2024.02.17
撤去工法とは?メリットやデメリット・屋上防水の改修ができないケースを解説
雨漏りは、建物の構造を劣化させ、資産価値を大きく損なう重大な問題です。
特に屋上は、常に雨風に晒されるため、定期的な防水工事が必要です。
防水工事には、既存の防水層を撤去して新しい防水層を施工する「撤去工法」と、既存の防水層の上から新しい防水層を施工する「かぶせ工法」の2種類があります。
この記事では、撤去工法のメリットとデメリット、そして屋上防水の改修ができないケースについて詳しく解説します。
雨漏りトラブルの早期解決と、建物の資産価値を守るために、ぜひ参考にしてください。

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屋上防水の撤去工法とは?
撤去工法は、屋上防水の改修方法の一つです。
既存の防水層を完全に撤去し、下地を清掃してから、新しい防水層を施工します。
まるで新築のように、防水層をゼロから作り直すイメージです。
屋上防水の撤去工法とかぶせ工法との違いを解説
屋上防水の改修方法には、大きく分けて「撤去工法」と「かぶせ工法」の2種類があります。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
項目 | 撤去工法 | かぶせ工法 |
---|---|---|
防水性能 | 確実に向上 | 既存の防水層の状態に左右される |
防水層の選択 | 自由 | 既存の防水層に合わせたものになる |
下地の確認 | 可能 | 不可能 |
費用 | 高い | 安い |
騒音・振動 | 大きい | 小さい |
廃材 | 大量 | 少量 |
このように、撤去工法、かぶせ工法にはメリットとデメリットが存在します。
それぞれのメリットとデメリットを比較し、最適な改修方法を選びましょう。
屋上防水における撤去工法のメリット
撤去工法には、以下のようなメリットがあります。
- 仕上がりが綺麗で、建物の美観を保てる
- 防水層の劣化状況を確認できるため安心
- 排水性が良いので、雨漏りのリスクが少ない
- 確実な防水性能を発揮できる
仕上がりが綺麗で、建物の美観を保てる
撤去工法は、既存の防水層を完全に撤去してから新しい防水層を施工するため、仕上がりが非常に綺麗です。
建物の美観を保ちたい場合に、撤去工法は適しています。
撤去工法で美観を保てる理由は、下地を清掃してから施工する 既存の防水層が残っていないため、下地を清掃してから新しい防水層を施工できるからです。
また、下地の状態に合わせて、さまざまな防水材を選択できます。
さらに、下地が露出しているため、丁寧な施工が可能となります。
撤去工法は、仕上がりが綺麗で建物の美観を保ちたい場合に最適な改修方法です。
施工業者や防水材を慎重に選び、定期的なメンテナンスを行うことで、美しい防水層を長持ちさせることができます。
防水層の劣化状況を確認できるため安心
撤去工法は、以下のような防水層の劣化状況を正確に把握し、安心安全な防水層を施工できるメリットがあります。
- 防水層のひび割れ
- 防水層のめくれ
- 防水層の膨れ
- 防水層の腐食
- 防水層に穴があく
これらの劣化状況を把握することで、適切な下地処理や防水材の選定が可能です。
また、防水層の下には、雨漏りの原因となる下地の亀裂、排水不良、腐食などの問題が隠れている可能性があります。
問題を早期に発見し、適切な補修を行うことで、雨漏りトラブルを未然に防ぐことが可能です。
劣化状況や問題点を把握した上で、最適な下地処理と防水材を選定し、安心して長く使える防水層を施工できます。
問題を先延ばしにせず、根本的な解決を図ることで、将来的なメンテナンスコストを抑えることが可能です。
雨漏りによる建物の劣化は、資産価値の低下を招きます。
撤去工法は、建物の資産価値を守る有効な手段です。
排水性が良いので、雨漏りのリスクが少ない
撤去工法のメリットは、排水性が格段に向上することです。
従来の防水層を完全に撤去することで、以下の点が改善され、雨漏りのリスクを大幅に減らすことができます。
- 水たまりができない
