防水工事のトップコートとは?種類や役割|メンテナンスすべき劣化現象 | 株式会社新東亜工業  

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防水工事のトップコートとは?種類や役割|メンテナンスすべき劣化現象

トップコートのメンテナンスを適切に行うことで、将来の防水工事費用を抑えることができます。

防水工事の頻度を減らし、出費を抑えるためには、下地の防水層の劣化を遅らせ、寿命を延ばすことが重要です。

そこで今回は、トップコートの役割やメンテナンスが必要な症状、塗り替えにかかる費用などを解説します。

防水工事のトップコートとは

防水工事のトップコートとは、防水層を保護する塗膜のことです。

防水層にトップコートを塗らないと、紫外線や雨の影響を直接受けてしまい、防水層の劣化を進める可能性があります。

例えば、塗膜で防水層を作るウレタン防水の場合、トップコートを塗らないと半年程度で劣化してしまいます。

また、トップコートには、好みの色を選べることがメリットです。

日差しを受けやすい黒や汚れが目立ちやすい白は敬遠されがちですが、色の選び方次第で見栄えを良くすることもできます。

トップコートの劣化現象

トップコートは、長年紫外線にさらされ続けることで経年劣化します。

バルコニーや屋上を長持ちさせるには、定期的にトップコートを塗り直さなければなりません。

ここでは、塗り直しの時期を見極めるために重要な、劣化現象について紹介します。

色褪せ

色褪せは比較的緊急性のない症状ですが、劣化の初期現象です。

色褪せを何年も放置していると防水層まで劣化してしまい、一から防水工事を行わなければなりません。

多少の色褪せはすぐに防水層が傷むことはないものの、塗り替えのタイミングだといえるでしょう。

チョーキング現象

ベランダや屋上の床に白っぽい粉が吹いている場合、チョーキングと呼ばれる劣化現象が起こっています。

トップコートが紫外線によってダメージを受けて粉状になっており、再塗装が必要な目安のひとつです。

チョーキング現象を補修しないと、防水性が下がり、ひび割れを起こす可能性があります。

ひび割れ

トップコートの剥がれやひび割れは、経年劣化や紫外線によるダメージ、防水層との接着力の低下などが原因で起こります。

ひび割れの小さな隙間から水が浸入し、バルコニーや屋根にダメージを与えるため注意が必要です。

小さなひび割れでも、早急に塗り替えを検討しましょう。

汚れが目立つ

表面に汚れやコケが出てきたら、トップコートが劣化しているサインです。

特に、コケやカビなどが発生したまま放置しておくと、劣化が防水層まで拡大し、通常よりも劣化スピードが速くなります。

摩耗

人がよく歩く場所では、トップコートが摩耗することがあります。

トップコートのみが摩耗しているのであれば、トップコートの再塗装で対処が可能です。

歩行頻度も加味して、点検や再施工を検討する必要があるでしょう。

トップコートの種類

どの防水工事をするかによって、トップコートの種類が異なります。ここでは、防水工事ごとのトップコートの種類を紹介します。

ウレタン防水の場合

ウレタン防水の場合、

  • アクリルウレタン系
  • フッ素系

のトップコートがあります。

アクリルウレタン系は、一般的に広く使われているトップコートです。

フッ素系はアクリルウレタン系よりも耐久性がありが高価なため、一般的ではありません。

FRP防水の場合

FRP防水では、

  • ポリエステル系
  • アクリルウレタン系

のトップコートを使用します。

ポリエステル系は、主に新築住宅に使用されるトップコートです。

FRP防水層の性能を生かしたトップコートですが、乾燥すると硬くなり、ひび割れしやすい点がデメリットです。

また、重ね塗りには向かないため、基本的に塗り替えでは選ばれません。

アクリルウレタン系は、FRP防水の改修工事で使用されることが多いトップコートです。

ポリエステルのトップコートに比べると硬度が不足し、FRP防水の耐摩耗性を活かせませんが、塗り替えには適しています。

シート防水

シート防水とは、合成ゴムや塩ビ(塩化ビニル樹脂と呼ばれるプラスチックの一種)をシート状に加工し、接着剤で下地に固定する防水工法です。

合成ゴムに影響が出ないよう、水性タイプのトップコートを施工します。

ウールローラーや水性刷毛で2回塗装を行い、1回目と2回目は、3時間以上空けなければなりません。

1回目に塗ったトップコートが十分に乾燥してから、2回目を塗装します。

トップコートの施工費用

