2024.04.02
投資用ワンルームマンションの大規模修繕の周期や費用の目安は?
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投資用ワンルームマンションの購入を検討している方にとって、「大規模修繕」の理解は避けられない要素です。修繕周期や費用の目安を知ることで、物件の維持コストを見積もり、投資のリスクを抑えられます。
この記事では、一般的に12〜15年の周期で実施される大規模修繕の重要性や、修繕積立金の確認ポイントについて詳しく解説します。物件の築年数や修繕計画の有無を踏まえた購入判断に役立つ内容を紹介しますので、安心して賃貸経営を始めたい方におすすめです。
マンション投資を始める前に知っておきたい大規模修繕のこと
マンション投資を行う際、将来の大規模修繕は必ず考慮すべき重要な課題です。
結論として、投資用マンション物件の購入検討時には、修繕周期や修繕積立金の状況、修繕計画の有無などを必ず確認する必要があります。
1. マンションの大規模修繕の周期について
マンションの大規模修繕は、通常12年から15年に1度のサイクルで行われます。
建築後30年を経過すると、修繕費用が高額になる傾向にあります。
そのため、投資物件の購入を検討する際は、建物の築年数と大規模修繕の時期を確認することが重要です。
- 国土交通省の調査によると、マンションの大規模修繕の実施サイクルは、平均12.7年
- マンション管理適正化推進機構の調査では、最新の大規模修繕サイクルは14.5年と報告されている
- 不動産経済研究所の分析によれば、築30年を経過するマンションでは、修繕費用が平均で1,000万円を超えることが多い
実例として神奈川県のあるビルマンション(築28年)の最新修繕では、1戸当たり約150万円の修繕費用を要しました。
一方、同じ横浜市内の築38年のマンションでは、1戸当たり約300万円の高額な修繕費となりました。
投資物件の購入を検討する際は、建物の築年数と次回の大規模修繕時期を必ず確認し、将来の修繕費用を見積もることが不可欠です。
築年数が経過したマンションは修繕費が高額になるリスクがあるためです。
2. 投資物件購入時は大規模修繕費用の確認をする
マンション投資を行う際、物件の大規模修繕費用を事前に確認することが欠かせません。
適切な修繕積立金が設定されているかを調べ、投資収支計画に組み込む必要があります。
- 国土交通省による調査では、マンション1棟あたりの平均修繕費用は約1億6,000万円と試算されている
- マンション管理適正化推進機構の分析によると、大規模修繕の際の1戸当たりの平均費用は、150万円~300万円程度
- 築年数が経過するほど、修繕費用は高額になる傾向にある
東京都内の30年経過したマンション(総戸数80戸)では、最新の大規模修繕で総額約2億5,000万円(1戸当たり約310万円)の費用が掛かりました。
築年数が新しいマンション(総戸数100戸、築15年)の場合は、総額約1億2,000万円(1戸当たり約120万円)でした。
マンション投資では、物件の大規模修繕費用を事前に把握し、投資計画に織り込むことが不可欠です。
そうすることで、資金繰りを適切に管理し、投資リスクを最小限に抑えることができます。
3. 大規模修繕計画の確認をする
マンション投資では、大規模修繕計画書の内容を確認し、将来の修繕時期と内容を把握しておく必要があります。
修繕計画を事前に把握できれば、投資計画をより適切に立案できます。
- マンション管理適正化推進機構の調査によると、9割以上のマンション管理組合が修繕計画を策定
- 国土交通省は大規模修繕の予定時期や内容、費用の見積りを記載した修繕計画書の作成を管理組合に義務付けている
- 計画を確認することで、修繕のタイミングや内容、費用を事前に把握することが可能
横浜市の築25年マンションA(総戸数80戸)の修繕計画書を見ると、次回大規模修繕は築35年頃に予定されており、屋上防水・外壁塗装等の工事が見込まれています。
一方、東京都内のマンションB(築20年、総戸数150戸)では、次回の大規模修繕は10年後の予定で、主に給排水管の更新が計画されていました。
マンション経営では大規模修繕に多額の費用が必要になるため、事前に修繕計画を確認し、時期や内容、概算費用を把握しておくことが極めて重要です。
適切な投資計画を立てるうえで欠かせない情報といえます。
4. 修繕積立金の確認をする
マンション投資では、修繕積立金の状況を必ず確認する必要があります。
適正な水準の積立金が設定されていないと、将来の大規模修繕時に資金不足に陥るリスクがあるためです。
