マンション大規模修繕は何年ごと?実施は12年や15年など周期の違いや費用について解説 | 株式会社新東亜工業  

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マンション大規模修繕は何年ごと?実施は12年や15年など周期の違いや費用について解説

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マンションの価値を維持するために重要なイベントである大規模修繕。しかし、その周期は明確に定められていません。一般的には12年周期や15年周期が目安とされますが、実際には建物の状態や管理状況によって大きく異なります。

この記事では、マンションの大規模修繕の周期について、建築基準法に基づいた調査や修繕が必要なポイント、実際の周期の目安など、わかりやすく解説します。ぜひ、マンションの将来を見据えた計画の参考にしてください。

マンション大規模修繕は何年ごとに実施が必要?目安は?

マンション大規模修繕は何年ごとにどういった実施が必要なのでしょうか?目安について見ていきましょう。

今回はマンション建築直後から30年後までに行われる大規模修繕の流れを一般例として紹介します。

4〜6年:鉄部塗装等

マンションの鉄部分は、4〜6年を目安に塗装の修繕が必要となります。

鉄部分は、雨風にさらされる屋外の部位が多いため、比較的早期に劣化が進行します。

さびや塗膜の劣化が生じると、美観を損なうだけでなく、構造体の強度低下にもつながる恐れがあります。

そのため定期的な塗装を行い、鉄部分の保護を図る必要があります。建設から5年が経過した時点で、手すりや開口部の金物類に著しい塗膜劣化が見られました。

鉄部分の劣化は建物の安全性にも影響するため、確実な修繕が求められます。

7〜10年:小規模修繕等

マンションでは、7〜10年を目安に設備の部分更新や外壁の補修など、小規模な修繕工事を実施する必要があります。

  1. 設備機器の経年劣化
    給排水設備や空調設備などは、使用年数とともに徐々に劣化が進行します。機器の一部を部分的に更新することで、設備の延命化を図ります。
  2. 外壁や内装のひび割れ補修
    地盤沈下や温度変化などにより、外壁や内装壁にひび割れが発生する可能性があります。放置すると雨水の浸入などの問題に発展するため、早期の補修が不可欠です。

築9年のマンションでは、昇降機の一部と中央監視設備などの更新が行われます。さらに共用廊下の一部で発生していたひび割れについても補修を行いました。

人的被害のリスクを最小限に抑えるため、マンションでは大規模修繕の際に入居者の生活支援を行うケースが多くあります。

11〜15年:1回目大規模修繕

分譲マンションでは、建設から11〜15年を目安に初めての大規模修繕工事を実施する必要があります。

  1. 主要部位の大がかりな工事
    外壁の張り替えや防水工事、給排水設備の更新など、建物の主要部位について大がかりな工事を行う必要があります。
  2. 長期修繕計画への対応
    管理組合では分譲時から修繕積立金を徴収し、長期修繕計画に沿って大規模修繕を実施します。計画的な資金の確保が不可欠です。
  3. 国交省の指針への準拠
    国土交通省の「マンション修繕指針」において、一定の年数での大規模修繕の実施が義務付けられています。

工事内容は外壁の張り替え、屋上防水の全面改修、給排水設備の更新などでした。マンションでは、11〜15年を目安に初回の大規模修繕を実施することが一般的です。

管理組合は長期修繕計画を適切に立案し、建物の性能と資産価値を維持する必要があります。

建築基準法に規定された全面打診調査について

マンションの大規模修繕工事は、建物の性能を維持し、安全性を確保するために不可欠なものです。一般的には1回目が12年~15年程度が目安とされていますが、実際の周期は専門家による調査結果に基づいて決定されます。

マンションの大規模修繕工事の際には、建築基準法で義務付けられた全面打診調査を実施する必要があります。これは、建物の外壁やコンクリート壁をハンマーで軽く叩いて、内部の空洞やひび割れなどを確認する調査のことです。調査結果に基づいて、必要な補修箇所や補強方法が決定されます。

マンションの大規模修繕工事は、築年数が経過するほど改修が必要なポイントが増えていきます。そのため、工事の回数も多くなる傾向があります。一般的には、3回程度の大規模修繕工事が必要とされています。

マンションの大規模修繕工事は、専門家による調査結果に基づいて、適切な時期に実施することが重要です。建物の性能を維持し、安全性を確保するためには、欠かせない工事です。

16〜20年:鉄部塗装、屋上防水等

マンション建設から16〜20年が経過した頃には、再び鉄部塗装や屋上防水の部分修繕が求められます。

  1. 鉄部塗装の耐用年数
    前回の大規模修繕で実施した鉄部塗装の耐用年数が5〜10年程度と比較的短いため、早期の再塗装が不可欠です。
  2. 屋上防水の経年劣化
    屋上の防水層は、紫外線や雨風の影響を受けやすく、徐々に劣化が進行します。部分的な補修を行うことで、防水性能を維持する必要があります。

