屋上から雨漏りしやすい原因とは?対策や防水工事の種類などを紹介 | 株式会社新東亜工業  

    コラム    

屋上から雨漏りしやすい原因とは?対策や防水工事の種類などを紹介

コンクリート製の陸屋根は、平らな構造のため雨漏りしやすく、適切なメンテナンスと防水層の管理が重要です。特に屋上のある家では、防水工事の種類や時期を慎重に選ぶことで、ひび割れなどによる雨漏り修理の頻度を抑えられます。

シート防水などの工法は、建物の状態や予算に応じて検討が必要で、DIYではなく専門家による対策が推奨されます。そこで本記事では、屋上の雨漏りが起きやすい原因から、効果的な補修方法、防水工事の選び方まで、雨漏りの防水工事によって建物を守るための情報を解説します。

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屋上で雨漏りが起きやすい理由は? 

鉄筋コンクリート造のマンションやビルは、高層建築にも対応でき、耐震性や耐久性も高いです。

コンクリート製の屋上は、勾配のない平らな陸屋根(ろくやね、りくやね)とも呼ばれます。

屋上空間を利用できるため、近年では多くの建物で採用されるようになりました。

一方、コンクリートの平らな屋上は雨漏りしやすいという欠点があります。

平らな屋上は雨が降ったときの水はけが悪く、経年劣化で防水性が失われるため、雨漏りのリスクが高いのです。

屋上からの雨漏りの原因

屋上から雨漏りが発生した場合でも、代表的な原因を事前に知っておくことで迅速な対応ができ、被害の拡大を防ぐことができます。

また、雨漏りの原因を知っておくことは、雨漏り予防にとても効果的です。

そこで、屋上からの雨漏りの原因を詳しく紹介します。

  • 防水層の劣化
  • パラペットの破損や劣化
  • 笠木の破損やジョイント部分の劣化
  • 排水口周辺の割れ
  • 配管の詰まり
  • 外壁の損傷

防水層の劣化

屋上からの雨漏りは、防水層の劣化が原因で起こります。

防水層が劣化すると、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。主な劣化症状を6つチェックしておきましょう。

