大規模修繕で確認申請は必要?判断基準と手続きの流れを解説
2025/12/24
マンションの大規模修繕を控えた管理組合の理事や修繕委員の方は、「この工事で確認申請は必要なのか」と悩まれている方も多いと思います。
外壁塗装や防水工事といった一般的な修繕であれば心配ありませんが、エレベーター工事や耐震補強を検討している場合は注意が必要です。
実は、多くの大規模修繕では確認申請は不要ですが、一部の工事では法律で義務付けられており、怠ると罰則の対象となってしまいます。
本記事では、確認申請が必要になる判断基準、具体的な工事例、手続きの流れと費用、そして失敗しないための注意点まで、管理組合が知っておくべき実務知識を分かりやすく解説します。
この記事を読めば、ご自身のマンションで確認申請が必要かどうかを正しく判断でき、適切な対応ができるようになります。
目次
マンション大規模修繕では確認申請は不要!基本的な条件を解説
確認申請について多くの管理組合が不安を感じていますが、まずは結論から理解しましょう。
大規模修繕の大半は確認申請不要ですが、特定の工事では法律で義務付けられています。
ここでは、確認申請が必要になる基本的な条件と、申請を怠った場合のリスクについて解説します。
- 外壁塗装
- 屋上防水
- バルコニー防水
- 廊下やエントランスの改修
- 仕上げ材の改修(表面的な修繕)
特に1回目の大規模修繕(築12~15年程度)で行われる工事内容であれば、確認申請が必要になるケースはほとんどありません。
通常の修繕工事は建物の表面的な部分の改修にとどまり、建物の構造に関わる「主要構造部」の大規模な改修には該当しないためです。
確認申請が必要になるケースと条件
ただし、すべての大規模修繕で確認申請が不要というわけではありません。以下の条件に該当する場合は、確認申請が必要です。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 対象建築物 | 床面積が200㎡を超えるマンション(建築基準法上の「特殊建築物」) |
| 工事内容 | 主要構造部の過半にわたる修繕または模様替え |
| 主要構造部とは | 壁、柱、床、はり、屋根、階段 |
| 「過半」の判断基準 | 各部位の総面積または総本数の50%を超える範囲の修繕・改修 |
大規模修繕の建築基準法の詳細については、「」の記事で詳しく解説しています。
また、大規模修繕と法律の基礎知識を深めたい方はこちらの記事をぜひ、ご参照ください。
確認申請を怠ると法律違反になる
確認申請が必要な工事であるにもかかわらず、申請せずに工事を進めてしまった場合、建築基準法違反となります。
- 罰せられるのは工事会社ではなく、施主である管理組合
- 1年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
「知らなかった」「工事会社に任せていた」という理由は通用しません。
確認申請は建物の所有者(マンションの場合は管理組合)に課せられた法的義務ですので、工事内容を正しく理解し、必要な手続きを確実に行う責任があります。
確認申請における「主要構造部の過半修繕」とは?判断基準を理解しよう
確認申請の要否を判断する上で最も重要なのが「主要構造部の過半修繕」という概念です。
この専門的な用語を正しく理解することで、自分たちの工事が確認申請の対象かどうかを判断できるようになります。
建築基準法第2条第5号では、主要構造部を「壁、柱、床、はり、屋根、階段」と定義しています。これらは建物の構造上重要な部分であり、建物の安全性を支える骨格となる部位です。
一方で、間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、ひさし、局部的な小階段、屋外階段などは主要構造部から除外されています。
「過半」の判断基準は部位ごとに異なります。以下の表で確認しましょう。
| 部位 | 過半の判断基準 |
|---|---|
| 壁 | 修繕する壁の総面積が、建物全体の壁の総面積の50%を超えるかどうか |
| 柱 | 修繕する柱の本数が、建物全体の柱の総本数の50%を超えるかどうか |
| 床・屋根 | 修繕する部分の水平投影面積が、全体の水平投影面積の50%を超えるかどうか |
| 階段 | 各階ごとに、修繕する階段の数が、その階の階段総数の50%を超えるかどうか |