16〜20年を目安に、鉄部塗装と屋上防水の部分修繕を行うことで、前回の大規模修繕から次の大規模修繕までの期間を適切に管理できます。

21〜25年:2回目の大規模修繕

マンション建設から21〜25年が経過した頃には、2回目の本格的な大規模修繕工事を実施する必要があります。

  1. 建物の主要部位の劣化進行
    外壁、防水、設備機器など、建物の中核部位について前回の大規模修繕から10年近く経過し、再度大がかりな工事が必要となります。
  2. 長期修繕計画に基づく実施
    管理組合では長期修繕計画を立案し、修繕積立金の適切な管理を行いながら、大規模修繕の周期を決定しています。
  3. 居住性と資産価値の維持
    大規模修繕を実施することで、マンションの居住性と市場における資産価値を維持・向上させることができます。

工事内容は外壁の塗装、窓サッシ交換、屋上防水改修、給排水設備一部更新などでした。マンションでは建設から21〜25年を目安に、2回目の大規模修繕を実施することが一般的です。

管理組合はこの機会に建物の性能向上を図り、居住環境と資産価値の維持に努める必要があります。

26〜30年:エレベーター交換

マンション建設から26〜30年が経過した頃には、エレベーターの大規模更新工事や、その他の大型設備機器の交換が必要となります。

  1. エレベーターの法定耐用年数
    エレベーターには、建設から30年を目安に全面的な更新を行う法的義務があります。この時期に集中的にエレベーター交換工事が実施されます。
  2. 空調設備や受変電設備等の更新
    エレベーター以外にも、空調機や受変電設備など、大型の設備機器については20〜30年を目安に更新時期を迎えます。
  3. 長期修繕計画に基づく実施
    管理組合では、築年数に応じて大型設備の更新費用を修繕積立金に計上し、長期修繕計画に沿って工事を実施しています。

30年近くが経過したタイミングで、3基のエレベーターと空調設備の一部を更新しました。

工事費総額は数千万かかる場合があります、エレベーターをはじめとする大型設備機器の更新は、マンション居住者の利便性と安全性の確保に不可欠ですが、必要な設備で事故の起こることのないようにしっかりとしたメンテナンスが必要です。

管理組合は、長期修繕計画に沿って適切な時期にこれらの設備更新を行う必要があります。

31〜40年:3回目大規模修繕

マンション建設から31〜40年が経過すると、3回目の大規模修繕工事を行う必要があります。

  1. 前回の大規模修繕からの経過年数
    前回の大規模修繕から10年以上経過し、外壁、防水層、設備機器などの主要部位について再度大掛かりな工事が必要となります。
  2. 築年数に伴う劣化の進行
    建物が30年を超えると、構造体の劣化が顕著になり、躯体の補強工事なども求められる可能性があります。
  3. 法定耐用年数との関係性
    国土交通省から示されているマンション建物の法定耐用年数が47年であり、その前後で大規模修繕の実施が望ましいとされています。

マンションが35年が経過した2022年に3回目の大規模修繕を実施となり工事内容は外壁の全面改修、給排水管の更新、一部躯体の補強などです。

築30年を超えるマンションでは、防災性と資産価値を維持するために、大規模修繕を3回目として実施することが不可欠です。

マンションの大規模修繕工事の費用はどのくらい?

マンションの大規模修繕工事には、一般的に1棟につき1,000万円~5,000万円程度かかります。費用は建物の規模や築年数、劣化具合などによって異なります。

規模おおよその費用
小規模マンション1,000万円~2,000万円
中規模マンション2,000万円~3,000万円
大規模マンション3,000万円~5,000万円

大規模修繕工事の費用は、主に修繕箇所と修繕内容によって決まります。例えば、外壁塗装や防水工事、バルコニーの改修などが必要な場合は、より多くの費用がかかります。

大規模修繕工事の費用は、一般的に修繕積立金から捻出されます。修繕積立金は、毎月管理費と一緒に徴収されるもので、大規模修繕工事などの費用に備えて積み立てられています。

しかし、修繕積立金だけでは不足する場合もあります。その場合は、追加徴収や融資などで費用をまかなう必要があります。

大規模修繕工事はマンションの寿命を延ばし、資産価値を維持するのに重要な工事です。計画的に修繕積立金を積み立てて、必要な時に適切な工事を進めましょう。

大規模修繕工事にはいくらぐらいの費用がかかる?

マンションの大規模修繕工事は、外壁の補修や塗装、防水工事、鉄部の塗装など、様々な工事が含まれます。そのため、工事内容によって費用は大きく異なります。

一般的に、大規模修繕工事の費用は、1戸あたり100万円~200万円程度かかると言われています。しかし、建物の規模や築年数、劣化状況などによって、費用は大きく変動します。

また、工事内容によって、費用は大きく異なります。例えば、外壁の補修だけであれば、1戸あたり50万円程度で済む場合もあります。しかし、バルコニーの防水工事や屋上防水工事を行う場合は、1戸あたり150万円程度かかってもおかしくありません。

そのため、大規模修繕工事の費用は、事前にしっかりと見積もりを取る必要があります。見積もりを取る際には、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが大切です。

さらに、大規模修繕工事の費用は、管理組合が積み立てている修繕積立金から支払うことが原則です。しかし、修繕積立金が不足している場合は、住民が追加で費用を負担する必要があります。

大規模修繕工事は多額の費用がかかるため、事前にしっかりと計画を立て、費用を確保しておくことが重要です。

大規模修繕工事の費用負担はどこから?

