2024.04.06
屋上防水工事のメンテナンスとは?耐用年数や種類も紹介
建物を雨漏りから守る屋上防水工事は、適切なメンテナンスによって本来の寿命を全うすることができます。シート防水やアスファルト防水、ウレタン防水など、種類によって耐用年数や劣化の進行は異なりますが、定期的な点検と補修は欠かせません。特に防水層の膨れや屋根の塗装の劣化は、放置すると深刻な問題に発展する可能性があります。
そこで本記事では、屋上防水工事の各工法における具体的なメンテナンス方法から、点検の流れ、補修のタイミングなどを詳しく解説します。
建物の屋上にメンテナンスが必要な理由は?
雨風から住まいを守る屋上は、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
しかし、建物の所有者である一般家庭では、その必要性を認識していないケースが少なくありません。
定期的な点検とメンテナンスは、以下の理由から非常に重要です。
- 防水層の劣化防止
- 建物の寿命延長
- 快適な住環境の維持
多くの家庭が屋上メンテナンスの必要性を認識していない現状は、大きな課題と言えます。
施工業者は、建物の引き渡し時に、屋上メンテナンスの必要性について丁寧に説明する必要があります。
屋上メンテナンスは、住まいの安全と快適を守るために必要不可欠なものです。
現状を踏まえて関係者間で協力し、情報発信や意識改革を推進していくことが重要視されています。
屋上でメンテナンスを行うメリットは?
屋上において、定期的なメンテナンスを行うメリットは、以下のようなものがあります。
- 防水層の劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばす
- 雨漏りによる二次被害を防ぐ
- 美観を保つ
屋上は常に直射日光や雨にさらされています。
知らず知らずのうちに防水層が劣化していた、ということはよくあることです。
そして、防水層の劣化は雨漏りにつながります。
以上のメリットから見ても、定期的なメンテナンスは建物を守るために必要不可欠です。
自分で行える屋上防水のメンテナンス方法
屋上防水のメンテナンスは、専門業者に依頼するのが一般的ですが、自分で行うことも可能です。
ただし、安全面に十分注意する必要があります。
ここでは、自分で行える屋上防水のメンテナンス方法を紹介します。
5年に1回のトップコートの塗り替え
雨風や紫外線にさらされる屋上は、建物のなかでも特に劣化しやすい場所です。
屋上防水のメンテナンス方法として、5年に1回トップコートの塗り替えが推奨されています。
一般的なトップコートの耐用年数は5年ほどで、5年を過ぎると防水性能が低下し、雨漏りのリスクが高まります。
以上の理由から、5年に1回の塗り替えで、常に最適な防水性能を維持することが可能です。
しかし、防水層にひび割れや剥がれ、色あせ、チョーキング現象、コケやカビが発生していたら、早めに塗り替えが必要です。
3ヶ月に1回のドレン清掃
屋上の排水口であるドレンは、雨水をスムーズに排出し、雨漏りを防ぐ重要な役割を担うものです。
しかし、落ち葉やゴミなどで詰まってしまうと、排水が滞り、雨漏りの原因となります。
そのため、3ヶ月に1回のドレン清掃が推奨されており、ドレン詰まりによる雨漏りを防ぎます。
ただし、雨水が溜まっている、排水が遅い、ドレン周辺が汚れている、悪臭がする場合は、早めに清掃が必要です。
ドレン清掃は自分で行うこともできますが、高所での作業になるため、安全面に注意する必要があります。
高所作業に慣れていない場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
防水工事の種類別|点検時に気をつけるポイント
防水工事には、ウレタン防水やFRP防水、シート防水、アスファルト防水といった種類があり、建物の長持ちを守るために重要な役割を果たします。
ここでは、防水工事の種類別に、点検時のポイントを紹介します。
ウレタン防水
ウレタン防水は、高い防水性と耐久性を備えた、屋上やベランダなどの防水工事によく用いられる工法です。
ウレタン防水の点検時に気をつけるポイントは、以下のようなものがあります。
- トップコートのひび割れ
- 防水層の劣化
- 下地に水分が含まれているか
一般的に、ウレタン防水の耐用年数は10年前後とされています。
10年の経過は、ウレタン防水の防水機能が徐々に弱くなってくる頃です。
また、防水層の表面にはトップコートが施されており、防水層を守ってくれています。
しかし、直射日光や風雨にさらされ続けると、トップコートにひび割れが起こり、紫外線の影響を受けやすくなります。
防水層の劣化は、進行すると雨漏りの原因となる可能性が高いです。
また、下地に水分が含まれていると、防水層の膨れが起きる可能性が高まります。
上記の劣化症状を見つけたら、早めに業者へ連絡して対処してもらいましょう。
FRP防水
FRP防水は、繊維強化プラスチック(FRP)を用いた防水工法です。
軽量で仕上がりに継ぎ目がなく、高い防水性を誇ります。
