雨漏りの防水工事とは?施工事例から原因・対策・費用相場・工法まで解説

「天井から水が染み出してきた」「ベランダの床が濡れている」そんな雨漏りのサインを見つけたら、すぐに対処が必要です。

雨漏りは建物の寿命を縮めるだけでなく、カビの発生や構造材の腐食など、深刻な被害を引き起こします。

雨漏りを根本から解決するには、適切な防水工事が不可欠です。

しかし「どの工法を選べばいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」「信頼できる業者の見極め方は」など、わからないことも多いのではないでしょうか。

私たち株式会社新東亜工業は、長年にわたり数多くの防水工事と雨漏り修理に携わってきました。

この記事では、現場で培った経験と専門知識をもとに、雨漏りの原因から防水工事の種類、費用相場、業者選びのポイントまで、わかりやすく解説します。

あなたの大切な建物を雨漏りから守るために、ぜひ最後までお読みください。

費用や種類・工法、防水工事の流れ、業者の選び方など、「防水工事とは?」と基本的なことから知りたい方は、こちらの記事を読む前にざっと目を通しておくとより理解が深まりますよ。

目次

防水工事と雨漏りの関係とは?

雨漏りを防ぐために欠かせない防水工事ですが、そもそもどのような仕組みで建物を守っているのでしょうか。

まずは防水工事の基本的な役割と、雨漏りが発生しやすい場所について理解しておきましょう。

雨漏りを防ぐ「防水層」の役割と仕組み

建物の屋上やベランダなど、平らな場所には必ず防水層が施工されています。

防水層は雨水の浸入を防ぐバリアのような役割を果たしており、建物内部への水の侵入を完全にブロックします。

防水層は通常、3つの層で構成されています。

最下層の「下地」は防水層を支える土台、中間の「防水層」が実際に水をシャットアウトする部分、最上層の「トップコート」は防水層を紫外線や摩耗から保護する役割を担います。

傾斜のある屋根は自然に雨水が流れ落ちますが、屋上やベランダのような平面部分は水が溜まりやすく、防水工事なしでは建物内部に浸水してしまいます。

また、防水層は一度施工すれば永久的に効果が続くわけではありません。紫外線や雨風の影響で経年劣化するため、定期的なメンテナンスや再施工が必要になります。

トップコートは3~5年ごとに塗り替えることで、防水層本体を長持ちさせることができます。

しかし、すでに雨漏りが発生している場合は、トップコートの塗り替えだけでは解決できず、防水層全体の改修工事が必要になることがほとんどです。

防水工事が必要な建物の場所

建物の中で特に防水工事が必要とされる場所は、雨水が溜まりやすい平面部分です。

それぞれの場所には固有の特性があり、雨漏りのリスクも異なります。

代表的な防水工事が必要な場所は以下の通りです。

  • 屋上・陸屋根:傾斜がないため雨水が溜まりやすく、防水層の劣化が雨漏りに直結しやすい場所
  • ベランダ・バルコニー:洗濯物を干すなど日常的に使用するため、防水層が摩耗しやすい
  • パラペット:屋上の周囲に立ち上がった壁部分で、笠木との取り合い部分から雨水が侵入しやすい
  • 階段やエントランス庇:雨風にさらされやすく、防水層の劣化が進行しやすい

これらの場所は建物の構造上、つなぎ目や複雑な形状が多く、隙間から雨水が浸入しやすい特徴があります。

特に屋上やベランダは、防水層の劣化が建物全体の雨漏りリスクに直結するため、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。

ベランダ防水工事の費用相場から日数・手順・劣化症状・DIYの可否まで徹底解説

【施工事例】4階建てマンションの雨漏り防水工事|新東亜工業

東京都青梅市のマンション2棟の屋上防水工事を実施しました。

1棟は20年以上未施工、もう1棟は2年前に他社施工後も雨漏りが止まらない状態からの改修事例です。

工事の概要|費用・期間

今回の工事は、隣接する2棟のマンション屋上防水を同時に施工した大規模改修工事です。

項目 内容
建物種別 マンション2棟
施工場所 東京都青梅市
主な工事内容 ・屋上防水工事×2棟
・貯水槽タンク撤去
・昇降用足場設置
防水工法 塩ビシート機械固定工法+ウレタン密着工法(ハイブリッド)
工事費用 438万円
工事期間 15日間
特記事項 ・1棟は20年以上未施工
・1棟は他社施工後雨漏り継続

