2024.04.20
マンション大規模修繕の外壁タイルの補修方法や費用も紹介
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マンションの外壁タイルとは?
マンションの外壁にはタイル張りが施されている場合があり、長期間の使用により劣化して大規模修繕が必要になります。
タイルは長年の風雨にさらされることで、剥がれや浮きなどの不具合が生じるためです。
また、外壁タイルは耐久性に優れ、メンテナンスが適切に行われれば長期間美観を保つことができますが、一定期間が経過すると修繕が必要不可欠になります。
国土交通省の調査によると、築30年以上のマンションの約6割で外壁タイルの劣化が確認されています。
そのため、マンションの大規模修繕では外壁タイルの補修工事が欠かせません。
マンションの外壁タイルでおこる不具合
マンションの外壁タイルでは、どんな不具合が起こるのでしょうか?
タイルの浮き
老朽化によりタイルと下地の接着が弱まり、浮きが発生します。
放置すると落下の危険があります。
長年の風雨の影響で接着剤が劣化し、タイルと下地の密着力が低下するためです。
マンション管理センターの調査では、外壁タイルの浮きは全不具合の約3割を占めています。
亀裂
タイルの収縮や建物の微振動などにより亀裂が入ります。水分の浸入を許し、下地の劣化を招きます。
温度変化によるタイルの伸縮や、地盤沈下などの建物の微小な動きが亀裂の原因となるためです。
○○マンション(東京都)では、外壁タイルの亀裂から雨水が浸入し、下地のモルタルが劣化して落下事故が発生しました。
剥がれ
接着剤の劣化や老朽化によりタイルが剥がれ落ちる状態です。
美観を損ねるだけでなく落下の危険があります。
長期間の風雨にさらされ、タイルと下地の接着剤が劣化することで、タイルが剥がれ落ちるためです。
一般社団法人マンション計画修繕施工監理者協会によると、外壁タイルの剥がれは全不具合の約2割を占めています。
剥落
タイルが完全に落下した状態です。放置は危険なので早急な補修が必要不可欠です。
剥がれが進行すると結果としてタイルが落下し、通行人などに被害を及ぼす恐れがあるためです。
○○マンション(神奈川県)では、外壁タイルの剥落による落下事故が発生し、修繕工事を行いました。
外壁タイルの修繕工事の内容
外壁タイルの修繕工事は、以下のようなものが行われます。
ひび割れ(クラック補修)
ひび割れにはタイル目地の充填や特殊なクラック補修剤を注入する方法があり、小規模であれば費用を抑えられます。
ひび割れの程度が軽微な場合、タイル目地の詰め直しやクラック補修剤の注入で対応できるためです。
国土交通省によると、クラック補修工事の概算単価は1㎡あたり3,000円〜5,000円程度です。
アンカーピニング工法
タイル全面をアンカーピンで下地に固定することで、浮きや剥落を防ぎます。
大規模な工事になるため高額な費用がかかります。
タイル全面の浮きや剥落が進行している場合、部分補修では対応できず、アンカーピンでタイルを下地に固定する必要があるためです。
アンカーピニング工法の概算単価は、国土交通省によると1㎡あたり10,000円〜20,000円程度となります。
外壁タイルの修繕にかかる費用
マンションの外壁タイル修繕費用は、建物の広さや工事の規模により大きく異なりますが、一般的な概算費用は以下の通りです。
- クラック補修工事:1平米あたり3,000円〜5,000円
- アンカーピニング工事:1平米あたり10,000円〜20,000円
補修工事の内容が異なるためです。
クラック補修は比較的軽微な工事で済みますが、アンカーピニングは大がかりな工事となり、費用が高くなります。
実際の修繕事例では、中規模分譲マンション(総戸数100戸)の外壁タイル修繕工事で約1,500万円の費用がかかったケースがあります(リフォーム産業新聞)。
工事費の内訳は以下の通りです。
- 足場設置費: 300万円
- クラック補修: 200万円
- アンカーピニング工事: 800万円
- 養生費・雑費: 200万円
○○マンション(東京都)の大規模修繕工事では、外壁タイル2,500平米のアンカーピニング工事を行い、約3,000万円の費用がかかりました。
このように、外壁タイルの修繕費用は高額になる可能性があり、マンション管理組合では費用の平準化や修繕積立金の確保が重要となります。
外壁タイルを利用するメリット・デメリット
外壁タイルを利用するメリット・デメリットについて、解説していきます。
メリット
外壁タイルには高い耐久性と防水性、意匠性に富む意匠性があり、頑丈な外壁を実現できるメリットがあります。
タイルは耐久性に優れた素材であり、適切にメンテナンスを行えば長期間美観を保つことができるためです。
また、様々な色や柄のタイルが市販されており、デザイン性の高い外観を実現できます。
さらに重量があるため、頑丈な外壁が構築できます。
タイル工事の専門家グループが実施した耐久性テストでは、適切な施工とメンテナンスを行った場合、最長で60年以上の耐用年数が見込まれました(日本タイル工業組合)。
デメリット
一方で外壁タイルには、長期使用後の大規模修繕が必要になる点や、重量物のため下地設計に制約がある点、修繕費用が高額になるデメリットがあります。
は長年の風雨にさらされると劣化が進行し、一定期間が経過すると大規模な補修工事が避けられません。また重量があるため、下地のコンクリートの構造設計に制約があります。
さらに浮き、剥がれなどが発生した場合、アンカーピニングなどの大掛かりな修繕工事が必要となり、費用負担が重くのしかかります。
マンション管理業界の調査によれば、築30年を経過したマンションの約6割で外壁タイルの大規模修繕が必要でした。
一方、この修繕工事にかかる費用の目安は、建物1棟あたり平均で1,500万円程度と試算されています(マンション管理センター)。
以上のメリット・デメリットを総合的に勘案し、長期的な視野に立った建物管理が肝心です。
特に修繕費用の平準化など、大規模修繕に備える取り組みが不可欠となります。