保護モルタルとは?種類、役割、施工方法、注意点まで徹底解説 | 株式会社新東亜工業  

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保護モルタルとは?種類、役割、施工方法、注意点まで徹底解説

コンクリートは強固な素材ですが、水や酸、塩害など外部環境の影響を受けやすく、劣化してしまうことがあります。

そこで活躍するのが、コンクリートの表面を保護する「保護モルタル」です。

この記事では、保護モルタルの種類、役割、施工方法、注意点について詳しく解説します。

さらに、保護モルタルの必要性や、適切な保護モルタルの選び方、施工業者選びのポイントについても紹介します。

コンクリート構造物の耐久性を向上させ、長持ちさせたい方は、この記事を参考にしていただけると幸いです。

保護モルタルとは

保護モルタルとは、コンクリートの表面を保護するために塗布されるモルタルのことです。

コンクリートは強固な素材ですが、水や酸、塩害など外部環境の影響を受けやすく、劣化してしまうことがあります。

保護モルタルは、これらの外部環境からコンクリートを保護することで、コンクリート構造物の耐久性を向上させ、長持ちさせることが可能です。

保護モルタルは、セメント、砂、水、そして必要に応じて添加剤を混ぜて作られます。

添加剤には、防水性や耐久性を向上させるもの、作業性を向上させるものなどがあります。

保護モルタルの役割

保護モルタルは、コンクリート構造物を外部環境から保護し、耐久性を向上させるために重要な役割を果たします。

具体的には、以下の役割があります。

コンクリートの保護

保護モルタルは、コンクリート構造物を長持ちさせ、安全性を維持するために重要な役割を果たします。

保護モルタルは、コンクリート表面の毛細管孔を塞ぎ、水の浸入を防ぎます。

これにより、コンクリート内部の鉄筋の腐食や、コンクリートの凍結破裂などを抑制することが可能となるのです。

耐久性の向上

保護モルタルは、コンクリート構造物の耐久性を向上させるために重要です。

コンクリートは多孔質材料であり、水は毛管現象によって内部に浸透しやすいため、内部鉄筋の腐食やコンクリートの劣化を引き起こします。

保護モルタルは、コンクリート表面に密着した防水層を形成することで、水の浸透を防ぎ、内部腐食を抑制します。

防水性・耐酸性の向上

コンクリートは、水に浸透しやすいのが弱点です。

水はコンクリート内部の鉄筋を腐食させ、構造物の耐久性を低下させてしまいます。

そこで、保護モルタルは、コンクリート表面に防水層を形成することで水の浸透を防ぎ、構造物の防水性を向上させてくれるのです。

また、コンクリートは、酸性雨や化学薬品などの酸性物質によって侵食されることがあります。

酸性物質はコンクリート中のカルシウムを溶解させ、構造物の強度を低下させてしまいます。

保護モルタルは、酸性物質に抵抗性のある材料で作られており、コンクリート表面を保護して構造物の耐酸性を向上させてくれるのです。

このように、保護モルタルは、コンクリート構造物の防水性と耐酸性を向上させることで、耐久性を向上させ、長持ちさせることができます。

水回りの構造物や酸性物質に晒される構造物には、保護モルタルの施工を検討することをおすすめします。

美観の向上

保護モルタルは、コンクリート構造物の耐久性を向上させるだけでなく、美観を向上させる効果も期待できます。

保護モルタルには、さまざまな色や模様をつけることができます。

そのため、建物のデザインに合わせて、意匠性の高い仕上げが可能となるのです。

また、保護モルタルは、刷毛引きやローラー仕上げなど、様々な施工方法があります。

施工方法によって、保護モルタル表面のテクスチャーを変えることができ、建物の外観に変化を出すことができます。

保護モルタルの種類

保護モルタルは、用途や目的に合わせてさまざまな種類があります。

以下に、代表的な保護モルタルの種類とそれぞれの特徴を紹介します。

セメント系保護モルタル

セメント系保護モルタルは、セメント、砂、水、そして必要に応じて添加剤を混ぜて作られる保護モルタルの一種です。

コンクリート構造物の耐久性を向上させ、美観を向上させるために使用されます。

セメント系保護モルタルは、高い耐久性、防水性、耐酸性、耐塩害性があります。

また、さまざまな色や模様をつけることができ、コンクリート構造物の美観の向上が可能です。

セメント系保護モルタルは、コンクリート構造物の耐久性を向上させるために重要な役割を果たします。

エポキシ樹脂系保護モルタル

エポキシ樹脂系保護モルタルは、エポキシ樹脂、硬化剤、砂、骨材などを混ぜて作られる保護モルタルの一種です。

