荒川区の大規模修繕を成功に導く|費用相場や工事内容の基礎知識!

荒川区は隅田川と荒川に挟まれた低地に位置するため、湿気による建物劣化が他地域より進行しやすいという特徴があります。

さらに、区内には築20年以上のマンションが全体の約43%を占めており、計画的な大規模修繕の実施が資産価値維持に直結する地域です。

日暮里・南千住エリアでは再開発により新築マンションが増加する一方、町屋・三河島エリアでは昭和後期から平成初期に建設された中層マンションが多く、それぞれの地域特性に応じた修繕計画が求められます。

この記事では、荒川区で大規模修繕を検討されているマンション管理組合の皆様に向けて、低地特有の環境要因を踏まえた修繕のポイント、費用相場、活用できる助成金制度、そして信頼できる業者の選び方まで、地域に密着した実践的な情報をお届けします。

目次

荒川区における大規模修繕とは

荒川区で大規模修繕を成功させるには、まず地域特有の環境条件を理解することが不可欠です。

ここでは、荒川区ならではの修繕の必要性と背景について解説します。

大規模修繕の定義と法的背景

大規模修繕とは、マンション全体の機能維持と資産価値保全を目的として、外壁塗装、防水工事、鉄部塗装、共用部の改修などを計画的に実施する総合的な工事です。

建築基準法第8条では「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならない」と定められており、適切な修繕は法的義務でもあります。

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、大規模修繕は12~15年周期での実施が推奨されています。令和3年度の調査データによると、実際の平均修繕周期は13年が最多で、全体の約7割が12~15年周期で実施しているという結果が出ています。荒川区でも、この国の指針を基本としつつ、地域の環境条件を加味した修繕計画の策定が重要となります。

荒川区特有の建物劣化要因

荒川区における建物劣化の最大の特徴は、隅田川と荒川に挟まれた低地という地理的条件にあります。

標高が低い地域では、地表近くの湿気が建物基礎部や1階部分に滞留しやすく、コンクリートの中性化やカビの発生リスクが高まります。実際、荒川区は東京23区内でも相対湿度が高めの地域とされ、特に梅雨期(6月~7月)の平均湿度は75~80%に達することもあります。

さらに、荒川区内を縦横に走る幹線道路(尾竹橋通り、明治通り、昭和通りなど)の交通量が多く、排気ガスや粉塵による外壁の汚れ・劣化も顕著です。南千住駅周辺や日暮里駅周辺の高層マンションでは、上階ほど風雨にさらされる頻度が高く、コーキング材の劣化が早期に進行する傾向があります。

荒川区マンション実態調査(令和4年度)によると、区内のマンションは築10~19年が最も多く154棟(21.6%)、次いで築20~29年が152棟(21.3%)となっており、まさに大規模修繕の適齢期を迎えている建物が集中しています。これらの建物の多くは平成初期から中期にかけて建設されたもので、当時の防水材や塗装材の耐用年数を考慮すると、現在は劣化が進行しやすい時期に該当します。

荒川区での修繕の重要性

荒川区では、低地特有の湿気による影響で、他の高台地域と比較して防水層の劣化スピードが約1.2~1.5倍早いというデータがあります。特に1階の共用廊下や駐輪場の床面、外壁の下部などは、地面からの湿気の影響を受けやすく、早期にひび割れやカビが発生するケースが多く見られます。

また、区内には木造密集地域も残っており、防災の観点からも建物の適切な維持管理が求められています。荒川区の「地域危険度ランク」では、荒川三丁目、南千住一・五丁目が最も危険度が高い「ランク5」に指定されており、耐震性の維持と建物の劣化防止は地域全体の課題となっています。

さらに、荒川区の中古マンション価格は過去9年間で約56.8%上昇しており、2025年11月時点での平均売買価格は5,258万円(91万円/㎡)となっています。この資産価値の上昇トレンドを維持するためにも、計画的な大規模修繕による建物の機能維持は不可欠です。適切なタイミングで修繕を実施することで、築年数が経過しても市場価値を保ち、売却時や賃貸時の競争力を確保できます。

参考元:荒川区マンション実態調査報告書(令和4年度)国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

荒川区エリア別の大規模修繕情報

荒川区内でも、地域によって建物の特性や修繕時の注意点が大きく異なります。ここでは、区内の主要4エリアについて、それぞれの地域特性と修繕のポイントを詳しく解説します。

日暮里エリア(日暮里駅・西日暮里駅周辺)

日暮里エリアは、JR山手線・京浜東北線・常磐線、京成本線、日暮里舎人ライナーが交差する交通の要衝です。駅前の再開発により、近年は10階建て以上の高層マンションが増加しています。

駅周辺には2000年代以降に建設された新しいマンションが多く、タワー型や板状の中高層マンションが中心です。一方、谷中方面や西日暮里2丁目エリアには昭和50年代~平成初期の中層マンションも残っています。

高層マンションでは足場設置費用が高額になるため、1戸あたり90万~130万円が相場です。特に10階建て以上の建物では、足場の組立・解体に時間がかかり、工期も長期化する傾向があります。

修繕のポイント

山手線沿線という立地から、騒音・振動の影響を受けやすい環境です。電車の振動により外壁タイルの浮きが発生しやすいため、打診調査で早期発見することが重要です。

また、駅周辺の繁華街に近いエリアでは、外壁の汚れが目立ちやすく、防汚性の高い塗料(フッ素系や光触媒塗料)の選定が推奨されます。

高層マンションでは強風の影響を受けやすいため、屋上防水の飛散防止対策や、手すりなどの鉄部の錆対策を重点的に行う必要があります。

南千住エリア(南千住駅周辺)

南千住エリアは、隅田川に面した再開発エリアとして注目されています。駅前には大型商業施設「LaLaテラス南千住」があり、ファミリー層が多く居住する地域です。

2000年代以降の再開発により、大規模タワーマンションや14階建て前後の高層マンションが多数建設されました。一方、駅から離れた南千住1丁目・5丁目エリアには、昭和40年代~50年代の公団住宅や低層マンションも残っています。

タワーマンションでは1戸あたり100万~150万円、中層マンションでは80万~110万円が相場です。隅田川沿いの物件は、河川の湿気対策として防水工事の品質を高める必要があるため、やや費用が高くなる傾向があります。