排水経路が確保され、雨水が滞留しにくくなります。水たまりは防水層の劣化や破損を招き、雨漏りの原因となります。 - 勾配が活かせる
下地の状態を把握し、適切な勾配を設けることで、雨水がスムーズに排水されます。勾配が不足していると、水たまりが発生しやすくなります。 - 排水口の詰まりを防ぐ
古い防水層やゴミなどが排水口を詰まらせる可能性を排除できます。排水口の詰まりは、雨水が溢れ出してしまう原因となります。
このように、雨漏りのリスクを排除したい場合は、撤去工法がおすすめです。
確実な防水性能を発揮できる
撤去工法のメリットは、確実な防水性能を発揮できることです。
既存の防水層を残したままだと、以下の問題が発生する可能性があります。
- 既存の防水層の劣化や傷みが、新しい防水層の性能を低下させる
- 既存の防水層と新しい防水層の間に水が浸入し、雨漏りの原因になる
- 下地の状態が確認できないため、潜在的な問題を見逃してしまう
撤去工法では、これらの問題をすべて解決できます。
その理由は、劣化や傷みのない、新しい防水層を施工できるからです。
また、下地の状態を詳しく確認でき、下地を清掃することで雨水の侵入を防いでくれます。
以上の理由から、撤去工法は、確実な防水性能を求めるためにおすすめの改修方法です。
屋上防水の撤去工法のデメリット
撤去工法は、確実な防水性能を発揮できる一方で、以下のデメリットがあります。
- 工期が長い
- 費用が高額
- 騒音や振動が発生する
- 下地処理が必要
工期が長い
撤去工法は、確実な防水性能を発揮できる一方で、工期が長いというデメリットがあります。
一般的な目安としては、かぶせ工法と比較すると2倍程度の工期がかかります。
工期が長くなる理由は、以下の作業が必要になるためです。
- 既存の防水層を撤去する
- 下地を清掃・補修する
- 新しい防水層を施工する
撤去工法を選択する際には、工期が長くなることを考慮し、以下の点に注意しましょう。
- 住人に事前に説明する:工期が長くなることによる影響を事前に説明し、理解を得ておくことが重要です。
- 騒音や振動対策を行う:防音シートや防振マットなどを用いて、騒音や振動を軽減する対策が必要です。
- 費用を明確にする:工期延長による費用増加の可能性を考慮し、事前に見積もりを取るようにしましょう。
工期短縮のために、さまざまな対策が考えられますが、事前にしっかりと計画を立てることが重要です。
費用が高額
撤去工法は、費用が高額になるというデメリットがあります。
具体的には、以下の費用がかかります。
- 既存の防水層の撤去費用
- 下地の清掃費用
- 新しい防水層の施工費用
- 廃材処理費用
これらの費用は、建物の大きさや形状、既存の防水層の種類などによって異なりますが、数百万円から数千万円になることも珍しくありません。
撤去工法の費用を抑えるためには、以下の方法が有効です。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 補助金の活用を検討する
- 時期を選んで施工する
また、費用を抑えたい方は、比較的安く施工できるかぶせ工法も検討しましょう。
騒音や振動が発生する
撤去工法の施工中に発生する騒音や振動は、近隣住民や建物利用者にとって大きな懸念事項です。
撤去工法では、以下の作業時に騒音や振動が発生します。
- 既存の防水層を撤去する作業
- 下地を清掃する作業
- 新しい防水層を施工する作業
これらの作業には、重機やハツリ機などの機械が使用されるため、大きな音を発生させたり、建物を揺らしたりする振動を生み出します。
工事中に発生する大きな音や振動は、近隣住民の生活に支障をきたします。
また、強い振動は、建物の構造体に損傷を与える可能性が高いです。
騒音・振動対策をしっかりと行うことで、近隣住民や建物利用者への影響を抑えることが可能です。
下地処理が必要
撤去工法では、既存の防水層を完全に撤去するため、下地がむき出しになります。
そのため、新しい防水層を施工する前に、下地を適切に処理することが必要です。
下地処理が不十分だと、以下の問題が発生する可能性があります。