重要なのは、これらの部位のうち一種以上について過半に達すれば確認申請が必要になるということです。例えば、柱は30%しか修繕しなくても、屋根を60%改修すれば確認申請の対象となります。
また、多くのマンション管理組合が疑問に思うのが、「外壁全面を塗装するのに、なぜ確認申請が不要なのか」という点です。
これは、外壁塗装が主要構造部である「壁」そのものの改修ではなく、壁の表面にある仕上げ材のみを改修する工事だからです。
同様に、屋根の防水工事も、防水層や屋根ふき材といった仕上げ材のみを扱う工事であるため、主要構造部の修繕には該当しません。
国土交通省は2025年の建築基準法改正に伴い、外装材のみの改修や既存の外壁に新しい仕上材をかぶせる工法は大規模の修繕には該当しないと明確化しています。
確認申請が必要な大規模修繕工事の具体例
どのような工事で確認申請が必要になるのか、具体的なケースを知ることが重要です。
一般的な外壁塗装や防水工事では不要ですが、エレベーター関連工事、耐震補強工事、増築工事、立体駐車場の設置など、特定の工事では法律で確認申請が義務付けられています。
ここでは、マンションの大規模修繕で実際に確認申請が必要となる代表的な工事を解説し、それぞれの注意点や判断基準を詳しく説明します。
代表的な確認申請が必要な工事一覧
| 工事種類 | 具体例 | 確認申請の要否 |
|---|---|---|
| エレベーター関連工事 | 全面改修、リニューアル、新設、増設、主要機器の交換 | 必要 |
| 耐震補強工事 | 柱・梁の補強、壁の増設、構造部材の改修 | 必要 |
| 増築工事 | バルコニーの屋内化、集会室の新設、居室の拡張 | 必要 |
| 立体駐車場 | 機械式駐車場の新設、増設、大規模改修 | 必要 |
| 一般的な修繕工事 | 外壁塗装、屋上防水、廊下改修、仕上げ材の修繕 | 不要 |
確認申請が必要な工事1.エレベーター関連
マンションの大規模修繕で最も多い確認申請が必要なケースが、エレベーター関連工事です。
- エレベーターの全面改修・リニューアル工事
- 主要機器の部分的な取り替え(巻上機、制御盤など)
- エレベーターの新設・増設(バリアフリー化含む)
- 昇降路の改修や安全装置の交換
エレベーターは居住者の安全に直結する設備であり、建築基準法で厳格な基準が設けられています。
工事の規模にかかわらず、判断に迷った場合は必ず専門家や建築主事に事前相談することをおすすめします。
- 確認申請期間(3~4ヶ月)を工程に織り込む
- 申請費用を修繕積立金に計上する
- 申請実績が豊富な業者を選定する
確認申請が必要な工事2.耐震補強工事を実施する場合
2回目や3回目の大規模修繕で検討されることが多い耐震補強工事も、確認申請が必要となる代表的な工事です。
確認申請が必要な耐震補強工事
| 工事内容 | 確認申請の理由 |
|---|---|
| 柱・梁の補強(主要構造部の過半) | 建物の構造的な安全性に直接影響 |
| 耐震壁の増設 | 構造計算書の提出が必要 |
| 既存壁の補強 | 主要構造部の改修に該当 |
1981年以前に建てられた旧耐震基準のマンションでは、耐震診断の結果に基づいて大規模な耐震補強が必要となるケースがあります。
このような場合、工事内容が複雑になり、構造計算書の提出も求められるため、確認申請の準備に時間がかかります。
- 耐震診断の結果に基づいて大規模な耐震補強が必要
- 工事内容が複雑になり、構造計算書の提出も求められる
- 十分な準備期間(6ヶ月以上)を確保することが重要
確認申請が必要な工事3.増築・面積拡充を伴う工事
建物の床面積を増やす工事は、規模の大小にかかわらず確認申請が必要です。
確認申請が必要な増築工事の具体例
| 工事内容 | 詳細 |
|---|---|
| バルコニーの屋内化 | バルコニーを居室に変更(床面積増) |
| 共用スペースの新設 | 集会室、管理室、トランクルームなどの追加 |
| 既存スペースの居室化 | 空きスペースを住戸や店舗に変更 |
- 既存建物との構造的な整合性
- 防火上の基準への適合
- 容積率・建ぺい率などの法令遵守
- 増築後の建物全体が現行の建築基準法に適合
増築後の建物全体が現行の建築基準法に適合している必要があるため、既存不適格のマンションでは特に慎重な検討が求められます。
確認申請が必要な工事4.立体駐車場の設置・増設
機械式駐車場(立体駐車場)の新規設置や既存駐車場の増設工事も、確認申請が必要な工事に該当します。
