2024.04.18
マンション大規模修繕は何年ごとに実施が必要?
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マンション大規模修繕は何年ごとに実施が必要?目安は?
マンション大規模修繕は何年ごとにどういった実施が必要なのでしょうか?目安について見ていきましょう。
4〜6年:鉄部塗装等
マンションの鉄部分は、4〜6年を目安に塗装の修繕が必要となります。
鉄部分は、雨風にさらされる屋外の部位が多いため、比較的早期に劣化が進行します。
さびや塗膜の劣化が生じると、美観を損なうだけでなく、構造体の強度低下にもつながる恐れがあります。
そのため定期的な塗装を行い、鉄部分の保護を図る必要があります。
東京の分譲マンションでは、建設から5年が経過した時点で、手すりや開口部の金物類に著しい塗膜劣化が見られました。
管理組合では、外装の美観維持と鉄部分の錆止めのため、翌年に集中的な塗装工事を実施しました。
鉄部分の劣化は建物の安全性にも影響するため、確実な修繕が求められます。
7〜10年:小規模修繕等
マンションでは、7〜10年を目安に設備の部分更新や外壁の補修など、小規模な修繕工事を実施する必要があります。
- 設備機器の経年劣化
給排水設備や空調設備などは、使用年数とともに徐々に劣化が進行します。機器の一部を部分的に更新することで、設備の延命化を図ります。 - 外壁や内装のひび割れ補修
地盤沈下や温度変化などにより、外壁や内装壁にひび割れが発生する可能性があります。放置すると雨水の浸入などの問題に発展するため、早期の補修が不可欠です。
築9年の大規模分譲マンションでは、昇降機の一部と中央監視設備を更新しました。
さらに共用廊下の一部で発生していたひび割れについても補修を行いました。
人的被害のリスクを最小限に抑えるため、マンションでは大規模修繕の際に入居者の生活支援を行うケースが多くあります。
11〜15年:1回目大規模修繕
分譲マンションでは、建設から11〜15年を目安に初めての大規模修繕工事を実施する必要があります。
- 主要部位の大がかりな工事
外壁の張り替えや防水工事、給排水設備の更新など、建物の主要部位について大がかりな工事を行う必要があります。 - 長期修繕計画への対応
管理組合では分譲時から修繕積立金を徴収し、長期修繕計画に沿って大規模修繕を実施します。計画的な資金の確保が不可欠です。 - 国交省の指針への準拠
国土交通省の「マンション修繕指針」において、一定の年数での大規模修繕の実施が義務付けられています。
埼玉県のマンションでは、建設から13年が経過した2021年に初の大規模修繕工事を行いました。
工事内容は外壁の張り替え、屋上防水の全面改修、給排水設備の更新などでした。
分譲マンションでは、11〜15年を目安に初回の大規模修繕を実施することが一般的です。
管理組合は長期修繕計画を適切に立案し、建物の性能と資産価値を維持する必要があります。
16〜20年:鉄部塗装、屋上防水等
マンション建設から16〜20年が経過した頃には、再び鉄部塗装や屋上防水の部分修繕が求められます。
- 鉄部塗装の耐用年数
前回の大規模修繕で実施した鉄部塗装の耐用年数が5〜10年程度と比較的短いため、早期の再塗装が不可欠です。 - 屋上防水の経年劣化
屋上の防水層は、紫外線や雨風の影響を受けやすく、徐々に劣化が進行します。部分的な補修を行うことで、防水性能を維持する必要があります。
東京都内の分譲マンションでは、建設から17年が経過した時点で、棟ごとに手すりや開口部の鉄部塗装と屋上防水の部分補修を実施しています。
16〜20年を目安に、鉄部塗装と屋上防水の部分修繕を行うことで、前回の大規模修繕から次の大規模修繕までの期間を適切に管理できます。
21〜25年:2回目の大規模修繕
マンション建設から21〜25年が経過した頃には、2回目の本格的な大規模修繕工事を実施する必要があります。
- 建物の主要部位の劣化進行
外壁、防水、設備機器など、建物の中核部位について前回の大規模修繕から10年近く経過し、再度大がかりな工事が必要となります。 - 長期修繕計画に基づく実施