セメント系保護モルタルに比べて、高い強度、耐久性、耐薬品性、接着性を持ち、さまざまな用途に使用されています。

エポキシ樹脂系保護モルタルは、硬化時間が短いため、迅速な施工が必要です。

また、健康にとって有害物質が含まれているため、施工時は換気を十分に行う必要があります。

さらに、セメント系保護モルタルよりもコストが高いです。

ポリマーセメント系保護モルタル

ポリマーセメント系保護モルタルは、セメント、砂、水、ポリマー樹脂などを混ぜて作られる保護モルタルの一種です。

セメント系保護モルタルとエポキシ樹脂系保護モルタルの長所を併せ持ち、高い強度、耐久性、耐薬品性、施工性、そして環境性能を兼ね備えています。

有機溶剤を含まない水系材料のため、環境負荷が少なく、近年注目されています。

保護モルタルの劣化症状

保護モルタルの役割は、コンクリート構造物を外部環境から保護することです。

しかし、時間の経過とともに劣化し、その機能が低下していきます。

ここでは、保護モルタルの劣化症状について詳しく解説します。

コケや藻の発生

コケや藻の発生は、保護モルタルの劣化症状の一つです。

保護モルタルの表面を緑色に変色させ、建物の美観を損ねます。

また、保護モルタルの表面を剥離させ、内部のコンクリートを劣化させる原因となります。

コケや藻が発生すると、濡れた時に滑りやすくなり、転倒事故のリスクも高まりやすいです。

さらに、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす可能性があるため、小さいお子さんや高齢者の方がいる家では注意が必要です。

ひび割れ

保護モルタルが乾燥すると、収縮し、ひび割れが発生する可能性があります。

ひび割れの大きさは、劣化の程度を示す目安になります。

ヘアークラックは、髪の毛ほどの細いひび割れで、比較的軽度な劣化症状です。

微細なひび割れは、 0.3mm未満のひび割れであり、ヘアークラックよりも進行した劣化症状です。

また、0.3mm以上のひび割れを放置すると、コンクリート構造物の耐久性に影響を与える可能性があります。

伸縮目地の劣化

伸縮目地は、コンクリート構造物の温度変化や乾燥収縮によるひび割れを防ぐために設けられています。

しかし、伸縮目地が劣化すると保護モルタルにも影響を与えることになり、その症例は以下のとおりです。

  • 伸縮目地のひび割れ
  • 伸縮目地の剥離
  • 伸縮目地の沈下
  • 伸縮目地の詰まり

伸縮目地のひび割れは、保護モルタル自体にもひび割れを生じさせてしまいます。

ひび割れた箇所は、水や塩分などの侵入経路となってコンクリート構造物の劣化を促進します。

また、伸縮目地の剥離は、保護モルタルの剥離や落下につながり大変危険です。

さらに、伸縮目地が詰まると水や塩分などが溜まりやすくなり、保護モルタルの浸食につながります。

浸食は、保護モルタルの強度低下につながるため注意が必要です。

モルタルの欠け

モルタルの欠けは、保護モルタルの劣化症状として最も代表的なものです。

モルタルの欠けは、放置するとコンクリート構造物の耐久性を低下させるだけでなく、鉄筋の腐食や雨漏りなどの深刻な問題を引き起こす可能性があります。

モルタルに欠けを発見した場合は、早急に補修を行い、劣化進行を抑制することが重要です。

保護モルタル劣化の原因

保護モルタルの劣化は、以下のような原因によって起こります。

  • 凍結融解による劣化
  • 塩害による劣化
  • 炭酸ガスによる劣化
  • 乾燥収縮による劣化
  • 施工不良
  • 雨水の浸透
  • 紫外線
  • 重荷重

保護モルタルの劣化は、コンクリート構造物の耐久性を大きく低下させる問題です。

適切な保護モルタルを選び、正しく施工し、定期的にメンテナンスを行うことで、保護モルタルの劣化を予防し、コンクリート構造物を長持ちさせることができます。

保護モルタルの防水方法

保護モルタル自体は防水性を持つわけではありません。

そのため、保護モルタルを防水するために、以下の方法があります。

防水材の塗布

保護モルタルに防水材を塗布することで、防水性を向上させることができます。

防水材には、以下のような種類があります。

  • セメント系防水材:セメントを主成分とした防水材です。耐久性に優れていますが、施工に手間がかかります。
  • ウレタン系防水材:ウレタン樹脂を主成分とした防水材です。弾力性に優れており、ひび割れに追従しやすいのが特徴です。
  • アスファルト系防水材:アスファルトを主成分とした防水材です。コストが比較的低く、施工が容易です。

