2024.02.27
ウレタン防水にトップコートは必要?防水工事の塗り替え時期や種類ごとの単価を解説
防水工事の工法として知られるウレタン防水は、耐久性を高めるためにトップコートの塗装が必要です。特に紫外線による劣化を防ぎ、防水層を長持ちさせる効果があり、遮熱性能も期待できます。フッ素系やウレタントップコートなど、塗料の種類によって単価や耐用年数が異なるため、適切な選択が重要となります。
そこで本記事では、防水のためのトップコートとは何か、塗り替え時期の目安から種類別の特徴、劣化の兆候まで、トップコートに関する重要なポイントを詳しく解説します。
ウレタン防水とは?防水について解説
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を使用する工法です。
防水工事でよく使われる工法で、液状の材料を使用するため継ぎ目はなく、凹凸がある場所でも施工できます。
また、軽量なため建物への負荷が少ない点も特徴です。
コスト面でも、FRP防水やシート防水に比べて安価に施工できます。
一方、FRP防水に比べ、塗料の乾燥・硬化に時間がかかることがデメリットです。
ウレタン防水にトップコートが必要な理由
そもそもウレタン防水にトップコートが必要なのか、どのような役割があるのか疑問を抱く方もいるでしょう。
ウレタン防水のトップコートには、外部刺激からの保護、滑り止めなどの役割があります。
ここでは、トップコートが必要な理由を詳しく解説します。
ウレタン防水にトップコートが必要な理由|紫外線から保護
ビルの屋上やバルコニーは紫外線を多く浴びるため、最もダメージが大きく、防水層の劣化も早いです。
そのため、トップコートを塗ることで、防水層の上に保護膜を作り、紫外線の影響を受けにくくします。
トップコートは、防水層を長持ちさせるためにも必要なのです。
ウレタン防水にトップコートが必要な理由|遮熱効果
日差しが強い部分は、建物の内部に温度が伝わり、室温が上昇します。
トップコートを塗ることで太陽光を反射させ、建物内部へ熱が伝わることを防ぎます。
夏場はエアコンなどの冷房器具の使用を抑えることができ、省エネにつながるでしょう。
ウレタン防水にトップコートが必要な理由|汚れの付着を防ぐ
トップコートを塗ることで、表面のべたつきを抑え、汚れを落としやすくします。
ウレタン防水の場合、トップコートを塗らないと表面がベタつき、汚れが付着しやすく、不衛生になります。
ベランダや屋上にはゴミが溜まりやすいため、表面をきれいに保つためにもトップコートが必要です。
ウレタン防水にトップコートが必要な理由|滑り止め
屋外で雨が降った場合、滑って転倒する危険性があります。
トップコートだけでは表面が滑りやすくなりますが、滑り止めチップを入れることで改善が可能です。
平滑な表面に小さなチップを入れることで、表面に凹凸ができ、滑りにくくなります。
怪我防止のために、滑り止めチップを入れたトップコートを取り入れるとよいでしょう。
ウレタン防水に使うトップコートの種類
ウレタン防水のトップコートには、大きく分けてアクリルウレタン系とフッ素系があります。それぞれの特徴w確認しておきましょう。
ウレタン防水に使うトップコートの種類|アクリルウレタン系
アクリルウレタン系トップコートが一般的です。
耐用年数は3~5年と短いですが、コストは1,000円~1,300円/㎡程度と安い傾向があります。
ウレタン防水に使うトップコートの種類|フッ素系
フッ素系トップコートはアクリルウレタン系トップコートより強度があり、防水層をしっかり保護できることが特徴です。
価格は2,000円/㎡程度と高めですが、耐用年数は10年程度といわれており、メンテナンス期間が長いのは大きなメリットだといえるでしょう。
ウレタン防水のトップコートの劣化現象
トップコートの主な劣化現象として、次の3つが挙げられます。
- チョーキング現象
- トップコートの剥がれ
- 小さなひび割れ
防水面に指をかけたとき、指先が白くなったらチョーキングが進行しています。
白い粉の正体は、古い塗膜が粉状になったものであり、劣化症状の初期段階のため、触って確認してみましょう。
また、表面に光沢がなくなってきたら、トップコートが剝がれている可能性があります。
さらに、ひび割れ、浮き、膨れ、雑草の繁殖は防水層自体が劣化している可能性があり、トップコートを塗っただけでは補修できません。
上記のような劣化現象が発生した場合は、防水層の補修が必要です。
ウレタン防水トップコートの施工単価
トップコートの施工単価は、防水工事の種類によって異なります。
防水層 | 1㎡あたりの平均施工価格 |
ウレタン防水 | 1,500~1,850円 |
FRP防水 | 1,800~2,500円 |
ゴムシート | 900~1,500円 |
ウレタン防水トップコートの施工単価はゴムシートよりも高い傾向があります。
しかし、耐用年数や施工する面積を考慮し、専門業者と相談しながら決めましょう。
ウレタン防水トップコートを長持ちさせるコツ
トップコートの効果を長持ちさせるためには、いくつかのコツがあります。
日常生活で気をつけるべきポイントを解説します。
ドレン周辺の清掃
ドレン排出口の定期的な清掃が大切です。
ドレン排出口とは、屋上やベランダなどに設置されている雨水などを排出する部分を指します。
トップコートを長持ちさせるためには、常にきれいにしておくことが大切です。
排水口が落ち葉や砂などで詰まっていると、水がうまく排水されず、トップコートに水が溜まってしまうことがあります。
汚水が溜まると劣化が早まり、水漏れのリスクも上がるため、まずは日頃から清掃を意識して清潔な状態を保ちましょう。
トップコートの状態をチェック
トップコートを長持ちさせるためには、小さな劣化症状にも敏感になることが大切です。
例えば、トップコートに剝がれやひび割れは、症状があれば、専門業者ではなくても自分で目視チェックができます。
問題が軽微であれば、簡単な補修で十分かもしれません。
しかし、症状が悪化すると漏水につながり、工事が大がかりになることもあります。
そのため、日頃から異常がないか注意しておくことが大切です。
自身で判断できない場合は、専門業者に相談し、チェックしてもらうことをおすすめします。
トップコートの塗り替え
ウレタン防水層自体の耐用年数は、定期的なメンテナンスを前提にした場合で約10年です。
しかし、ウレタン防水層は、紫外線に弱いことが特徴です。
そのため、防水層を保護するために3~5年ごとにトップコートを塗り替える必要があります。
ただし、フッ素系トップコートは性能が高く、耐用年数が10年程度になることも珍しくありません。
防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
ウレタン防水トップコートまとめ
ウレタン防水トップコートの必要性や、長持ちさせるためのコツを解説しました。
まとめると、
- トップコートは紫外線から防水層を守る
- 遮熱効果で省エネも期待できる
- トップコートの劣化現象を見逃さない
また、ウレタン防水トップコートの劣化が進んでいると感じたら、日頃のメンテナンスにも注意が必要です。
ウレタン防水工事や、トップコートのメンテナンスで分からないことがある場合は、防水工事業者に相談しましょう。