1棟目は20年以上防水メンテナンスをしておらず、下地の劣化が著しい状態でした。

2棟目は2年前に他社で防水工事を実施したものの雨漏りが止まらず、既存防水層と縁を切るため全面改修としました。

両棟とも平場は塩ビシート機械固定工法、立ち上がりはウレタン密着工法で施工しました。

不要な貯水槽タンクは産廃業者を紹介して撤去し、2棟目は屋上へのアクセスが困難なため昇降用足場を設置しました。

お問い合わせ・ご依頼内容

マンションオーナー様から、2棟の屋上防水についてご相談をいただきました。

お客様:「青梅市のマンションの屋上防水の工事を2棟お願いしたいのですが、お見積りは可能でしょうか?」

担当者:「2棟は近いですか?」

お客様:「隣り合ってます。」

1棟は長年放置、もう1棟は他社施工後も雨漏りが止まらないという深刻な状況でした。

現地調査から工事開始までの流れ

現地調査で1棟目の劣化状況と2棟目の雨漏り原因を確認し、両棟に同じハイブリッド防水工法を提案しました。

調査担当者:「(1棟目)結構状態悪いですね!これ今までなにもやってないですよね?」

お客様:「恥ずかしながらずっと放っておきました(苦笑)」

調査担当者:「平場は塩ビシートの機械固定工法で、立ち上がりはウレタンの密着工法で施工します。この貯水槽タンクは使ってますか?撤去した方が仕上がりも綺麗になります。」

お客様:「使ってないですし、撤去したいです!」

2棟目は2年前の施工後も雨漏りが続いており、保証もない状態でした。

既存防水層との縁切りが必要と判断し、1棟目と同じ工法を提案しました。調査翌日には見積を送付しました。

工事中の流れ・やり取り

工事は洗浄、下地補修、塩ビシート施工、ウレタン塗装の順で進めました。

現場担当者:「(電話)高井からは聞いていたんですけど、実際見ると結構状態が悪いので明後日下地補修を時間をかけて細かくやりますね!」

お客様:「ありがとうございます。」

現場担当者:「(現地にて)一昨日洗浄をやりました!今日は下地補修です。」

お客様:「なるほど!このあとは?」

現場担当者:「塩ビシートを貼っていき、終わってからこの立ち上がり部分にウレタン塗装を行っていきますね!」

1棟目終了後、お客様から「非常に綺麗に仕上がってますね!」とお言葉をいただき、2棟目も同じ品質で完成させました。

まとめ

2棟の屋上防水工事を完了し、高品質な仕上がりにご満足いただきました。

お客様:「非常に綺麗な仕上がりになってます!ありがとうございます!」

現場担当者:「よかったです!完了報告書と保証書、請求書を郵送させていただきます。」

お客様:「本当に綺麗になってよかったです。今防水工事をしたいといった知人もいますのでぜひ紹介させてください!」

今回の工事では、長年放置された屋上と他社施工後も雨漏りが止まらなかった屋上という2つの異なる課題を解決しました。

調査翌日の見積提出というスピード対応、産廃業者紹介による費用削減提案、昇降用足場設置による安全確保など、きめ細やかな配慮が信頼につながりました。

下地補修を丁寧に行い、塩ビシートとウレタンのハイブリッド工法で長期的な防水性能を確保しました。

「知人に紹介したい」というお言葉をいただき、確かな施工品質が評価されました。

▶参考元:【実録】雨漏りしてる4階建てマンションの屋上防水工事の流れを完全公開!

