2024.03.19
屋上駐車場防水工事とは?防水工法の種類から施工手順まで徹底解説
雨漏りは、建物の美観を損なうだけでなく、建物の構造を劣化させ、深刻な被害をもたらす可能性があります。
特に、屋上駐車場は雨漏りが発生しやすい場所です。
この記事では、屋上駐車場の防水工事について徹底解説します。
防水工法の種類、費用相場、施工手順、業者選びのポイントなど、屋上駐車場の防水工事を成功させるために必要な情報を紹介します。
この記事によって、雨漏りの不安から解放され、安全で快適な屋上駐車場を維持しましょう。
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屋上駐車場防水工事とは?
屋上駐車場防水工事とは、屋上駐車場の床面に防水層を形成することで雨水の浸入を防ぎ、建物の構造体を保護する工事です。
屋上駐車場は、常に雨水や紫外線、風雨などの厳しい環境に晒されており、適切な防水対策が施されていないと、雨漏りや漏水などのトラブルが発生しやすくなります。
雨漏りや漏水は、建物の構造体を劣化させ、鉄筋コンクリートの腐食やひび割れ、カビやコケの発生など、さまざまな問題を引き起こします。
これらのトラブルを防ぎ、安全で快適な屋上駐車場を維持するためには、定期的な防水工事を実施することが重要です。
屋上駐車場防水工事の必要性
駐車場は、日常的に多くの車両が走行する場所です。
特に屋上駐車場や立体駐車場は、建物の構造にも影響を与えるため、適切な防水工事が必要です。
防水工事は、建物を保護し、水漏れのリスクを低減するために重要な役割を果たします。
車輛の重さに耐える強度の高い防水層を形成することで、建物の構造体への負担を軽減し、長持ちさせることができます。
これらの点を考慮した上で、適切な防水材料と施工方法を選択することが重要です。
屋上駐車場の主な劣化症状
屋上駐車場は、常に雨水や紫外線、風雨などの厳しい環境に晒されており、適切なメンテナンスが施されていないと、さまざまな劣化症状が現れます。
これらの症状は、建物の構造体や車両を損傷させ、安全性の低下や修繕費用の高額化につながる可能性があります。
屋上駐車場の主な劣化症状とその原因について詳しく説明します。
ひび割れ
屋上駐車場のひび割れは、最も一般的な劣化症状の1つです。
ひび割れの原因は、経年劣化や紫外線、車両の重荷、温度変化による防水層の伸縮、下地の劣化などが考えられます。
ひび割れの種類は、比較的軽微なヘアークラック、地図上の模様のようなマップクラック、ワニの皮膚のような形状のアリゲータークラックの3種類です。
放置すると雨漏りや車両の損傷など、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
防水層の浮き
防水層の浮きは、アスファルトや防水シートが部分的に膨らみ、浮き上がっている状態です。
表面が波打っていたり、場合によっては、ひび割れや剥離などを伴うこともあります。
これらの症状は、防水性能の低下を招き、雨漏りのリスクを高めます。
劣化の要因は、接着剤の劣化、紫外線、結露・水蒸気、地震や風による建物の揺れ、施工不良などです。
劣化を放置すると、雨漏りをはじめ、カビやコケの発生などの深刻な問題を引き起こす可能性があります。
早期に補修を行わないと、症状が悪化して修繕費用が高額になる可能性があり注意が必要です。
水たまり
屋上は、雨水を集めて排水する重要な役割を担っていますが、排水機能が低下すると、水溜まりが発生し、さまざまな問題を引き起こします。
水たまりの発生は、排水管の詰まり、排水勾配の不良、排水設備の老朽化などが主な要因です。
また、建物の揺れや経年劣化による下地の凹凸、下地の傾きの変化、降雨量の増加なども考えられます。
水たまりの放置が招くリスクは、防水層の劣化、建物の構造体の腐食、カビやコケの発生などです。
また、水たまりは滑りやすいため、転倒事故のリスクも高まります。
屋上の排水機能低下は、水たまりの発生という形で深刻な問題を引き起こします。
定期的な点検と適切なメンテナンスを行い、安全で快適な屋上環境を維持しましょう。
駐車場防水工事の種類
駐車場の防水工事は、以下のような工法の種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
防水工事の種類 | 費用相場 | 工期 |
アスファルト防水工法 | 約4,500〜7,000円/㎡ | 約7〜10日 |
