マンションメンテナンスの費用や実施時期・建物寿命は何年?法的点検についても解説 | 株式会社新東亜工業  

    コラム    

マンションメンテナンスの費用や実施時期・建物寿命は何年?法的点検についても解説

マンションの維持管理は、建物の資産価値を保ち、住民が安心して暮らすために欠かせないポイントです。

定期的なメンテナンスには適切な費用が必要で、実施時期を見極めることが建物寿命の延長につながります。また、法的に義務付けられた点検を怠ると安全性や法的リスクが発生するため、しっかりと理解しておきましょう。

本記事では、費用の目安や周期、建物寿命の考え方マンションメンテナンスの必要性、設備点検の頻度や項目、メンテナンス会社の選び方などを紹介します。

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マンションに定期メンテナンスが必要な理由

マンションの空室を減らし、建物の安全性を確保するためにはメンテナンスが必要です。

最初に、なぜ定期的なメンテナンスが必要なのかを詳しく解説します。

マンションに定期メンテナンスが必要な理由|空室を減らす

マンションメンテナンスを行うことで、空室改善効果が期待できます。

美観が良く、メンテナンスが行き届いているマンションとメンテナンスをしていないマンションでは、入居者はどちらに魅力を感じるのでしょうか。

マンションを内覧する際、メンテナンスが行き届いていない物件は第一印象が悪くなり、入居が決まらない可能性があります。

特に、エントランス、郵便受け、駐車場、ゴミ置き場などの共用部分が散らかっていると、外観に大きな影響を与えるでしょう。

反対に、清掃やメンテナンスが適切に実施されている物件は、住み心地が良いと判断されます。

空室率が上がる家賃収入を得られなくなることもあるため、メンテナンスは欠かさず行いましょう。

マンションに定期メンテナンスが必要な理由|マンションの寿命を延ばす

マンションの適切なメンテナンスは、建物自体の寿命を延ばすために必要です。

マンションの外壁や屋根は、常に紫外線や雨にさらされているため、経年劣化します。

例えば、外壁の塗装が剥がれたまま放置しておくと、構造部分の腐食などの問題が発生します。

屋根の屋根材が傷んでいれば、雨漏りが発生しやすくなるかもしれません。

しかし、適切なメンテナンスを行うことで、外観を保つだけではなく、建物の寿命を延ばすことができるでしょう。

マンションのメンテナンスをしない場合のリスクとは

マンションのメンテナンスをしないと、雨漏りにより躯体に悪影響を及ぼす、見た目が悪くなるなどのリスクがあります。

また、修繕費用が高額になることもあるため注意が必要です。

ここでは、マンションのメンテナンスを怠ると起こりうるリスクについて解説します。

雨漏りが起こる

マンションのメンテナンスをしないと、雨漏りのリスクが高まります。

雨漏りは「屋根から発生するものだ」というイメージがあるでしょう。

しかし、外壁の劣化や不具合があると雨漏りが発生しやすくなります。

外壁のひび割れ、シーリング材の劣化、塗装の剥がれなどを放置しておくと、外壁に隙間ができてしまいます。

隙間から雨水が侵入し、雨漏りや建物の構造体の腐食を引き起こすのです。

建物自体がもろくなり、寿命も短くなるため、メンテナンスは適切に行いましょう。

美観を損ねる

メンテナンスを怠ると、マンションの外観や印象を悪化させることもリスクのひとつです。

外壁は、毎日紫外線や雨水、強風などにさらされているため汚れてしまいます。

結果、外壁の色が褪せたり、塗膜の防水性が低下して藻やコケが繁殖しやすくなったりします。

外壁は、マンションの印象を変える重要な部分です。

外壁が汚れていたり劣化していたりするマンションは印象が悪く、マンションに住みたいと感じる方が減ります。

入居者が減ると家賃収入が入らなくなり、マンション自体の資産価値も下がったりするため注意しましょう。

修繕費用がかかる

メンテナンスを怠ると、マンションの修繕費がかさみます。

一般的にマンションは大規模修繕になるほど修繕費が高くなるだけではなく、工期も長くなることがデメリットです。

マンションの外壁や設備の大規模修繕は、そのマンションが機能し続ける限り、10年に1度程度行われます。

国土交通省の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、1戸当たりの工事費は約75万~125万円です。