トップコートの施工費用は、防水工事の種類ごとに異なります。

防水工事の種類別の施工費用相場は次のとおりです。

防水工事の種類単価相場
ウレタン防水1,600~1,700円/㎡
FRP防水1,700~2,200円/㎡
シート防水900~1,500円/㎡

トップコートの単価は一般的に1㎡あたり900円~2,200円程度です。

機能性や予算、施工面積などから、最適な防水工事の種類を選択しましょう。

トップコートの塗り替え時期

トップコートの塗り替え時期は、施工後3~10年と幅があります。

トップコートの耐用年数は、アクリルウレタン系で3~5年程度と短く、フッ素系で10年程度と長いことが特徴です。

ただし、外壁と異なり人が歩く場所への施工が前提であり、歩く頻度によって劣化状態は変わります。

トップコート塗り替えの手順

トップコートを塗り替える際、どのような手順で施工されるのでしょうか。

ここでは、ベランダと屋上それぞれの施工手順を紹介します。

ベランダ防水の場合

最初に、ベランダ防水施工手順を紹介します。

研磨

まずは、塗装が剥がれた箇所を磨きます。

電動サンダーや耐水ペーパーで丁寧に研磨をします。

シンナー拭き

アセトンと呼ばれる溶剤を使用し、研磨時に出るホコリや油分を拭き取ります。

研磨粉が残っていると、次の工程でプライマーが密着しないため、丁寧に拭くことが大切です。

プライマー塗布

プライマーとは、最初に塗る塗料です。

防水層とトップコートを十分に接着させるための接着剤の役割を果たします。

トップコート塗布

防水層を保護するためにトップコートを塗ります。

屋上の場合

次に、屋上に施工する場合の手順を紹介します。

高圧洗浄

チョーキングや汚れを高圧洗浄で除去します。

なお、手作業で行う場合もあります。

プライマー塗布

再塗装用のプライマーを塗布します。

プライマー塗布は、トップコートの密着性を高めるために需要なポイントです。

トップコート塗布

トップコートで仕上げます。

なお、トップコートのみに劣化症状が現れている場合はトップコートの再塗装で対応できますが、下の層まで劣化症状が進行している場合はトップコートの再塗装だけでは対応できません。

防水層に、ひび割れ、亀裂、浮きなどがある場合、防水層を新しいものに交換するか、下地から交換することになります。

トップコートを長持ちさせるコツ

トップコートの点検やメンテナンスを行うことで、様々なメリットを得られます。

  • 防水層を長持ちさせる
  • 紫外線から建物を守る
  • 出費を抑えられる

建物の寿命を延ばし、工事費用を抑えるためには、トップコートを長持ちさせることが重要です。

ここでは、トップコートを長持ちさせるコツを紹介します。

ドレン周辺の清掃

ドレン口とは、ベランダや屋上などに設置され、雨水などを排水するための排水口を指します。

トップコートを長持ちさせるためには、常にきれいにしておくことが大切です。

排水口が落ち葉や砂などで詰まっていると、うまく排水できずトップコートに水が溜まってしまうことがあります。

汚水が溜まると劣化が早まり、水漏れのリスクも高まります。

まずは日頃から清掃を意識し、清潔な状態を保ちましょう。

トップコートの定期点検

トップコートを長持ちさせるためには、小さな変化を見逃さないことが大切です。

例えば、トップコートにひび割れや剥がれがある場合、専門業者ではなくても自分で目視チェックできます。

問題が軽微であれば、簡単な補修で済むかもしれません。

しかし、症状が悪化すると水漏れにつながり、工事が大掛かりになる可能性もあります。

そのため、日頃から異常がないか細心の注意を払うことが大切です。

自身で判断できない場合は、専門業者に相談し、点検してもらいましょう。

防水工事トップコートのまとめ

防水工事のトップコートの役割、費用などを解説しました。

まとめると、

  • トップコートは防水工事の種類によって異なる
  • シート防水トップコートの施工が最も安価
  • トップコートはこまめに点検・塗装する

トップコートが剥がれても、必ず雨漏りするとは限りません。

防水機能はトップコートの下にある防水層が担っているため、防水層が劣化して初めて雨漏りが発生します。

また、劣化が進んでいると感じたら、日頃のメンテナンスに気を配ることも必要です。

トップコートの劣化症状が見られる場合や、塗り替え時期を迎えている場合は、防水工事業者に相談しましょう。

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