水張り試験とは?防水工事におけるメリットや注意点などを解説
2024/04/17
防水工事の品質を確認する重要な工程として、水張り試験と呼ばれるものが実施されます。排水口を塞いで24時間ほど水を張り、水位の変化を確認することで漏水の有無を判断できます。特に浴室やキッチンなどの室内防水工事や、新築マンションのベランダで実施されることが多く、工事の信頼性を高める手段として注目されています。
本記事では、水張り試験の具体的な方法から実施が推奨される場所、さらに建物への影響まで、工事の成否を左右する重要なポイントを詳しく解説します。
目次
水張り試験とは?
水張り試験とは、防水工事後に実施する、漏水がないかどうか確かめるための試験のことです。
排水口を塞いで水を張ることで漏水箇所がないかを確認する試験で、張った水の水位をチェックすることで漏水が生じていないかが確認できます。
試験の結果張った水の水位が下がっていれば、漏水箇所があることがわかるため、防水工事のやり直しが必要になります。
水張り試験の方法
水張り試験は、以下のような手順で行われます。
- 排水口に詰め物をしたり、養生などをして水の流れを止める
- 水を張って一定時間おく(24時間ほど)
- 水位を計測する
排水口を塞ぎ水の流れを止めてから水を張ることで、老衰の有無を確認することができます。
水を張ってからは24時間ほどおくことが一般的です。
排水口の詰め物には、風船やゴムボールなど、排水口の中で膨らむような道具が用いられることが多いです。
水を張って24時間ほどが経過したら、水位を計測します。
水位が変わっていなければ漏水がないと判断できるため、防水工事は完了となります。
水張り試験は仕組みも手順もとてもシンプルですが、漏水の有無を確認するための非常に有効な試験です。
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水張り試験のメリットと注意点
水張り試験は漏水の有無を確かめるうえで非常に有効な手段ですが、メリットだけでなく注意点もあります。ここでは、実施による安心材料と、事前に知っておくべきリスクについて整理しておきましょう。
防水工事の施工ミスを早期に発見できる
水張り試験の最大のメリットは、防水工事に不備があった場合に早期発見できる点です。防水層の施工にムラや欠損があると、見た目ではわからなくても、実際には水が浸入してしまうことがあります。
施工完了後に水を張って、24時間後の水位を計測することで漏水の有無を可視化できるため、工事の完成度を客観的に判断できます。特に、新築やリフォーム直後の重要な工事においては、トラブルの未然防止という意味でも有効です。
万が一、試験で漏水が確認されても引き渡し前であればすぐに補修ができ、住み始めてからの重大トラブルを防げるという大きなメリットがあります。
施工業者との信頼関係を築く指標になる
水張り試験は、施工業者の誠実さや技術力を判断するためのひとつの材料にもなります。
業者側から積極的に「水張り試験を実施しましょう」と提案される場合、品質管理に対する意識が高い業者である可能性が高く、信頼できる傾向があります。反対に、水張り試験の提案がなく、こちらから依頼しても曖昧な返答をされた場合は、工事の品質や経験に不安が残ることも。
また、水張り試験の結果をしっかり記録し、報告書を提出してくれるかどうかも信頼性の指標になります。顧客に対して透明性のある対応をしてくれる業者は、長期的なメンテナンスでも頼りになる存在といえるでしょう。
水張り試験による構造材への影響リスク
水張り試験は簡単で有効な試験方法ではありますが、建物への影響にも配慮が必要です。とくに、施工直後の防水層が十分に乾燥していない段階で試験を実施すると、意図せず構造体に水分がしみ込むリスクがあるため注意が必要です。
また、木造住宅などで構造材が吸湿しやすい箇所に対して水張り試験を行った場合、微量な浸水でも結露や腐食の原因になることがあります。
さらに、水張り試験を行う場所によっては水圧や重量による負担が発生するケースもあるため、専門的な判断のもとで実施することが重要です。施工後の乾燥時間や建物の構造に応じて、適切なタイミングと方法で行うことが成功のカギとなります。
水張り試験を実施しないケースとは?