ひび割れ

水が浸入するほどではなですが、小さなひび割れが無数にあれば劣化が進んでいる証拠です。

将来的に雨漏りする危険性もあり、屋上の防水工事が必要な時期と判断してよいでしょう。

膨れ・浮き

膨れや浮きは、すでに水が下地まで達し、雨漏りを起こしています。

膨れが見られる箇所は、防水層が破れやすい状態といえるため、すぐにメンテナンスが必要です。

防水シートの剥がれ

防水シートとは、複数のシートを貼り合わせて防水層を形成する方法です。

経年劣化で接着力が低下したり、太陽熱で接着剤の収縮を繰り返すと、継ぎ目や端が剥がれることがあります。

小さな剥がれでも雨水が浸入し、周囲の接着力が低下して面積が広がるため注意が必要です。

防水シートの亀裂・破れ

時間の経過とともに可塑剤が蒸発すると、シートの弾力性が失われ、ひび割れが発生します。

また、飛来物や鳥が突くなどの外的要因で破損するケースもあります。

目地の劣化

アスファルト防水コンクリートには、伸縮目地にコーキング材が使用されています。

建物が揺れた際のクッションの役割を果たしますが、経年劣化により目地にひび割れや剥がれが起こります。

植物の繁殖

目地や排水口周辺に雑草が生えていたら注意が必要です。

植物の根が防水層を突き破り、雨水を建物内に運んでいる可能性があります。

植物が生えている場合は、安易に引き抜かないようにしましょう。

パラペットの破損や劣化

パラペットは外壁から浮き上がっているため、屋上の防水層との間に継ぎ目ができます。

目地はシーリング材や金具で密閉されていますが、屋上に溜まった雨水により劣化しやすく、隙間が生じると水が浸入します。

また、パラペットには屋上に落ちた雨水を排水する仕組みが備わっていることが特徴です。

しかし、落ち葉が溜まってしまうと排水機能が低下します。

排水機能が働かないと、屋根やルーフに雨水がたまり、雨漏りや建物の劣化を招くでしょう。

笠木の破損やジョイント部分の劣化

屋上の立上り壁には、笠木が張られています。

目地や上に設置された手摺の根元、外壁に接する目地にはコーキングが施されており、経年劣化によりひび割れが発生することがあります。

コーキング自体が割れている場合もありますが、接着面との間に隙間ができているケースも多いです。

排水口周辺の割れ

排水口まわりの目地が割れて雨が漏れることもありますが、屋上からの雨水が集まる場所であり、割れが小さくても漏水量は多いので注意が必要です。

ひび割れは小さくて見つけにくいかもしれませんが、排水口周辺は手で触ることができるため、確認してみましょう。

配管の詰まり

屋根の排水パイプが詰まって雨水が溜まったり、パイプの継ぎ目が劣化したりすると、水漏れを起こします。

さらに、雨が降り続いて屋根自体に雨水が溜まると、窓や出入り口の隙間、内壁の目地などから室内に雨水が染み込み、雨漏りの原因になることが多いです。

外壁の損傷

屋上を囲む腰壁の内壁や、外壁のひび割れから雨漏りする可能性もあります。

地震だけではなく、近隣の幹線道路や工事現場などの揺れによって発生することもあり、小さなひび割れは珍しくありません。

窓の角や換気孔の周辺、外壁のビス止め部分などで割れることが多いため、点検の際には重点的にチェックするとよいでしょう。

また、補修跡が劣化し、雨水が浸入することもあります。

屋上からの雨漏りを放置する危険性

屋根からの雨漏りの場合、初期段階では天井にシミができる程度で、緊急性を感じないことが多いです。

しかし、大屋上に雨水が溜まって起こる雨漏りは、漏れる水量が一定であるため、大きな被害をもたらす可能性があります。

ここでは、屋上からの雨漏りを放置する危険性を解説します。

雨漏り放置の危険性
  • 建物の腐食
  • 補修できない内装の劣化
  • 家具や家電が壊れる
  • カビでアレルギーや喘息になる
  • 漏電被害

雨漏りの被害状況を再確認し、雨漏り量が少ないうちに対策をとりましょう。

建物の腐食

湿気によって内部にシロアリが繁殖すると、木質材料を食い荒らし、さらなる被害を引き起こす危険性が高いです。

鉄骨造やコンクリート造の建物はシロアリが発生しないと考える方もいます。

しかし、壁の天井枠やサッシの下地など、どのような工法の建物にも必ず木が使われているため、シロアリ被害の可能性はあるのです。

いずれも建物の寿命や性能に影響を与える構造部分に発生するものであり、雨漏りによる最も大きな被害といえるでしょう。

補修できない内装の劣化

雨が室内に漏れると、天井や壁のクロスにシミや湿気が発生します。

屋根から雨水が侵入すると、構造体の木材が腐り、鉄骨や鉄筋が錆びが発生して、耐震性や耐久性が大きく低下します。

内部損傷は、腐食被害が外からはまったく見えない点に注意が必要です。

腐食は天井裏や壁内部の隠れた場所で進行し、被害が露呈したときには修復できない状態になっています。

さらに、下地の石膏ボードが濡れると、水浸しになって崩れやすくなり、防火機能が低下するリスクがあります。 

補修は傷んだ部分だけを取り替えることはできず、目地から目地まで広範囲に及ぶため、補修費用は高額です。

家具や家電が壊れる

雨漏りの下に家具や家電があると、濡れて故障や破損の原因になります。

家具はシミや歪みが生じ、最悪の場合、扉や引き出しがきちんと閉まらなくなることもあります。

扉や引き出しが閉まらないほど歪みがある場合、修理は難しく、ほとんどの家具は買い換えなければなりません。

また、家電製品も水に濡れると使えなくなり、故障や買い替えを余儀なくされると家計に大打撃を与えるでしょう。

特にパソコンは金銭的な損失以上に深刻な被害が発生する可能性があります。

カビでアレルギーや喘息になる

雨漏りによる水分が天井裏や壁内にこもると、カビが繁殖し、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす原因となります。