大規模修繕は外壁だけではなく、屋上防水や建具の点検、給排水管の交換なども含まれます。

定期的なメンテナンスを行うことで、修繕費を最小限に抑えられるでしょう。

マンションのメンテナンスが必要になる周期

マンションの部位ごとに、適したメンテナンス周期は異なります。

メンテナンスが必要な場所別に、適した施工周期を紹介します。

屋上や屋根のメンテナンス

屋上・屋根は防水機能が低下する場合があります。

屋上は24年に1度、勾配屋根は24年、軒天・笠木は12年が修繕の目安です。

12年ごとの補修が必要ですが、補修期間の目安は24年に1度です。

同じ屋上にある設備でも修理期間が異なるので注意しましょう。

防水メンテナンス

マンションでは、開放廊下や階段、バルコニーなどの床にも防水が必要です。

多くのマンションでは、機能性とデザイン性に優れた「防滑性ビニル床シート」を採用しています。

バルコニーの床、開放廊下、階段の床などは12年周期で補修が必要です。

大規模修繕と同時に行えば、費用は安くなるでしょう。

外壁のメンテナンス

外壁塗装などの修繕は、場所によって時期が異なります。

例えば、コンクリート補修やタイル貼り、シーリングなどの補修は12年周期で行いますが、外壁や軒天の撤去、塗装は36年周期です。

ただし、再塗装は12年周期で行われるため、全体的な大規模修繕と同時に行うことを推奨します。

設備のメンテナンス

マンションでは、ドアやシャッターなどの設備も修繕をします。

例えば、手すり、屋外鉄骨階段、ドア、窓サッシの修繕周期は12年です。

その他に補修が必要な設備としては、宅配ロッカーや屋上フェンスなどがあり、24年または36年ごとに補修が必要です。

マンションのメンテナンスにかかる費用の負担について

マンションのメンテナンス費用は、管理組合が負担する部分、住民が自己負担する部分に分かれます。

共用部分は管理組合が対応

マンションの廊下、エントランス、ロビーなどの共用部分の管理は管理組合が対応します。

ここでは、専有部分と共有部分の区分け、負担先を確認していきましょう。

専有部分と共用部分の区分けとは

専有部分と共用部分は、どのように区分されているのでしょうか。

廊下やエントランス、ロビーのほか、実際には以下のような部分も共用部分となります。

  • インターホン
  • 窓ガラス
  • バルコニー
  • 給水配管

ただし、マンションの管理規約によって異なる場合があります。

バルコニーは入居者が自由に使えるとイメージする方が多いですが、共有部分です。

そのため、簡単に移動できない物は設置できない決まりがあります。

また、断熱性を高めるために窓ガラスを勝手にリフォームできません。

メンテナンスをする際には、どの部分が専有部分で、どの部分が共用部分なのかを確認しておくことが大切です。

自己負担する箇所

部屋の内部である専有部分のリフォームは、住民の自己負担です。

しかし、専有部分に見えるものの実際には共有部分である箇所については、自己負担になる可能性があります。

例えば、バルコニーが挙げられます。

通常の使用で劣化した場合の修繕は、区分所有者が自己負担するケースが多いです。

管理組合が負担する箇所

管理組合が負担する箇所は、災害が原因の劣化、共用部分の瑕疵です。

また、配管は、一部が専有配管、一部が共用配管となります。

例えば、マンション内部で漏水した際、漏水の原因が専有配管だった際は区分所有者の自己負担で賠償しますが、共有配管だった場合は管理組合の責任です。

マンションのメンテナンスに必要な修繕積立金の金額

マンションのメンテナンスでは、修繕積立金を活用します。

適した方法で積み立てなければ、メンテナンス費用が不足する可能性があるため注意が必要です。

そこで、修繕積立金の額や、積み立て方法を紹介します。

修繕積立金は築年数で異なる

国土交通省が5年に1回実施する「2018年マンション総合調査結果」によると、駐車場使用料や専用使用料からの充当額を含めた修繕積立金の平均額は、1戸あたり月額12,268円でした。