- 新しい防水層との密着が悪くなり、剥がれやすくなる
- 下地の凹凸や亀裂が、防水層に影響を与えて、雨漏りの原因になる
- 下地の水分が残っていると、防水層の性能が低下する
これらの問題を防ぐために、撤去工法では、以下の下地処理を行います。
- 高圧洗浄で汚れやコケを除去する
- ケレンで下地の表面を粗くする
- 下地補修材で凹凸や亀裂を埋める
- プライマーを塗布して、防水層との密着性を高める
下地処理は、撤去工法の仕上がりに大きく影響するため、専門知識と経験を持った業者に依頼することが重要です。
既存の防水層の状態によっては、施工できないケースがある
撤去工法では、既存の防水層の状態によっては、施工できないケースがあります。
具体的な防水層の状態は、以下のとおりです。
- 既存の防水層がアスファルト防水の場合
- 下地が脆弱な場合
- 建物が老朽化している場合
アスファルト防水は、撤去時に下地にダメージを与えてしまう可能性が高いため、撤去工法が難しい場合があります。
下地が脆弱な場合、撤去作業によって下地がさらに劣化してしまう可能性があります。
また、建物自体が老朽化していると、撤去作業によって建物の躯体に負荷がかかり、倒壊などの危険性があります。
これらのケースでは、かぶせ工法など、撤去工法以外の改修方法を検討する必要があります。
撤去工法を採用すべきケースとは?
防水工事には「撤去工法」と「かぶせ工法(重ね張り)」の2つの選択肢があります。建物の状況によっては、かぶせ工法が適用できず、撤去工法を採用しなければならないケースもあります。ここでは、撤去工法が必要になる代表的なケースについて解説します。
既存の防水層が老朽化し、かぶせ工法が適用できない場合
防水層が長年にわたり繰り返し施工されている場合、以下のような理由でかぶせ工法が適用できないことがあります。
- すでに何度も防水工事を実施し、重ね張りが難しい状態
- 既存の防水層が分厚くなり、かぶせ工法では密着しない
- ひび割れや劣化が進行し、防水層として機能していない
- 既存の防水層が劣化していると、新たな防水材が適切に施工できず、効果が十分に発揮されない
建物の構造上、防水層の重量増加を避ける必要がある場合
かぶせ工法では、既存の防水層の上に新たな防水層を施工するため、建物の荷重が増加します。以下のような場合は、撤去工法が必要になります。
- 耐荷重制限がある建物では、重量増加による構造的リスクを避けるため
- 古い建物で耐震強度に不安がある場合、余分な荷重を避けるため撤去工法を選択
排水の流れが悪くなっている場合
かぶせ工法を繰り返すことで、排水経路が塞がれ、水たまりが発生しやすくなるケースがあります。
- 既存の防水層が劣化し、水はけが悪くなっている
- 長期間の水たまりにより、建物の耐久性が低下するリスク
このような場合は、防水層を完全に撤去し、適切な勾配をつけて新たな防水層を施工することで、根本的な問題解決が可能になります。
撤去工法の流れと施工期間の目安
撤去工法を実施する際には、事前にしっかりとした施工計画を立てることが重要です。工事の流れを理解し、適切な施工スケジュールを組むことで、トラブルを防ぎながら円滑に工事を進めることができます。
撤去工事の基本的な手順
撤去工法では、以下の流れで施工が行われます。
- 施工計画の策定(既存の防水層の状態確認)
- 防水層の劣化状態や排水経路を確認し、最適な施工方法を決定
- 撤去作業(防水層の剥がし・廃材の処理)
- 既存の防水層を完全に撤去し、下地の状態を確認
- 下地調整・補修(必要に応じて下地処理を実施)
- ひび割れや浮きのある箇所を補修し、新たな防水層の密着を確保
- 新しい防水層の施工(ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水など)
- 建物の構造や用途に応じた防水工法を選択
- 仕上げと最終点検
- 施工後の防水効果を確認し、施工完了
撤去工法の施工期間の目安
撤去工法の施工期間は、建物の規模や既存防水層の状態によって異なります。以下の表を参考に、スケジュールを検討しましょう。
建物規模 | 撤去期間 | 施工期間(合計) |