修繕のポイント

隅田川沿いという立地から、河川からの湿気の影響を強く受けます。特に1階部分や地下駐車場では、結露やカビの発生リスクが高いため、防水層の点検を重点的に行う必要があります。

また、河川からの風が強いエリアでもあり、バルコニーの手すりや屋上フェンスなどの金属部分に塩分を含んだ空気が付着しやすく、錆の進行が早い傾向があります。塗装工事では、錆止め塗料の2度塗りや、耐候性の高い塗料の選定が推奨されます。

再開発エリアのタワーマンションでは、エレベーターや機械式駐車場などの設備更新も並行して検討する時期に来ている物件が多く、修繕積立金の計画的な見直しが重要です。

町屋エリア(町屋駅周辺)

町屋エリアは、都電荒川線と東京メトロ千代田線が交差する下町情緒あふれる地域です。駅前には「ムーブ町屋」などの商業施設があり、生活利便性の高いエリアとして人気があります。

昭和50年代~平成初期に建設された5~8階建ての中層マンションが多く、ファミリー向けの2LDK~3LDKタイプが中心です。区画整理された住宅街には、比較的敷地面積が広い低層マンションも点在しています。

中層マンションでは1戸あたり75万~105万円が相場です。町屋エリアは荒川区の中でも比較的平坦な地形で、足場設置の難易度が低いため、工事費用は区内平均よりやや抑えられる傾向があります。

修繕のポイント

町屋エリアは住宅密集地であるため、近隣住民への配慮が特に重要です。

工事車両の駐車スペース確保や騒音対策、養生シートによる粉塵飛散防止など、近隣トラブルを防ぐための丁寧な対応が求められます。また、築30年前後のマンションが多いため、給排水管の更新や電気設備の改修を大規模修繕と同時に実施するケースが増えています。

特に給水管の更新は、住民の生活に直接影響するため、工事スケジュールの調整と事前説明を十分に行う必要があります。昭和築のマンションでは、外壁がタイル貼り仕上げの物件が多く、タイルの浮き・剥落リスクが高いため、打診調査と部分張り替えの予算確保が重要です。

三河島エリア(三河島駅周辺)

三河島エリアは、JR常磐線三河島駅を中心とした下町エリアで、コリアンタウンとしても知られる多国籍な雰囲気が特徴です。日暮里駅や上野駅へのアクセスが良好でありながら、家賃相場が比較的抑えられているため、単身者や若年層が多く居住しています。

建物特性:昭和40年代~平成初期に建設された中低層マンションが多く、4~6階建ての小規模物件(20~40戸)が中心です。近年は駅周辺で市街地再開発事業も進められており、新旧の建物が混在しています。

費用相場:小規模マンションでは1戸あたり70万~95万円が相場です。戸数が少ないため、1戸あたりの負担額が若干高くなる傾向がありますが、工期は比較的短く、住民への影響を最小限に抑えられます。

修繕のポイント

三河島エリアは、荒川区内でも特に築年数の古い建物が多い地域です。築40年以上のマンションでは、大規模修繕と併せて耐震診断・耐震補強の検討が必要なケースが多く、荒川区の「非木造建物耐震化推進事業」を活用することで費用負担を軽減できます。

また、小規模マンションでは修繕積立金が不足しがちであるため、早めの資金計画見直しが重要です。低層マンションが多いため、足場設置費用は比較的抑えられますが、隣接する建物との距離が近い場合、養生や作業スペースの確保に工夫が必要です。

外壁の汚れが目立ちやすい環境であるため、防汚性と耐久性を兼ね備えた塗料の選定が推奨されます。

出典:荒川区の住みやすさや治安、マンション相場情報

荒川区の大規模修繕にかかる費用相場

荒川区で大規模修繕を計画する際、最も気になるのが費用です。

ここでは、荒川区の地域特性を踏まえた費用相場を詳しく解説します。

荒川区における費用相場の概要

荒川区での大規模修繕費用は、1戸あたり80万~120万円が一般的な相場となっています。

これは東京23区平均の70万~120万円と比較してやや高めの水準ですが、その理由は低地特有の湿気対策や防水工事の重点実施、そして交通量の多い幹線道路沿いの物件における外壁劣化対策の必要性にあります。

㎡単価で見ると、荒川区では1㎡あたり15,000円~25,000円が相場です。ただし、使用する塗料のグレード(ウレタン・シリコン・フッ素など)や、建物の築年数、劣化状況によって大きく変動します。

隅田川沿いのエリアや荒川沿いのエリアでは、湿気対策として高品質な防水材を使用するケースが多く、㎡単価が20,000円~28,000円と高くなる傾向があります。

工事項目別の費用内訳

荒川区での大規模修繕における主な工事項目と費用の目安は以下の通りです。

工事項目費用相場(㎡単価)備考
仮設足場設置・解体800円~1,200円建物高さ、周辺環境により変動
外壁下地補修2,000円~4,500円ひび割れの範囲により変動
外壁塗装(シリコン系)2,500円~4,000円荒川区では耐候性重視が推奨
外壁塗装(フッ素系)3,500円~5,500円耐用年数15~20年、長期的にはコスト効率良
タイル補修・張替5,000円~12,000円浮き・剥落箇所の範囲により大きく変動
屋上防水(ウレタン防水)4,500円~7,000円荒川区の湿気対策として重要
屋上防水(シート防水)5,000円~8,500円耐用年数が長く、大規模物件に適する
バルコニー防水3,500円~6,500円1階部分は湿気対策として念入りに
鉄部塗装(階段・手すりなど)1,500円~3,000円(直線メートル)隅田川沿いは錆対策として2度塗り推奨
シーリング工事800円~1,500円(メートル)サッシ周りの劣化が進みやすい
共用部改修(廊下・階段)15,000円~30,000円(戸あたり)照明LED化、床防水含む

荒川区では特に、屋上防水工事とバルコニー防水工事の品質を高めることが重要です。低地特有の湿気により防水層の劣化が早いため、耐用年数の長いシート防水や、2層塗りのウレタン防水を選択するマンションが増えています。

建物規模別の総工事費用例

荒川区内の代表的なマンション規模別に、大規模修繕の総工事費用の目安を示します。

建物規模総戸数延床面積総工事費用の目安1戸あたり費用
小規模(5階建)20戸約1,200㎡1,600万~2,200万円80万~110万円
中規模(7階建)50戸約3,000㎡4,500万~6,000万円90万~120万円
大規模(10階建)100戸約6,000㎡9,000万~1億2,000万円90万~120万円
高層(14階建)150戸約9,000㎡1億3,500万~1億8,000万円90万~120万円