新東亜工業では、このような複数棟の防水工事にも丁寧に対応し、お客様の大切な資産をお守りしています。

雨漏りが発生する主な原因と劣化症状

雨漏りを早期に発見し、被害を最小限に抑えるには、劣化のサインを見逃さないことが重要です。

ここでは、雨漏りが発生する主な原因と、注意すべき劣化症状について詳しく解説します。

防水層の劣化による雨漏りの兆候

防水層は紫外線や雨風にさらされ続けることで、徐々に劣化していきます。

劣化の初期段階で適切に対処すれば、大規模な雨漏り被害を防ぐことができます。

雨漏りの兆候
  • ひび割れ(クラック)
  • 塗膜の膨れ
  • 剥がれ
  • 水たまり

ひび割れ(クラック)は、防水層の劣化で最もよく見られる症状です。

表面に細かいひびが入り始めると、塗膜が白い粉状になって剥がれてくるチョーキング現象が起こります。

放置すると防水層本体にまでひび割れが広がり、そこから雨水が浸入します。

塗膜の膨れは、防水層内部に水が侵入したサインです。ひび割れから入り込んだ水分が太陽熱で気化し、水蒸気が塗膜を押し上げて膨らみます。

この状態を放置すると、膨れた部分が破れて大きな穴が開き、雨漏りの原因となります。

剥がれは、歩行時の摩擦や物の衝撃、紫外線の影響で塗膜が下地から剥離する現象です。剥がれた部分は防水層が機能しなくなるため、早急な補修が必要です。

また、防水面に水たまりができるのは、防水層の歪みや下地の不具合によるものです。

通常、防水面にはわずかな傾斜がつけられており、雨水は排水口に向かって流れるように設計されています。

水が溜まるということは何らかの異常が発生している証拠であり、長時間滞留した水が塗装を劣化させ、雨漏りへとつながります。

外壁のひび割れから起こる雨漏り

屋上の防水層だけでなく、外壁のひび割れも雨漏りの大きな原因となります。

特にコンクリートやモルタル外壁は、経年劣化や建物の揺れによってひび割れが発生しやすい特徴があります。

一見小さなひび割れでも、そこから雨水が侵入し、内部の木材を腐らせたり、鉄筋を錆びさせたりします。

特にALC外壁の場合、パネルとパネルの継ぎ目に施されたシーリング材が10年前後で劣化し、雨水の侵入経路となることが多く見られます。

また、サッシ周りの取り合い部分も要注意です。窓枠と外壁の接合部分は、経年劣化によってシーリング材が硬化・ひび割れを起こしやすく、台風などの横殴りの雨で室内に浸水するケースがあります。

サッシの縦枠、上枠、下枠すべてが雨漏りリスクのある箇所であり、定期的な点検とシーリングの打ち替えが予防策として有効です。

パラペット防水の不具合

パラペットは、屋上の周囲に設けられた立ち上がり壁のことで、防水工事において特に注意が必要な部位です。

パラペットの上部には「笠木」と呼ばれる金属製の仕上げ材が取り付けられており、この笠木と防水層の接合部分から雨水が侵入しやすいという弱点があります。

パラペットの立ち上がり部分は、垂直面であるため防水材の膜厚をつけにくく、施工不良が起こりやすい箇所です。

ウレタン防水の場合、職人がコテやハケで塗りつけるため、塗りムラや膜厚不足が発生することがあります。膜厚が不十分な部分は劣化が早く進行し、ひび割れや剥がれから雨水が浸入します。

また、パラペット天端に貫通穴がある場合も注意が必要です。

過去の工事で使用したアンカーボルトの穴や、設備配管の跡などが適切に防水処理されていないと、台風などの暴風雨時に雨水が吹き込み、そこから建物内部に浸水します。

笠木を外して点検しなければ発見できないケースも多く、原因不明の雨漏りの隠れた要因となることがあります。

排水設備の問題

屋上やベランダの排水口(ドレン)周辺は、雨漏りが発生しやすい重要なポイントです。

排水口に土や落ち葉、ゴミなどが詰まると、処理しきれなくなった雨水が溢れ、本来流れるべきでない方向に水が流れ込みます。

排水口周辺の防水層は、構造上つなぎ目が多く複雑な形状をしているため、施工不良や経年劣化によって隙間が生じやすい特徴があります。

オーバーフローした雨水がその隙間から浸入し、天井や壁の雨漏りとして現れることが少なくありません。

また、排水勾配の不良も問題です。屋上やベランダは本来、排水口に向かってわずかに傾斜がつけられていますが、防水層の劣化や下地の沈下によって勾配が失われると、雨水が滞留しやすくなります。

水たまりができる箇所は防水層への負担が大きく、劣化が加速して雨漏りリスクが高まります。

排水設備の健全性を保つには、定期的な清掃と点検が欠かせません。

特に秋の落ち葉シーズンや台風の後は、排水口周辺のゴミを取り除き、水の流れがスムーズかどうかを確認することが大切です。

防水工事の種類と特徴|雨漏り対策に適した工法の選び方

防水工事にはいくつかの種類があり、施工する場所や建物の状況によって最適な工法が異なります。

ここでは、代表的な4つの防水工事の特徴と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

ウレタン防水|複雑な形状にも対応できる塗膜防水

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗り重ねて厚さ約2mmの防水層を形成する工法です。

メリット
  • 複雑な形状にも対応可能
  • 接合部がないため、雨漏りのリスクが低い
  • 材料費・施工費ともに抑えられる
  • 建物への負担が少ない
  • 部分的な劣化だけ塗り直すことができる
デメリット
  • 仕上がりが職人の技量に左右される
  • 定期的なメンテナンスが必要
  • 施工中は天候の影響を受けやすい
  • ウレタン特有の臭いが発生