改質アスファルト防水工法 | 約5,000〜8,000円/㎡ | 約2〜5日 |
超速硬化型ウレタン防水工法 | 約3,000〜5,000円/㎡ | 約2〜4日 |
複層硬質ウレタン工法 | 約5,000〜7,000円/㎡ | 約5〜10日 |
FRP防水工法 | 約4,000〜8,000円/㎡ | 約1〜2日 |
ウレタンFRP複合防水工法 | 約4,500〜8,000円/㎡ | 約3〜5日 |
浸透性コンクリート改質工法 | 約1,500〜3,000円/㎡ | 約1〜3日 |
費用相場や工期は、施工面積や下地の状態などによって異なります。
アスファルト防水工法
アスファルト防水は、長年に渡り多くの建物で採用されてきた、最も一般的な防水工法の1つです。
比較的低コストで施工でき、施工実績が豊富で複雑な形状にも対応可能です。
ただし、耐久性が比較的低く、ひび割れに弱い点がデメリットになります。
また、バーナーを使用する熱工法、トーチ工法は、火を使ってアスファルトを溶融させるため、臭いが発生します。
常温工法(冷工法)は、接着剤でアスファルトシートを貼り付ける工法で、火を使わずに施工可能です。
改質アスファルト防水工法
改質アスファルト防水は、従来のアスファルト防水に高分子添加剤を配合することで、耐久性と防水性を向上させた技術です。
屋上駐車場に用いられる改質アスファルト防水は、常温工法(冷工法)とトーチ工法の2種類です。
常温工法(冷工法)はアスファルトシートを接着剤で下地に貼り付ける工法です。
施工費用が比較的安価で、短い工期で施工できます。
トーチ工法は、バーナーでアスファルトシートを熱し、下地に貼り付ける工法です。
密着性と耐久性に優れています。
ただし、アスファルトシートと溶かす際に臭いが出るため、近隣住民への配慮が必要です。
超速硬化型ウレタン防水工法
超速硬化型ウレタン防水工法は、ウレタン樹脂を用いた防水工法の一種です。
従来のウレタン防水工法よりも硬化速度が速く、短時間で施工が完了する点が特徴です。
ウレタン樹脂は高い防水性を持ち、弾力性、耐候性に優れているため、雨漏りなどのリスクを抑えます。
ただし、従来のウレタン防水工法よりも費用が高くなる傾向があります。
ウレタン樹脂が硬化した後は安全ですが、施工中は適切な保護具の着用が必要です。
複層硬質ウレタン工法
複層硬質ウレタン工法は、硬質ウレタンフォームを用いた防水工法の一種で、複数の層を重ねることで高い防水性と耐久性を誇ります。
また、硬質ウレタンフォームは耐候性、弾力性、下地との密着性に優れています。
紫外線や風雨などの影響を受けにくく、ひび割れにも追従し、雨水が侵入する隙間ができにくいです。
ただし、他の防水工法に比べて費用が高い場合があります。
複層硬質ウレタン工法は、専門知識と経験が必要なため、施工業者選びが重要です。
FRP防水工法
FRP防水工法は、繊維強化プラスチック(FRP)を用いた防水工法です。
FRPは、ガラス繊維などの補強材とポリエステル樹脂などの樹脂を組み合わせた材料で、軽量で強靭な防水層を形成します。
FRPは高い防水性を持ち、雨漏りなどのリスクを抑えます。
また、耐久性、耐候性に優れており、軽量で強靭な材料なので建物の負荷や荷重に強いのが特徴です。
ただし、比較的施工費用が高く、適切な下地処理を行う必要があります。
ウレタンFRP複合防水工法
ウレタンFRP複合防水工法は、ウレタン防水とFRP防水のメリットを組み合わせた防水工法です。
ウレタン防水の弾力性とFRP防水の強度を活かし、高い防水性と耐久性を発揮します。
ただし、ウレタン防水とFRP防水の両方の材料を使用するため、他の防水工法に比べて費用が高い場合があります。
ウレタンFRP複合防水工法は、高い防水性と耐久性を求められる場所におすすめです。
浸透性コンクリート改質工法
浸透性コンクリート改質工法は、コンクリート内部に浸透する材料を用いて、コンクリートの耐久性を向上させる工法です。
コンクリート内部から改質するため、耐久性に優れています。
施工が比較的簡単で、施工費用も比較的安く、環境負荷も少ないのがメリットです。
ただし、効果の持続期間が比較的短く、ひび割れなどの補修には不向きとされています。
下地によっては効果が得られない場合があるため、使用には注意が必要です。
駐車場防水工事の施工手順
駐車場防水工事の一般的な施工手順は、以下のとおりです。
- 既存の防水層を撤去
- 汚れや油分を洗浄
- ひび割れや欠損を補修
- 表面を平滑に仕上げ
- プライマー塗布
- 飛散防止用に養生する