大規模修繕工事の費用は、基本的には修繕積立金から捻出されます。修繕積立金とは、マンションの管理費とは別に毎月積み立てられているお金で、将来の大規模修繕工事のための費用です。

しかし、修繕積立金だけでは足りない場合も多く、その場合は一時金を徴収することになります。一時金は、各戸の所有面積に応じて負担する決まりとなっており、高額になるケースもあります。

また、近年では長期修繕計画に沿って、修繕積立金の額を段階的に引き上げていくマンションが増えています。これにより、将来の大規模修繕工事への備えをより確実なものにすることができます。

マンション大規模修繕での補助金や助成金の種類と条件を紹介

マンションの大規模修繕には多額の費用がかかりますが、国や地方自治体からの補助金を利用することで、経済的負担を軽減することができます。ここでは、主要な補助金の種類とそれぞれの条件について詳しく解説します。

以下の表にまず簡単にまとめました。

補助金の種類条件対象工事例
省エネ改修補助金断熱材の追加や省エネルギー設備の導入を行うこと
一定のエネルギー効率改善が見込まれること
断熱材の追加、高効率給湯器の設置
LED照明への交換
耐震改修補助金建物の耐震性を向上させる工事を行うこと
耐震診断の結果に基づいた改修であること
耐震補強工事、柱や梁の補強
バリアフリー改修補助金高齢者や障害者のためのバリアフリー化を行うこと
公共性が認められること
スロープの設置、エレベーターの設置
手すりの設置
条件、対象工事例は一般的な内容となります。自治体によって条件が変わることがあるため詳しくは各自治体へお問い合わせください

それぞれの内容を詳しく解説します。

省エネ改修補助金

まず、省エネ改修補助金についてです。この補助金は、建物の断熱性能を向上させたり、省エネルギー設備を導入したりする場合に支給されます。具体的には、断熱材の追加や高効率給湯器の設置、LED照明への交換などが対象となります。この補助金を受けるための条件として、断熱材の追加や省エネルギー設備の導入を行うことが求められ、さらに一定のエネルギー効率改善が見込まれることが必要です。

耐震改修補助金

次に、耐震改修補助金があります。この補助金は、建物の耐震性を向上させるための工事に対して支給されます。対象となる工事には、耐震補強工事や柱や梁の補強などがあります。補助金を受けるためには、耐震診断の結果に基づいた改修であることが条件となります。これは、建物の耐震性を確保し、住民の安全を守るために非常に重要です。

バリアフリー改修補助金

最後に、バリアフリー改修補助金です。この補助金は、高齢者や障害者のためにバリアフリー化を行う場合に支給されます。対象となる工事には、スロープの設置、エレベーターの設置、手すりの設置などが含まれます。この補助金を受けるための条件としては、高齢者や障害者のためのバリアフリー化を行うこと、そして公共性が認められることが必要です。バリアフリー化は、高齢者や障害者が安全に快適に暮らせる環境を整えるために重要です。

以上のように、マンション大規模修繕に対する補助金にはさまざまな種類があり、それぞれに特有の条件があります。適切な補助金を選び、条件に合った工事を行うことで、補助金を有効に活用することができます。

まとめ|マンション大規模修繕は12年が一般的

分譲マンションの大規模修繕は、一般的に12年を周期として実施されることが多いとされています。

ただし、マンションの状況によっては前後する場合もあります。

国土交通省が実施した調査によると、マンションの大規模修繕工事の平均的な実施間隔は12.2年となっています。

この数字が一般的な目安とされている理由は以下の通りです。

  • 適正な修繕サイクル
    マンションの主要部位である外壁や設備機器などは、10年前後で一定の劣化が進行します。12年を周期として大規模修繕を行うことで、適切な時期に建物の性能を維持できます。
  • 修繕積立金の積立サイクル
    管理組合では分譲時から修繕積立金を集め、長期修繕計画に沿って修繕工事の費用に充てています。12年周期であれば、一定の積立金を確保できます。
  • 長期修繕計画の適正運用
    長期修繕計画は概ね12年を1サイクルとして立案されることが多く、これに基づいて修繕周期が決定されています。

マンション管理適正化の観点から、概ね12年を周期とした大規模修繕の実施が推奨されています。ただし、各マンションの実情に応じて、この周期を前後する必要も出てくるでしょう。

それぞれの改修工事では時間も費用も大規模になるので、しっかりとした修繕計画を立てておきましょう。

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