南千住エリアや日暮里エリアの高層マンションでは、足場設置費用が総工事費の約18~25%を占めるため、工事費用が高額になる傾向があります。一方、町屋エリアや三河島エリアの中低層マンションでは、足場費用の割合が15~20%程度に抑えられるため、比較的費用を抑えやすいです。

荒川区と他地域との費用比較

荒川区の大規模修繕費用を、東京23区内の他地域と比較してみましょう。

地域1戸あたり費用相場特徴
荒川区80万~120万円低地の湿気対策により防水工事重視
足立区70万~110万円荒川区と同様の環境条件
江東区85万~130万円湾岸エリアは塩害対策が必要
港区110万~180万円高品質材料の使用率が高い
世田谷区75万~115万円高台地域は湿気の影響が少ない

荒川区は、港区や中央区などの都心部と比較すると費用は抑えられますが、低地特有の環境条件により、足立区や江東区と同水準の費用がかかる傾向があります。特に防水工事のグレードを高める必要があるため、高台に位置する世田谷区や目黒区と比較すると、1戸あたり5~10万円程度高くなるケースが多いです。

費用を抑えるためのポイント

荒川区で大規模修繕の費用を適正に抑えるためには、以下のポイントが重要です。

費用削減のポイント
  • 複数業者からの相見積もり▶︎最低3社から見積もりを取得し、工事内容と価格を比較検討します。
  • 修繕範囲の優先順位付け▶︎緊急性の高い防水工事や外壁補修を優先することで、一度の負担を軽減できます。
  • 材料のグレード選定▶︎荒川区の環境では、耐候性の高い材料を選ぶことで、次回修繕までの期間を延ばせます。
  • 助成金の活用▶︎後述する荒川区の助成金制度を活用することで、耐震診断・耐震工事や省エネ設備導入の費用負担を大幅に軽減できます。
  • 適切な時期の選定▶︎春(4月~5月)と秋(9月~11月)は気候が安定しており、工事の品質を保ちやすい時期です。繁忙期を避けることで、業者の値引き交渉もしやすくなります。

参考元:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

荒川区で利用できる助成金・補助金制度

荒川区では、マンションの耐震化や省エネ化を促進するための充実した助成金制度が整備されています。これらを効果的に活用することで、修繕費用の負担を大幅に軽減できます。

荒川区独自の助成金制度

東京都・国の支援制度

東京都および国の「大規模修繕・住宅長寿命化」に関わる支援制度を、以下の表に整理します。

制度によって対象・補助内容・主な要件が大きく異なりますので、実際の活用を検討される際は必ず最新の公募要領・実施要項をご確認ください。

制度名対象・概要補助・優遇内容主な要件・備考
マンション長寿命化促進税制(固定資産税特例)
(東京都)
築20年以上・10戸以上の分譲マンションで
「長寿命化に資する大規模修繕工事」を実施した場合。
工事翌年度の建物部分固定資産税が 2分の1(50%)減額管理計画認定等の取得、長寿命化工事の完了、申告の必要あり。
工事完了期間(例:令和5 年4月1日~令和7 年3月31日)等が設定されている。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
(国土交通省)
既存住宅(戸建・共同住宅)等を対象。
劣化対策/耐震性/省エネルギー性/維持管理/バリアフリー化など、
住宅の性能向上・長寿命化を目的とした改修を支援。
補助額:例えば「認定長期優良住宅型」で最大 160万円/戸など。リフォーム前にインスペクション(住宅診断)等を行い、補助対象工事内容に適合すること。
共同住宅も対象となるケースあり。

助成金申請の流れと注意点

助成金・補助金を確実に受け取るためには、正しい手順での申請が不可欠です。以下、一般的な申請の流れを説明します。

申請から受領までの流れ
  1. 情報収集と制度確認
    利用可能な助成金制度を調査し、自身の建物が対象かを確認
  2. 施工業者の選定
    補助金対応が可能な業者を選定(足立区の制度は区内業者が条件)
  3. 事前申請
    工事着工前に必ず申請(着工後の申請は不可)
  4. 交付決定通知の受領
    審査通過後、交付決定通知を受け取る
  5. 工事着工
    交付決定後に工事を開始
  6. 完了報告
    工事完了後、定められた期限内に完了報告を提出
  7. 補助金の振込
    審査完了後、指定口座に補助金が振り込まれる

申請時の重要な注意点

助成金・補助金を確実に受け取るためには、工事着工前の申請が最も重要です。多くの制度では、着工後の申請は一切認められません。
足立区の省エネリフォーム補助金では、着工予定日の5開庁日前までに申請が必要です。

また、申請書類に不備や不足があると受付されないため、チェックリストを活用し必要書類を漏れなく準備しましょう。予算は先着順で到達次第終了するため、年度初めの早期申請をおすすめします。

複数制度の併用を検討する場合は、同じ工事内容に重複申請できないケースもあるため、事前に各窓口へ確認することが重要です。

補助金申請に慣れた施工業者を選ぶことで、申請手続きのサポートを受けられます。新東亜工業では、助成金・補助金申請のアドバイスも行っており、お客様の負担を軽減します。

荒川区での大規模修繕の実施時期と周期

荒川区で大規模修繕を成功させるには、適切な時期と周期を見極めることが重要です。

低地特有の気候条件を考慮した実施時期の選定が、工事の品質を左右します。

国土交通省のガイドラインと荒川区の実態

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、大規模修繕は12~15年周期での実施が推奨されています。令和3年度の実態調査によると、実際の平均修繕周期は13年が最も多く、次いで12年、14年、15年となっており、全体の約7割が12~15年周期で実施している状況です。