また、雨漏り修理後も隠れた場所であり、徐々にカビが生えてくるため、原因に気づきにくいでしょう。

雨漏りは、建物だけではなく人への被害も極めて深刻です。

漏電被害

雨水が電気機器や配線に触れると漏電し、漏電ブレーカーが作動します。

しかし、原因が解決されずに何度も電気が遮断されると、電気製品が故障する可能性があるため注意が必要です。

特に、パソコンや周辺機器は予期せぬ停電に弱いものが多く、修理や交換には高額な費用がかかるでしょう。

また、濡れた電化製品やコンセントから漏れる雨水に触れると感電する危険性もあります。

火傷をすることもあり、特に小さな子供は大けがをする危険性が高いです。

屋上防水工事の種類

屋上防水工事の種類には、塗膜防水、シート防水、アスファルト防水があります。屋上防水工事の種類、それぞれどのような工事なのかを解説します。

塗膜防水

塗膜防水は、液状の防水材を塗布し、化学反応によって防水膜を形成する工法です。

歩行をする場所の防水には適していますが、職人の技術力が低いと一定の厚みにならないという欠点があります。

シート防水

シート防水は、下地にゴムシートや塩ビシートを貼り付ける工法です。

塩ビシートを使用したシート防水は、仕上がりが美しく、耐久性に優れ、ウレタン防水に比べてメンテナンスの頻度も少ないことが特徴です。

アスファルト防水

アスファルト防水は古くから施工されており、信頼性の高い防水工法のひとつです。

溶かしたアスファルトとアスファルトルーフィングシートを重ね合わせることで、強靭で防水性の高い防水層を形成します。

アスファルト防水とシート防水は似ていますが、アスファルト防水は熱でアスファルトを溶かして下地に密着させる点が大きく異なります。

防水工法の特徴と費用相場、耐用年数表

以下の表に、代表的な防水工法の特徴に加え、費用相場と耐用年数をまとめました。

防水工法特徴メリットデメリット用途費用相場(㎡あたり)耐用年数
塩ビシート防水塩化ビニル樹脂を主成分とするシートを接着剤や熱で貼り付ける防水工法。耐久性が高く、紫外線や薬品に強い。耐久性が高い
紫外線や薬品に強い
施工が比較的簡単
シートの継ぎ目からの漏水のリスク
特殊な技術が必要な場合がある
屋上やバルコニーなど、平らな部分の防水4,000~7,000円10~15年
ゴムシート防水ゴム製のシートを用いた防水工法。伸縮性があり、建物の動きに追従することができる。伸縮性があり、建物の動きに追従する
施工が比較的簡単
耐久性が塩ビシート防水に比べて劣る
シートの継ぎ目からの漏水のリスクがある
屋上やバルコニーなど、平らな部分の防水4,000~7,000円10~15年
ウレタン防水液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法。施工が簡単で、複雑な形状の場所でも適用できる。施工が簡単
複雑な形状の場所でも適用できる
シームレスな防水層が形成できる
施工後の硬化に時間がかかる
紫外線に弱いため、トップコートの定期的なメンテナンスが必要
屋上、バルコニー、ベランダ、階段などの防水3,000~8,000円8~10年
アスファルト防水アスファルトを主成分とする防水工法。熱で溶かしたアスファルトを塗布して防水層を形成する。耐久性が高い
広い面積の防水に適している
施工時に高温のアスファルトを扱うため、専門技術が必要
施工時に臭いが発生する
重量があるため建物に負荷がかかる
屋上、駐車場、地下室などの広い面積の防水4,000~8,000円15~20年
FRP防水ガラス繊維で強化されたプラスチック(FRP)を用いた防水工法。高い耐久性と防水性を持ち、軽量で強度がある。高い耐久性と防水性
軽量で強度がある
シームレスな防水層が形成できる
施工費用が比較的高い
施工には専門技術が必要
屋上、ベランダ、プール、浴室などの防水5,000~10,000円10~15年

この表を参考にして、屋上に適した防水工法を選定することができます。各防水工法にはそれぞれのメリット、デメリット、費用相場、そして耐用年数があるため、具体的な用途や条件に応じて最適な方法を選びましょう。