液体を塗るため、複雑な形状の場所や狭い場所にも柔軟に対応でき、継ぎ目のないシームレスな防水層を作れるのが大きな特徴です。

ウレタン防水の耐用年数は10~12年程度です。ゴムのような弾力性があるため、建物のわずかな揺れにも追従し、ひび割れしにくい特性があります。

施工場所としては、ベランダ、バルコニー、屋上、陸屋根など幅広い箇所に適用できます。

費用相場は1㎡あたり7,500円程度です。

メリットとして、比較的安価で施工できることと、複雑な形状にも対応できる柔軟性が挙げられます。

一方デメリットは、液状のため硬化に時間がかかること、紫外線による劣化が早いため、3~5年ごとのトップコート塗り替えが必要になることです。

FRP防水|ベランダに最適な強靭な防水層

FRP防水は、液状の樹脂とガラス繊維を組み合わせて硬化させる工法で、「繊維強化プラスチック防水」とも呼ばれます。

船舶や浴槽にも使われる素材で、軽量ながら非常に強靭な防水層を形成できます。

メリット
  • 軽量で建物に負担をかけない
  • 硬化が早く工期が短い
  • 高い強度と耐水性
  • 継ぎ目のない一体構造(漏水リスク低)
  • 光沢があり、意匠性に優れる
デメリット
  • ひび割れが発生しやすい
  • 紫外線でダメージを受けやすい
  • 広い面積には不向き
  • 定期的なメンテナンスが必須
  • 施工時に臭いが発生する

FRP防水の耐用年数は10~12年程度です。硬化速度が速く、施工の翌日には歩行可能になるため、工期が短くて済むというメリットがあります。

また、表面が硬く摩耗に強いため、日常的に歩行するベランダやバルコニーに最適です。

主な施工場所はベランダやバルコニーで、費用相場は1㎡あたり9,000円程度です。

メリットは、強度が高く歩行に強いこと、硬化が早く工期が短いこと、軽量で建物への負担が少ないことです。

デメリットとしては、施工時に樹脂特有の臭気が発生すること、硬い素材のため建物の揺れに追従しにくく、ひび割れしやすい点が挙げられます。

また、密着工法でのみ施工可能なため、下地の状態が良好でないと適用できません。

シート防水|屋上や陸屋根に適した耐久性の高い工法

シート防水は、工場で生産された防水シートを現場で敷き詰めて接着する工法です。

メリット
  • 工期が短い
  • 品質が安定しており施工ムラが少ない
  • 紫外線や熱に強く、15~20年の長寿命
  • メンテナンスの手間が少ない
  • 広い屋上でも効率的に施工できる
デメリット
  • 複雑な形状には不向き
  • 施工に高度な技術が必要
  • 接合部が弱点になる可能性
  • 下地が平坦である必要がある

主に塩化ビニール製の「塩ビシート防水」と、ゴム系素材の「ゴムシート防水」の2種類があります。

塩ビシート防水は耐候性と伸縮性に優れており、耐用年数は12~15年程度と比較的長いのが特徴です。

シート状の材料を敷くため、液体の硬化を待つ必要がなく、工期を短縮できます。

一方、ゴムシート防水はシートが薄く、飛来物による破損リスクが高いため、現在はあまり採用されていません。

シート防水は主に屋上や陸屋根など、広い平面部分に適しています。複雑な形状の場所では施工が難しく、シートの継ぎ目処理に技術が求められます。費用相場は1㎡あたり8,000円程度です。

メリットは、耐久性が高く長持ちすること、工場製品のため品質が安定していること、工期が短いことです。

デメリットは、複雑な形状への対応が難しいこと、シートの継ぎ目が弱点になりやすいこと、経年によりシートが硬化して割れやすくなることです。

アスファルト防水|大規模建築物向けの高耐久工法

アスファルト防水は、アスファルトと合成繊維不織布を組み合わせたシート状の建材を、溶かしたアスファルトで貼り重ねていく伝統的な工法です。

古くから使われており、信頼性が非常に高い防水方法として知られています。

メリット
  • 圧倒的な耐久性(長寿命を実現)
  • 多層構造により水の浸入をほぼ完全に防ぐ
  • 100年以上の実績がある
  • 人や車両の通行にも耐えられる強度がある
  • 既存の下地の上から重ね施工可能
デメリット
  • 他の工法より重く、建物に負担がかかる
  • 施工できる建物が限られる
  • 施工時、臭いと煙が発生する
  • 周辺に可燃物がある場合は施工できない
  • 初期費用は高くなる傾向がある

アスファルト防水の最大の特徴は、その耐用年数の長さです。15~25年程度と他の工法と比較して圧倒的に長持ちし、適切なメンテナンスを行えば20年以上の防水性能を維持できます。