荒川区においても、この国の指針が基本となりますが、地域特性を考慮すると、やや早めの周期での実施が推奨されます。その理由は以下の通りです。

湿気による劣化の加速

荒川区は隅田川と荒川に挟まれた低地であり、地表近くの湿気が常に建物に影響を与えています。

特に1階部分や地下駐車場では、コンクリートの中性化や鉄筋の錆が早期に進行するため、防水層の点検は10年目から実施することが望ましいです。

交通量の影響

明治通りや尾竹橋通りなどの幹線道路沿いのマンションでは、排気ガスや振動の影響で外壁の汚れや劣化が早期に進行します。

特に外壁塗装の耐用年数は、一般的な環境で12~15年とされていますが、荒川区の幹線道路沿いでは10~13年程度で劣化が目立ち始めるケースが多いです。

建物の築年数分布

荒川区内のマンションは築10~29年の建物が全体の約43%を占めており、まさに大規模修繕の適齢期を迎えている物件が集中しています。

これらの建物の多くは平成初期から中期にかけて建設されたもので、当時の防水材や塗装材の品質を考慮すると、早めの点検と修繕が必要です。

荒川区マンション実態調査(令和4年度)によると、区内マンションの平均築年数は約24年となっており、多くの建物が2回目の大規模修繕を検討する時期に来ています。

2回目の修繕では、1回目よりも劣化が進行しているケースが多く、給排水管の更新や電気設備の改修も併せて実施する必要があるため、計画的な資金準備が重要です。

荒川区に適した実施時期(季節)

大規模修繕工事は、気候条件が品質に大きく影響します。荒川区の気候特性を踏まえると、以下の時期が最適です。

荒川区で大規模修繕を実施する最適な時期は、春(4月~5月)と秋(9月~11月)です。この時期は、以下の理由から工事に適しています。

最適な時期:春(4月~5月)と秋(9月~11月)
  • 気温と湿度の安定
    外壁塗装や防水工事に使用される塗料・防水材は、適切な気温(5℃以上、30℃以下)と湿度(85%以下)の環境で施工する必要があります。春と秋は東京都の平均気温が15~25℃、湿度が60~70%程度で推移するため、材料の性能を最大限に引き出せます。
  • 降雨日数の少なさ
    東京都の年間降水量は約1,528.8mm(気象庁平年値)で、月別では9月(台風シーズン)と6月(梅雨)に集中します。春(4月~5月)は降雨日数が比較的少なく、工事の中断リスクが低いため、工期の遅延を防げます。秋は台風シーズンの9月を避けて10月~11月に実施することで、安定した気候条件で工事を進められます。
  • 窓開放の快適性
    大規模修繕中は足場と養生シートで建物が覆われるため、窓を開けにくくなります。春と秋は冷暖房なしでも過ごしやすい気候であるため、居住者の生活への影響を最小限に抑えられます。
避けるべき時期
  • 梅雨期(6月~7月中旬)
    降雨日数が多く、湿度も80%を超える日が続くため、塗装の乾燥不良や防水材の硬化不良が発生しやすくなります。工期の大幅な遅延リスクもあるため、この時期は避けるべきです。
  • 真夏(7月下旬~8月)
    気温が35℃を超える猛暑日が続き、塗料の乾燥が早すぎて施工不良が発生するリスクがあります。また、作業員の熱中症リスクも高まるため、工事の安全性と品質の両面で懸念があります。居住者にとっても、窓を開けられない環境での夏場の生活は大きなストレスとなります。
  • 厳冬期(12月下旬~2月)
    気温が5℃を下回る日が多く、塗料や防水材の硬化不良が発生しやすくなります。特に早朝の気温低下により、材料の性能が十分に発揮されないリスクがあります。ただし、工期が長期化する場合は、冬季の一部を含むことはやむを得ません。

劣化症状から見る修繕のタイミング

荒川区のマンションで、以下のような劣化症状が見られた場合、大規模修繕の実施を検討すべきサインです。

劣化症状原因対応の緊急度
外壁のひび割れ(0.3mm以上)コンクリートの収縮、振動の影響高(雨水浸入のリスク)
外壁塗装のチョーキング(白亜化)紫外線による塗膜の劣化中(防水性能の低下)
タイルの浮き・剥落接着剤の劣化、振動の影響高(落下事故のリスク)
屋上防水層のひび割れ・膨れ紫外線・熱による劣化、湿気高(雨漏りのリスク)
バルコニー防水の剥がれ歩行による摩耗、湿気中~高(下階への漏水リスク)
鉄部の錆・腐食塗装の劣化、隅田川からの湿気中(美観と強度の低下)
シーリングの劣化・ひび割れ紫外線・熱による硬化中(雨水浸入のリスク)
共用廊下・階段のひび割れ経年劣化、湿気中(転倒事故のリスク)
1階外壁のカビ・藻の発生低地の湿気、日照不足低~中(美観の低下)

特に荒川区では、1階部分の外壁や共用廊下でのカビ・藻の発生が他地域より多く見られます。

これは低地特有の湿気が原因であり、見た目の問題だけでなく、建物の劣化を加速させる要因となるため、早期の対応が推奨されます。

修繕周期を延ばすための日常メンテナンス

荒川区のマンションで修繕周期を適切に保つためには、以下の日常メンテナンスが重要です。

メンテナンスのポイント
  • 年1回の建物点検▶︎管理組合または管理会社による定期点検を実施し、劣化の初期段階で発見・対応することで、大規模な修繕を先延ばしにできます。
  • 排水溝の清掃▶︎屋上やバルコニーの排水溝に落ち葉やゴミが詰まると、雨水が滞留して防水層の劣化を早めます。年2回(春と秋)の清掃を習慣化しましょう。
  • 外壁の高圧洗浄▶︎5~7年ごとに外壁の高圧洗浄を実施することで、汚れや藻を除去し、塗膜の劣化を遅らせることができます。荒川区では湿気が多いため、洗浄後の十分な乾燥期間を確保することが重要です。
  • 共用部の小修繕▶︎ひび割れや剥がれを発見したら、小規模なうちに補修することで、大規模化を防げます。特に防水層の小さなひび割れは、放置すると雨水浸入の原因となるため、早期補修が重要です。

荒川区における大規模修繕の進め方

荒川区で大規模修繕を成功させるには、計画から完了までの各ステップを着実に進めることが重要です。

ここでは、荒川区特有の注意点を踏まえた進め方を解説します。

  1. STEP

    修繕計画の策定と建物診断

    大規模修繕の第一歩は、建物の現状を正確に把握することです。一級建築士などの専門家による建物診断を実施し、外壁・屋上・バルコニー・鉄部・共用部の劣化状況を詳細に調査します。