屋上の雨漏り補修方法

雨漏りを根本的に解決するためには、補修方法について把握しておくことが大切です。

ここからは、屋上の雨漏り補修方法について紹介します。

  • ドレン改修工事
  • 笠木補修や交換
  • パラペットの補修
  • 防水工事

ドレン改修工事

ドレン改修工事は、排水溝の交換工事です。

既存排水溝を取り除き、改修ドレンと呼ばれる新しい排水溝に変更します。

笠木補修や交換

笠木が割れている、ひびが入っている場合、コーキングやテープを使用して破損箇所を補修します。

笠木に穴が開く、下地が腐食するなどが原因で雨漏りしている場合は、交換を行いましょう。

笠木の交換は、笠木本体のほか、シートや木下地も新しいものに交換可能です。

防水シートも補修や新しくすることができます。

パラペットの補修

床から立ち上がるように設計されているパラペットと防水層の間には、必ず継ぎ目があります。

雨水の浸入を防ぐためにパラペットとシーリング材を充填しますが、紫外線、水や雨水にさらされることで徐々に劣化します。

金具のズレや変形、脱落、シーリングのひび割れや剥がれなどが雨漏りの原因になるため、5~7年に1度はシーリングを打ち替えましょう。

その際、金具の破損がないか確認し、補修や交換などの対策を行うことも大切です。

防水工事

防水工事では、既存の防水層を撤去し、新しい防水層を施工します。

屋上全体の防水層を張り替えると高額になりますが、雨漏りの原因が複数箇所にある場合は、防水工事で雨漏りを補修します。

屋上を長持ちさせる方法

屋上防水の劣化を防ぎ、寿命を延ばすためにはメンテナンスが必須です。

ここでは、屋上防水を長持ちさせるために日頃から行うとよいメンテナンスや、対処法を紹介します。

  • 定期的な点検をする
  • 排水溝を掃除する
  • トップコートを塗り替える

定期的な点検をする

紫外線、雨や風、などの影響で防水層が劣化するケースは少なくありません。

防水層の劣化は、目に見えるものもあれば、小さなダメージが積み重なって気づきにくいものもあります。

劣化を見過ごすと、雨水が浸入して建物内部が腐食する恐れがあります。

そのため、自分で目視点検を行うだけではなく、専門業者に点検を依頼することが大切です。

専門業者であれば、わずかな異常も見逃さないため、雨漏りの原因になりそうな箇所があればすぐに対処できます。

定期的に劣化の兆候をチェックすることは、屋根を長持ちさせるための大切なメンテナンスのひとつです。

排水溝を掃除する

雨漏りの原因のひとつは、排水溝が詰まって屋上に水が溜まることです。

そのため、排水溝を含む様々な場所の清掃をこまめに行うことは、屋上の寿命を延ばすことにつながります。

落ち葉の多い季節は、排水溝が詰まりやすくなります。

定期的に排水溝をチェックし、汚れやゴミが溜まっていたらすぐに掃除しましょう。

トップコートを塗り替える

防水層は紫外線に弱いため、トップコートと呼ばれる仕上げ材を塗って紫外線から守ります。

しかし、トップコートの耐用年数は5年ほどで、以降は機能が低下し、防水層を保護できなくなります。

そのため、こまめにトップコートを塗り直さなければ、防水層の寿命は著しく短くなってしまうでしょう。

耐用年数に応じてトップコートを塗り替えることは、屋上を長持ちさせるために大切なメンテナンスのひとつです。

防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】

大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。

そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。

防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。

以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。

  • 補助金申請できる地域に住んでいる
  • 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
  • 税金を滞納していない
  • 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること

詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。

防水工事に関してのよくある質問を紹介

ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。

Q

防水工事前に何か準備は必要ですか?

A

防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。

Q

防水工事を行う周期はどのくらいですか?

A

一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。

Q

雨天時も防水工事は行いますか?

A

防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。

Q

防水工事中に臭いがすることはありますか?

A

防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。

屋上の雨漏りの原因や放置する危険性についてまとめ

今回は、屋上の雨漏りの原因や放置する危険性、メンテナンス方法について紹介しました。

  • 屋上からの雨漏りは水の量が多いため被害が大きい
  • 雨漏りを放置すると健康被害が出る
  • 定期的なメンテナンスで雨漏りを防げる

メンテナンスを怠ると、屋根からの雨漏りは大きな問題となります。

屋上は日頃から紫外線や風雨にさらされ、防水層の劣化も早いため、小さな傷でもすぐに大きなダメージにつながるため注意が必要です。

最初は表面の微細なひび割れでも無視せず、早めにトップコートを塗り直すなどのメンテナンスを行えば、雨漏りに発展するのを防ぐことができます。

屋上から雨漏りしている場合や、目視で確認できる異常がある場合は、専門業者に点検をしてもらいましょう。

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