管理組合では長期修繕計画を立案し、修繕積立金の適切な管理を行いながら、大規模修繕の周期を決定しています。 - 居住性と資産価値の維持
大規模修繕を実施することで、マンションの居住性と市場における資産価値を維持・向上させることができます。
東京都内のマンションでは、建設から24年が経過した2022年に2回目の大規模修繕を実施しました。
工事内容は外壁の塗装、窓サッシ交換、屋上防水改修、給排水設備一部更新などでした。
分譲マンションでは建設から21〜25年を目安に、2回目の大規模修繕を実施することが一般的です。
管理組合はこの機会に建物の性能向上を図り、居住環境と資産価値の維持に努める必要があります。
26〜30年:エレベーター交換
マンション建設から26〜30年が経過した頃には、エレベーターの大規模更新工事や、その他の大型設備機器の交換が必要となります。
- エレベーターの法定耐用年数
エレベーターには、建設から30年を目安に全面的な更新を行う法的義務があります。この時期に集中的にエレベーター交換工事が実施されます。 - 空調設備や受変電設備等の更新
エレベーター以外にも、空調機や受変電設備など、大型の設備機器については20〜30年を目安に更新時期を迎えます。 - 長期修繕計画に基づく実施
管理組合では、築年数に応じて大型設備の更新費用を修繕積立金に計上し、長期修繕計画に沿って工事を実施しています。
神奈川県の分譲マンションでは、2021年に建設から29年が経過したタイミングで、3基のエレベーターと空調設備の一部を更新しました。
工事費総額は約1億円にのぼりました。
エレベーターをはじめとする大型設備機器の更新は、マンション居住者の利便性と安全性の確保に不可欠です。
管理組合は、長期修繕計画に沿って適切な時期にこれらの設備更新を行う必要があります。
31〜40年:3回目大規模修繕
マンション建設から31〜40年が経過すると、3回目の大規模修繕工事を行う必要があります。
- 前回の大規模修繕からの経過年数
前回の大規模修繕から10年以上経過し、外壁、防水層、設備機器などの主要部位について再度大掛かりな工事が必要となります。 - 築年数に伴う劣化の進行
建物が30年を超えると、構造体の劣化が顕著になり、躯体の補強工事なども求められる可能性があります。 - 法定耐用年数との関係性
国土交通省から示されているマンション建物の法定耐用年数が47年であり、その前後で大規模修繕の実施が望ましいとされています。
東京都内のマンションでは、建設から35年が経過した2022年に3回目の大規模修繕を実施しました。
工事内容は外壁の全面改修、給排水管の更新、一部躯体の補強などでした。
築30年を超えるマンションでは、防災性と資産価値を維持するために、大規模修繕を3回目として実施することが不可欠です。
管理組合は長期修繕計画に基づき、着実に修繕工事を進める必要があります。
マンション大規模修繕は12年が一般的
分譲マンションの大規模修繕は、一般的に12年を周期として実施されることが多いとされています。
ただし、マンションの状況によっては前後する場合もあります。
国土交通省が実施した調査によると、マンションの大規模修繕工事の平均的な実施間隔は12.2年となっています。
この数字が一般的な目安とされている理由は以下の通りです。
- 適正な修繕サイクル
マンションの主要部位である外壁や設備機器などは、10年前後で一定の劣化が進行します。12年を周期として大規模修繕を行うことで、適切な時期に建物の性能を維持できます。 - 修繕積立金の積立サイクル
管理組合では分譲時から修繕積立金を集め、長期修繕計画に沿って修繕工事の費用に充てています。12年周期であれば、一定の積立金を確保できます。 - 長期修繕計画の適正運用
長期修繕計画は概ね12年を1サイクルとして立案されることが多く、これに基づいて修繕周期が決定されています。
東京都内の1995年建設のマンションでは、10年ごとの修繕サイクルを設定していました。
しかし、2015年の第2回目の大規模修繕後、次回の修繕周期を13年に延長しています。
マンション管理適正化の観点から、概ね12年を周期とした大規模修繕の実施が推奨されています。
ただし、各マンションの実情に応じて、この周期を前後する必要も出てくるでしょう。