    荒川区では特に、1階部分や地下駐車場の湿気の影響、幹線道路沿いの排気ガスによる外壁汚れ、隅田川沿いのマンションでは鉄部の錆の進行状況を重点的にチェックします。

    長期修繕計画を見直し、修繕積立金の残高を確認することで、資金不足のリスクを早期に把握できます。

    荒川区の中規模マンション(50戸)では4,500万~6,000万円が必要です。

  2. STEP

    施工業者の選定

    信頼できる施工業者の選定は成功の鍵です。

    最低3社、できれば5社程度から相見積もりを取得し、荒川区内または近隣区での施工実績を確認します。

    湿気対策や防水工事に強い業者を優先的に選びましょう。設計監理方式を採用すれば、第三者の設計事務所が工事品質を客観的にチェックし、手抜き工事のリスクを大幅に減らせます。

    費用は総工事費の5~10%増加しますが、長期的な安心を得られます。

    工事後の保証期間(外壁塗装3~5年、防水工事5~10年)と保証範囲を明確に確認することも重要です。

  3. STEP

    住民への説明と合意形成

    大規模修繕は全住民に影響する大事業であるため、丁寧な説明と合意形成が不可欠です。

    工事内容、費用、工期、日常生活への影響について、住民向け説明会を複数回開催します。

    特に工事中の洗濯物干しの制限、窓開放の制限、駐車場の一部使用制限などの具体的な影響を説明し、理解を得ることが重要です。管理組合の総会で修繕計画と施工業者の選定について決議を取ります。

    修繕積立金が不足する場合は一時金徴収が必要になるため、荒川区では1戸あたり20万~50万円程度を想定し、分割払いなどの柔軟な対応を検討しましょう。

  4. STEP

    工事の実施

    工事開始前に、隣接するマンションや戸建て住宅に挨拶回りを行い、騒音や粉塵、工事車両の駐車について事前説明します。

    荒川区は住宅密集地が多いため、近隣トラブルの予防が重要です。

    工事開始直前に再度住民向け説明会を開催し、スケジュールや作業時間(通常8:00~18:00)、緊急連絡先を周知します。工事中は進捗状況を掲示板や回覧板、メールで定期的に報告し、工期遅延時には理由と見通しを丁寧に説明します。

    管理組合の理事が定期的に現場を視察し、特に荒川区の環境では防水工事の施工状況を重点的にチェックしましょう。

  5. STEP

    完了検査とアフターフォロー

    工事完了後は、施工業者、設計事務所、管理組合の代表者が合同で竣工検査を実施し、外壁の塗装ムラや防水層のひび割れなどをチェックします。不備があれば手直しを依頼しましょう。

    住民向けに引き渡し説明会を開催し、施工内容と今後のメンテナンス方法を説明します。

    特に防水工事を実施したバルコニーでは、重量物の設置制限や排水溝の清掃方法を周知します。

    施工業者から工事保証書を受け取り、保証期間と内容を確認します。

    工事完了後1年目、2年目に無料点検を実施し、初期不良を早期発見します。

    今回の修繕内容を記録し、長期修繕計画を更新しましょう。

荒川区で信頼できる大規模修繕業者の選び方

荒川区で大規模修繕を成功させる最大のカギは、信頼できる施工業者の選定です。

ここでは、業者選びの5つのチェックポイントを解説します。

大規模修繕業者の選び方のポイント
  • 荒川区または低地環境での施工実績
  • 有資格者の在籍と技術力
  • 見積もりの透明性と詳細性
  • アフターフォローと保証体制
  • コミュニケーション能力と誠実性

チェックポイント1.荒川区または低地環境での施工実績

荒川区の環境特性(低地、湿気、交通量の多さ)を理解している業者を選ぶことが重要です。以下を確認しましょう。

  • 荒川区内または近隣区(台東区、墨田区、足立区、北区など)での施工実績が豊富か
  • 低地環境特有の湿気対策や防水工事に強いか
  • 過去の施工事例の写真や詳細資料を提示できるか
  • 隅田川沿いや荒川沿いのマンションでの施工経験があるか

荒川区の環境に精通した業者は、地域特有の劣化パターンを熟知しているため、適切な材料選定と施工方法を提案できます。例えば、1階部分の外壁には防カビ・防藻効果の高い塗料を使用する、屋上防水では耐久性の高いシート防水を推奨するなど、経験に基づいた提案が期待できます。

チェックポイント2.有資格者の在籍と技術力

施工業者の技術力を判断するために、以下の資格保有状況を確認します。

  • 一級建築士・二級建築士:設計・監理の専門知識を持つ
  • 一級建築施工管理技士:工事全体の管理能力を持つ
  • 一級塗装技能士:高度な塗装技術を持つ
  • 防水施工技能士:防水工事の専門技術を持つ
  • 足場の組立て等作業主任者:足場の安全管理能力を持つ

これらの有資格者が複数在籍している業者は、技術力が高く、安全管理も徹底されている傾向があります。また、社内教育制度が整備されているかも重要なポイントです。

チェックポイント3.見積もりの透明性と詳細性

信頼できる業者は、見積もりの内容が詳細で、以下の項目が明確に記載されています。

  • 工事項目ごとの数量(㎡、メートル、箇所数など)
  • 使用する材料のメーカー名・商品名・グレード
  • 単価と金額の内訳
  • 諸経費の内容(現場管理費、一般管理費など)
  • 工期と各工程のスケジュール

「一式」という曖昧な表記が多い見積もりや、極端に安い見積もりには注意が必要です。荒川区の相場(1戸あたり80万~120万円)から大きく外れる場合は、工事内容の省略や材料のグレードダウンが疑われます。

チェックポイント4.アフターフォローと保証体制

工事後のアフターフォローと保証体制が充実している業者を選びましょう。

  • 保証期間:外壁塗装は3~5年、防水工事は5~10年の保証が一般的です。荒川区の環境では、防水工事の長期保証(7~10年)が特に重要です。
  • 定期点検:工事完了後1年目、2年目に無料点検を実施しているか
  • 緊急対応:雨漏りなどのトラブル発生時に、迅速に対応できる体制が整っているか
  • 保証の範囲:材料不良だけでなく、施工不良も保証対象に含まれているか

保証書の内容を事前に確認し、保証条件(定期点検の受診が必須など)を理解しておくことが重要です。

チェックポイント5.コミュニケーション能力と誠実性

大規模修繕は長期間にわたるプロジェクトであるため、業者とのコミュニケーションが円滑であることが重要です。

  • 質問や要望に対して、丁寧かつ迅速に回答しているか
  • デメリットやリスクについても正直に説明しているか
  • 住民説明会での説明が分かりやすく、住民の不安を解消しているか
  • 工事中の進捗報告や変更事項の連絡が適切か

初回の打ち合わせや現地調査の際の対応を観察し、信頼できる業者かどうかを見極めましょう。契約を急かす業者や、過度な値引きを提案する業者には注意が必要です。

株式会社新東亜工業の強みとは?

