2024.03.15
マンションの大規模修繕工事で工事期間が伸びる理由とは?周期の目安・費用・流れや管理組合の役割について解説
大規模修繕や防水工事のご相談は実績豊富な新東亜工業へ
マンションは、経年劣化によってさまざまな不具合が発生します。 特に、排水設備や外壁などの劣化は、建物の寿命を縮めるだけでなく、住人の健康や安全にも影響を及ぼす可能性があります。 これらの不具合を放置すると、修繕費用が高額になるだけでなく、資産価値も低下してしまいます。
マンションの大規模修繕は、快適な生活環境を維持し、建物の価値を保つために重要な工事です。 しかし、工事期間中は生活に影響が出ることが多く、不安に感じる方も多いでしょう。 そこで今回は、マンションの大規模修繕の必要性から工事の流れ、期間、費用などについて詳しく解説します。
大規模修繕工事とは?
大規模修繕工事は、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持・向上させるために非常に重要な工事です。
大規模修繕工事とは、経年劣化によって傷んだ建物の部分を補修し、新築時の機能を回復させる工事のことです。 12~15年ごとに、外壁の補修や塗装、屋上の防水工事などをまとめて行う大掛かりな工事となるため、足場を組んで行われることが一般的です。 工事の対象は、主にマンションの共有部分です。
大規模修繕工事は、建物の美観を回復させるだけでなく、安全性や快適性を向上させる効果もあります。 例えば、外壁のひび割れを放置すると、雨水が侵入し、鉄筋が錆びて建物の強度が低下する可能性があります。 また、防水工事を行うことで、雨漏りを防ぎ、建物の劣化を遅らせることができます。
さらに、大規模修繕工事は、時代の変化に合わせて、建物の機能や性能を向上させる良い機会でもあります。 例えば、バリアフリー化や省エネ対策など、現代のライフスタイルに合わせた改修を行うことで、より快適で暮らしやすい住まいを実現できます。
修繕工事と改修工事についての違い
修繕工事と改修工事は、どちらも建物の維持や改善を目的とした工事ですが、目的や内容にいくつかの違いがあります。
修繕工事
修繕工事は、建物の劣化や損傷を修復し、元の状態に戻すことを目的とした工事です。主に老朽化や経年劣化による不具合を修理するために行われ、建物の機能を維持することが重要視されます。例えば、外壁のひび割れ補修や、防水層の再施工、給排水設備の修理などが修繕工事に該当します。修繕工事は、建物の現状を保つために必要なもので、定期的に行うことが推奨されます。
改修工事
改修工事は、建物の機能やデザインを改善し、現状よりも良くすることを目的とした工事です。単なる修理に留まらず、設備の更新やレイアウトの変更、新たな機能の追加など、建物全体の性能向上を図るための工事です。例えば、古くなった設備の最新化や、内装デザインの変更、エネルギー効率の向上を目的としたリノベーションなどが改修工事に該当します。
地震や台風からマンションなどの減災・防災を考えるためにも大規模修繕工事を
大規模修繕工事ではタイルの修繕や、階段や屋上の防水など様々な部分に関わる工事を行います。予知保全や予防保全という観点でも地震や台風、大雨からの被害から守ることにつながります。
様々な災害が起きてからの修繕は困難なことが多いため、大規模修繕工事は計画を立ててしっかり行うことが重要です。
マンションの大規模修繕の着工までの流れとかかる期間
大規模修繕の計画から着工までには、一般的に1〜2年の準備期間が必要です。
マンションの大規模修繕工事は、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持するために必要な工事です。工事は、大きく分けて7つのステップに分けることができます。
マンション大規模修繕工事の流れ1. 仮設工事
工事を行う前に、敷地内に仮設トイレや仮設足場を設置します。仮設工事は、安全に工事を進めるために必要な準備段階です。
マンション大規模修繕工事の流れ2. 下地補修工事
外壁やバルコニーなどの下地を補修します。コンクリートのひび割れや剥落を補修することで、建物の防水性を高めます。
マンション大規模修繕工事の流れ3. タイル補修工事
タイルのひび割れや剥落を補修します。タイルの補修は、建物の美観を維持するために必要な作業です。
マンション大規模修繕工事の流れ4. シーリング工事
外壁や窓などの目地部分にシーリング材を打ちます。シーリング材は、建物の防水性を高めるために重要な役割を果たします。