確認申請が必要な理由
| 理由 | 詳細 |
|---|---|
| 昇降機としての扱い | 立体駐車場は昇降機の一種として建築基準法で厳格な基準が定められている |
| 安全性確保 | 居住者や来訪者が日常的に使用する設備であるため、基準への適合確認が必須 |
- 確認申請の手続きと期間を事前に把握
- 申請費用を修繕積立金に計上
- 工期に3~4ヶ月の余裕を持たせる
- 立体駐車場の施工実績が豊富な業者を選定
工事内容が確認申請の対象かどうか判断に迷った場合は、必ず建築士や行政の建築主事に事前相談しましょう。自己判断での着工は法律違反となるリスクがあります。
確認申請の手続きの流れ【8つのステップ】
確認申請の手続きは、着工前と工事完了後の2段階で審査が行われます。全体の流れを理解しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
ここでは、工事計画の立案から検査済証の交付まで、8つのステップに分けて詳しく解説します。特に、確認済証がないと工事を始められないという重要なポイントも押さえておきましょう。
- STEP
工事計画の立案
どのような工事を行うのか、使用する材料や工法、工期などを含めた詳細な計画を立案します。この段階で、確認申請が必要かどうかを判断し、必要な場合は申請スケジュールを工程に組み込みます。
- STEP
建築確認申請書類の作成・提出
設計図書、工事計画書、敷地図、構造関係書類など、必要な書類一式を準備し、確認申請書とともに提出します。書類作成は専門的な知識が必要なため、通常は設計事務所や施工会社が代行します。
- STEP
着工前の書類審査
設計図書、工事計画書、敷地図、構造関係書類など、必要な書類一式を準備し、確認申請書とともに提出します。書類作成は専門的な知識が必要なため、通常は設計事務所や施工会社が代行します。
- STEP
建築確認済証の交付
審査の結果、建築基準法等に適合していることが確認されると、「建築確認済証」が交付されます。この確認済証が交付されるまでは工事を開始することができません。確認済証の交付をもって、初めて工事着工が可能となります。
- STEP
工事の開始
建築確認済証の交付を受けてから、工事に着手します。工事中は、申請内容どおりに工事が進められているかを確認しながら進めます。
- STEP
工事の終了
計画どおりに工事が完了したら、完了検査の準備に入ります。
- STEP
完了検査の申請・実施
工事完了後、完了検査の申請を行います。検査では、申請書類の内容に基づいて工事が実施されたかを、検査員が現地で確認します。書類審査と現地での実地検査の両方が行われ、申請内容との整合性が厳密にチェックされます。
- STEP
検査済証の交付
完了検査で問題がなければ、「検査済証」が交付されます。この検査済証の交付をもって、確認申請に関する一連の手続きが完了します。検査済証は建物の適法性を証明する重要な書類ですので、大切に保管してください。
申請先は「特定行政庁」または「民間検査機関」
建築確認申請は、特定行政庁(自治体の建築主事部局)または指定確認検査機関(民間の検査機関)のいずれかに提出することができます。
| 項目 | 特定行政庁(自治体) | 民間検査機関 |
|---|---|---|
| 費用 | 比較的安価 | 自治体よりも高額 |
| 審査期間 | 時間がかかる傾向 | 比較的短い |
| 対応の柔軟性 | 対応可能な件数に限りがあり、繁忙期には受付制限されることもある | 対応が柔軟で、専門的なサポートが期待できる |
| 選択肢 | 管轄の自治体のみ | 複数の機関から選択可能、対応エリアも広い |
| 適している場合 | 費用を抑えたい、工期に余裕がある | スケジュールに余裕がない、専門的なサポートを求める |
どちらを選んでも審査の内容に違いはありません。費用、期間、対応エリア、実績などを総合的に判断して選択すると良いでしょう。
実績豊富な施工会社であれば、過去の経験から最適な申請先を推奨してくれることが多いです。
確認申請に必要な書類と準備のポイント
マンションの大規模修繕で確認申請をスムーズに進めるためには、必要な書類を正確に準備することが重要です。
書類に不備があると審査が遅れ、工期全体に影響を及ぼすため、事前の準備が欠かせません。
