賃貸と分譲マンション大規模修繕で工事内容や費用の違いはある?それぞれの区分の特徴も解説 | 株式会社新東亜工業  

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賃貸と分譲マンション大規模修繕で工事内容や費用の違いはある?それぞれの区分の特徴も解説

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分譲マンションと賃貸マンション、どちらが自分に合っているのか悩む方も多いかと思います。

分譲マンションは所有者として自由にリフォームや売却ができるメリットがあり、資産価値の維持や向上が期待できます。一方で、賃貸マンションは契約期間内での住み替えや初期費用の低さが魅力です。

本記事では、分譲と賃貸の違いや、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説し、物件選びのポイントもご紹介します。

賃貸マンションと分譲マンションの違いや大規模修繕の注意点などを解説しますので、最後までご覧ください。

分譲・賃貸・分譲賃貸マンションの違いをまずは解説

「分譲」「賃貸」「分譲賃貸」マンションには、それぞれ異なる特徴とメリットがあります。ここでは、それぞれの違いを解説します。

1. 分譲マンション

分譲マンションは、購入者が個別に所有権を持つマンションです。購入者はマンションの一室を所有するだけでなく、建物の共有部分や敷地の一部も所有することになります。分譲マンションを購入するメリットとして、資産として所有できることや、リフォームなど自由に部屋をカスタマイズできる点が挙げられます。しかし、購入後は管理費や修繕積立金がかかるため、維持費が必要です。

2. 賃貸マンション

賃貸マンションは、所有者が所有する物件を借りる形で居住するタイプです。賃貸契約を結び、家賃を支払って住むため、所有権は持ちませんが、転勤やライフスタイルの変化に応じて柔軟に住み替えが可能です。初期費用が比較的低く、引っ越しのしやすさが魅力ですが、家賃の支払いは続けなければならず、資産としての価値は残りません。

3. 分譲賃貸マンション

分譲賃貸マンションは、本来は「分譲」用として販売されたマンションを所有者が賃貸に出しているものです。分譲マンションの高い設備や仕様を賃貸で利用できるのが大きなメリットです。分譲賃貸では、一般的な賃貸マンションよりも高級感のある設備やセキュリティ面での安心感が得られますが、家賃が通常の賃貸よりも高額になることが多いです。

これらの違いを理解することで、自分に合った住まいの選択肢が見つけやすくなります。

マンション大規模修繕の賃貸と分譲の違いは?

マンションの大規模修繕は、建物の経年劣化に伴う修繕工事を指します。

しかし、その費用負担の仕組みは、賃貸と分譲で大きく異なります。

ここでは、その違いについて解説します。

項目賃貸マンション分譲マンション
修繕費用の負担原則として賃借人は負担しない区分所有者が修繕積立金や修繕費を負担
メリット賃借人は一時金の支払いが不要
賃貸事業者が一括して負担
資産価値の維持
長期的に住み続けられる
デメリット賃料値上げのリスク
老朽化が進めば転居を余儀なくされる可能性
一時金の負担が大きい
修繕工事に伴う生活上の不便

上記の表からわかるように、マンション大規模修繕における費用負担のしくみは、賃貸と分譲で大きく異なります。

賃貸の場合は一時金負担がありませんが、賃料値上げや転居リスクがあります。

一方、分譲マンションは高額な一時金を払う代わりに、資産価値を維持でき、長期居住が可能になります。

このように、賃貸か分譲かで大規模修繕における仕組みが異なります。

一時金負担、賃料値上げリスク、長期居住の要否など、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、中長期的な観点から最適な選択をすることが重要です。

賃貸マンションの大規模修繕のメリット・デメリット

賃貸マンションの大規模修繕では、賃借人は一時金での大規模な支払いは不要ですが、賃料値上げや将来的な転居リスクがあります。

メリット・デメリットを理解した上で、長期的な視点が重要となります。

賃貸マンションの大規模修繕メリット】

  1. 一時金負担がない
    賃貸事業者が修繕費を負担するため、賃借人は一時金での支払いを要しません(国土交通省)
  2. 賃貸事業者が資産価値維持に責任を負う
    建物の所有者である賃貸事業者が、建物の資産価値を維持する責任を負います。

