ウレタン防水の密着工法とは?施工箇所と費用・適正単価の見極め方も解説 | 株式会社新東亜工業  

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ウレタン防水の密着工法とは?施工箇所と費用・適正単価の見極め方も解説

雨水から建物を守るために、防水工事は欠かせません。

防水工事には、FRP(繊維強化プラスチック)で防水層を作る「FRP防水」、合成ゴムや塩化ビニールなどの防水シートを貼る「シート防水」など、さまざまな工法があります。

なかでも最もポピュラーな工事が、ウレタン防水です。

ウレタン防水にはいくつかの工法がありますが、具体的な工事内容を検討するためにも工法や価格を把握しておかなければなりません。

今回は、ウレタン防水の密着工法について、工法の特徴や施工手順などを詳しく解説します。

ウレタン防水密着工法とは

最初に、ウレタン防水密着工法とはどのようなものなのか、特徴やメリット、デメリットから見ていきましょう。

ウレタン防水密着工法の特徴

ウレタン防水の密着工法とは、さまざまな下地に施工可能なことが特徴です。

下地にウレタン防水樹脂材を塗布し、上にメッシュ補強布を貼ります。

一定の厚みになるまでウレタン樹脂材を何層にも塗り重ね、最後に仕上げのトップコートを塗布するため、施工性が高く、工期が短いことがメリットです。

ウレタン防水密着工法のメリット

ウレタン防水密着工法は、他の工法と比較して単価が安いことがメリットとして挙げられます。

施工する場所や塗料のグレードにもよりますが、平均4,500円~5,500/㎡です。

また、液体のため塗りやすく継ぎ目のない防水層ができるほか、工期も短縮できます。

さらに、他の防水材の上から塗ることが可能な点も大きなメリットです。

ウレタン防水密着工法のデメリット

ウレタン防水には大きなデメリットはありませんが、手作業で塗膜を作るため技術力が求められます。

手作業のため、施工経験が少ない職人に依頼すると膜厚が均一ではないことがあるでしょう。

また、乾燥に時間がかかるため、マンションやアパートの廊下、階段など人の行き来が多い場所の防水工事には向いていません。

ウレタン防水の密着工法がおすすめの施工箇所

ウレタン防水は、液状ウレタン樹脂を塗布することで、雨水の浸入を防ぐ防水層を形成します。

そのため、バルコニーや陸屋根などの防水工事で選ばれることが多いです。

また、液状のため継ぎ目のない防水層ができるため、複雑な部分にもおすすめです。

ウレタン防水密着工法の施工手順防水

防水工事のスケジュールを把握するためにも、ウレタン防水密着工法はどのような手順で施工されるのか大まかに確認しておく必要があります。

ここでは、ウレタン防水密着工法の施工手順を紹介します。

高圧洗浄・ケレン作業・補修

まずは、高圧洗浄を行います。

高圧洗浄とは、付着したコケやカビ、砂利などの汚れを徹底的に洗い流す作業です。

汚れが付着したまま高圧洗浄を行わずに防水材を施工すると、防水材がしっかりと密着せず、施工後に膨れや剥がれなどの重大なトラブルを引き起こす可能性があります。

そのため、高圧洗浄は重要な作業です。

プライマー塗布

プライマーは最初に塗る防水材で、密着性に優れています。

下塗りプライマーを塗布後、24時間以内に樹脂を塗布します。

塗装後24時間以上経過すると密着性が悪くなり、その上に樹脂を塗ると樹脂が剥がれやすくなる点に注意が必要です。

防水工事の防水材は重ね塗りをするため、非常に重要な工程となります。

ウレタン防水材を塗布(1回目)

中間塗膜のウレタン樹脂は、下塗りのプライマーの次に塗布する防水材です。

ウレタン樹脂の特徴は、変形・変色・劣化しにくいこと。

また、耐久性に優れ、摩擦に強い防水材です。

ウレタン樹脂は、塗布後に硬化して固まると、ゴム状で弾力性のある防水材になります。

防水材を塗るときは、コテと呼ばれる道具で2度塗りして、厚みをつけます。

ウレタン防水材を塗布(2回目)