株式会社新東亜工業は、東京都江東区を拠点とし、荒川区を含む東京23区全域で豊富な大規模修繕実績を持つ専門業者です。

新東亜工業の強み
  • 地域密着型のサービス
    江東区を拠点としているため、荒川区までのアクセスが良く、緊急時の迅速な対応が可能です。低地環境(江東区も荒川区と同様に低地)での施工経験が豊富で、湿気対策や防水工事に強みを持っています。
  • 豊富な施工実績
    荒川区内および近隣区で多数の大規模修繕実績があり、地域特性を熟知しています。過去の施工事例をもとに、最適な修繕プランを提案します。
  • 一級建築士による設計・監理
    自社に一級建築士が在籍しており、建物診断から設計、施工監理まで一貫して対応できます。第三者的な視点での品質チェックも可能です。
  • 透明性の高い見積もり
    工事項目ごとに詳細な見積もりを提示し、使用材料のメーカー名・グレードも明記します。追加費用が発生する場合は、事前に説明と承認を得てから実施します。
  • 充実したアフターフォロー
    外壁塗装5年保証、防水工事10年保証を提供し、工事完了後も定期点検を実施します。荒川区の環境特性を考慮した長期的なメンテナンスアドバイスも行います。

荒川区で大規模修繕をご検討の際は、ぜひ株式会社新東亜工業にご相談ください。地域特性を踏まえた最適なプランをご提案いたします。

【施工事例】5階建てマンションの大規模修繕工事|新東亜工業

東京都世田谷区のRC5階建マンションで、隣家火災の影響を機に外壁・屋上・雨樋・バルコニーまで一括改修を実施。

保険活用+経年劣化対策で、安心して任せられる施工を実現しました。

工事の概要|費用・期間

調査・保険対応・大規模修繕を一本化し、スムーズな工程と明瞭な費用提示を実現しました。

170日間、8,900万円規模の改修です。

物件所在地 東京都世田谷区
建物規模 RC造5階建てマンション
工事内容 ・外壁・屋上防水
・雨樋
・シーリング
・タイル補修等
・全面改修
工期 170日間(約6か月)
工事金額 8,900万円

本工事では隣家の火災による直接被害と、経年劣化による外壁・屋上防水の複合的な課題が確認されました。

保険活用を交えた計画で、通常の修繕よりも効率的にコストを抑えつつ、建物全体の耐久性を向上させています。

お問い合わせ・ご依頼内容

管理組合様より、隣家火災を契機に修繕を検討したいというご相談を頂きました。

実際の最初のやり取りをご紹介します。

事務員:お電話ありがとうございます。新東亜工業でございます。

お客様:マンションの大規模修繕の見積をお願いしたいのですが、可能でしょうか。

事務員:もちろん可能です。現状把握のため、築年数・規模等をお伺いし、担当より折り返しご連絡いたします。

受付段階から丁寧にヒアリングを行い、管理組合様に安心感を持ってご相談いただける流れを構築しました。

初動対応の速さが、信頼獲得の鍵となりました。

現地調査から工事開始までの流れ

現地調査では、屋上・雨樋・外壁タイル・階段長尺シートなど多岐にわたる劣化を確認。

お客様との会話の一部を抜粋します。

高井:こんにちは。新東亜工業の高井です。本日はよろしくお願いします。

お客様:よろしくお願いします。

高井:火事が移ったところってどこらへんですか?

お客様:あそこですね!