- 防水層施工
- トップコート塗布
- 防水層が完全に硬化するまで養生
上記は一般的な施工手順であり、実際の工程は状況によって異なる場合があります。
駐車場防水工事の注意点
駐車場防水工事の施工時は、以下の点に注意が必要です。
下地処理
駐車場防水工事において、下地処理は最も重要な工程の一つです。
下地が適切に処理されていないと、防水層が剥がれてしまい、雨漏りの原因となる可能性があります。
下地処理の注意点は、以下のとおりです。
- 清掃:油分、汚れ、苔などを高圧洗浄機で徹底的に洗浄する
- 乾燥:下地が完全に乾燥していることを確認する
- 補修:ひび割れや欠損などを適切な材料で補修する
- 平滑化:表面を平滑に仕上げる
下地処理は、防水工事全体の耐久性を左右する重要な工程です。
適切な下地処理を行うことで、防水層の接着性を向上させ、雨漏りのリスクを軽減することができます。
防水工法の選択
駐車場防水工事には、さまざまな工法があります。
数ある防水工法の中で、選択のポイントは、予算、工期、耐久性、下地の状態、使用頻度、美観などの要素です。
防止工法の選択は、これらの要素を考慮して、最適な工法を選ぶことが重要です。
駐車場防水工事の業者選びのポイント
駐車場は、雨水や風雨、車の出入りによる摩擦など、さまざまなストレスを受けやすい場所です。
そのため、定期的な防水工事を行い、建物の構造体や車両を守る必要があります。
しかし、どんな防水工事業者に依頼すればいいのか迷ってしまう方も多いでしょう。
ここでは安心して工事を任せられる業者選びのポイントと比較方法を紹介します。
複数の業者から見積もりを取る
安心して工事を任せられる業者を選ぶために、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
少なくとも3社以上の業者から見積もりを取ることで、価格やサービス内容を比較できるからです。
見積もり内容に、材料費、施工費、保証内容などが含まれていることを確認しましょう。
また、内容に不明な点があれば、遠慮なく質問することも大切です。
防水工事の実績が豊富
駐車場防水工事の業者選びは、実績が豊富であることも重要なファクターです。
豊富な実績を持つ業者は、過去の施工経験から、それぞれの工法の特徴やメリット・デメリットを熟知しており、駐車場の状況や予算に最適な工法を提案してくれるでしょう。
また、施工経験豊富な職人による丁寧な施工は、高品質な仕上がりを実現し、防水効果の持続にもつながります。
最低でも10年以上の実績があれば、さまざまな駐車場の状況に対応してきた経験があると考えられます。
資格の有無
業者を選ぶ際には、資格の有無も重要なポイントとなります。
防水工事に関する資格は、以下のとおりです。
- 1級防水施工管理技士
- 2級防水施工管理技士
- 1級防水施工技能士
- 2級防水施工技能士
これらの資格は、防水工事に関する専門知識と技術を持っていることを証明するものです。
資格を持っている業者を選ぶことで、施工の品質が安定しており、トラブル発生時の対応が迅速な場合が多く、何より安心感があります。
防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
屋上駐車場防水工事のまとめ
屋上駐車場は雨漏りリスクが高いため、定期的な防水工事が必要です。
ここまで、屋上駐車場の防水工事について解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
- 防水工事の種類:アスファルト防水工法、改質アスファルト防水工法、超速硬化型ウレタン防水工法など
- 雨漏りの原因:雨漏りの原因は、ひび割れ、防水層の浮き、水たまりなど
- 費用相場:工法や面積、下地の状態によって異なるが、一般的には約3,000〜8,000円/㎡
- 工期:工法や天候によって異なるが、一般的には約2〜10日
施工手順
- 既存の防水層を撤去
- 汚れや油分を洗浄
- ひび割れや欠損を補修
- 表面を平滑に仕上げ
- プライマー塗布
- 飛散防止用に養生する
- 防水層施工
- トップコート塗布
- 防水層が完全に硬化するまで養生
注意点
- 下地処理を丁寧に行う
- 駐車場の使用頻度や予算に合った防水工法を選ぶ
- 実績豊富な業者を選ぶ
- 資格を持っている業者を選ぶ
業者選びは、複数の業者から見積もりを取る、実績や資格を確認することが重要です。
適切な工法を選んで、屋上駐車場を雨漏りから守りましょう。