大規模修繕工事にコンサルタントは必要?役割や業務内容と選び方のポイントを押さえよう

マンションにお住まいの皆様にとって、大規模修繕工事は建物の寿命を延ばし、快適な住環境を維持するために非常に重要なイベントです。
しかし、専門的な知識や経験が求められる大規模修繕工事を、管理組合だけで円滑に進めるのは困難な場合もす少なくありません。
そこで、大規模修繕工事の専門家であるコンサルタントのサポートが不可欠です。
本記事では、大規模修繕工事を成功に導くために、信頼できるコンサルタントの選び方や役割について、徹底的に解説します。

なぜ大規模修繕にコンサルタントが必要なのか?

大規模修繕工事は、単なる建物の補修に留まらず、長期的な視点での維持管理計画に基づいて行われるべきものです。
その過程においては、建物の劣化状況の正確な把握・適切な修繕計画の策定・信頼できる施工業者の選定、そして工事の品質管理など、多岐にわたる専門知識と経験が求められます。

マンション大規模修繕にコンサルタントが必要な理由はいかのとおりです。

  • 管理組合だけで進める難しさ:大規模修繕工事は、管理組合の役員の方々にとって、通常業務に加え、専門外の知識を必要とする大きな負担となります。工事内容の妥当性や費用の適正性などを判断するには、専門的な知識が不可欠です。
  • 専門家の視点によるメリット:外部の専門家であるコンサルタントは、第三者としての客観的な視点から、建物の状況を正確に診断し、管理組合の意向を踏まえた最適な修繕計画を提案してくれます。また、専門知識に基づいたアドバイスにより、不要な工事や不適切な業者選定のリスクを低減することができます。

大規模修繕コンサルタントとは?その定義と役割

大規模修繕コンサルタントとは、マンションなどの大規模な建物を対象に、大規模修繕工事に関する専門的な知識や経験に基づき、管理組合をサポートする専門家のことです。
彼らは、管理組合が主体的に行う大規模修繕工事を中立的な立場から支援し、工事の成功に向けてさまざまな業務を行います。

  • 管理組合を専門知識でサポートする存在:大規模修繕コンサルタントは、建築や設備に関する専門知識はもちろんのこと、マンション管理に関する知識も持ち合わせており、管理組合が抱える様々な疑問や不安に対して適切なアドバイスを提供します。
  • 大規模修繕をスムーズに進めるための指南役:コンサルタントは、工事の準備段階から完了まで、各プロセスにおいて管理組合を導き、円滑な工事の進行をサポートする重要な役割を担います。

大規模修繕コンサルタントの主な業務内容

大規模修繕コンサルタントの業務内容は多岐にわたりますが、主に以下の4つの業務が中心となります。
管理組合は、これらの業務の中から必要な範囲をコンサルタントに委託することができます。

建物の劣化診断

大規模修繕工事の第一歩として、建物全体の劣化状況を詳細に調査・診断します。

外壁、内部、設備の詳細な調査

建物の劣化診断では、外壁のひび割れや塗装の剥離・タイルの浮き・屋上防水層の劣化、さらには給排水設備の老朽化や配管の腐食状況など、建物全体をくまなく調査し、劣化している箇所やその進行度合いを的確に特定します。
目視による確認だけでなく、打診調査や非破壊検査などの専門的な手法を用いることで、表面からは見えにくい内部の不具合も把握します。
また、場合によっては入居者へのアンケートやヒアリングを行い、普段の生活の中で感じている建物に対する不安や違和感をリサーチし、診断結果に反映させることもあります。
これにより、現場の実情を踏まえた、より実効性の高い改修計画の基礎資料とすることができます。

工事の必要性や範囲を判断

建物の劣化診断の結果をもとに、建物のどの部分に大規模修繕工事が必要であるか、またその工事を実施すべき適切な時期や優先順位、具体的な工事内容などを総合的に検討し、詳細な報告書として取りまとめます。
報告書には、劣化の程度や原因・今後の劣化予測なども含まれており、工事の必要性を客観的に判断できる材料として活用されます。
さらに、建築や設備に関する専門家の知見を加えることで、工事の内容に説得力が増し、管理組合や居住者が安心して修繕計画を立てることが可能になります。
こうしたプロセスを経ることで、無駄のない効果的な修繕工事が実現でき、将来的な建物の安全性や快適性を高めることにもつながるでしょう。

改修設計

劣化診断の結果と管理組合の要望を踏まえ、具体的な工事内容や使用する材料・工法などの詳細な設計を行います。

管理組合の要望に基づいた設計

建物の改修設計においては、まず管理組合からの意見や要望を丁寧にヒアリングすることが重要です。
居住者のライフスタイルや建物の使用状況・将来的な維持管理の観点など、多岐にわたるニーズを把握したうえで、それらを設計に的確に反映させます。
例えば、バリアフリー対応の要望や設備更新の優先順位、外観デザインへの配慮など、具体的な内容を盛り込みながら、実現可能な改修計画を立案します。
また、コストや工期なども踏まえ、管理組合と綿密に連携しながら、合意形成を図るプロセスを大切にしています。

修繕費用の範囲内での設計

建物の改修設計においては、あらかじめ定められた予算内で最大限の効果を得ることが非常に重要です。
そのため、限られた資金の中で最も費用対効果が高く、長期的なメリットをもたらす設計を心がけています。
具体的には、耐久性やメンテナンス性に優れた材料の選定、省エネルギー性能の向上、将来的な修繕費の軽減につながる工夫など、コストパフォーマンスを最大化するための検討を重ねます。
また、管理組合とも密に連携を取りながら、優先順位を整理し、必要な工事と不要な工事を明確に分けることで、無駄を省いた効率的な設計を実現します。

