マンション大規模修繕中はベランダにある植物をどうすべき?撤去から再設置まで徹底解説
2025/07/31
マンションの大規模修繕工事が始まると、足場の設置や外壁塗装・防水工事などにより、ベランダの使用が制限されるのが一般的です。
ベランダで植物を育てている方にとっては、「植物はどこに置けばよいのか」「枯れずに保管できるのか」「移動させても育つのか」といった不安がつきものです。
さらに、工事期間中の植物の取り扱いを誤ると、住民トラブルや工事妨害といった問題にもつながりかねません。
本記事では、マンションの大規模修繕中におけるベランダ植物の撤去方法や保管場所・再設置時の注意点まで、実際に役立つ情報を具体的に解説します。
目次
マンション大規模修繕中にベランダの植物は撤去する理由
マンションの大規模修繕では、建物全体の安全確保と作業効率を重視するため、ベランダの利用に厳しい制限が設けられます。
特に外壁工事や防水処理を伴う場合、ベランダ内に設置された私物は作業の妨げになるため、全面的な撤去が求められるケースが大半です。
ベランダは、区分所有法上「共用部分」に該当し、たとえ専用使用権があるとしても、管理規約に従った使用が原則です。
工事期間中は、施工業者および管理組合の指示に従う義務が生じます。
足場が組まれ、職人が日常的にベランダ周辺を移動するようになると、鉢植えや棚は転倒・落下のリスクを伴い、事故や損傷の原因となることもあります。
特に高所からの落下事故は重大な安全問題につながるため、植物といえども例外ではありません。
さらに、仮に業者によって破損や処分が発生しても、事前に撤去通知があった場合は補償の対象外となることが一般的です。
マンション大規模修繕に伴う植物撤去のタイミング
大規模修繕前には、管理組合から「ベランダの私物撤去」に関する通知が配布されるのが通例です。
通知には、工事の開始日・足場設置日・立ち入り制限期間などが記載されており、そこから逆算して植物の撤去タイミングを決めることが重要です。
通知内容は一見わかりにくいこともありますが「足場設置予定日」や「ベランダ立入禁止期間」に着目すると判断がしやすくなります。
特に植物の撤去は、他の家具や資材に比べて丁寧な取り扱いが必要となるため、余裕をもったスケジュール管理が不可欠です。
また、住民説明会が開催される場合には必ず参加しましょう。
説明会では、実際の工事内容やベランダ使用の制限・植物の保管についての具体的な案内が得られるため、誤解や準備不足を防ぐことができます。
質問事項は事前にメモしておき、必要であれば他の住民と意見交換をして情報共有するのも効果的です。
ベランダの植物に合わせた撤去や保管方法
植物の種類や鉢の形状によって、最適な撤去方法や保管の工夫は異なります。
以下では、主なパターンに分けて具体的な対応方法を表で紹介します。
植物の特徴に応じた取り扱いが、ダメージを最小限に抑え、工事期間中も健康状態を維持する鍵となります。
【植物の種類別|撤去・保管のポイント一覧】
| 植物の種類 | 対応ポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 鉢植え・プランター | プラスチック鉢に替えて軽量化、室内では受け皿と滑り止めを使用 | 陶器鉢は重く破損に注意 |
| 吊り鉢・フェンス設置型 | 強風で落下しやすいため早めに撤去、パーツは保管 | フック取り外しは手袋推奨 |
| 大型観葉植物 | キャスター鉢で移動、省スペース保管や外部預けも検討 | 湿度・日照の管理が必要 |
| 家庭菜園(野菜・ハーブ) | 鉢を布などで包んで土こぼれ防止、収穫可能なものは早めに対応 | 水やり直後の運搬は避ける |
ベランダから撤去した後の植物保管場所
植物を撤去した後、どこに保管するかも重要な検討事項です。
自宅内での保管が基本となりますが、条件や環境に応じて外部サービスの利用も含めた選択肢を整理しておくことで、いざという時に焦らず対応できます。
室内保管での工夫
室内に植物を保管する場合は、窓際や日当たりの良い場所を確保することが重要です。
特に日照が不足する冬場などは、植物育成ライトの導入が枯れを防ぐのに効果的です。
観葉植物には一定の湿度も必要であり、加湿器やサーキュレーターの使用によって環境を安定させましょう。
また、鉢の下には受け皿を敷き、床への水漏れやカビの発生を防ぎます。
特にフローリングの場合は、鉢周辺の通気性確保も忘れずに行いましょう。