主に大規模なマンションやビルの屋上に採用されますが、施工時に溶解したアスファルトを使用するため、異臭や煙が発生します。

そのため、一般住宅ではほとんど使用されません。費用相場は1㎡あたり8,000円程度です。

メリットは、耐久性が極めて高いこと、防水性能が優れていること、実績が豊富で信頼性が高いことです。

デメリットは、施工時の臭いや煙の問題、工事の手間と時間がかかること、一般住宅には不向きなことが挙げられます。

防水工事の種類を比較検討!4つの工法の特徴から費用・耐用年数・選び方を解説

雨漏り防水工事の施工方法|密着工法・絶縁工法・かぶせ工法の違い

防水工事では、防水材料の種類だけでなく、下地にどのように施工するかという「工法」も重要です。

建物の状態や雨漏りの原因によって、最適な施工方法を選択する必要があります。

密着工法|下地に直接施工するスタンダードな方法

密着工法は、下地に防水層を直接密着させる最も基本的な施工方法です。

下地と防水層の間に隙間がないため、一体化した強固な防水層を形成できます。

この工法のメリットは、コストパフォーマンスが高く、比較的安価に施工できることです。また、下地との密着性が高いため、しっかりと固定され、剥がれにくい特徴があります。

一方でデメリットとして、下地の影響を受けやすいという点があります。下地に水分が残っている状態で施工すると、密着不良を起こし、後に浮きや剥がれ、膨れが発生しやすくなります。

そのため、新築時や下地の状態が良好な改修工事に適しており、広い屋上などの大規模な面積には不向きとされています。

絶縁工法(通気緩衝工法)|雨漏り改修に効果的な工法

絶縁工法は、下地と防水層の間に通気性のあるシートや緩衝材を挟み込む工法です。「通気緩衝工法」や「機械的固定工法」とも呼ばれ、下地と防水層を意図的に分離することで、様々なメリットを生み出します。

下地に水分が残っていても、通気層を通じて水分を逃がすことができるため、防水層の浮きや膨れを防げます。

また、建物が地震などで揺れた際も、緩衝層が下地の動きを吸収し、防水層の剥離や破断を防ぐ効果があります。

この工法は特に雨漏り改修工事に適しています。既に雨漏りが発生している建物では、下地のコンクリートが水分を含んでいるケースが多く、密着工法では施工後の不具合リスクが高まります。

絶縁工法であれば、下地の水分を気にせず施工でき、確実な防水性能を確保できます。

デメリットとしては、密着工法と比べて材料費や施工の手間がかかり、費用がやや高くなることです。

また、通気層を設ける分、防水層全体の厚みが増すため、排水口周辺などの取り合い部分の調整が必要になります。

かぶせ工法|既存防水層を活かすコスト削減の選択肢

かぶせ工法は、既存の防水層を撤去せずに、その上から新しい防水層を施工する方法です。

リフォームや改修工事において、コストと工期を削減できる有効な選択肢となります。

既存の防水層を撤去するには、電動カッターなどで削り取る重労働が必要で、人手と時間がかかります。

かぶせ工法を選択すれば、撤去作業が不要になるため、工事費用を大幅に削減できます。

また、廃材が出ないため環境負荷も軽減でき、作業中に下地が露出しないため、雨による浸水リスクもありません。

ただし、かぶせ工法を採用する際には注意点があります。既存の防水層と新規の防水層の相性を確認する必要があります。

たとえば、ゴムシート防水の上にウレタン防水を施工すると、密着性が不十分で剥がれやすくなるため、施工できないケースがあります。

また、既存の防水層が著しく劣化している場合や、下地自体に不具合がある場合は、かぶせ工法では問題を解決できません。

そのような場合は、既存防水層を撤去し、下地補修を行ってから新規防水層を施工する必要があります。

雨漏り修理における防水工事の費用相場と工期

防水工事を検討する際、最も気になるのが費用と工事期間ではないでしょうか。

ここでは、工法別の費用相場と工期の目安、見積もりを取る際の注意点について解説します。

防水工事の種類別費用相場

防水工事の費用は、選択する工法によって異なります。以下に代表的な防水工事の費用相場を示します。

防水工法費用相場(1㎡あたり)耐用年数
ウレタン防水7,500円10~12年
FRP防水9,000円10~12年
シート防水8,000円12~15年
アスファルト防水8,000円15~25年

上記の費用はあくまで目安であり、実際の金額は建物の状態や施工面積、工法(密着工法・絶縁工法など)によって変動します。

また、3階以上のバルコニーや屋根への施工など、足場が必要な場合は、別途足場代として15万~20万円程度が加算されます。

下地の補修が必要な場合や、既存防水層の撤去が必要な場合は、さらに追加費用が発生します。

特に雨漏りが長期間放置されていた建物では、下地のコンクリートが劣化していることが多く、補修費用がかさむことがあります。

費用を抑えたいからといって、極端に安い業者を選ぶのは危険です。

必要な工程が省かれていたり、耐久性の低い材料が使われている可能性があり、数年後に再び雨漏りが発生するリスクがあります。

防水工事の費用相場を解説!種類・工法別の単価からマンション・ビルなど建物別に紹介【2025年最新】

工事期間の目安

防水工事にかかる期間は、施工面積や工法、建物の状態によって異なります。

一般的な工事期間の目安は以下の通りです。

  • 小規模工事(ベランダ・バルコニー)3~5日程度
  • 中規模工事(一戸建て屋上、小規模マンション)1~2週間程度
  • 大規模工事(大型マンション・ビル屋上)2週間~1ヶ月程度