賃貸マンションの大規模修繕デメリット】

  1. 賃料値上げのリスク
    修繕費が賃料に転嫁される可能性が高く、10年で20%以上の賃料値上げになる例もあります(UR賃貸住宅データ)。
  2. 転居リスク
    老朽化が進めば、賃貸事業者が建替えや売却を選択し、賃借人は転居を余儀なくされる恐れがあります。

A社が運営する東京・渋谷区の賃貸マンション(築35年)では、5年前から大規模修繕工事を重ね、その費用を賃料値上げに反映し現在の家賃は新規入居時から30%アップというケースも。

以上のように、一時金負担はありませんが、賃料値上げや転居リスクがあるため、長期的な視点で賃貸物件を選ぶ必要があります。

建物の築年数や賃貸事業者の修繕方針を確認することが重要です。

分譲マンションの大規模修繕のメリット・デメリット

分譲マンションの大規模修繕では、高額な一時金負担が発生する反面、資産価値の維持と長期居住が可能になるというメリット・デメリットがあります。

将来を見据えた準備が重要となります。

分譲マンションの大規模修繕メリット】

  1. 資産価値の維持
    適切な修繕を行うことで、分譲マンションの資産価値を維持できます(不動産経済研究所)。
  2. 長期居住が可能
    同じ住まいに長期的に住み続けられ、転居の手間が省けます。

分譲マンションの大規模修繕デメリット】

  1. 高額な一時金負担
    修繕積立金や修繕費として、1,000万円以上の一時金負担が発生する例もあります(東京23区のデータ)。
  2. 生活上の不便
    長期の工事に伴い、騒音や動線確保など、生活上の一時的な不便が生じます。

T分譲マンションでは、築35年時に大規模修繕を実施。

区分所有者一人当たり1,500万円の修繕費が課されましたが、修繕後の査定価格は工事前から20%アップしました。

一時金の高額な負担はありますが、資産価値の維持と長期居住が可能になるメリットがあります。

入居当初から修繕積立金を計画的に貯め、生活上の不便にも備える必要があります。

中長期的な費用対効果を検討することが重要です。

分譲マンションの大規模修繕の注意点

分譲マンションの大規模修繕では、計画的な修繕積立金の貯め込み、区分所有者全員の合意形成、耐震改修への対応が主な注意点となります。

早期の準備と、将来を見据えたマンション管理が不可欠です。

  1. 計画的な修繕積立金の貯め込み
  • 首都圏の分譲マンション修繕積立金の平均額は1,185万円(2022年/プロパスト調べ)
  • 築年数が経つにつれ、将来の大規模修繕に備え、積立金を計画的に貯めておく必要があります。
  1. 区分所有者全員の合意形成が不可欠
  • マンション修繕工事をめぐるトラブルは年間1万件以上発生(国土交通省推計)
  • 工事の時期や内容をめぐり、区分所有者間で意見がまとまらないと工事が進められません。
  1. 耐震改修への対応
  • 首都圏の耐震改修平均費用は7,500万円(東京都調べ)
  • 耐震性が求められる場合、工事費に加えて別途この費用が必要になります。

築40年のA分譲マンションでは、耐震改修を含む大規模修繕を実施しましたが、区分所有者間の賛否が割れ、工事開始が3年遅れました。

結果、一人当たり1,800万円の修繕費が必要となりました。

分譲マンションの大規模修繕は、入居当初から長期的な視点をもって準備しておく必要があります。

また、マンション管理組合における区分所有者間の円滑なコミュニケーションと合意形成が欠かせません。

マンション大規模修繕での補助金や助成金の種類と条件を紹介

マンションの大規模修繕には多額の費用がかかりますが、国や地方自治体からの補助金を利用することで、経済的負担を軽減することができます。ここでは、主要な補助金の種類とそれぞれの条件について詳しく解説します。

以下の表にまず簡単にまとめました。

補助金の種類条件対象工事例
省エネ改修補助金断熱材の追加や省エネルギー設備の導入を行うこと
一定のエネルギー効率改善が見込まれること
断熱材の追加、高効率給湯器の設置
LED照明への交換
耐震改修補助金建物の耐震性を向上させる工事を行うこと
耐震診断の結果に基づいた改修であること
耐震補強工事、柱や梁の補強
バリアフリー改修補助金高齢者や障害者のためのバリアフリー化を行うこと
公共性が認められること
スロープの設置、エレベーターの設置
手すりの設置
条件、対象工事例は一般的な内容となります。自治体によって条件が変わることがあるため詳しくは各自治体へお問い合わせください

