2024.04.19
アパートの耐用年数と修繕を解説!何年で大規模修繕が必要?木造や鉄筋コンクリート等構造別の費用紹介
アパート修繕費や減価償却、木造アパートの耐用年数が知りたい方。
建物修繕工事や耐用年数が来た際のリフォーム、修繕費用について解説
「築年数の長いアパートは建て替えが必要?」「大規模修繕のベストなタイミングはいつなんだろう?」など、多くのアパートオーナー様がこれらの悩みに直面しています。国土交通省の基準では、木造で22年、鉄筋コンクリート造で51年とされる耐用年数も、適切な維持管理で大幅に延ばすことが可能です。
そこで本記事では、アパートの構造別耐用年数から、修繕時期の見極め方、メンテナンス方法、さらに実例に基づく費用相場まで、長期的な資産価値維持のために必要な情報を詳しく解説します。構造別の具体的な指針もお伝えしますので、アパート経営に役立つ知識が満載です。
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アパートの耐用年数とは?
アパートの耐用年数とは、建物が建築された当初の性能を維持できる期間のことを指します。
経年劣化の進行により、建物の安全性や居住性能が低下していくため、定期的な修繕工事を行うことで、建物の耐用年数を延ばすことができます。
結論から言えば、適切な維持管理が行われれば、アパートはおおむね50年程度の耐用年数が見込まれます。
理由や根拠としては、国土交通省による「住宅・建築物の耐用年数算定方法」で、構造別の標準耐用年数が定められています。
一般的なアパートの主な構造は、鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造です。
実例として、2022年の民間のアパート・マンション新築着工戸数の内訳は、鉄筋コンクリート造が46%、鉄骨鉄筋コンクリート造が39%と、両構造で全体の85%を占めています(出典:国土交通省建築着工統計)。
結論として、アパートの所有者や管理組合が、定期的な建物調査とメンテナンス、計画的な大規模修繕を実施していけば、標準的な耐用年数を上回る長期的な居住が可能となります。
アパートの耐用年数は何年?
アパートの構造別の標準耐用年数は、以下の表の通りです。
構造種別 | 標準耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
簡易鉄骨造 | 27年 |
鉄筋コンクリート造 | 51年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 54年 |
一般的なアパートでよく見られる鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造では、標準で50年超の耐用年数が見込まれています。
しかし実際には、適切な修繕サイクルを回せば、標準年数をさらに上回る長期の利用が可能です。
一方で、木造や簡易鉄骨造のアパートでは、比較的短い20年前後の耐用年数となっているため、計画的な建て替えが必要不可欠です。
このように、アパートの耐用年数は構造によって大きく異なりますが、計画的な維持管理を行えば、標準年数を大幅に延ばすことができます。
次の見出しでは、具体的な耐用年数延長のコツをご紹介します。
アパートの耐用年数を延ばすコツ
アパートの耐用年数を延ばすためには、適切な維持管理が不可欠です。
定期的な建物調査、メンテナンス、そして計画的な大規模修繕を実施することが重要なポイントとなります。
理由や根拠として、国土交通省の調査によると、建物の寿命を全うするためには、定期的な点検と適切な修繕が必要不可欠とされています。
実際、2022年に行われた「マンション管理の実態に関する調査」では、管理組合のうち約6割が大規模修繕工事の実施時期を意識しているものの、具体的な修繕計画を策定している割合は2割程度に留まっています。
このように計画的な修繕が行われていないと、建物の劣化が進行し、想定耐用年数に満たずに建て替えが必要となってしまう恐れがあります。
そこで、アパートの耐用年数を延ばすためのコツとして、以下の3点が挙げられます。
- 定期的な建物調査を実施する
- メンテナンスを定期的に行う
- 計画的な大規模修繕の実施
定期的な建物調査を実施する
アパートの耐用年数を延ばすためには、定期的な建物調査を実施することが重要です。
建物は経年劣化により徐々に性能が低下していきます。
国土交通省の調査によると、建物の約6割が建設後16年以内に大規模な修繕が必要となるとされています。
しかし、この劣化の進行状況はそれぞれの建物で異なるため、専門家による定期的な調査を行い、建物の状況を正確に把握することが不可欠なのです。
定期的な建物調査を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 建物の経年劣化の早期発見が可能
- 適切な修繕タイミングを計画できる
- 大規模な修繕費用の平準化が図れる