---|---|---|
小規模(100㎡未満) | 約1~3日 | 約2週間~1ヶ月 |
中規模(100~500㎡) | 約3~5日 | 約1~2ヶ月 |
大規模(500㎡以上) | 約5~10日 | 2ヶ月以上 |
施工期間は、建物の状況や天候に左右されるため、余裕をもった計画が必要です。
撤去工法と他の防水工法の比較(コスト・耐用年数・施工性)
撤去工法は確実な防水性を確保できますが、他の防水工法と比較するとコストや施工期間に違いがあります。建物の状況や予算に応じて、最適な工法を選択することが重要です。
撤去工法とかぶせ工法を表で比較
撤去工法とかぶせ工法では、施工の工程や費用、耐久性に大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解し、適切な工法を選びましょう。
項目 | 撤去工法 | かぶせ工法 |
---|---|---|
施工費用 | 高額(防水層の撤去費用が発生) | 比較的安価(既存防水層の上に施工) |
施工期間 | 長い(撤去作業があるため) | 短い(直接新しい防水層を施工) |
耐久性 | 高い(新規の防水層を施工) | 既存防水層の影響を受ける |
防水性能 | 高い(下地処理ができるため確実な防水性) | 劣化部分の影響が残る可能性あり |
騒音・振動 | あり(撤去時に発生) | ほぼなし(低騒音施工が可能) |
撤去工法の費用相場とコストを抑えるポイント
撤去工法の費用は、防水層の撤去費用や新規防水工事の施工方法によって大きく変動します。事前に相場を把握し、コストを抑えるためのポイントを押さえておくことが重要です。
撤去工法の費用相場
施工面積が大きいほどコストが高くなるため、事前に見積もりを確認することが重要です。
工事内容 | 費用相場(1㎡あたり) |
---|---|
既存防水層の撤去 | 2,000~5,000円 |
下地補修 | 1,000~3,000円 |
新規防水工事(ウレタン・シートなど) | 3,000~10,000円 |
総額 | 6,000~15,000円 |
撤去工法のコストを抑えるポイント
撤去工法のコストを抑えるためには、適切な施工計画を立てることが重要です。以下のポイントを意識しながら、無駄なコストを削減しましょう。
相見積もりを取る(最低3社以上)
- 業者ごとに価格差があるため、複数社の見積もりを比較し、適正価格を把握する
助成金・補助金を活用(自治体によって異なる)
- 省エネ改修補助金(遮熱・断熱防水に適用)
- 耐震改修補助金(耐震補強を伴う改修工事)
長期的なメンテナンス計画を立て、劣化の早期対策を実施
- 定期点検を行い、劣化が進む前に部分補修を行うことで、撤去工法を必要としない状態を維持する
撤去工法を選ぶ場合は、コスト・工期・メリット・デメリットを十分に理解し、適切な業者を選ぶことが重要です。
屋上防水の撤去工法のまとめ
ここまで、撤去工法について解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
確実な防水性能を発揮、下地の状態を確認できる、排水性が良い、長持ちする防水層を施工できる、自由に防水層を選べる
工期が長い、費用が高額、騒音や振動が発生する、下地処理が必要、既存の防水層の状態によっては、施工できないケースがある
撤去工法がおすすめなケース | 撤去工法が施工できないケース |
---|---|
・既存の防水層が劣化している ・雨漏りが発生している ・防水層の種類を変更したい ・長持ちする防水層を施工したい ・排水性を改善したい ・下地の状態を確認したい | ・既存の防水層がアスファルト防水の場合 ・下地が脆弱な場合 ・建物が老朽化している場合 |
撤去工法は、確実な防水性能を発揮できる改修方法ですが、デメリットも存在します。
改修方法は、建物の状況や予算、工期などを考慮して慎重に選ぶことが大切です。
専門業者に相談し、最適な改修方法を見つけてください。
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