高井:ここですね。雨樋も完全に割れていて、屋上も劣化進行しています。ウレタン通気緩衝工法を予定しています。

調査時に、お客様立会いのもと劣化箇所を実物写真で確認しながら、提案工法・下地補修の必要性・見積り条件を共有しました。

透明性ある説明が、理事会決議時の理解促進にも貢献しています。

工事中の流れ・やり取り

足場の組み立てが完了した後、外壁タイルの浮き補修・シーリングの打ち替え・屋上防水工事・長尺シートの張り替えと順を追って工事を進めました。

工事中は、共用廊下やバルコニーの利用制限、洗濯物の制限、騒音が出る作業日など、住民様に配慮しながら工程管理を行っています。

毎朝の作業前には担当者が必ず挨拶とその日の作業内容を説明し、安心して日常生活を送っていただける環境づくりを徹底しました。

また、掲示板やポスティングによる事前告知によって、予期せぬトラブルを防止しています。

熊倉:おはようございます。本日は屋上防水の2層目塗布と、共用部の長尺シートの施工に入ります。歩行スペースは確保していますのでご安心ください。


お客様:ありがとうございます。昨日よりも臭いが少ない気がしますね。


熊倉:はい、今日は低臭タイプの材料に切り替えています。また、雨が予想されていたので早めに作業を進め、安全第一で進めています。


お客様:細かく説明してもらえるので助かります。住民への掲示も見やすくて安心できます。


熊倉:ありがとうございます。何か気になる点があればいつでも声を掛けてください。

工事中は住民様ができるだけ普段通りの生活を送れるよう、工程変更や時間調整にも柔軟に対応しました。

共用部の利用制限は最低限に抑え、ベビーカーの通行や配送業者の荷物搬入など、生活動線への配慮を徹底しています。

騒音・臭気・粉じんなどの懸念点については、事前説明と迅速な対応体制によって不安を解消し、住民満足度の高い工事運営を実現しました。

工事完了から引き渡しまでの流れ

各工程の施工完了後は、自社検査(一次検査)を丁寧に行い、仕上がりの精度確認と細部の補修を徹底しました。

防水層の厚みの確認、シーリングの仕上げ状態、塗装面のムラや塗り残しの確認など、細かな品質チェックを行っています。

その後、管理組合様立会いによる竣工検査(二次検査)を実施し、現場の状況を写真・図面とあわせて説明し、合意を得たうえで引き渡しへと進みました。

さらに、保証内容の説明や、メンテナンス計画の案内も合わせて実施しています。

お客様:本当に綺麗に仕上がりましたね。タイル部分も前よりきれいになっていて驚きました。


熊倉:ありがとうございます。全体の確認が完了しましたので、来週保証書と竣工図書をお届けいたします。


お客様:住民からも工事中の対応が丁寧だったと声が上がっていました。安心して任せられました。


熊倉:そう言っていただけて嬉しいです。今後気になる点や不具合があれば、いつでもご連絡ください。

引き渡し後も、定期的なアフターメンテナンスを行うことで、防水性能と外装品質を長期的に維持できる仕組みを整えています。

特に屋上防水やシーリング部分は、劣化が進行する前に早期発見することで、工事の延命につながります。

工事が完了して終わりではなく、「長く守るパートナー」としての姿勢を重要視しています。

まとめ

本修繕事例は、火災被害と経年劣化を同時に捉え、保険活用から全面改修まで一貫した対応がなされました。

実際のお客様の声をご紹介します。

お客様:こちらこそ、綺麗にしていただきありがとうございました。また今後ともよろしくお願いします。

「早期相談」「透明な提案」「住民対応の丁寧さ」が、管理組合様の安心と施工品質の両立につながりました。

大規模修繕をご検討中の方は、ぜひこの流れを参考にしてください。

▶参考元:【実録】保険活用でお得に修繕!世田谷区マンションの大規模修繕の流れを完全公開!

荒川区の大規模修繕でよくあるトラブルと対策

荒川区で大規模修繕を実施する際、地域特性ゆえに発生しやすいトラブルがあります。

ここでは、代表的なトラブルと対策を解説します。

大規模修繕でよくあるトラブルと対策
  1. 費用超過と修繕積立金の不足
  2. 工期の遅延
  3. 近隣とのトラブル
  4. 施工不良の発覚

大規模修繕でよくあるトラブルと対策1.費用超過と修繕積立金の不足

荒川区では、低地特有の湿気対策や防水工事の重点実施により、当初予算を超過するケースがあります。

また、築年数の古いマンションでは、見積もり時には予測できなかった劣化が工事中に発見されることもあります。

トラブル対策方法
  • 早期の建物診断:工事の2年前から建物診断を実施し、劣化状況を正確に把握します。予備費として総工事費の10~15%を確保しておくことが推奨されます。
  • 修繕積立金の見直し:荒川区の環境では、他地域より修繕費用が高くなる傾向があるため、長期修繕計画を見直し、月額の修繕積立金を適切に設定します。国土交通省のガイドラインでは、1㎡あたり月額200円程度が目安とされていますが、荒川区では220~250円程度が適切です。
  • 段階的な修繕:全ての工事を一度に実施せず、緊急性の高い防水工事や構造補修を優先し、美観向上の工事は次回に回すなど、段階的な修繕計画を立てることで、一度の費用負担を軽減できます。

大規模修繕でよくあるトラブルと対策2.工期の遅延

東京都の気候では、梅雨期(6月~7月)や台風シーズン(9月)に降雨日数が増え、工事が中断することがあります。荒川区でも、予定していた工期内に天候不良が続くと、大幅な遅延が発生します。

トラブル対策方法
  • 適切な時期の選定:工事開始時期を春(4月~5月)または秋(10月~11月)に設定し、梅雨や台風シーズンを避けます。やむを得ず梅雨期をまたぐ場合は、予備日を多めに設定し、工期に余裕を持たせます。
  • 天候リスクの契約明記:契約書に、天候不良による工期延長の取り扱いを明記し、追加費用が発生しないことを確認します。
  • 進捗管理の徹底:週単位で工事の進捗を確認し、遅延の兆候があれば早期に対策を講じます。施工業者との定期的なミーティングを実施し、問題点を共有します。

大規模修繕でよくあるトラブルと対策3.近隣とのトラブル

荒川区は住宅密集地が多く、工事中の騒音、粉塵、工事車両の駐車などで近隣住民から苦情が寄せられることがあります。特に町屋エリアや三河島エリアでは、建物間の距離が近いため、配慮が必要です。

トラブル対策方法
  • 事前の挨拶回り:工事開始の2週間前までに、隣接する建物や住宅に挨拶回りを行い、工事内容と期間、作業時間、緊急連絡先を説明します。挨拶状の配布も効果的です。
  • 騒音・粉塵対策:作業時間を平日の8:00~18:00に限定し、早朝・夜間・日曜日の作業は原則行いません。養生シートで建物を覆い、粉塵の飛散を最小限に抑えます。
  • 工事車両の管理:マンション敷地内または近隣の駐車場を確保し、路上駐車を避けます。やむを得ず路上駐車する場合は、警察への道路使用許可申請を行います。
  • クレーム対応の体制:近隣からのクレームに迅速に対応できるよう、現場責任者の連絡先を明示し、24時間対応の体制を整えます。

大規模修繕でよくあるトラブルと対策4.施工不良の発覚

悪質な業者による手抜き工事や、職人の技術不足により、施工不良が発生することがあります。特に防水工事では、塗布厚さの不足や乾燥時間の短縮により、早期に不具合が発生するリスクがあります。

トラブル対策方法
  • 設計監理方式の採用:施工業者とは別の第三者(設計事務所)に監理を依頼し、工事の各段階で品質チェックを実施します。費用は増加しますが、手抜き工事のリスクを大幅に減らせます。
  • 管理組合による現場確認:修繕委員会のメンバーが定期的に現場を訪問し、施工状況を確認します。疑問点があれば、その場で施工業者に質問し、記録を残します。
  • 写真・動画による記録:工事の各段階を写真や動画で記録し、後日のトラブル防止に役立てます。特に防水工事では、塗布厚さの測定結果や乾燥時間の記録を残すことが重要です。
  • 完了検査の徹底:工事完了後、専門家(建築士など)による第三者検査を実施し、施工不良がないかを確認します。不備があれば、引き渡し前に手直しを依頼します。

荒川区の大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)

荒川区で大規模修繕を検討されている管理組合の皆様から、よく寄せられる質問にお答えします。

地域特性を踏まえた実践的な回答を提供いたします。

Q

荒川区のマンションで大規模修繕を実施する最適な時期はいつですか?