- マンション管理適正化推進機構の調査では、1戸あたりの修繕積立基準額は月額1万円程度と試算
- しかし実際の積立金額は、この水準を下回るマンションが多数
- 積立金が不足すると、修繕時に一時金の賦課や借入れを余儀なくされ、資金繰りが悪化
横浜市の築28年マンションAでは、月額5,000円の水準で修繕積立金を徴収していました。
その結果、最新の大規模修繕で不足分を全戸に一時金賦課(平均150万円/戸)せざるを得ませんでした。
一方、東京都内のマンションBは、月額1万2,000円の適正水準で積み立てを行っていたため、直近の大規模修繕でも借入等は不要でした。
マンション投資のリスク管理において、適正水準の修繕積立金の設定状況を確認することは非常に重要です。
将来の大規模修繕による資金ショックを回避するためにも、積立金の状況は必ずチェックしましょう。
投資用ワンルームマンションの大規模修繕の費用の目安
投資用ワンルームマンションの大規模修繕費用の目安は以下の通りです。
<修繕費用の目安>
- 築30年超の老朽物件:900万円/戸
- 築15年~30年の中古物件:300万円~600万円/戸
- 築5年~15年の比較的新しい物件:100万円~300万円/戸
国土交通省の調査では、大規模修繕の平均修繕費用は535万円/戸と推計されています。
ただし、ワンルームマンションは規模が小さいため、実際の修繕費用は若干安くなる傾向にあります。
ですが、基本的に築年数が経過するほど修繕費用は高くなります。
特に築30年を超える老朽マンションでは、建物の構造体補強工事が必要となり、1,000万円を超える高額な修繕費用が見込まれます。
一方で、築5年~15年の比較的新しい物件であれば、部分的な設備更新や外装工事で済むため、修繕コストを抑えられます。
大規模修繕の費用は建物の築年数によって大きく変動するため、投資物件の選定時には十分な注意が必要です。
大規模修繕工事の内訳
大規模修繕工事の主な工事内容と費用の内訳は以下の通りです。
<主な工事内容>
- 外壁、屋根、廊下などの改修工事(約30%)
- 給排水管や電気設備の更新工事(約20%)
- エレベーター、共用設備の改修
- 構造体の補強工事(老朽物件の場合)
- オプションの各住戸内装工事
費用の大部分を占めるのが外壁改修工事と給排水設備の更新工事です。
特に老朽化した物件では構造補強工事にも多額の費用がかかります。
一方で、近年は大規模修繕と併せて各住戸の内装工事(クロス張替え、キッチンリフォームなど)を「オプション工事」として一括で実施するケースが増えています。
増額費用は発生しますが、将来の個別リフォーム工事よりコストを抑えられます。
このように、大規模修繕には様々な工事が含まれ、物件の状況によって費用内訳が大きく変わります。
適切な工事内容の検討と詳細な費用の見積りが不可欠です。
大規模修繕費用のリスクが高いワンルーム投資用物件は?
ワンルーム投資用物件で大規模修繕費用のリスクが高いのは以下の2つです。
- 築30年以上の老朽マンション
- 立地良好で修繕積立金の高い新築分譲マンション
築30年超の老朽物件は、建物の構造補強が必要となり修繕費用が高額となる上、管理状況が良くないケースも多く見受けられます。
一方で、人気立地の新築分譲マンションでは将来の修繕を見越して高水準の積立金が徴収され、投資家の初期コストがかさむリスクがあります。
投資物件の選定時には、物件の築年数や立地、修繕積立金の水準など、総合的に修繕費用のリスクを判断する必要があります。
適切なデューデリジェンスを行い、将来の修繕計画と費用を確実に見積もった上で、投資の可否を判断することが重要です。
投資用ワンルームマンションの大規模修繕まとめ
ワンルームマンション投資においては、避けて通れないのが「大規模修繕」です。大規模修繕とは、建物の大幅な劣化を防ぐための工事で、外壁塗装の塗り替えや防水工事などが含まれます。 ワンルームマンション投資における大規模修繕サイクルは通常12年で、物件規模や築年数によって大きく異なります。
購入前に必ず確認すべきなのが「大規模修繕計画」と「修繕積立金」です。大規模修繕計画は今後の修繕内容とスケジュールが記載された書類で、修繕積立金は修繕費用を貯めるための積立金です。積立金が不足していると、大規模修繕時に追加費用が発生する可能性があるため注意が必要です。
ワンルームマンションの大規模修繕は、投資判断に大きな影響を与える要素です。大規模修繕のサイクルや費用について理解しておくことで、より適切な投資判断を行うことができます。