歩行頻度も考慮した屋上防水に最適な工法は?選ぶためのポイントを徹底解説 | 株式会社新東亜工業  

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歩行頻度も考慮した屋上防水に最適な工法は?選ぶためのポイントを徹底解説

屋上は、雨風から建物を守る重要な役割を担っています。

しかし、経年劣化によって防水機能が低下すると、雨漏りなどのトラブルが発生し、建物の構造を損なうだけでなく、居住者の健康や生活環境にも悪影響を及ぼします。

雨漏りを防ぐためには、適切なタイミングで屋上防水工事を行うことが重要です。

しかし、一口に屋上防水といっても、さまざまな工法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

また、屋上の歩行頻度も、防水工法を選ぶ際には重要なポイントです。

この記事では、歩行頻度も考慮した屋上防水に最適な工法を選ぶためのポイントを解説します。

歩行レベルとは?

屋上の歩行レベルとは、屋上における歩行頻度と荷重に基づいて、防水層に求められる性能を分類したものです。

一般的に以下の4種類に分けられます。

歩行レベル内容
非歩行メンテナンス(点検、清掃など)程度の歩行のみ想定
軽歩行特定多数の人が、一般的な靴で歩行する想定
歩行不特定多数の人が、一般的な靴で歩行する想定
重歩行車両などが頻繁に走行する想定

防水工法は大きく分けて、保護工法と露出工法の2種類があります。

それぞれの工法によって、想定される歩行レベルが異なるため、屋上の用途や目的に合わせて適切な工法を選ぶことが重要です。

屋上防水層の劣化症状

屋上の防水層は、紫外線や雨水、風などの影響で徐々に劣化していくものです。

劣化が進行すると、雨漏りやひび割れなどの問題が発生する可能性があります。

以下に、屋上防水層の劣化症状をいくつか紹介します。

劣化症状が現れたら、防水工事を検討しましょう。

保護塗料の消失

保護塗料の消失は、屋上防水層の劣化症状の中でも特に重要なサインです。

アスファルト防水やウレタン防水などの防水層は、紫外線や雨風の影響を受けやすいという弱点があります。

そこで、保護塗料を表面に塗ることで防水層を保護し、劣化を抑制しているのです。

しかし、長年雨風に晒されることで、保護塗料は徐々に劣化し、消失してしまうことがあります。

防水層の膨れ

防水層の劣化症状の1つが、防水層の膨れです。

膨れの原因は、シート内部の水蒸気や下地の水分、下地の動きが考えられます。

防水層の膨れによる影響は、防水機能の低下、見た目の悪化、破裂や亀裂などの二次被害に繋がる可能性もあります。

防水層の口開き

防水層の口開きとは、アスファルト防水やシート防水など、複数の防水材料を貼り合わせた際に、経年劣化によって材料同士の接合部が剥がれ、隙間が生じる現象です。

劣化が進行すると、防水層の表面に亀裂やひび割れが発生し、浮きや剥がれなども見られます。

最悪の場合、雨漏りに発展するので、放置せず早急な対応が必要です。

防水層のひび割れ

防水層のひび割れは、屋上防水層の劣化症状の中でも比較的よく見られる症状です。

コンクリート躯体の動きによって、防水層にひび割れが生じることがあります。

一般的に、コンクリート躯体の動きによる影響は既存防水層に直接及ぼすことは稀です。

しかし、ひび割れが発生した場合は、そこから雨水が浸入し、防水層の劣化を早める可能性があります。

伸縮目地の突出

伸縮目地は、コンクリート躯体の熱膨張・乾燥収縮による動きを吸収するために設けられたものです。

長年の雨風や紫外線などの影響を受け、伸縮目地自体が劣化し、突出してしまうことがあります。

伸縮目地が突出すると、防水層に負荷がかかり、破断してしまう可能性があります。

防水層の押し出し

防水層の押し出しは、屋上防水層の劣化症状の中でも比較的深刻な問題です。

放置すると雨漏りなどのトラブルに繋がる可能性があります。

防水層の押し出しは、コンクリート躯体の動き、水分膨張、施工不良などの原因によって発生します。

防水層の押し出しは、防水層の膨れや破断などの症状で確認できます。

防水層の押し出しを発見した場合は、早急に専門業者に調査・補修を依頼することをおすすめします。

屋上防水工法の種類

屋上防水には、大きく分けて4種類の工法があります。

屋上防水の種類耐用年数費用相場
アスファルト防水15〜25年約5,500〜8,000円
シート防水10〜12年約5,000〜7,000円
ウレタン防水8〜10年約4,000〜7,000円
FRP防水10〜15年約6,000〜8,000円