それぞれの内容を詳しく解説します。

省エネ改修補助金

まず、省エネ改修補助金についてです。この補助金は、建物の断熱性能を向上させたり、省エネルギー設備を導入したりする場合に支給されます。具体的には、断熱材の追加や高効率給湯器の設置、LED照明への交換などが対象となります。この補助金を受けるための条件として、断熱材の追加や省エネルギー設備の導入を行うことが求められ、さらに一定のエネルギー効率改善が見込まれることが必要です。

※参考資料:国土交通省マンションの省エネ改修事例・支援制度

耐震改修補助金

次に、耐震改修補助金があります。この補助金は、建物の耐震性を向上させるための工事に対して支給されます。対象となる工事には、耐震補強工事や柱や梁の補強などがあります。補助金を受けるためには、耐震診断の結果に基づいた改修であることが条件となります。これは、建物の耐震性を確保し、住民の安全を守るために非常に重要です。

バリアフリー改修補助金

最後に、バリアフリー改修補助金です。この補助金は、高齢者や障害者のためにバリアフリー化を行う場合に支給されます。対象となる工事には、スロープの設置、エレベーターの設置、手すりの設置などが含まれます。この補助金を受けるための条件としては、高齢者や障害者のためのバリアフリー化を行うこと、そして公共性が認められることが必要です。バリアフリー化は、高齢者や障害者が安全に快適に暮らせる環境を整えるために重要です。

以上のように、マンション大規模修繕に対する補助金にはさまざまな種類があり、それぞれに特有の条件があります。適切な補助金を選び、条件に合った工事を行うことで、補助金を有効に活用することができます。

大規模修繕工事の流れを紹介

大規模修繕工事では、マンションやビルの寿命を延ばし、快適な住環境を維持するために欠かせません。以下では、大規模修繕の流れを詳しく説明します。

修繕委員会を発足

まず、大規模修繕工事の計画を進めるために修繕委員会を発足します。この委員会は、住民の代表や管理組合のメンバーで構成され、工事の計画から実施、監督までの一連の流れを管理します。委員会があることで、住民全体の意見を反映した透明性の高い意思決定が可能になります。委員会のメンバーは、定期的に会議を開き、工事の進捗や問題点について話し合います。

状態確認・劣化診断

次に、専門家による建物の状態確認と劣化診断が行われます。技術者が外壁、屋根、配管、共用部分などを詳しく調査し、劣化や損傷の状態を把握します。この診断結果を基に、どの部分を修繕する必要があるかを決定します。調査は、住民の安全を確保しながら行われ、結果は詳細な報告書としてまとめられます。この報告書は、今後の修繕計画の重要な基礎資料となります。

予算・工事計画

劣化診断の結果を基に、修繕に必要な予算と具体的な工事計画を立案します。この計画には、修繕の範囲、工事内容、スケジュール、予算などが含まれます。住民の生活に与える影響を最小限に抑えるための対策も考慮されます。管理組合や住民と協議を重ね、最適な修繕計画を確定します。この段階で、計画に対する住民の理解と同意を得ることが重要です。

施工会社の選定

工事を実施する施工会社を選定します。複数の施工会社から見積もりを取り、技術力、実績、費用、サービス内容などを総合的に比較検討します。信頼性の高い施工会社を選ぶことが、工事の品質とスムーズな進行を確保するための鍵となります。選定された会社と具体的な工事内容について確認し、契約を結びます。

総会決議

修繕計画と施工会社の選定が完了したら、管理組合の総会で計画を承認する決議を行います。全住民に計画の詳細を説明し、同意を得ることで、計画の透明性と住民の理解を深めます。総会では、質疑応答の時間を設け、住民の疑問や不安を解消することが重要です。この総会決議をもって、修繕工事の正式なスタートが切られます。

工事説明会の開催

総会決議の後、工事説明会を開催します。施工会社の担当者が出席し、工事の具体的な内容、スケジュール、安全対策などを住民に説明します。住民からの質問や意見に対応し、工事への理解と協力を求めます。説明会では、工事中の生活への影響や安全対策についても詳しく説明し、住民の協力を得るための信頼関係を築きます。