マンション大規模修繕工事の流れ5. 外壁塗装工事
外壁に塗装を施します。外壁塗装は、建物の美観を維持し、防水性を高めるために必要な作業です。
マンション大規模修繕工事の流れ6. 鉄部塗装工事
鉄製のバルコニーや手すりなどの塗装を施します。鉄部塗装は、建物の耐久性を高めるために必要な作業です。
マンション大規模修繕工事の流れ7. 防水工事
屋上やバルコニーなどの防水層を施工します。防水工事は、建物の防水性を高めるために重要な役割を果たします。
これらは、あくまで一般的な流れです。実際の工事内容や順序は、建物の状態や工事業者の施工方法によって異なります。
マンションの大規模修繕工事の期間は、建物の規模や工事内容によって異なります。一般的に、中規模のマンションであれば、約3ヶ月から6ヶ月の期間が必要です。大規模なマンションであれば、1年以上の期間がかかる場合もあります。
マンションの大規模修繕工事の費用は、建物の規模や工事内容によって異なります。一般的に、中規模のマンションであれば、1戸あたり100万円から200万円程度が必要です。大規模なマンションであれば、1戸あたり300万円以上の費用がかかる場合もあります。
マンションの大規模修繕の規模別の工事期間
以下ではマンションの規模ごとの工事期間などを表にまとめました。
小規模マンション (50戸未満) | 約3〜4ヶ月 |
中規模マンション (50〜100戸未満) | 約4〜6ヶ月 |
大規模マンション (100戸以上・タワーマンション等) | 半年から1年以上 |
マンション大規模修繕工事の施工別にかかる期間の目安
仮設工事・足場工事 | 約1〜3週間 |
外壁工事 | 約1〜3週間 |
塗装工事 | 約2週間〜1ヶ月 |
マンション大規模修繕で工事期間が伸びるケースについて
マンションの大規模修繕工事は、計画から完了までに通常2~3年程度を要する大きなプロジェクトです。
しかし、いくつかの要因により工事期間が予定よりもマンションの大規模修繕のスケジュールが長引くことがあります。
以下では、そのようなケースとその理由を解説します。
大規模修繕で工事期間が伸びるケース1. 不測の事態による遅延
天候不良や発見された建物の隠れた問題など、予期せぬ事態が工事期間の延長を引き起こすことがあります。
統計によると、大規模修繕工事では約30%が予定よりも長い期間を要しています。
例えば、予期せぬ強風が足場の安全性に影響を与え、作業を一時中断せざるを得ない状況が発生したケースがあります。
このような不測の事態は計画段階では予見できないため、工事期間の延長は避けられないことが多いです。
大規模修繕で工事期間が伸びるケース2. 設計変更や追加工事
工事中に新たな修繕が必要になったり、住民の要望による設計変更が生じたりすることで、工事期間が延長することがあります。
工事進行中に建物の劣化が予想以上であったり、最新の技術を取り入れたいという住民の要望が出たりすることが原因です。
調査では見つからなかった配管の問題が発覚し、追加の配管工事が必要になった事例があります。
これらの変更や追加工事は、より良い修繕結果を得るためには必要な措置であり、結果的に工事期間の延長につながります。
大規模修繕で工事期間が伸びるケース3. 施工会社の資源配分の変化
施工会社の資源が他のプロジェクトに割り当てられてしまうことで、工事期間が延長することがあります。
施工会社が複数のプロジェクトを同時に進行している場合、予期せぬ遅延が他のプロジェクトに影響を及ぼすことがあります。
他の工事現場での事故により、予定していた人員や機材が割り当てられなくなったケースがあります。
このような資源の配分は、施工会社の管理下にあるため、マンション管理組合ではコントロールが難しいことがあります。
これらのケースを踏まえ、大規模修繕工事の計画を立てる際には、余裕を持ったスケジュールを考慮することが重要です。
また、住民とのコミュニケーションを密にし、進捗状況を共有することで、理解と協力を得やすくなります。
最終的には、計画的かつ柔軟な対応が、工事期間の延長を最小限に抑える鍵となります。
マンションの大規模修繕時に重要な管理組合内の体制づくりについて
マンションの大規模修繕は、居住者の生活に大きな影響を与える重要な工事です。そのため、工事の円滑な進行には、管理組合内の体制づくりが重要となります。