1回目の塗膜が十分に乾いてから、ウレタン樹脂の2回目を塗ります。

なお、1回目を塗り終えた後、完全に乾燥させずに塗ってしまうと、2回目の塗装ができません。

ウレタン樹脂が膨れたり剥がれたりすることがあるため、十分に乾燥させることが大切です。

上塗り1回目を塗り終えたら、最低16時間は乾燥させてから2回目を塗ります。

1回目と同じようにコテを使って厚みが出るよう均一に塗り、ウレタン樹脂塗装は完了です。

トップコートの塗布

トップコートは、ウレタン樹脂中間塗膜の後に塗る防水材です。

トップコートの特徴は、中間塗膜のウレタン樹脂を保護することです。

ウレタン樹脂だけでは紫外線に弱く、傷みやすく劣化が早いため、トップコートを塗ります。

中間塗膜の「ウレタン樹脂」を紫外線から守り、劣化を防ぐための重要なステップです。

トップコートを塗らない場合の塗り替え年数は5~10年ですが、トップコートを塗ると10年以上持つといわれています。

ウレタン防水をすべき劣化症状

防水工事を検討していても、適した工事のタイミングを判断できず迷っている方も多いのではないでしょうか。

前回防水工事を行った場所の劣化症状が見られたら、ウレタン防水をすべきタイミングだといえます。

そこで、ウレタン防水をすべき劣化症状、補修が必要な時期の目安を紹介します。

表面の変色

ウレタン防水の耐用年数は約10年といわれていますが、色あせや変色してきたらトップコートを塗り直しましょう。

ウレタン防水の塗り替えの目安は、約5年です。

早めに塗り替えることで、防水層の劣化を防ぐことができます。

ひび割れや膨れ

表面のひび割れ、コケや藻の繁殖、防水材の膨れや剥がれがある場合は、専門業者に点検・補修を依頼しましょう。

全体的にひび割れや膨らみがあると、防水性や耐久性が低下し、雨漏りにつながります。

劣化を見つけたら、進行する前に補修をしましょう。

一部に浮きや小さなひび割れがある場合は、部分補修が可能です。

部分補修では、膨れやひび割れのある部分を切り取り、プライマーを塗布し、補強布を貼り、ウレタン防水材を既存の防水層と均一に塗布します。

ウレタン防水は多少の衝撃では破れにくいですが、鋭利なものが当たると破れることがあります。

部分的な劣化でも雨漏りの原因になるため、早めの補修が大切です。

雨漏り

すでに雨漏りが発生している場合は、すぐに修理を依頼しましょう。

雨漏りは建物内部にも影響を及ぼすため、放置すると建物全体の補修が必要になることもある点に注意が必要です。

密着工法は、湿気を含んだ基礎に施工すると劣化の原因になります。

そのため、経年劣化で雨漏りしやすい建物には、下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟む「通気緩衝工法」が適している可能性も高いです。

ウレタン防水密着工法の費用

密着工法の単価は4,000~5,500円/㎡、場所や塗料のグレードにより費用が異なります。

単価が安いため、既存下地の防水層が劣化していない場合は、おすすめの工法です。

通気緩衝工法の費用との違い

通気緩衝工法とは、下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟む方法です。

通気緩衝工法の費用相場は、5,500~6,500円/㎡が目安です。

通気緩衝工法のほうが費用相場は高いものの、施工場所によってどちらが適しているのかが異なるため、専門業者に相談して決めましょう。

ウレタン防水密着工法のまとめ

ウレタン防水の密着工法について解説してきました。

まとめると、

  • バルコニーや陸屋根におすすめ
  • 密着工法は職人の技術力が求められる
  • 通気緩衝工法よりも費用は安い

紹介した内容が、防水工事を検討している方の参考になれば幸いです。

防水工事や工法には種類があるため、予算や施工場所に合わせて選びましょう。

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