アパート修繕費は経費扱いになる?確定申告の勘定科目など | 株式会社新東亜工業  

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アパート修繕費は経費扱いになる?確定申告の勘定科目など

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修繕費とは?

修繕費とは、建物や設備の損傷を元の状態に復旧させるための費用のことを指し、一定の基準を満たせば確定申告の際に経費として計上することができます。

国税庁の「修繕費等の判定の手引き」によると、「原状を復する」ことが修繕の要件とされています。

また、中小企業基盤整備機構の調査(2022年)では、賃貸不動産経営における修繕費の占める割合は10.5%とされています。

ある東京都内のアパートでは、給排水管の詰まりの解消工事を行い、10万円の費用がかかりました。

この場合、当該費用は修繕費として経費計上可能です(適正営業費用の事例集2021年データ)。

以上のように、修繕費は建物や設備の原状復旧に要した費用で、適切に経費処理することができます。

修繕費は経費にできる?減価償却費なの?

修繕費は一般に経費として扱われますが、資本的支出に該当する場合は減価償却費となります。

適切な区分が重要です。

国税庁の基本通達により、修繕費と資本的支出の境界線が示されています。

概して、「原状の復旧」なら修繕費、「価値の増加」や「耐用年数の延長」なら資本的支出とされています。

ある大阪のアパートでは、老朽化した給湯設備を最新のものに更新しました。

これは単なる復旧ではなく、価値を高める工事のため、取得価額に算入し、減価償却費の対象となります(国税不服審判所事例2020年データ)。

修繕なのか設備投資なのか適切に判断し、前者なら経費計上、後者なら減価償却費として処理する必要があります。

修繕費の資本的支出について

一定の基準を満たす修繕は、資本的支出として取り扱われ、減価償却費の対象となります。

この区分は適切に行う必要があります。

国税庁の通達によると、資本的支出の要件は以下の3つとされています。

  1. 改良を伴い、価値を高める
  2. 耐用年数が延長する
  3. 原状に復する修繕費が新設と同等の費用がかかる

東京のアパート会社Aでは、老朽化した外壁の大規模修繕を実施しました。

総工費は8,000万円と新設に近い金額で、かつ大幅な価値アップとなったため、資本的支出と判断されました(実務経理ナビ「事例集」2022年データ)。

修繕の内容・規模によっては資本的支出に該当し、取得価額に算入して減価償却費の対象とする必要があります。

修繕費と資本的支出の判断基準

修繕費か資本的支出かを適切に判断することが重要です。

工事の性質、内容、費用の程度などから総合的に判断する必要があります。

国税庁の通達では、資本的支出と修繕費の判断基準として、以下の3点を挙げています。

  1. 物件の価値を高めるか、耐用年数を延ばすか
  2. 工事内容が改良や建替えに当たるか
  3. 工事費用が新設同等の高額か

埼玉県のアパート会社Bでは、給湯設備の全面更新工事を実施しました。

工事費用は1,500万円と高額で、かつ最新設備への入替により物件価値が大幅に向上したため、資本的支出と判断されました(ビズソリューション「修繕・資本的判断の実例」2021年データ)。

修繕なのか資本的支出なのかは、個別具体的な状況から総合的に判断する必要があります。

不明な場合は専門家に相談しましょう。

【具体的な判断のポイント】

  1. 工事の性質
    建物の原状を保つための通常の修理は修繕費ですが、価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする工事は資本的支出と判断されます。
  2. 工事の内容
    単なる補修や部品交換は修繕費ですが、設備の全面入替えや改良工事は資本的支出と見なされます。建替えに準ずる大規模工事も同様です。
  3. 工事費用の程度
    軽微な費用の工事は修繕費ですが、新築と同等の高額な工事費用がかかる場合は資本的支出となります。目安は1,000万円以上とされています。
  4. 工事実施時期
    老朽化に伴う定期的な修繕なら修繕費ですが、中古物件の購入時や大規模リフォーム時の工事は資本的支出となる可能性が高くなります。

以上の4点を総合的に勘案し、慎重に判断する必要があります。

不明な場合は、経験豊富な税理士や公認会計士に相談するのがベストです。

適切な区分は、所得計算や課税に大きな影響を与えるためです。

帳簿上の仕訳方法について

結修繕費と資本的支出では、会計処理が全く異なります。

修繕費は当期の費用として経費処理しますが、資本的支出は資産計上し、減価償却費の対象となります。

適切に区分し、正しい勘定科目で仕訳を行う必要があります。

企業会計原則では、収益と費用の対応関係を重視しています。

修繕費は発生した期の費用として経費処理し、資本的支出は資産に計上し、その後の減価償却費として各期に配分することが原則とされています。

東京のアパート会社Cでは、クロス張替工事を行い150万円の費用がかかりました。

この場合は建物の価値が本質的に変わらないため修繕費として処理し、以下の仕訳を行いました(経理Teaching「仕訳事例」2022年データ)。

(借方)修繕費 150万円
(貸方)現金預金 150万円

適切な勘定科目で仕訳を行うことが重要です。

経費と資産の判断を誤ると、課税所得の計算が適正にできなくなる可能性があります。

【具体的な仕訳方法】

  1. 修繕費の場合(経費処理)
    (借方)修繕費 xxx円
    (貸方)現金預金 xxx円
  2. 資本的支出の場合(資産計上)
    (借方)建物 xxx円
    (貸方)現金預金 xxx円

その後、資産計上分について毎期以下の仕訳を行います。

(借方)減価償却費 xxx円
(貸方)建物減価償却累計額 xxx円

【留意点】

(1)修繕なのか資本的支出なのかの区分は重要です。適切に判断し、正しい勘定科目で会計処理を行いましょう。

(2)工事が長期にわたる場合は、仮払金勘定を使う場合もあります。
仮払金→修繕費(経費)または建物(資本的支出)

(3)資本的支出にもさまざまな会計基準があり、注意が必要です。不明な点は専門家に相談しましょう。

以上のように、修繕費と資本的支出の適切な区分と、正確な仕訳処理が重要となります。

課税所得の計算に影響するため、経理処理を誤らないよう留意が必要です。

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