- 二次的な損傷を未然に防げる
アパートの所有者や管理組合は、建物の状況を的確に把握するため、定期的に専門家による総合的な調査を実施する必要があります。
この建物調査は、計画的な修繕サイクルの基礎となり、アパートの長期的な資産価値の維持に不可欠なのです。
メンテナンスを定期的に行う
アパートの耐用年数を延ばすためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
建物の経年劣化は避けられないものの、適切なメンテナンスを行うことで、その進行を大幅に抑制できるからです。
国土交通省の調査によると、メンテナンス費用に年間修繕費の1%を充てることで、建物の耐用年数を約60%延長できるとされています。
実例として、築30年を超えるマンションでも、適切なメンテナンスが行われている場合には、構造躯体に大きな劣化がみられないケースが多数あります。
一方で、メンテナンスが不十分なマンションでは、10年程度で給排水管の詰まりや外壁のひび割れなどのトラブルが発生するリスクが高くなります。
具体的なメンテナンス作業としては、以下のようなものが挙げられます。
- 日常的な清掃(共用廊下、エントランスなど)
- 定期的な点検(設備機器、排水管の詰まり具合など)
- 適宜の小修繕(外壁のクラック補修、水漏れ箇所の補修など)
- 計画的な設備機器の更新(エレベーター、受水タンクなど)
メンテナンスを怠ると、二次的な損傷が発生し、最終的には大規模修繕が必要となってしまいます。
修繕費用の増大は避けられません。
アパートの所有者や管理組合は、建物の状況を把握しながら、継続的にメンテナンスを実施していく必要があります。
これにより、建物の劣化を抑え、大規模な修繕費用の平準化を図ることができ、結果としてアパートの耐用年数を大幅に延ばすことができるのです。
計画的な大規模修繕の実施
アパートの耐用年数を大幅に延ばすためには、計画的な大規模修繕を実施することが不可欠です。
アパートは建設から年数が経過するにつれ、様々な部位で劣化が進行していきます。
国土交通省の調査によると、鉄筋コンクリート造の場合、約25年を経過すると大規模な修繕が必要となってくるとされています。
この大規模修繕を怠ると、建物の安全性や居住性能が低下し、最悪の場合は使用不能に陥る恐れがあります。
一方で、未実施のマンションでは給排水管の詰まりや外壁のひび割れなど、深刻な不具合が多数確認されています。
計画的な大規模修繕を実施するメリットは以下の通りです。
- 建物の構造躯体を一括で更新し、安全性と居住性能を回復
- 長期的な修繕費用を平準化でき、将来コストを抑制可能
- 大規模修繕の遅れによる二次被害のリスクを回避できる
- 一括修繕により、分散発注に比べ工事費用を抑制可能
具体的には、20年~30年に一度を目安に以下の部位の大規模修繕を行います。
- 外壁、バルコニーなどの防水改修工事
- 給排水管、電気設備など設備系統の更新
- エントランスや共用廊下などの内装改修
このように、アパートの所有者や管理組合は、建物の状況を踏まえた上で、中長期の修繕計画を立て、適切なタイミングで大規模修繕を実施することが重要です。
これにより、老朽化を防ぎ、アパートの資産価値を維持しながら、長期的な耐用年数の確保につなげることができるのです。
税務上の法定耐用年数とは何か?
税務上の法定耐用年数は、減価償却費を計算するための期間です。 建物や構築物の法定耐用年数は、その構造や用途によって異なり、国税庁の減価償却資産の耐用年数表に記載されています。
アパートの法定耐用年数は、その構造によって異なります。 木造アパートの法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造アパートの法定耐用年数は47年です。 法定耐用年数は、減価償却費を計算するための期間であり、建物の実際の寿命とは異なります。
建物の寿命と法定耐用年数の関係性
アパートの耐用年数について考える上で、まず理解すべきなのは、建物の寿命と法定耐用年数の違いです。建物の寿命とは、実際に建物が使用可能である期間のことです。これは、建物の構造やメンテナンス状況、周辺環境などによって大きく異なります。
一方、法定耐用年数は、税務上の減価償却期間を定めたもので、建物の種類によって国が定めた年数のことです。アパートの場合、木造で22年、鉄骨造で34年、鉄筋コンクリート造で47年が法定耐用年数とされています。しかし、これはあくまでも税制上の基準であり、実際の建物の寿命とは必ずしも一致しません。実際には、適切なメンテナンスを行うことで、法定耐用年数を越えても問題なく使用可能なアパートは数多く存在します。
逆に、メンテナンスを怠った場合、法定耐用年数よりも早く老朽化が進み、建て替えが必要になるケースもあります。そのため、アパートの耐用年数を考える際には、法定耐用年数にとらわれるのではなく、建物の実際の状態やメンテナンス状況を考慮することが重要です。
耐用年数を過ぎたアパートの対処方法は?