確認申請では、以下のような書類の提出が必要です。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 確認申請書 | 所定の様式に工事概要、建築主情報などを記入 |
| 設計図書 | 平面図、立面図、断面図、矩計図、設備図など |
| 工事計画書 | 使用材料、施工方法、工程などの詳細 |
| 敷地図 | 建物の位置、敷地境界線、道路との関係など |
| 構造関係書類 | 耐震補強工事の場合は構造計算書など |
| 委任状 | 設計事務所や施工会社が代理申請する場合 |
これらの書類は建築基準法に準拠した正確な内容が求められ、誤りや不備があると審査遅延や補正要求につながるため、専門家による確認が不可欠です。
確認申請は法律上、管理組合に課せられた義務ですが、実務的には専門的な知識と経験が必要なため、設計事務所や施工会社などの専門家が代理人として申請を行うのが一般的です。
大規模修繕工事の契約時には、以下の点を明確にしておくことが重要です。
- 確認申請業務を誰が担当するのか(施工会社、設計事務所、管理会社など)
- 申請費用はどのように負担するのか(修繕積立金からの支出など)
- 確認申請の手続きがスケジュールにどの程度影響するか(3~4ヶ月程度の期間を確保)
確認申請の審査をスムーズに進めるためには、事前相談の活用が効果的です。多くの自治体や民間検査機関では、正式な申請前に図面や書類の内容について相談できる窓口を設けています。
特に初めて確認申請を行う場合、既存不適格物件の場合、複雑な工事内容の場合などは、事前相談を積極的に活用することで、必要な図書の確認や審査上の留意点を事前に把握でき、工期への影響を最小限に抑えることができます。
大規模修繕で確認申請が必要になった場合にかかる期間と費用相場
マンションの大規模修繕で確認申請が必要になった場合、手続きには一定の期間と費用がかかります。
工事計画を立てる際は、これらを正確に把握し、スケジュールと予算に織り込んでおくことが重要です。
ここでは、審査にかかる期間の目安、床面積別の申請費用の相場、そして修繕積立金からの支出方法について詳しく解説します。
審査期間の目安は最長35日~70日
建築確認申請の審査期間は、法律で上限が定められています。
国土交通省の基準によれば、通常の確認申請の場合、審査期間は最長35日以内とされています。
ただし、建築物省エネ法に基づく適合性判定が必要な場合は、さらに最長35日が追加され、合計で最長70日が必要となります。
これはあくまで「最長期間」であり、実際にはもっと短期間で審査が完了することも多いです。
しかし、書類に不備があった場合の補正対応や指摘事項へのやり取りなどで、さらに時間がかかる可能性もあります。
そのため、工事スケジュールを組む際は、申請から確認済証の交付までに3~4ヶ月程度の余裕を見ておくのが安全です。
| 申請の種類 | 審査期間 | 推奨スケジュール |
|---|---|---|
| 通常の確認申請 | 最長35日 | 3~4ヶ月程度の余裕を確保 |
| 省エネ適合性判定が必要な場合 | 最長70日 | 4~5ヶ月程度の余裕を確保 |
申請費用の相場|床面積別
確認申請にかかる費用は、建物の床面積によって異なります。以下は東京都の例です。
| 床面積の合計 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 200㎡を超え500㎡以内のもの | 約19,000円 | 小規模マンション |
| 500㎡を超え1,000㎡以内のもの | 約35,000円 | 中規模マンション |
| 1,000㎡を超え2,000㎡以内のもの | 約49,000円 | 大規模マンション |
| 2,000㎡を超え10,000㎡以内のもの | 約146,000円 | 大型マンション |
| 10,000㎡を超え50,000㎡以内のもの | 約249,000円 | 超大型マンション |
※建築確認申請1回あたりの費用。中間検査・完了検査は別途必要。民間検査機関はより高額になる傾向があります。
費用は修繕積立金から支出可能
確認申請の費用は、建物の維持管理に必要な法定手続きの費用として、修繕積立金から支出することができます。
大規模修繕工事の見積書には、確認申請費用が工事費の一部として計上されるのが一般的です。
ただし、マンション大規模修繕工事全体の費用から見れば、確認申請の費用が占める割合は非常に小さいものです。
