり落下したりなど、想定外の事故につながる危険性があります。

外壁タイルの落下事故は、通行する車の窓ガラスを突き破ってケガをするケースもあるなど、維持管理上の大きな問題になっています。

そのため、定期的なタイル補修工事の実施は必須といえるでしょう。

そこで今回は、マンション大規模修繕のタイル工事について、必要性や費用、注意点などを解説します。

マンションのタイルが浮く原因

鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造で建てられたマンションの多くは、コンクリートの下地を整えた後、タイルや塗料などの外壁仕上げ材を貼ることで防水性を高めています。

タイルの浮きとは、タイルの表面(下地モルタル)とコンクリートの接着力が低下し、タイルが浮いてしまう状態のことです。

タイルが浮くケースには、タイルを貼り付けていたモルタルや接着剤からタイルが剥がれてしまう「陶片浮き」と呼ばれるものもあります。

そもそも、適切に施工されたマンションの外壁タイルが地震だけで落下することがあるのでしょうか。

結論から言えば、建物の挙動が大きいところでは、タイルの1枚や2枚が浮き上がったり、タイルが落下することは当然あり得ます。

しかし、大量の外壁タイルが浮き上がったり剥がれたりするケースはほとんどありません。

初回の大規模修繕前の診断調査でタイルの10~15%以上の浮きが見つかった場合、経年劣化によるものではなく、マンションの施工不良によるものかもしれません。

マンション大規模修繕でタイル浮き補修をすべき理由

マンション大規模修繕の際に、タイル浮きの補修をしなければ見た目や安全性に悪影響を及ぼします。

ここでは、タイル浮きを補修すべき主な理由を2つ紹介します。

安全性を確保するため

外壁タイルの補修工事は、建物本体や周辺の安全を確保するために必要です。

外壁タイルの劣化を放置すると、剥がれやすくなります。

剥がれて落下したタイルが直接歩行者に当たるなど、命にかかわる事故が起こる可能性もあるため、自己判断ではなく、業者に見てもらいましょう。

また、ひび割れたタイルを放置しておくと、雨水が侵入しやすくなり雨漏りのリスクも高いです。

建物の耐久性を保つためにも、大規模修繕の際にはタイルの補修が必要だといえるでしょう。

美観を維持するため

経年劣化したタイルは剥がれたり割れたりしますが、割れたタイルをそのままにしておくと建物の美観を損ないます。

清潔感がある外観は、資産価値の維持、入居率の向上に直結する要素です。

傷んだ箇所を補修しないと入居率が下がり、家賃収入が減少することになります。

マンションタイル浮き以外にも注意すべきの不具合

タイルは耐久性に優れていますが、経年劣化は避けられません。

ここでは、タイルに起こる劣化のサインを紹介します。

タイルと躯体コンクリートの亀裂

タイルは防水性・耐久性に優れた素材ですが、メンテナンスフリーの外壁ではありません。

時間の経過とともに構造体であるコンクリートは膨張と収縮を繰り返し、外壁のタイルにも影響を与え、タイルにひび割れが発生することもあります。

また、地震などの自然災害や建物の設計・施工不良により、コンクリート構造や外壁タイルにひび割れが生じることも多いです。

タイル間のシーリング劣化

タイルには、一定の間隔で伸縮シーリング目地があります。

コンクリート躯体の動きや伸縮の繰り返しにより、外壁タイルに負荷がかかります。

負荷によるひび割れの原因となるため、防ぐためにシーリング材を充填し、クッション材としてタイルへの負荷を緩和しなければなりません。

シーリングは、太陽光や雨風による経年劣化で硬化・剥離し、躯体内部に雨水が浸入するため、定期的な打ち替えが必要となります。

タイルのエフロレッセンス現象

エフロレッセンスとは、コンクリートの水分とアルカリ成分が溶け出す現象です。

コンクリートそのものから水分が蒸発する、コンクリートのひび割れから水分が侵入することで起こります。

エフロレッセンスが侵入すると、コンクリート内部の鉄筋が錆び、構造物の寿命を縮めます。

マンション大規模修繕のタイル補修費用

マンション大規模修繕でタイル補修をする場合、各工程でどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

タイル補修の作業内容と、それぞれの工程にかかる費用相場を紹介します。

足場仮設工事費用