アパートの耐用年数は、木造は22年、簡易鉄骨は27年、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造で57年とされています。 しかし、これはあくまで目安であり、実際の耐用年数は建物の状態や管理状況によって異なります。 耐用年数を過ぎたアパートは、老朽化が進み、様々な問題が発生する可能性があります。
耐用年数を過ぎたアパートの対処方法としては、建物の建て替え、大規模修繕やリフォームの実施、耐用年数超過のアパートの売却などが挙げられます。 建て替えは費用がかかりますが、耐震性や省エネ性能の高い新しい建物にすることで、長期的に安定した収益が見込めます。 大規模修繕やリフォームは、建物の寿命を延ばすことができますが、費用は高額になる場合があります。 耐用年数超過のアパートの売却は、売却価格が下落する可能性がありますが、今後の維持費やリスクを考えると、一つの選択肢となります。
これらの対処方法の中で、どの方法を選択するかは、アパートの状態やオーナーの資産状況、今後の経営方針などによって異なります。 慎重に検討し、最適な方法を選択することが重要です。
大規模修善工事でのよくある質問
ここでは大規模修繕工事でよくある質問を紹介します。工事費用や施行中の疑問をまとめました。
Q
大規模修繕で10戸のマンションではどのくらいが費用目安?
A
A: 10戸のマンションの大規模修繕の費用は、規模や建物の状態、修繕内容によって異なりますが、一般的には1000万円から1,500万円程度が目安とされています。具体的な費用は、外壁や共用部分の修繕内容、使用する材料の種類によって変動するため、詳細な見積もりを施工業者で確認しましょう
Q
マンション大規模修繕時にエアコンは使用できる?室外機はどうする?
A
大規模修繕中でも基本的にはエアコンの使用は可能ですが、外壁塗装や防水工事の際には一時的に使用を控える必要がある場合があります。室外機は、作業に支障がない限りそのまま設置された状態で保たれることが一般的です。ただし、工事の進捗によっては室外機を一時的に移動させる場合もあるため、管理組合や施工業者からの指示に従ってください。
Q
マンション大規模修繕の際のベランダの荷物やアンテナはどうすればいい?
A
大規模修繕の際には、ベランダの荷物は一時的に室内に移動させる必要があります。特に、外壁塗装や防水工事の影響を受けやすいものは、工事開始前に片付けてください。また、テレビアンテナや物干し竿も取り外しが必要になる場合がありますので、事前に管理組合や施工業者の指示に従い、適切に対応してください。
Q
大規模修繕の際に洗濯物は外に干せる?
A
大規模修繕期間中は、外壁工事や塗装の影響でベランダに洗濯物を干すことが制限されることがあります。工事用のネットやシートが張られるため、日光が遮られたり、塗料やホコリが付着する可能性があります。管理組合や施工業者からの案内に従い、洗濯物は室内で乾かすか、コインランドリーの利用を検討してください。
Q
大規模修繕の際に立ち会いや在宅が必要なことはある?
A
大規模修繕では、住戸内に立ち入る必要のある作業が発生する場合があります。例えば、配管の点検やベランダ側のサッシ工事などが該当します。その際には、居住者の立ち会いや在宅を求められることがあるため、事前に管理組合や施工業者からの連絡を確認し、予定を調整してください。それ以外の工事については基本的に在宅の必要はありませんが、作業内容によって異なるため、詳細は管理組合の案内を確認することが重要です。
この他、大規模修繕のよくある質問について知りたい方は以下の記事をご覧ください
アパートの耐用年数についてまとめ
アパートの耐用年数は、その構造によって異なります。木造は22年、簡易鉄骨は27年、鉄筋コンクリート造は51年、鉄筋鉄骨コンクリート造は57年とされています。しかし、これはあくまで目安であり、実際の耐用年数はメンテナンス状況などによって変わってきます。
耐用年数を過ぎたアパートは、金融機関からの融資が難しくなるなどの問題が生じます。そのため、耐用年数を過ぎたアパートは、建て替え、大規模修繕、売却などの対策が必要となります。
耐用年数を過ぎたアパートを売却する際には、築古物件を得意とする不動産会社に相談するのがおすすめです。築古物件を得意とする不動産会社は、耐用年数を過ぎたアパートの売却ノウハウを持っており、高値で売却できる可能性が高くなります。