ウレタン防水のような液状の防水材料を使用する場合、硬化に時間がかかるため工期が長くなります。

一方、シート防水やFRP防水は硬化時間が短いため、比較的短期間で完了します。

また、天候の影響も無視できません。防水工事は雨天時には作業できないため、梅雨時期や台風シーズンは工期が延びる可能性があります。

特にトップコートの塗装は、完全に乾燥させる必要があるため、湿度の高い日が続くと予定よりも時間がかかることがあります。

足場の設置や撤去作業も含めると、さらに数日から1週間程度余裕を見ておく必要があります。

工事期間中は騒音や作業員の出入りがあるため、近隣への配慮も忘れずに行いましょう。

見積もりを取る際の注意点

防水工事を依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。

1社だけの見積もりでは、その金額が適正かどうか判断できません。最低でも3社程度から見積もりを取ることをおすすめします。

見積もりを比較する際は、金額だけでなく、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 工事内容の詳細:どの工程が含まれているか、使用する材料のメーカーや品番が明記されているか
  • 保証内容:保証期間は何年か、どのような不具合が保証対象になるか
  • 下地処理の有無:既存防水層の撤去、下地補修、クリーニングなどが含まれているか
  • 付帯工事:足場代、養生費用、廃材処分費などが別途請求されないか

極端に安い見積もりには注意が必要です。必要な工程が省略されていたり、安価で耐久性の低い材料が使われている可能性があります。

逆に、極端に高い見積もりも、不必要な工事が含まれていないか確認しましょう。

見積もりの内容が曖昧な業者や、口頭での説明だけで書面を出さない業者は避けるべきです。

信頼できる業者は、見積書に詳細な内訳を記載し、不明点があれば丁寧に説明してくれます。

雨漏り防水工事後の保証制度とメンテナンスの注意点

防水工事は施工して終わりではありません。

適切なメンテナンスを行い、保証制度を理解しておくことで、長期間にわたり建物を雨漏りから守ることができます。

防水工事の保証期間と保証内容

防水工事には一般的に保証制度が付帯しています。保証期間は改修工事で5年、新築工事で最長10年が標準的です。

ただし、使用する材料や工法、業者によって保証期間は異なるため、契約前に必ず確認しましょう。

保証の対象となるのは、主に施工不良による雨漏りです。

防水層のひび割れや剥がれ、施工ミスによる浸水などが該当します。保証期間内にこれらの不具合が発生した場合、無償で補修工事を受けられます。

ただし、以下のようなケースは保証対象外となることが一般的です。

保証対象外のケース
  • 自然災害:地震、台風、洪水などによる被害
  • 使用者の過失:重量物の落下、鋭利な物による傷、不適切な使用
  • 経年劣化:保証期間を超えた自然な劣化
  • 他の工事による影響:防水工事後に行われた別の工事が原因の不具合

保証には「業者保証」と「メーカー保証」の2種類があります。業者保証は施工会社が独自に提供するもので、施工不良に対する保証です。

メーカー保証は防水材料のメーカーが材料の品質を保証するものです。両方の保証がついている場合、より安心して工事を任せられます。

保証書は必ず保管し、保証内容(対象範囲、期間、適用条件)を確認しておきましょう。万が一雨漏りが発生した際は、速やかに施工業者に連絡することが大切です。

防水層を長持ちさせる定期メンテナンス

防水層の寿命を延ばすには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

特にトップコートは紫外線や雨風で劣化しやすいため、3~5年ごとの塗り替えが推奨されています。

トップコートを定期的に塗り替えることで、内部の防水層を保護し、ひび割れや剥がれを防ぐことができます。

日常的に行うべき点検ポイントは以下の通りです。

点検項目
  • ひび割れや剥がれの有無:目視で防水面を確認し、異常がないかチェック
  • 水たまりの発生:雨の後に水が溜まっていないか確認
  • 排水口の詰まり:ゴミや落ち葉を取り除き、排水がスムーズか確認
  • 膨れや変色:防水層の異常な膨らみや色の変化がないかチェック