すべての防水工事で水張り試験が実施されるわけではありません。では、どのようなケースで省略されることがあるのでしょうか?現場環境や建物の条件によって、判断が分かれるポイントを解説します。
既存住宅でのベランダや屋根防水補修
築年数が経過した住宅のベランダや屋根の防水補修工事では、水張り試験が行われないケースが多く見られます。これは、既存の防水層やサッシまわり、開口部の経年劣化による隙間から、水が浸入してしまう可能性があるためです。
特に掃き出し窓やサッシ下部から室内に水が入りやすい構造になっている場合、水張り試験を実施すると、意図せぬ漏水トラブルが発生するリスクが高まります。
そのため、既存住宅では目視確認や施工記録・写真管理によって完了確認を行うのが一般的です。
施工方法によっては適さない場合もある
防水工事の工法によっては、水張り試験との相性が悪い場合もあります。
たとえば、ウレタン塗膜防水の通気緩衝工法では、下地と防水層の間に通気層があるため、水張り試験を行うことで膨れや不具合の原因になる可能性があります。
また、勾配がある屋根や陸屋根、防滑仕上げの床など、水が滞留しにくい構造では、そもそも水張りが難しいケースもあります。
このような場合は、施工業者が現場条件を判断し、適切な検査方法を選択する必要があります。
代替手段(目視検査・赤外線調査など)が用いられるケース
水張り試験が実施できない現場では、代替手段として目視検査や赤外線カメラを使った調査が行われることもあります。
- 目視検査: 施工後の防水層を細かくチェックし、ムラやピンホールの有無を確認
- 打診調査: 防水層の浮きや剥がれを音で判断する手法
- 赤外線調査: 温度差から水分の侵入を検知する方法で、屋根や壁面にも対応可能
これらの検査は、水を張ることが困難な場所や建物に対しても実施可能であり、水張り試験と同等の検査精度を確保できる場合もあります。
ただし、これらの手法には専用機材や知識が必要となるため、対応できる業者かどうかを事前に確認しておくと安心です。
水張り試験を行う場所
水張り試験は、以下のような場所で実施が推奨されています。
- 室内で防水工事を行った箇所
- 新築のマンション・ビルのベランダ
それぞれの場所について詳しく解説します。
浴室や厨房など室内で防水が要求される箇所
浴室やキッチン・厨房など、室内で防水工事を行った箇所に水張り試験が行われることが多いです。
このような室内の限られた場所に対して行う水張り試験であれば、建物への負担もそれほど大きくないことがメリットだといえます。
室内の箇所であれば水張り試験にかかる費用もそれほど高額にならない傾向があるため、浴室やキッチンの防水工事後には水張り試験がよく実施されます。
新築のマンションやビルのベランダ
新築のマンションやビルのベランダに対しても、水張り試験の実施が推奨されています。
築年数が経っている戸建てのベランダは、水張り試験を実施しても掃き出し窓から浸水することが多いので、水張り試験が実施されることはあまりありません。
水張り試験は必要?
水張り試験は、浴室やベランダの防水補修工事後に漏水箇所がないか調べるための有効な手段です。
しかし、水張り試験には明確な基準がなく公的に定められたものでもないため、すべての工務店で実施するわけではありません。
また、水張り試験の実施によって建物に負担がかかる点にも注意が必要です。
防水工事施工後に漏水の有無を判断するために必要な水張り試験ですが、実施するかどうかは現場の状況や工務店によっても異なり、必ずしも実施される試験ではないのです。
防水工事で活用できる補助金・助成金制度【2025年最新】
防水工事は建物を長く快適に使うために必要ですが、費用負担も決して小さくはありません。そこで注目したいのが、国や自治体が提供する補助金・助成金制度です。2025年現在も、多くの地域で省エネ・劣化対策を目的とした防水工事が補助対象となっています。
以下に代表的な制度を紹介します。
【全国対象】住宅省エネ2025キャンペーン(国交省ほか)
- 対象工事:屋上・外壁・ベランダなどの防水工事(省エネ性能を高める改修が条件)
- 補助内容:1戸あたり上限120万円(戸建て)、15万円(集合住宅)
- 申請条件:
- 登録事業者による施工
- 補助対象の工事内容に合致すること(遮熱・断熱性を伴う防水工事など)
- 事前申請が必須
引用・詳細:住宅省エネ2025キャンペーン公式サイト
【東京都足立区】住宅リフォーム助成事業
- 対象工事:屋上・ベランダの防水、外壁塗装などの劣化対策リフォーム
- 補助内容:工事費の1/3(上限5万円)
- 申請条件:
- 足立区内の住宅に居住する個人
- 登録業者による工事
- 事前申請が必須
引用・詳細:足立区住宅リフォーム助成事業
【福岡市】住宅リフォーム助成金
- 対象工事:雨漏り防止、屋上・外壁の防水工事など
- 補助内容:工事費の10%(上限20万円)
- 申請条件:
- 市内に居住し、該当物件の所有者であること
- 工事費が30万円以上であること
- 登録事業者の施工であること
引用・詳細:福岡市住宅リフォーム支援
補助金活用の注意点
防水工事で補助金を利用する際は、以下の点に注意してください。
- 必ず工事前に申請(着工後では申請できない制度が大半です)
- 自治体ごとに条件が異なる(年齢・所得制限、地域要件、施工業者の登録条件など)
- 書類の準備が必要(見積書・図面・写真など)
- 受付期間に制限あり(予算枠があるため早めの申請が推奨されます)
※補助制度の対象条件や助成額は自治体ごとに異なり、最新の情報は市区町村のホームページや窓口で確認が必要です。多くの制度では、申請前の事前相談や書類提出が必須となっているため、スケジュールには十分な余裕をもって準備しましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
まとめ
今回は、防水工事完了後に行う水張り試験について詳しく紹介しました。
- 水張り試験は、防水工事完了後に実施する、漏水の有無を確かめるための試験のこと
- 排水口を塞いで水を張り、24時間ほどおいた後の水位を計測する
- 水張り試験は、主に室内で防水工事を行った箇所や新築マンションやビルのベランダに対して行われる
- 水張り試験は、防水工事後の漏水の有無を判断する効果的な試験だが、必ずしも実施されるものではない
水張り試験は公的に定められたものではありませんが、漏水の有無を確かめるためには非常に有効な手段です。
今回の記事を参考に、水張り試験の実施を検討してみてくださいね。
大規模修繕工事・防水工事・外壁塗装・外壁補修参引用、参考サイト
国土交通省
特定非営利活動法人集合住宅管理組合センター
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会
一般社団協会マンション管理業協会
一般社団法人日本防水協会
日本ペイント
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
一般社団法人 マンション大規模修繕協議会
日本ウレタン建材工業会
FRP防水材工業会
株式会社ダイフレックス(シーカ・ジャパン株式会社)