管理組合は、マンションの管理運営を担う組織です。大規模修繕工事を行う際には、工事計画の立案や業者選定、工事費の管理など、多くの業務が発生します。これらの業務を効率的に遂行するためには、管理組合内の役割分担や意思決定の過程を明確にする必要があります。
管理組合の体制づくりにおいては、以下の点が重要です。
- 役割分担を明確にする 管理組合内には、理事長、副理事長、会計、監査などの役職が存在します。それぞれの役職に、責任と権限を明確に割り当てることで、業務の効率化を図ることができます。
- 意思決定の流れをしっかり確認する 大規模修繕工事は、多額の費用がかかるため、工事の実施や費用の負担など、重要な事項については、組合員全員の合意が必要となります。そのため、議事録を作成し、議決権を行使するなど、意思決定の流れを確立する必要があります。
- 情報共有を徹底する 工事に関する情報は、組合員全員に共有する必要があります。工事計画や工事費、工事の進捗状況などを定期的に報告することで、組合員の理解と協力を得ることができます。
管理組合は、マンションの管理運営における重要な組織です。大規模修繕工事を行う際には、管理組合内の体制づくりをしっかりと行い、工事の円滑な進行を図る必要があります。
大規模修善工事でのよくある質問
ここでは大規模修繕工事でよくある質問を紹介します。工事費用や施行中の疑問をまとめました。
Q
大規模修繕で10戸のマンションではどのくらいが費用目安?
A
A: 10戸のマンションの大規模修繕の費用は、規模や建物の状態、修繕内容によって異なりますが、一般的には1000万円から1,500万円程度が目安とされています。具体的な費用は、外壁や共用部分の修繕内容、使用する材料の種類によって変動するため、詳細な見積もりを施工業者で確認しましょう
Q
マンション大規模修繕時にエアコンは使用できる?室外機はどうする?
A
大規模修繕中でも基本的にはエアコンの使用は可能ですが、外壁塗装や防水工事の際には一時的に使用を控える必要がある場合があります。室外機は、作業に支障がない限りそのまま設置された状態で保たれることが一般的です。ただし、工事の進捗によっては室外機を一時的に移動させる場合もあるため、管理組合や施工業者からの指示に従ってください。
Q
マンション大規模修繕の際のベランダの荷物やアンテナはどうすればいい?
A
大規模修繕の際には、ベランダの荷物は一時的に室内に移動させる必要があります。特に、外壁塗装や防水工事の影響を受けやすいものは、工事開始前に片付けてください。また、テレビアンテナや物干し竿も取り外しが必要になる場合がありますので、事前に管理組合や施工業者の指示に従い、適切に対応してください。
Q
大規模修繕の際に洗濯物は外に干せる?
A
大規模修繕期間中は、外壁工事や塗装の影響でベランダに洗濯物を干すことが制限されることがあります。工事用のネットやシートが張られるため、日光が遮られたり、塗料やホコリが付着する可能性があります。管理組合や施工業者からの案内に従い、洗濯物は室内で乾かすか、コインランドリーの利用を検討してください。
Q
大規模修繕の際に立ち会いや在宅が必要なことはある?
A
大規模修繕では、住戸内に立ち入る必要のある作業が発生する場合があります。例えば、配管の点検やベランダ側のサッシ工事などが該当します。その際には、居住者の立ち会いや在宅を求められることがあるため、事前に管理組合や施工業者からの連絡を確認し、予定を調整してください。それ以外の工事については基本的に在宅の必要はありませんが、作業内容によって異なるため、詳細は管理組合の案内を確認することが重要です。
この他、大規模修繕のよくある質問について知りたい方は以下の記事をご覧ください
マンション大規模修繕工事の工事期間についてのまとめ
マンションの大規模修繕工事は、建物の資産価値を維持し、快適な住環境を確保するために必要不可欠な工事です。一般的に12~15年周期で行われ、工事中は足場が組まれたり、騒音が発生したりするため、住人には不便をかける場合があります。しかし、計画的に工事を進めることで、快適な住環境を維持することができます。
大規模修繕工事の主な内容は、外壁の塗装、防水工事、屋上の防水工事、バルコニーの防水工事、共用部分の改修などです。工事期間は、建物の規模や工事内容によって異なりますが、一般的には数ヶ月から1年程度かかります。
大規模修繕工事は、マンションの資産価値を維持し、快適な住環境を確保するために必要不可欠な工事です。計画的に工事を進めることで、快適な住環境を維持することができます。