大規模修繕工事の契約・着工

工事説明会が終了したら、施工会社との契約を締結し、いよいよ修繕工事が着工されます。工事は計画に基づいて進行し、安全管理と品質管理が徹底されます。工事中は定期的に進捗状況が確認され、住民への影響を最小限に抑えるための対策が講じられます。住民への定期的な報告も行い、安心して工事を見守れるようにします。

工事完了

工事が完了したら、最終検査を行い、修繕が計画通りに実施されたことを確認します。専門の検査員が工事箇所を詳細にチェックし、すべての修繕が適切に行われていることを確認します。最終検査に合格した後、工事は正式に完了となります。工事完了後には、アフターケアとして一定期間内に発生した不具合に対して施工会社が対応します。引き渡しの際には、工事の詳細な報告書や保証書が提供され、今後のメンテナンス計画についての説明も行われます。

大規模修繕工事は、建物の価値を維持し、住環境を向上させるための重要です。計画的に実施し、住民の理解と協力を得ることで、成功に導くことができます。

大規模修善工事でのよくある質問

ここでは大規模修繕工事でよくある質問を紹介します。工事費用や施行中の疑問をまとめました。

Q

大規模修繕で10戸のマンションではどのくらいが費用目安?

A

A: 10戸のマンションの大規模修繕の費用は、規模や建物の状態、修繕内容によって異なりますが、一般的には1000万円から1,500万円程度が目安とされています。具体的な費用は、外壁や共用部分の修繕内容、使用する材料の種類によって変動するため、詳細な見積もりを施工業者で確認しましょう

Q

マンション大規模修繕時にエアコンは使用できる?室外機はどうする?

A

大規模修繕中でも基本的にはエアコンの使用は可能ですが、外壁塗装や防水工事の際には一時的に使用を控える必要がある場合があります。室外機は、作業に支障がない限りそのまま設置された状態で保たれることが一般的です。ただし、工事の進捗によっては室外機を一時的に移動させる場合もあるため、管理組合や施工業者からの指示に従ってください。

Q

マンション大規模修繕の際のベランダの荷物やアンテナはどうすればいい?

A

大規模修繕の際には、ベランダの荷物は一時的に室内に移動させる必要があります。特に、外壁塗装や防水工事の影響を受けやすいものは、工事開始前に片付けてください。また、テレビアンテナや物干し竿も取り外しが必要になる場合がありますので、事前に管理組合や施工業者の指示に従い、適切に対応してください。

Q

大規模修繕の際に洗濯物は外に干せる?

A

大規模修繕期間中は、外壁工事や塗装の影響でベランダに洗濯物を干すことが制限されることがあります。工事用のネットやシートが張られるため、日光が遮られたり、塗料やホコリが付着する可能性があります。管理組合や施工業者からの案内に従い、洗濯物は室内で乾かすか、コインランドリーの利用を検討してください。

Q

大規模修繕の際に立ち会いや在宅が必要なことはある?

A

大規模修繕では、住戸内に立ち入る必要のある作業が発生する場合があります。例えば、配管の点検やベランダ側のサッシ工事などが該当します。その際には、居住者の立ち会いや在宅を求められることがあるため、事前に管理組合や施工業者からの連絡を確認し、予定を調整してください。それ以外の工事については基本的に在宅の必要はありませんが、作業内容によって異なるため、詳細は管理組合の案内を確認することが重要です。

この他、大規模修繕のよくある質問について知りたい方は以下の記事をご覧ください

マンション大規模修繕での賃貸と分譲の違いまとめ

分譲マンションと賃貸マンションは、それぞれメリットとデメリットがあり、自分に合った選択をすることが重要です。

分譲マンションは、所有権を持つことができるのに対し、賃貸マンションは所有権がなく、契約に基づいて住むことができます。

分譲マンションは、将来的な資産形成に適しており、資産価値が上昇する可能性もあります。 また、内装の変更やリフォームなど、自分の好きなように住居をカスタマイズすることができます。

一方で、賃貸マンションは、初期費用が安く、引っ越しも容易です。 また、大規模修繕などの管理費は、オーナーが負担します。

自分に合った住居を選択するためには、ライフスタイルや将来の計画などを考慮することが重要です。 分譲マンションは、資産形成や自由度の高さが必要な場合に適しており、賃貸マンションは、初期費用を抑えたい場合や引っ越しが多い場合に適しています。

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