数千万円規模の工事に対して、申請費用は数万円~数十万円程度であり、建物の適法性と安全性を担保するための必要経費と考えるべきでしょう。
大規模修繕の費用相場について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
確認申請で失敗しないための注意点とトラブル対策
マンションの大規模修繕で確認申請の手続きを誤ると、工期の遅延や追加費用の発生、最悪の場合は建築基準法違反となってしまいます。
特に確認申請が必要な工事では、手続きの遅れや不備がトラブルの原因となります。
ここでは、管理組合が特に注意すべきポイントと、よくあるトラブル事例、そしてその対策について、実務的な視点から詳しく解説します。
マンションの大規模修繕工事では、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
| トラブル事例 | 詳細 |
|---|---|
| 確認申請の提出漏れによる工事中断 | 確認申請が必要な工事であることに気づかず着工してしまい、行政指導を受けて工事が中断されるケース |
| 申請後の計画変更 | 建築確認済証の交付後に工事内容を変更し、計画変更申請が必要となり工期が延長されるケース |
| 既存不適格への対応 | 確認申請時に既存不適格が発覚し、是正工事が必要となり費用が膨らむケース |
| 完了検査の未実施 | 完了検査を受けずに工事を終了させ、建築基準法違反となるケース |
| 書類不備による審査遅延 | 提出書類に不備があり、補正対応に時間がかかり工期に影響するケース |
トラブルを防ぐための5つの対策について解説していきます。
対策1.申請が必要かどうか自己判断しない
確認申請が必要かどうかの判断で最も多い失敗が、管理組合や施工会社が独自に「不要」と判断してしまうケースです。特に「主要構造部の過半修繕」の解釈については、行政によって判断が異なる場合があります。
計画段階で必ず建築主事(特定行政庁の担当部署)または専門家に相談し、確認申請の要否について公式な見解を得ておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
対策2.確認申請前に工事内容を十分に精査する
確認申請を提出し、建築確認済証の交付を受けた後は、原則として工事内容の変更はできません。もし計画変更が必要になった場合は、再度審査を受けなければならず、工期の延長とコストの増加につながります。
事前の建物診断を丁寧に行い、劣化状況を正確に把握した上で、計画の精度を高めてから申請することが重要です。
対策3.既存不適格マンションは早期に専門家に相談
既存不適格物件とは、建築時には建築基準法に適合していたものの、その後の法改正によって現行法に適合しなくなった建物のことです。
マンションの大規模修繕で確認申請を行う際に、不適格状態の是正を求められる場合があるため、早い段階で建築主事や専門家に相談し、必要な対応を確認しておくことが重要です。
対策4.完了検査は必ず受ける
工事が完了したら、完了検査を必ず受けて、検査済証の交付を受けることが建築基準法で義務付けられています。完了検査を受けずに工事を終了させてしまうと、それだけで法律違反となります。
検査済証は、建物が建築基準法に適合していることを証明する重要な書類ですので、交付を受けたら大切に保管してください。
対策5.工期に余裕を持たせる
確認申請が必要なマンションの大規模修繕工事では、申請から確認済証の交付までに3~4ヶ月程度の余裕を見ておくことが必要です。
これらの期間を考慮せずに工期を設定してしまうと、居住者への影響が長期化したり、想定外のコスト増加につながったりします。確認申請の期間も含めた綿密なスケジュール管理が重要です。
マンション大規模修繕でよくあるトラブルについて、もっと知りたい方は「マンション大規模修繕のトラブル事例と原因|よくある失敗と回避策を徹底解説」もぜひチェックしてみてください。
よくある質問(FAQ)
確認申請に関して、管理組合の方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
外壁塗装やエレベーター工事の判断基準、申請を怠った場合の影響、申請にかかる期間、そして申請先の選び方など、実務で疑問に感じやすいポイントについて、分かりやすく解説します。
Q
マンションの大規模修繕は何年ごとに実施すべきですか?