排水口は特に重要なポイントです。定期的に清掃を行い、土やゴミが溜まらないようにしましょう。

特に秋の落ち葉シーズンや台風の後は、排水口が詰まりやすいため、念入りに確認してください。

異常を発見したら、早めに専門業者に相談することが大切です。

小さなひび割れも放置すると広がり、最終的に雨漏りにつながります。早期発見・早期対応が、建物を長持ちさせる秘訣です。

防水工事をしても雨漏りが止まらない場合の対処法

防水工事を行ったにもかかわらず雨漏りが再発した場合、まずは施工業者に連絡しましょう。

保証期間内であれば、無償で再施工や補修を受けられる可能性があります。

保証がついていない場合でも、民法上の契約不適合責任に基づいて対応を求めることができます。

防水工事の目的は「雨漏りを止める」ことですから、工事後も雨漏りが続くのは契約内容に適合していません。

不具合を発見してから1年以内に業者に通知すれば、修理や損害賠償を請求できます。

ただし、地震や台風などの自然災害や、使用者の過失による雨漏りは契約不適合責任の対象外です。

業者が対応してくれない場合や、原因が特定できない場合は、雨漏り診断士が在籍する専門業者に相談することをおすすめします。

雨漏り診断士は、建物の構造を理解し、雨水の侵入経路を正確に特定する専門資格を持っています。

原因の特定には、散水調査サーモグラフィー調査などの専門的な調査方法が有効です。

散水調査は実際に水をかけて浸入経路を確認する方法で、サーモグラフィー調査は温度差で水分の溜まっている箇所を特定します。

これらの調査により、目視では発見できない雨漏り原因を突き止めることができます。

雨漏り防水工事業者の選び方|失敗しないための注意点

防水工事の成否は、業者選びで決まると言っても過言ではありません。

信頼できる業者を見極めるポイントと、避けるべき悪質業者の特徴について解説します。

防水専門業者に依頼すべき理由

雨漏り修理には、防水の専門知識と技術が必要です。塗装業者でも防水工事を請け負うことはありますが、防水は塗装とは異なる専門分野であり、施工技術や使用材料の知識が求められます。

防水専門業者は、様々な防水工法に精通しており、建物の状態に応じて最適な工法を提案できます。

また、雨漏りの原因を正確に診断する能力も持っています。雨漏りは原因の特定が難しく、表面的な処理だけでは再発するリスクがあります。

塗装業者の中には、密着工法しか施工できない場合があります。

しかし、雨漏り改修では絶縁工法が適している場合も多く、工法の選択肢が狭いと適切な対応ができません。防水専門業者であれば、豊富な工法から建物に最適なものを選択できます。

優良業者を見極める5つのポイント

信頼できる防水工事業者を選ぶには、以下の5つのポイントをチェックしましょう。

業者を選ぶ際のポイント
  1. 施工実績と経験年数
  2. 保証・アフターサービスの充実度
  3. 見積もりの明確さと詳細さ
  4. 口コミ・評判

ホームページや会社案内で、これまでの施工事例や創業年数をチェックします。実績が豊富な業者は、様々なケースに対応した経験があり、トラブル時の対処法も熟知しています。

また、保証期間が明確に記載されているか、定期点検サービスがあるかも確認しましょう。長期保証を提供できる業者は、自社の施工技術に自信を持っている証拠です。

見積もり書は工事項目ごとに単価と数量が明記され、使用材料のメーカー名や品番が記載されている見積もりが理想的です。

曖昧な「一式」表記が多い見積もりは要注意です。

防水施工技能士、雨漏り診断士、建築士などの資格保有者がいる業者は、専門知識と技術を持っています。資格の有無をホームページや名刺で確認できます。

口コミ・評判も参考になります。インターネットの口コミサイトやGoogleマップのレビューで、実際に依頼した人の評価を確認しましょう。

ただし、極端に良い評価ばかりの場合は、やらせレビューの可能性もあるため注意が必要です。

避けるべき悪質業者の特徴

残念ながら、防水工事業界にも悪質な業者が存在します。以下のような特徴がある業者は避けましょう。

悪質業者の特徴
  • 訪問営業で不安を煽る業者
  • 大幅な値引きを提案する業者
  • 契約を急がせる業者
  • 見積もりが曖昧な業者

「今すぐ工事しないと大変なことになる」「近所で工事をしていて、お宅の屋根が気になった」などと不安を煽り、契約を迫る業者は避けましょう。信頼できる業者は、強引な営業はしません。

また、大幅な値引きを提案する業者も疑うべきです。防水工事には適正価格があり、大幅な値引きは品質低下につながります。

契約を急がせる業者も危険です。「今日中に決めないと、この価格では受けられない」などと焦らせる業者は避けましょう。優良業者は、顧客がじっくり検討する時間を尊重します。

見積もりが曖昧な業者にも注意が必要です。「一式」とだけ記載され、詳細が不明な見積もりは、後から追加費用を請求される可能性があります。

万が一、悪質業者と契約してしまった場合は、クーリングオフ制度を利用できる可能性があります。

訪問販売で契約した場合、8日以内であれば無条件で契約解除できます。困ったときは、消費生活センターや弁護士に相談しましょう。

防水工事の良い業者を教えて!失敗しない選び方と優良業者を見抜く7つのポイント

雨漏りの防水工事に関するよくある質問【FAQ】

雨漏りや防水工事について、お客様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q

雨漏りの修繕費用はいくらぐらいですか?