マンションの修繕積立金の残高の目安は、築年数や総戸数、地域などによって異なります。

また、設置されている設備やマンションの規模によっても必要額が異なるため、明確な基準値はありません。

修繕積立金の積み立て方

修繕積立金とは、マンションの共用部分や個々の住戸で発生する修繕費用をあらかじめ積み立てておくお金です。

毎月の管理費とは別に、修繕積立金として定められた金額を物件を管理する管理組合に支払います。

修繕積立金は、大規模修繕、突発的な設備の故障、自然災害による修繕など、さまざまな用途に使用されます。

マンションメンテナンスをする際のポイント

メンテナンスを業者に依頼する前に、管理組合が対応できることもあります。

また、メンテナンスは優良業者に依頼し、トラブルを防ぐことも重要です。

ここでは、メンテナンスをする前に知っておきたい重要なポイントを紹介します。

管理組合で定期自主点検を行う

居住者は、建物の目に見える部分や使用されている部分に問題があれば気づくでしょう。

例えば、オートロックが故障している、植物が枯れている、電気が切れているなどです。

軽微な不具合は理事会や管理人、管理会社などに情報や苦情として伝えられ、迅速に対処されます。

しかし、外壁に薄いひび割れが入っていたり、タイルが落ちかけていたりしても、気づかないことが多いです。

そこで、理事会が中心となって定期的に点検を行います。

理事会に専門家がいれば良いですが、基本的には肉眼で確認できる範囲で不具合をチェックするのみです。

瑕疵保険に加入している業者を選ぶ

工事の保証は万全か、アフターフォローは万全かを必ず確認することが大切です。

大規模修繕を行う業者は、工事完了後の保証として大規模修繕瑕疵保険に加入しています。

大規模修繕瑕疵保険は、加入施工業者が実施した大規模修繕に瑕疵があった場合に補償するものです。

瑕疵とは「欠陥」「過失」のことで、大規模修繕工事を行った施工業者が倒産などで補償を受けられない場合、瑕疵があれば保険法人から保険金が支払われます。

大規模修繕や瑕疵保険の請求は、工事の発注者が対応しなければなりません。

なお、保険金を請求できるのは、賃貸マンションの場合は建物所有者、区分所有建物の場合は管理組合です。

また、建築場所や条件によって、保険の対象となる建物や保険期間が異なります。

マンションのメンテナンスでは、トラブルが起こった際に保険適用外という事態を避けるためにも、業者に依頼する前に保険の適用範囲を確認しておくことが大切です。

丁寧な現地調査をしてくれる業者へ依頼

業者選びの際は、丁寧な現地調査とアドバイスをしてくれる業者に依頼をしましょう。

丁寧に現地調査を行わなければ、マンションの劣化度合いや現状を把握できません。

また、マンションのメンテナンスは長期にわたるため、担当者との密なコミュニケーションが大切です。

担当者と管理組合の相性が悪いと、トラブルになりやすいため注意しましょう。

現地調査の段階から丁寧に対応してくれる業者であれば、施主の要望を汲み取りながら、最適なプランを提案してくれるはずです。

マンションに必要な法的点検の種類

法定点検は大きく分けて9種類あります。

点検の間隔や内容は以下の通りです。

マンションがきちんと点検されているか、確認しましょう。

  1. 特定建築物定期調査(建築基準法)
  2. 建築設備定期検査(建築基準法)
  3. 防火設備定期検査
  4. エレベーター(昇降機)定期検査(建築基準法)
  5. 消防用設備点検(消防法)
  6. 防火対象物点検
  7. 簡易専用水道検査(水道法)
  8. 貯水槽清掃
  9. 自家用電気工作物定期点検

なお、エレベーター、消防設備、給水設備等の法定点検は、有資格者でなければ実施できません。

有資格者による定期点検が必要な項目は、専門業者に依頼しましょう。

また、検査結果は自治体や消防などに、一般的には理事名で所定の方法で報告することが義務付けられています。

そのため、法定点検はマンション管理会社に任せることが一般的です。

マンションのメンテナンスを定期的に行おう

マンションのメンテナンスの多くは管理組合が行うため、管理組合がどのような修繕計画を立てているかを確認することが大切です。

また、メンテナンスの場所によっては、入居者負担と管理組合負担が規約によって異なる場合もあります。

事前に管理規約を確認したうえで、どのようなメンテナンスが必要なのかを専門業者に相談しましょう。

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