2024.04.17
防水工事の絶縁工法と密着工法の違いとは?メリット・デメリットを徹底比較
防水工事において、下地と防水層の関係性は工事の成否を左右する重要なポイントです。耐震性に優れる絶縁工法は下地の影響を受けにくい一方で、工期と初期費用が比較的高額になります。対して密着工法は工期が短く費用を抑えられますが、下地状態の影響を受けやすいという特徴があります。
そこで本記事では、絶縁工法と密着工法それぞれのメリット・デメリットを徹底的に比較し、建物の状態や予算に応じた最適な工法選びのポイントを詳しく解説します。
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絶縁工法とは?
絶縁工法とは、下地と防水層の間に通気層を作ることで建物の下地と防水層を密着させずに施工する、防水工事の工法の一種です。
防水工事の種類によっては、通気緩衝工法と呼ばれることもあります。
絶縁工法では、コンクリート下地に通気緩衝シートやアスファルトシートなどを貼り付けて通気層を作り、その上に防水層を形成します。
建物の下地に直接防水層を形成しないことが、絶縁工法の大きな特徴です。
絶縁工法は、水分を含んでいる下地に対しても施工することができます。
絶縁工法で設けられる「脱気筒」や通気層の働きにより、下地に含まれる水分が蒸発してできた水蒸気が適切に外部に排出されます。
絶縁工法のメリット・デメリット
絶縁工法の特徴を、メリットとデメリットの両方からさらに詳しく解説します。
工法を決める際には、メリットとデメリットをどちらも知っておくことが重要です。
絶縁工法のメリット
絶縁工法のメリットには、以下のようなものがあります。
- 下地の影響を受けにくい
- 防水層の耐久性が高い
- 下地の状態が悪くても施工が可能
- ランニングコストが低い
絶縁工法は下地と防水層が密着しないことが大きな特徴であるため、下地の影響を受けにくいというメリットがあります。
下地が水分を含んでいたり、多少のひび割れが生じていたりする場合でも、絶縁工法であれば防水工事の実施が可能です。
下地の影響を受けにくいため、防水層の耐久性が高く長持ちすることも大きなメリットのひとつです。
防水層が長持ちすれば防水工事を頻繁に行う必要がないため、定期的に必要な防水工事にかかる費用の節約にもつながります。
絶縁工法のデメリット
絶縁工法のデメリットには、以下のようなものがあります。
- 重歩行には耐えられない
- 工期が比較的長く、初期費用が高い
- 施工には職人の技術が必要
絶縁工法で施工した床面は人が軽く歩行する分には問題ありませんが、重歩行に耐えることができないため、重いものを持って歩いたり頻繁に人が出入りしたりできないことがデメリットになります。
また、作業工程が多い工法なので工期が比較的長く、初期費用も高額となるでしょう。
絶縁工法の施工には高度な技術が必要となるため、工事の完成度が職人の技術によって左右されることにも注意が必要です。
技術のある職人さんに施工してもらえるよう、業者の実績を確認するなどの慎重な業者選びが重要なポイントになります。
密着工法とは?
密着工法とは、建物の下地に密着させて防水層を形成する防水工事の工法の一種です。
防水塗料や防水シートなどを直接下地に塗布したり貼り付けたりするため、下地と防水層が密着することが特徴です。
大掛かりな器具を使用せずに施工できるため、一般住宅の防水工事としても多く採用されています。
密着工法のメリット・デメリット
密着工法には、メリットもあればデメリットもあります。
ここでは、密着工法におけるメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。
密着工法のメリット
密着工法のメリットには、以下のようなものがあります。
- 比較的工期が短く、施工費用が安い
- 段差や複雑な場所にも施工しやすい
下地の上に直接防水層を形成するシンプルな工事なので、工期が短く施工費用も安いことが大きなメリットだといえます。
コストパフォーマンスに優れているため、一般家庭で多く採用される工法です。
段差や複雑な形状の場所への施工も可能で対応できる下地が幅広いことも、密着工法のメリットのひとつです。
密着工法のデメリット
密着工法のデメリットには、以下のようなものがあります。
- 下地の状態が悪い場合は施工できない
- 施工には職人の技術が必要
密着工法は下地と防水層が密着するという特徴から、下地の影響を受けやすいです。
そのため、下地が水分を含んでいたり劣化が激しかったりなど、下地の状態が悪い場合には施工することができません。
下地の状態が悪いまま施工してしまうと、防水層にひび割れや剥離などのトラブルが生じるリスクが高まります。
また、密着工法では下地と防水層をしっかり密着させることが重要なので、均一な厚みで防水層を形成し、下地と密着させる高い施工技術を必要とします。
絶縁工法と密着工法の違いを比較
絶縁工法と密着工法それぞれの特徴を紹介してきましたが、「結局どっちがいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
下記の表では、絶縁工法と密着工法の違いをわかりやすくまとめました。
それぞれの工法を比較したい方は、ぜひチェックしてみてください。
絶縁工法 | 密着工法 | |
---|---|---|
特徴 | 下地と防水層を密着させない工法 (間にシートを挟んで通気性を確保する) | 下地と防水層を密着させる工法 |
下地の影響 | 受けにくい | 受けやすい |
工期 | 比較的長い | 短い |
地震などの揺れ | 強い | 若干弱い |
初期費用 | 高い | 安い |
ランニングコスト | 安い | 若干高い |
職人の技術 | 必要 | 必要 |
絶縁工法と密着工法を比較すると、それぞれ特徴が異なりどちらの工法にもメリットとデメリットがあることがよくわかります。
工法の特徴はもちろん、それぞれのメリット・デメリットの両方を考慮した上で、最適な工法を選んでくださいね。
防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
防水工事の絶縁工法と密着工法の違いのまとめ
今回は、防水工事の絶縁工法と密着工法の違いについて詳しく紹介しました。
- 絶縁工法は、下地と防水層を密着させずに施工する工法
- 密着工法は、下地と防水層を密着させて施工する工法
- 絶縁工法は下地の影響を受けにくく、防水層の耐久性が高い
- 密着工法はコストパフォーマンスに優れている
- どちらにもメリット・デメリットがあるため、理解した上で最適な工法を選択することが重要
防水工事には大きくわけて「絶縁工法」と「密着工法」の2種類があり、どちらか最適な工法を選択して施工することが重要です。
今回の記事でそれぞれの工法の特徴やメリット・デメリットを把握することができ、最適な工法選びの参考となれば幸いです。