A

荒川区では、春(4月~5月)と秋(10月~11月)が最適な時期です。

この時期は気温が15~25℃、湿度が60~70%程度で安定しており、外壁塗装や防水工事に使用される材料の性能を最大限に引き出せます。

梅雨期(6月~7月)は降雨日数が多く、真夏(7月下旬~8月)は高温で塗料の乾燥が早すぎるため避けるべきです。

荒川区は低地で湿気が多いため、特に防水工事の品質を保つためには、適切な季節の選定が重要です。

工事開始から完了までの期間は中規模マンション(50戸)で約3~5ヶ月が目安です。

Q

荒川区の大規模修繕費用は他の区と比べて高いですか?

A

荒川区の大規模修繕費用(1戸あたり80万~120万円)は、東京23区平均(70万~120万円)と比較してやや高めの水準です。

これは、隅田川と荒川に挟まれた低地という地理的条件により、防水工事の品質を高める必要があるためです。特に1階部分や地下駐車場では湿気対策が重要で、高品質な防水材の使用が推奨されます。

また、幹線道路沿いの物件では排気ガスによる外壁劣化が早いため、耐候性の高い塗料を選定する必要があります。ただし、荒川区の助成金制度(耐震化推進事業など)を活用することで、実質的な負担を軽減できます。

Q

荒川区で利用できる助成金にはどのようなものがありますか?

A

荒川区では以下の助成金制度が利用できます。

  • 非木造建物耐震化推進事業:昭和56年5月31日以前に建築されたマンションの耐震診断(上限400万円)・耐震補強工事(上限1,000万円)に対する助成
  • 新エコ助成事業:LED照明、省エネエアコン、太陽光発電システムなどの導入費用の4分の1を助成(上限5万~15万円)
  • 分譲マンション防災対策費助成金:防災用資機材や防災倉庫の設置費用の3分の2を助成(上限400万円)

これらの制度は予算が限られているため、年度初め(4月~5月)の早い時期に申請準備を始めることが重要です。

また、東京都の「既存住宅省エネ診断・設計等支援事業」や国の「マンション長寿命化促進税制」と併用できる場合もあります。

Q

荒川区は低地で湿気が多いと聞きましたが、大規模修繕で特に注意すべき点は何ですか?

A

荒川区では、低地特有の湿気による建物劣化が他地域より進行しやすいため、以下の点に特に注意が必要です。

  • 防水工事の品質重視:屋上防水とバルコニー防水は、耐用年数の長いシート防水やウレタン防水の2層塗りを選択し、防水層の劣化を遅らせます。
  • 1階部分の重点対策:1階の外壁や共用廊下は地面からの湿気の影響を受けやすいため、防カビ・防藻効果の高い塗料を使用し、下地補修を入念に行います。
  • 地下駐車場の点検:地下駐車場がある場合、結露やカビの発生リスクが高いため、防水層の点検と換気設備の改善を検討します。
  • 排水溝の清掃:屋上やバルコニーの排水溝に落ち葉やゴミが詰まると、雨水が滞留して防水層の劣化を早めます。大規模修繕と併せて排水システムの点検と清掃を実施します。

荒川区の環境では、防水工事のグレードを高めることが、長期的な建物の健全性維持につながります。

また、東京都の「既存住宅省エネ診断・設計等支援事業」や国の「マンション長寿命化促進税制」と併用できる場合もあります。

Q

荒川区で大規模修繕を実施する場合、工期はどのくらいかかりますか?

A

荒川区での大規模修繕の工期は、建物の規模や工事内容によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

マンション規模総戸数建物階数工期の目安
小規模マンション20~30戸5~6階建約3~4ヶ月
中規模マンション40~60戸7~8階建約4~6ヶ月
大規模マンション80~120戸10~12階建約6~8ヶ月
高層マンション150戸以上14階建以上約8~10ヶ月

ただし、梅雨期や台風シーズンをまたぐ場合、天候不良により1~2週間の工期延長が発生することがあります。日暮里エリアや南千住エリアの高層マンションでは、足場の組立・解体に時間がかかるため、やや長めの工期となります。

工事スケジュールは余裕を持って計画し、住民への事前説明を丁寧に行うことが重要です。では、防水工事のグレードを高めることが、長期的な建物の健全性維持につながります。

また、東京都の「既存住宅省エネ診断・設計等支援事業」や国の「マンション長寿命化促進税制」と併用できる場合もあります。

まとめ

荒川区で大規模修繕を成功させるには、低地特有の環境条件を理解し、計画的に進めることが重要です。隅田川と荒川に挟まれた立地により、湿気による建物劣化が他地域より早く進行するため、防水工事の品質を重視した修繕計画が求められます。

荒川区の大規模修繕成功のための5つのポイント
  • 低地の湿気対策を最優先▶︎屋上・バルコニー防水に高品質材料を使用
  • 最適な実施時期▶︎春(4月~5月)・秋(10月~11月)の気候安定期を選択
  • 費用相場の把握▶︎1戸あたり80万~120万円が荒川区の標準相場
  • 助成金の活用▶︎耐震化推進事業(最大1,000万円)等で負担軽減
  • 地域精通業者の選定▶︎荒川区の環境特性を理解した施工業者を選ぶ

荒川区マンション実態調査によると、区内の約43%が築20年以上であり、まさに大規模修繕の適齢期を迎えています。

修繕周期は国の指針である12~15年を基本としつつ、荒川区では防水層の点検を10年目から実施することが推奨されます。助成金は予算が限られているため、年度初め(4月~5月)の早期申請が重要です。

適切な修繕計画と地域特性を理解した施工業者の選定により、資産価値を維持しながら、快適な住環境を長期的に保つことができます。

株式会社新東亜工業は、荒川区の環境を熟知した専門業者として、最適な修繕プランをご提案いたします。

新東亜工業が東京都内で大規模修繕工事に対応できるエリア

新東亜工業は東京都内の全エリアで大規模修繕工事に対応しています。

23区から多摩地域の市まで幅広く施工可能で、建物の規模や用途に合わせた適切な修繕プランを提案しておりあす。

新東亜工業は、東京都内を中心に外壁補修・タイル改修・屋上防水・設備更新など総合的な大規模修繕工事を提供しています。

地域特性や建物の状況に合わせた最適な工法を選定し、長期的な耐久性と安全性を重視した施工を行います。

現地調査・見積りは無料のため、東京都内で修繕をご検討中の方はぜひお気軽にお問い合わせください。