A
一般的には12〜15年ごとに実施されます。国土交通省のガイドラインでも、長期修繕計画に基づいた定期的な修繕が推奨されています。
ただし、建物の劣化状況や立地条件、気候などにより最適な周期は異なるため、専門家による定期診断を受けて判断することが重要です。確認申請が必要な工事が含まれる場合は、早めの計画立案が必要です。
大規模修繕の周期について知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
大規模修繕工事における国土交通省のガイドラインについて詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しているので参照ください。
Q
2025年4月以降リフォームには申請が必要になる?
A
2025年4月の建築基準法改正により、木造戸建住宅の大規模修繕で確認申請が必要なケースが増えます。ただし、マンションへの影響は限定的で、従来どおりの基準が適用されます。
Q
大規模修繕を怠るとマンションの寿命に影響しますか?
A
はい、大きく影響します。適切な周期で大規模修繕を実施しないと、外壁や防水層の劣化が進行し、建物の構造体にまでダメージが及びます。
その結果、マンションの寿命が短くなるだけでなく、資産価値も大幅に低下します。
確認申請が必要な耐震補強工事などは、建物の安全性を保ち、長寿命化を実現するために特に重要です。
Q
改修工事で確認申請が必要な面積は?
A
面積だけでは判断できません。床面積200㎡超のマンションで、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)の過半にわたる修繕を行う場合に確認申請が必要です。各部位の総面積や総本数の50%を超えるかが判断基準となります。
Q
大規模修繕工事の業者はどう選べばよいですか?
A
複数の業者から見積もりを取り、実績や評判を確認することが重要です。インターネット上の大規模修繕工事業者ランキングも参考になりますが、管理組合の規模や工事内容に合った業者を選定しましょう。
確認申請が必要な工事では、申請実績が豊富な業者を選ぶと安心です。
大規模修繕における確認申請について|まとめ
マンションの大規模修繕における確認申請について、重要なポイントを解説してきました。
多くの管理組合が不安に感じる確認申請ですが、実は一般的な外壁塗装や防水工事では不要です。
しかし、エレベーター工事や耐震補強工事など、特定の工事では法律で義務付けられており、申請を怠ると罰則の対象となります。
この記事のポイントを以下にまとめました。
- 多くの大規模修繕では確認申請は不要
- エレベーター工事は確認申請が必須
- 主要構造部の過半修繕が判断基準
- 申請を怠ると1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 申請手続きには3~4ヶ月程度の期間が必要
- 確認申請後の計画変更は原則不可
- 既存不適格物件は特別な対応が必要
- 判断に迷ったら必ず専門家に相談する
確認申請が必要かどうかの判断基準は、建築基準法で明確に定められていますが、「主要構造部の過半修繕」という概念は専門的で分かりにくい面もあります。
最も重要なのは、自己判断せず、計画段階で建築主事や専門家に相談することです。
確認申請は、建物の安全性と適法性を守るための重要な制度です。
必要な工事で適切に対応することで、居住者の安全を確保し、マンションの資産価値を維持することができます。
大規模修繕を計画する際は、本記事の内容を参考に、早めの準備と専門家との連携を心がけましょう。