加えて、植木の下に新聞紙や防水マットを敷くと床材への影響も軽減できます。
共用部には置かない
廊下や階段などの共用部に鉢植えを置くことは、避難経路を塞ぐ可能性があるため厳禁です。
消防法に抵触するリスクがあるだけでなく、他の住民とのトラブルの火種にもなります。
管理規約に明記されていない場合でも、一般的な常識として共用部は「私物禁止」の場所であると認識しておくことが必要です。
移動の便を考えて一時的に置きたくなる気持ちもわかりますが、マンション全体の安全と秩序を優先しましょう。
管理組合との調整による一時保管スペース
マンションによっては、管理組合が集会室の一角やエントランス脇の空きスペースを臨時保管場所として提供してくれる場合があります。
これらのスペースは、限られた条件付きでの使用となることが多く、先着順や使用申請が必要なケースも少なくありません。
利用を希望する場合は、なるべく早く管理組合に相談し、利用条件や責任の所在(破損時の補償など)について明確にしておきましょう。
また、他の住民との共有スペースであることを忘れず、最低限のマナーを守る姿勢も大切です。
トランクルーム・貸倉庫の利用
室内にどうしても保管場所がない場合は、近隣のトランクルームや貸倉庫の短期契約を検討するのも一つの手段です。
特に空調付きの屋内型施設であれば、観葉植物の保管にも適しており、温度や湿度の管理が比較的容易に行えます。
契約時には、植物の保管が許可されているかを事前に確認し、定期的に様子を見に行ける距離の施設を選ぶと安心です。
費用は月額数千円〜1万円程度が相場となっており、家計とのバランスを考慮しつつ、植物の安全を第一に判断しましょう。
大規模修繕に関する住民トラブルを避けるためのベランダマナー
大規模修繕中は、住民同士のちょっとしたすれ違いが思わぬトラブルに発展することもあります。
特にベランダの植物は、個人の趣味であると同時に、共用部分に設置されていることから周囲への影響が少なくありません。
ここでは、植物の撤去・保管時に注意しておきたいマナーやルールを紹介します。
避難経路・共用部に置かない
ベランダから撤去した鉢植えを一時的に共用廊下や階段・エントランスなどに置いてしまう行為は、避難経路をふさぐ重大なリスクになります。
たとえ短時間でも、緊急時には命に関わる事態を引き起こしかねません。
また、消防法にも違反する可能性があり、管理組合から厳しく指導されるケースもあります。
植物の一時保管場所は、自室内または管理組合が認めたスペースに限定し、共用部には一切置かないことが原則です。
室内でスペースが確保できない場合は、前述のトランクルーム利用なども検討しましょう。
におい・虫・水濡れによる苦情対策
室内で植物を保管していると、湿気や水分・肥料の匂いなどからカビや虫の発生リスクが高まることがあります。
特に、根の周辺に水がたまりやすい観葉植物や、多湿を好む品種は注意が必要です。
鉢の水はけを良くする工夫や、鉢皿にたまった水をこまめに処理することが大切です。
さらに、防虫剤の使用や、風通しの良い環境づくりも心がけましょう。
においに敏感な隣人がいる場合は、植物の置き場を再検討するなどの配慮も求められます。
隣戸への越境植物を整理する
ツル性植物や背の高い鉢植えなどが、隣のベランダに越境していると、プライバシーの侵害や景観トラブルの原因になります。
特に目隠しフェンスを越えて隣戸の空間に枝葉が侵入している場合は、剪定や整理が必須です。
工事を機に剪定する、植物の配置を変えるといった対応を行い、トラブルの芽を事前に摘んでおきましょう。
管理組合や施工業者がチェックに訪れる際に、注意を受ける可能性もあるため、見落としのないよう入念に確認することが大切です。
管理規約や工事通知の再確認
修繕工事に伴い、ベランダの使用に関する規定やルールが一時的に変更されることがあります。
特別な通達がある場合、以前のルールと異なる内容が含まれている可能性があるため、通知内容は必ず細かく確認しましょう。
また、管理規約の中には「ベランダでの植物の設置は自己責任」と明記されていることもあり、破損時の責任区分にも影響します。
新しいルールが配布された場合は、紙媒体だけでなく掲示板やマンションアプリの情報も併せてチェックすると安心です。
大規模修繕工事完了後に植物をベランダへ戻すときの注意点