シート防水

保護モルタルの上に防水シートを貼り付けることで、防水性を向上させることができます。

防水シートには、以下のような種類があります。

  • アスファルト防水シート:アスファルトを主成分とした防水シートです。コストが比較的低く、施工が容易です。
  • 塩化ビニル防水シート:塩化ビニル樹脂を主成分とした防水シートです。耐久性に優れていますが、施工に手間がかかります。
  • ゴム防水シート:ゴムを主成分とした防水シートです。弾力性に優れており、ひび割れに追従しやすいのが特徴です。

混和防水材の使用

保護モルタルに混和防水材を混ぜることで、防水性を向上させることができます。

混和防水材には、以下のような種類があります。

  • セメント系混和防水材:セメントを主成分とした混和防水材です。耐久性に優れていますが、施工に手間がかかります。
  • ウレタン系混和防水材:ウレタン樹脂を主成分とした混和防水材です。弾力性に優れており、ひび割れに追従しやすいのが特徴です。
  • アクリル系混和防水材:アクリル樹脂を主成分とした混和防水材です。耐久性と弾力性のバランスが良いのが特徴です。

保護モルタル防水工事の施工手順

保護モルタル防水工事は、コンクリート構造物を外部環境から保護するために重要な工程です。

適切な手順で施工を行うことで、高い防水性能と耐久性を確保することができます。

1. 下地処理

既存のモルタルや塗膜を完全に除去し、コンクリート素地を露出させます。

コンクリート表面の浮き粉や汚れを清掃し、十分に乾燥させることが重要です。

必要に応じて、下地調整材を塗布して、コンクリート表面を平滑にします。

2. プライマー塗布

下地処理が完了したら、プライマーを塗布します。

プライマーとは、防水材と下地の接着性を向上させる役割を果たすものです。

プライマーは、刷毛やローラーを使用して、ムラなく均一に塗布します。

3. 防水材の塗布

プライマーが乾燥したら、防水材を塗布します。

防水材の種類によって、塗布方法や乾燥時間が異なるため、メーカーの指示に従って施工します。

防水材は、刷毛やローラー、スプレーガンなどで塗布することが可能です。

複数回塗り重ねる場合は、各層が十分に乾燥してから次の層を塗布します。

4. 養生

防水材が乾燥したら、養生を行います。

養生期間は、防水材の種類や天候によって異なりますが、通常は数日間です。

養生期間中は、雨水や直射日光、風などから保護する必要があります。

5. 検査

養生期間が終了したら、防水性能の検査を行います。

漏水がないことを確認したら、工事完了です。

保護モルタル防水工事の施工には、専門知識と技術が必要です。

安全に施工するために、経験豊富な施工業者に依頼することをおすすめします。

保護モルタル防水工事の注意点

保護モルタル防水工事は、施工にいくつかの注意点があります。

適切な施工を行わないと、防水性能が低下したり、耐久性が損なわれたりする可能性があるため注意が必要です。

下地との相性

保護モルタル防水工事は、下地との相性が悪い場合、防水性能が低下したり、剥がれたりしてしまう可能性があります。

下地との相性を考慮するべき理由は、保護モルタルと下地の間に接着力、引張力、圧縮力が働くからです。

これらの力が適切に働かない場合、保護モルタルが剥がれたり、ひび割れたりしてしまう可能性があります。

下地が湿っていたり汚れていると、防水材が剥がれやすくなり、防水性能が低下する可能性があります。

保護モルタル防水工事を行う前には、必ず下地との相性を確認し、必要に応じて対策を講じることが必要です。

施工環境

保護モルタル防水工事は、以下のような施工環境によって、防水性能や耐久性に影響を与える可能性があります。

  • 気温・湿度
  • 雨天時の施工
  • 風が強い場合
  • 直射日光

保護モルタル防水工事を行う際には、上記の点に注意し、適切な施工環境を確保することが必要です。

保護モルタル防水工事は、専門知識と技術が必要です。

安全に施工するために、経験豊富な施工業者に依頼することをおすすめします。

まとめ

ここまで、保護モルタルの基礎知識について解説してきました。

この記事の要点は、以下のとおりです。

  • 保護モルタルの役割は、コンクリート構造物を外部環境から保護し、耐久性を向上させること
  • 保護モルタルの種類は、主にセメント系保護モルタル、エポキシ樹脂系保護モルタル、ポリマーセメント系保護モルタルの3種類
  • 主な劣化症状:コケや藻の発生、ひび割れ、伸縮目地の劣化、モルタルの欠け
  • 主な劣化原因:凍結融解、塩害、炭酸ガス、乾燥収縮、施工不良、雨水の浸透、紫外線、重荷重
  • 防水方法:防水材の塗布、シート防水、混和防水材の使用
  • 施工時の注意点:下地との相性、施工環境

保護モルタルの施工は、専門業者に依頼することをおすすめします。

また、コンクリート構造物の寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスが必要です。

適切なメンテナンスを施して、保護モルタルの防水性を高めましょう。

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