それぞれの特徴と歩行レベルとの関係性を理解し、屋上環境に最適な工法を選びましょう。

アスファルト防水

アスファルト防水は、最も歴史のある防水工法です。

アスファルトを主成分とする防水シートを貼り付けることで、防水層を形成します。

大きく分けて「露出工法」「保護工法」の2種類に分けられます。

工法の種類歩行レベル
露出工法非歩行
保護工法重歩行

アスファルト防水露出工法は、一般的に歩行を想定していない「非歩行」仕様です。

非断熱工法と各種仕上材の組み合わせや、保護材を防水層の上に敷設するなどの方法で、歩行レベルを上げることができます。

シート防水

シート防水は、塩化ビニル樹脂や合成ゴムなどのシートを貼り付ける防水工法です。

アスファルト防水よりも軽量で、施工も容易です。

工法の種類歩行レベル
塩ビシート防水非歩行
ゴムシート防水非歩行

シート防水は、一般的に歩行を想定していない「非歩行」仕様です。

断熱材とシートの間にセメント系ボードを敷設し、シート厚みを2.0mmにする方法で歩行レベルを上げられます。

また、仕上塗料を軽舗装材にすることで、「軽歩行」に適した仕様になります。

シート防水も、用途や目的に合わせて、歩行レベルの調整が可能です。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を現場で塗り重ね、防水層を形成する防水工法です。

ウレタン防水は、一般的に軽歩行に適した「軽歩行」仕様です。

歩行頻度や荷重に応じて、滑りにくい「粗面仕上げ」や、塩ビ系長尺シートとの併用で歩行レベルを上げられます。

ウレタン防水は、表面処理や他の防水材との組み合わせにより、歩行レベルの調整が可能です。

FRP防水

FRP防水とは、繊維強化プラスチック(FRP)を用いた防水工法です。

FRPはガラス繊維をポリエステル樹脂で固めた素材で、軽量で強度が高く、耐久性に優れています。

FRP防水は、一般的に「歩行」または「軽歩行」仕様です。

歩行レベルと防水工法の選び方

屋上防水には、さまざまな工法があり、それぞれに適した歩行レベルがあります。

適切な防水工法を選ぶためには、以下のポイントを踏まえることが重要です。

歩行頻度で選ぶ

​​屋上防水を選ぶ際には、歩行頻度を考慮することが重要です。

歩行頻度によって、適切な防水工法と歩行レベルが決まります。

非歩行の場合は、比較的安価なアスファルト防水やシート防水、軽歩行の場合は、保護材を組み合わせることで、防水性を向上させられます。

歩行や重歩行の場合は、強度と耐久性に優れたFRP防水がおすすめです。

予算から選ぶ

屋上防水は、歩行レベルと予算によって最適な工法が異なります。

防水工法は、材料費や施工費によって費用が異なります。

一般的に、アスファルト防水やシート防水、ウレタン防水は比較的安価で、FRP防水は高価です。

最適な防水工法を選択するには、専門業者に相談することをおすすめします。

専門業者は、屋上の状況や予算に合わせて、最適な工法を提案してくれるでしょう。

耐久性から選ぶ

適切な防水工法を選ぶためには、歩行レベルと耐久性を考慮する必要があります。

防水工法の耐久性は、使用する材料や施工方法によって異なります。

防水工法の耐用年数は、一般的に8年〜25年と幅広く、屋上の状況や予算に合わせて、最適な工法を選びましょう。

施工性から選ぶ

屋上防水には、アスファルト防水、シート防水、ウレタン防水、FRP防水など、さまざまな工法があります。

施工性を重視して防水工法を選ぶ場合は、予算、工期、施工業者を考慮する必要があります。

歩行レベルと防水工法は、用途や目的に合わせて選ぶ必要があり、施工性も重要な考慮事項です。

デザインから選ぶ

屋上防水は、機能性だけでなく、デザインも重要な要素です。

歩行レベルが「非歩行」の場合は、デザインの選択肢が比較的自由です。

「軽歩行」の場合は、デザイン性と耐久性のバランスが重要になります。

「歩行」の場合は、耐久性と歩行性を考慮する必要があります。

「重歩行」の場合は、デザインだけでなく、強度と耐久性に優れた工法が必要です。

デザインは、色、模様、質感などが選べます。

デザインと防水性を両立するには、専門業者に相談することをおすすめします。

専門業者は、歩行レベルやデザインの要望に合わせて、最適な防水工法を提案してくれるでしょう。

まとめ

ここまで、屋上防水工法と歩行レベルの関係性について解説してきました。

この記事の要点は、以下のとおりです。

  • 歩行レベルは、屋上の歩行頻度と荷重に基づいて「非歩行」「軽歩行」「歩行」「重歩行」の4種類に分類される
  • 屋上防水工法の種類は、保護工法と露出工法の2種類。保護工法は重歩行に適しており、露出工法は非歩行に適している
  • 屋上防水の種類は、主にアスファルト防水、シート防水、ウレタン防水、FRP防水の4種類
  • 歩行レベルと防水工法の選び方は、歩行頻度、予算、耐久性、施工性、デザインから選ぶ

歩行レベルと防水工法は、用途や目的に合わせて選ぶことが重要です。

防水工法を選ぶ際には、専門業者に相談することをおすすめします。

屋上の歩行頻度と防水工法の関係性を理解して、最適な防水工法を選びましょう。

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