しかし、FRP防水も万能ではなく、長持ちさせるためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが必要です。
点検時に意識しておきたいポイントは、以下のとおりです。
- トップコートの劣化
- 防水下地の劣化
- ドレン周辺の汚れ
FRP防水は、上記ポイントの点検と適切なメンテナンスによって、長持ちさせることができます。
シート防水
シート防水は、塩ビやゴム製の防水シートを敷設して雨漏りを防ぐ防水工法です。
シート防水を長持ちさせるためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。
点検時に意識すべきポイントは以下のようなものがあります。
- シートの膨れ
- シートの破れ
- シート接合部の剥がれ
- シートの浮き
- 水溜まり
- ドレン周辺の汚れ
- 植物の生育
シート防水は、定期的な点検と適切なメンテナンスによって、長持ちさせることができます。
アスファルト防水
アスファルト防水は、長年培われてきた技術と信頼を誇り、建物を守る確かな防水工法です。
熱工法、常温工法、トーチ工法といった施工法によって、最適な防水層を形成します。
アスファルト防水が施工されている屋上の点検時に意識すべきポイントは、以下の5つです。
- 保護塗料の劣化
- 押さえコンクリートのひび割れ
- 防水層の浮き
- ドレン周辺の汚れ
- 植物の生育
これらのポイントを定期的にチェックし、適切なメンテナンスを行うことで、アスファルト防水は長持ちします。
業者に屋上防水を調査・点検を依頼するタイミング
屋上防水を長持ちさせるためには、自己メンテナンスと専門業者への依頼を適切に組み合わせることが重要です。
ドレン周辺の清掃は、自分で行えますが、防水層の点検は業者に依頼して点検・調査してもらうことをおすすめします。
専門業者への依頼は、以下のタイミングで行うのが良いでしょう。
- 自分メンテナンスで行っていて防水層に異常を発見したとき
- 雨漏りが発生したとき
- 防水層の保証期間が終了したとき
- 定期的な点検(5年に1回程度)
防水層の異常は、放置すると雨漏りに繋がり、建物の劣化を招きます。
異常を発見したときは、早めに専門業者に相談しましょう。
安心の屋上防水を維持するために、自己メンテナンスと専門業者への依頼をうまく組み合わせることが重要です。
屋上防水の業者選びのポイント
屋上防水は、依頼する業者によって仕上がりが左右されます。
複数の業者から見積もりを取り、比較検討することで理想的な業者選びができるでしょう。
業者を選ぶ際には、以下のポイントを参考に、慎重に検討することが重要です。
施工実績
多くの物件で防水工事を成功させてきた実績は、業者の技術力と信頼性を証明するものです。
具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 屋上防水の施工実績数
- 類似物件の施工実績
- 施工地域
また、施工実績の中でも使用した屋上防水の種類も重要なポイントです。
屋上防水には、アスファルト防水、ウレタン防水、FRP防水などの工法があります。
それぞれの工法に精通した業者を選ぶことが重要です。
防水工事の資格
安心の防水工事を実現するために、防水工事の資格を保有している業者を選びましょう。
防水工事の国家資格には、防水施工技能士があります。
国家資格である防水施工技能士は、防水工事に関する専門的な知識と技能を持っていることを証明するものです。
防水施工技能士には一級と二級があり、実務経験と防水に関する高い知識が求められます。
資格を持つ職人が在籍しているかどうかは、業者の技術力の指標となります。
保証・アフターフォロー
業者選びで後悔しないためには、保証内容やアフターフォローも重要な要素です。
一般的に、防水工事には、5年〜10年の保証期間が設けられています。
保証期間は業者によって異なりますが、長期保証だけでなく、保証内容も重要です。
具体的には、防水層の保証、施工不良の保証、雨漏り修理の保証があるかについてチェックしましょう。
また、施工後のアフターフォローも業者選びのポイントになります。
万が一、雨漏りなどが発生した場合の対応が特に重要です。
具体的には、24時間365日対応、迅速な現地調査、丁寧な修理対応など、しっかりしたアフターフォローがなされることを確認しましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
屋上防水のメンテナンスまとめ
ここまで、屋上防水のメンテナンスについて解説してきました。
この記事の要点は、以下の通りです。
- 自分で行えるメンテナンスは、トップコートの塗り替え、ドレン清掃
- 専門業者に依頼する点検:防水層の劣化、ひび割れ、剥がれ、浮き、膨れ、ドレン周辺の汚れ、植物の生育
- 業者選びのポイント:施工実績、防水工事の資格、保証・アフターフォロー
定期的な点検と適切なメンテナンスは、屋上防水を長持ちさせ、雨漏りから建物を守るために不可欠です。
異常を発見したときは早めに専門業者に相談しましょう。