A

雨漏りの修繕費用は、原因箇所や工事の規模によって大きく異なります。

小規模な補修であれば5万~10万円程度、ベランダや屋上の防水工事を含む場合は30万~100万円程度が目安です。

足場が必要な場合は、さらに15万~20万円程度が加算されます。

正確な金額は、現地調査を行った上で見積もりを取ることをおすすめします。

Q

雨漏りは誰の責任?大家?オーナー?管理組合?

A

賃貸物件の場合、雨漏りは基本的に大家さん(賃貸人)の責任となります。

建物の構造上の問題である雨漏りは、民法上、大家さんが修繕する義務を負います。ただし、入居者の故意や過失による損傷が原因の場合は、入居者の責任となります。

分譲マンションの場合、専有部分は区分所有者、共用部分は管理組合の責任です。

屋上や外壁からの雨漏りは共用部分に該当するため、管理組合が対応します。

Q

雨漏りの修繕(防水工事)は、どこに依頼するべき?

A

雨漏り修繕は、防水専門業者に依頼することをおすすめします。

防水工事には専門的な知識と技術が必要で、塗装業者やリフォーム会社では対応できないケースもあります。

特に雨漏りの原因特定には、建物の構造を理解した専門家の診断が不可欠です。

雨漏り診断士などの資格を持つ業者に相談すると、より確実な解決が期待できます。

Q

火災保険で雨漏りは補償されますか?

A

火災保険で雨漏りが補償されるのは、自然災害が原因の場合です。

台風や強風による屋根材の破損、大雨による浸水など、突発的な事故による雨漏りは保険の対象となることがあります。

一方、経年劣化による雨漏りは補償対象外です。保険適用の可否は、契約内容や原因によって異なるため、まずは保険会社に相談しましょう。

申請には被害状況の写真や見積書が必要になります。

Q

雨漏りの費用は誰が負担するのでしょうか?

A

雨漏りの費用負担は、建物の所有形態や原因によって異なります。

持ち家の場合は、所有者が全額負担します。賃貸物件の場合、建物の劣化や構造上の問題が原因であれば大家さんが負担し、入居者の過失が原因であれば入居者が負担します。

分譲マンションの場合、共用部分からの雨漏りは管理組合が負担し、専有部分は区分所有者が負担します。

ただし、上階の住人の過失で雨漏りが発生した場合は、その住人に損害賠償を請求できます。

Q

大家さんが雨漏りを直してくれないときはどうすればいい?

A

雨漏りを報告しても大家さんが対応してくれない場合、まずは書面で修繕依頼を出しましょう。

メールや内容証明郵便で、雨漏りの状況と修繕の必要性を明確に伝えます。それでも対応がない場合、賃料の減額請求や、自分で修理して費用を請求する「修繕権」の行使が可能です。

また、消費生活センターや弁護士に相談することもできます。

雨漏りを放置すると健康被害やカビの発生につながるため、早急に対応を求めることが大切です。

まとめ

雨漏りは建物にとって深刻な問題ですが、適切な防水工事を行えば確実に防ぐことができます。

この記事でご紹介した内容を振り返ってみましょう。

ポイント
  • 雨漏りの原因は、防水層の劣化外壁のひび割れパラペット部分の不具合排水設備の問題
  • ウレタン防水、FRP防水、シート防水、アスファルト防水など複数の工法がある
  • 建物の状態や施工場所に応じて最適な工法を選択することが重要
  • 防水層を長持ちさせるには定期的なメンテナンスが欠かせない
  • トップコートの塗り替えを3~5年ごとに行うことで、寿命を延ばせる
  • 業者選びを間違えると、工事後も雨漏りが再発するリスクがある
  • 施工実績、保証内容、有資格者の在籍などを確認し、複数の業者を比較検討する

私たち株式会社新東亜工業は、長年にわたり防水工事と雨漏り修理に携わってきた専門業者です。

豊富な施工実績と確かな技術で、お客様の大切な建物を雨漏りから守ります。

無料相談や現地調査も承っておりますので、雨漏りにお悩みの方、防水工事をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

建物を雨漏りから守り、長く安心して暮らせる住まいを維持するために、適切な防水工事とメンテナンスを心がけましょう。