足場仮設工事の費用は、約800~1200円/㎡程度です。

マンション1棟の平均的な仮設足場工事費用は約300~400万円ですが、タイル補修などの外壁塗装や防水工事を同時に行えば、仮設足場工事は1回で完了します。

タイルの浮き補修費用

タイルの浮き補修は、1ヶ所あたり、約500~900円が相場です。

タイルが数カ所浮き上がっている場合は、表面からタイル内部にエポキシ樹脂を注入し、上から押さえて固定します。

タイルとタイルの間に穴を開け、目地にエポキシ樹脂を注入してタイル内部の浮きをなくす作業です。

最後に目地と同じ色のエポキシ樹脂でピンを覆い、エポキシ樹脂が完全に固まるまで1日以上の養生期間を設けます。

また、手抜き工事で広範囲にタイルが浮いている場合は、タイルを撤去して下地調整をしなければなりません。

タイルの張替え補修費用

タイルの張替え補修にかかる費用は、1枚500円程度です。

欠けたり、割れたり、剥がれたりしたタイルは、部分的に新しいタイルに交換します。

サンダーなどの道具を使って古いタイルを剥がし、コンクリートを荒らしてモルタル接着剤とタイルが密着しやすい下地を作ります。

その後、剥がしたタイルをモルタル接着剤で貼り直し、目地にもモルタルを充填して完了です。

タイルのクリヤー塗装補修費用

塗装補修にかかる費用は、約3,000円/平米です。

クリアー塗料とは、タイルの表面を保護・研磨するための無色の塗料です。

スプレーや刷毛で、タイル表面に均一に塗布します。

ただし、無色のクリア塗料は、塗ったところと塗っていないところの区別がつきにくいでしょう。

塗りムラや塗り忘れのリスクが高いため、職人の技術と手先の器用さが求められる塗料です。

タイル目地のシーリング工事費用

タイル目地のシーリングは、主に2種類の工事を行います。

シーリング張り替え工事の場合:900円~1,200円/㎡

シーリング追加工事の場合:500~900/㎡

シーリング材を張り替えるよりも、上から補修する追加工事工事の方が安く済みます。

ただし、費用が抑えられるからという理由のみでシーリング追加工事を選べるわけではありません。

既存のシーリング材が劣化している場合は、必ずシーリング材を交換しましょう。

マンション大規模修繕でのタイル補修手順

マンション大規模修繕でタイル補修をする際、どのような手順で行われるのか把握しておくと安心です。

ここでは、タイル補修の主な流れを紹介します。

打診チェック

打診チェックとは、「パルハンマー」と呼ばれる専用の棒で外壁タイルを叩いてタイルの剥がれ具合をチェックする作業です。

叩いたときに少し甲高い音がするタイルは、工事が必要になります。

タイルの補修工事を行う際には、浮いている箇所を正確に特定するために欠かせない工程です。

下地補修

タイルが緩んでいたり、広い範囲で割れていたりする場合は、破損した部分を取り除き、新しいタイルを再び張ります。

タイルを剥がすと接着力が弱まるため、モルタルを塗って下地を整えます。

タイル補修

タイルの補修には、新しいタイルに貼り替える工法と、接着剤を注入する工法があります。

軽微な劣化は、注入工法で補修することが一般的です。

入れ替え工法の場合、既存のタイルに近いものを用意する必要があるため、タイルの準備に時間がかかる場合があります。

また、既存タイルが廃盤の場合、特注で製作してもらうことが多く、4ヶ月程度かかるでしょう。

そのため、補修をする場合は、すぐに施工業者にタイルの発注を依頼する必要があります。

目地補修

接着剤注入とタイル工事が完了したら、目地にモルタルやシーリング材などの充填材を充填して補修します。

「目地」とは、タイルとタイルの継ぎ目のことです。

建物やタイルのクッション材としての役割のほか、建物への水の浸入を防ぐ役割もあります。

また、目地はひび割れや収縮などの経年劣化を起こすため、適切な補修が必要です。

マンション大規模修繕ではタイル浮き補修も検討

大規模修繕の一環として行われるタイル補修工事は、建物の機能性・耐久性・美観を維持するために欠かせない工事です。

外壁タイルの劣化が進むと、浮きや剥がれが生じ、落下事故や建物の資産価値の低下につながります。

劣化を見落とさないよう、適切な時期に施工業者に調査を依頼するようにしましょう。

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