大規模修繕が無事完了し、ベランダの使用が再開できるようになった後も、植物の再設置には細心の注意が必要です。
特に新たに施工された防水層や排水設備に配慮しないと、せっかくの修繕が無駄になりかなねません。
ここでは、再設置時に意識したいポイントを解説します。
防水層を傷つけない設置方法を心がける
修繕後のベランダには新しい防水層が施されており、これを傷つけるような設置は避けなければなりません。
鉢の底が直接床面に接していると、鉢の重みや湿気によって防水層の一部が劣化するリスクがあります。
対策としては、鉢底にゴム製のパッドを敷く・鉢スタンドを使用して接地面を減らす・断熱マットで緩衝材を設けるなどの方法が有効です。
これにより、通気性が確保され防水層の保護にもつながります。
排水口付近を避けた配置を意識する
鉢やプランターを排水口の近くに置いてしまうと、落ち葉や土が排水溝を塞ぎ、雨天時に水たまりや漏水の原因になります。
特に排水口がベランダの隅にある場合は、その周囲には何も置かないことが望ましいです。
排水機能を確保するためにも、鉢植えは壁際や日当たりの良い場所に配置し、ベランダ全体の水の流れを妨げないよう意識しましょう。落ち葉が多い品種については、定期的な掃除も必要です。
環境変化に合わせた育て方の見直し
修繕後のベランダは、塗装や防水材の種類が変わることで、以前と比べて光の反射率や表面温度が変化していることがあります。
これにより、植物にかかる日射や熱の影響も異なるため、育て方の調整が必要です。
最初の1週間ほどは、直射日光を避けた位置に鉢を置き、植物の様子をこまめに観察しましょう。
葉焼けやしおれが見られる場合は、遮光ネットの使用や鉢の移動で環境調整を行います。
水やりの頻度やタイミングも、これまでと同じとは限らないため注意が必要です。
管理組合からの使用ルールの再確認
修繕完了後、新たにベランダの使用ルールが定められることがあります。
例えば「鉢植えは床面から5cm以上浮かせる」「排水溝の周囲には物を置かない」といった具体的なガイドラインが通知されることも少なくありません。
再設置前には、最新の管理規約や掲示内容を確認し、違反にならないよう配慮しましょう。
また、可能であれば写真を撮っておき、植物の配置について不安がある場合は管理組合に相談することもおすすめです。
マンション大規模修繕中におけるベランダの植物に関する質問(FAQ)
Q1. 大規模修繕中はベランダの植物を必ず撤去しなければなりませんか?
A. はい、多くのマンションでは「ベランダの私物撤去」が義務付けられています。
足場設置や防水工事に支障が出ること、万一破損や落下事故があった場合に補償の対象外になることから、植物も含めて撤去する必要があります。
通知が届いたら、速やかに準備を始めましょう。
Q2. 植物を室内に移動すると枯れてしまいませんか?
A. 植物の種類によっては、日照不足や通気の悪化により弱ることがあります。
窓際や明るい場所を確保し、必要に応じて育成ライトや加湿器を使用しましょう。
特に日照時間の少ない冬場は、定期的に鉢の向きを変えるなどの工夫も有効です。
Q3. 鉢植えを共用廊下に一時的に置いておくのは大丈夫ですか?
A. いいえ、共用廊下や階段・エントランスなどは避難経路として常時確保されていなければなりません。
仮置きであっても、緊急時の避難の妨げになるため厳禁です。室内または管理組合が許可した場所へ保管しましょう。
Q4. 植物の移動が難しいときはどうすればいいですか?
A. 大型植物や高齢者世帯など、物理的に移動が難しい場合は、管理組合や施工業者に相談してみましょう。
マンションによっては一時保管の代替案や作業支援の制度を設けていることもあります。
無理に対応しようとせず、周囲の協力を仰ぐことが大切です。
マンション大規模修繕中はベランダにある植物の扱いに注意|まとめ
マンションの大規模修繕工事は、建物の資産価値を維持し、安全で快適な住環境を整えるために必要不可欠な取り組みです。
しかしその一方で、ベランダで植物を育てている住民にとっては、思わぬ手間や配慮が求められる期間でもあります。
大切なのは「早めの行動」と「ルールの遵守」です。
通知の確認や住民説明会への参加を通じて、正しい情報を把握し、撤去・保管・再設置の各段階で適切に対応することで、植物を守りながら工事にもスムーズに協力できます。
また、住民間のマナーや配慮を忘れず、管理組合や業者とも協力し合う姿勢が、安心と信頼につながります。