施工会社選定のサポート

複数の施工候補会社から見積もりを取得し、その内容を比較・検討するだけでなく、各社の施工実績や技術力・信頼性などを総合的に評価し、管理組合にとって最適な施工会社を選定するためのサポートを行います。

見積もり内容の比較・検討

施工会社の選考にあたっては、各社から提出される見積書の金額だけに注目するのではなく、見積もりに含まれる工事範囲・使用する材料の品質や種類・工期の長さや工程の内容など、さまざまな要素を総合的に比較・検討します。
また、見積書に記載されている内容が図面や仕様書と整合しているかを確認し、不明な点や記載の曖昧な部分、費用の内訳などに関しては積極的にヒアリングを行います。
これにより、管理組合が納得して選定できるよう、透明性の高い判断材料を提供し、トラブルのない工事の実施を支援します。

施工実績や能力の見極め

施工会社を選定する際には、過去に手がけた同様の改修工事や大規模修繕の実績を確認し、類似物件での対応力や完成度を把握します。
加えて、現場を管理する技術者がどのような国家資格や実務経験を有しているか、また会社全体の施工体制やアフターサービスの内容も確認し、技術力の信頼性を総合的に評価します。
さらに、会社の財務状況や経営の安定性も確認し、長期間にわたる保証や対応が可能かどうかも重要な判断材料とします。
ただし、これらの情報をもとにした助言はあくまでサポートであり、施工会社の最終的な決定権は管理組合にあります。
公平で納得感のある選定が行えるよう、丁寧に支援を行います。

工事監理

工事が開始された後も、設計図書通りに工事が進められているか、使用されている材料や施工方法に問題はないかなどをチェックし、工事の品質を管理・監督します。

設計図書通りの工事が行われているかのチェック

工事監理では、設計図書や仕様書に基づいて、工事が計画通りに進んでいるかを常に確認し、工程の遅れや不備がないよう厳しくチェックします。
具体的には、建材や設備が図面通りに選定・使用されているか、施工方法が仕様に則って適切に行われているかを細かく確認し、品質の確保に努めます。

問題点の指摘と改善指示

工事の不備や設計図書との相違点などが発見された場合には、早急にその内容を確認し、施工会社に対して適切な改善措置を指示します。
品質や安全性を確保するためには、些細な違いも見逃さず、施工内容が契約通りに行われているかを丁寧に精査することが求められます。
また、修繕委員会などから工事に関する具体的な要望や意見が寄せられた場合には、施工業者の現場監督へ直接相談を行い、調整や対応策を協議する役割も担っています。
こうした対応を通じて、関係者間の意思疎通を図りながら、円滑な工事の進行と高い品質の確保を目指します。

大規模修繕コンサルタントの種類

大規模修繕工事のコンサルタントには、主に以下の3つのタイプがあります。
それぞれに特徴が異なるため、管理組合の状況やニーズに合わせて適切なタイプを選ぶことが重要です。

大規模修繕コンサルタント専門会社

大規模修繕工事に特化したコンサルタント会社は、専門性の高い知識と豊富な実績を活かして、計画立案から施工会社選定、工事監理までを一貫してサポートします。
これらの会社には、マンション管理士や一級建築士・設備設計士などの有資格者が在籍していることも多く、法的な視点や技術的な観点から的確なアドバイスが可能です。
もともと建設会社や設計事務所に所属していた専門家が独立して設立したケースや、修繕工事を請け負っていた企業がコンサルティング部門を独立させたケースもあり、現場で培ったノウハウに基づく実践的な支援が期待できます。
利害関係を排除した中立的な立場から管理組合に寄り添う姿勢が求められ、高品質な修繕工事の実現に貢献します。

マンション管理会社

近年では、日常的な建物管理を行っているマンション管理会社が、その延長として大規模修繕のコンサルティング業務を請け負うケースも増えています。
これらの管理会社は、日々の巡回や点検、管理組合との継続的なコミュニケーションを通じて、建物の劣化状況や住民のニーズを的確に把握しているため、スムーズに修繕計画を立てやすいという利点があります。
また、施工会社との連携実績が豊富で、工程管理や品質管理のノウハウも蓄積されています。
さらに、自社内に施工部門や設計・監理を担う専門部門を有している場合や、外部の協力会社と強固なネットワークを構築している場合には、調査から施工管理までを一括で依頼することができ、手続きの簡略化やコスト削減にもつながります。
ただし、施工とコンサルの立場が重なることで中立性の確保が課題となる場合もあるため、その点は慎重な検討が必要です。

一級建築士事務所

一級建築士の資格を持つ建築士が、設計事務所を独立開業し、マンションの大規模修繕に特化したコンサルティング業務を行うケースも多く見られます。
もともと新築建物の設計や監理に携わっていた建築士が、その知識と経験を活かして修繕計画の策定や工事監理に転じることもあり、建物全体の構造や仕様に精通していることから、きめ細やかで高度な技術的アドバイスが可能です。
特に長寿命化や省エネルギー対策、バリアフリー化など、専門的な提案を求められる場面では、その知見が大きな武器となります。
なお、大規模修繕のコンサルタントを務めるにあたり、必ずしも建築士の資格が必要というわけではありませんが、建物の構造・法規・施工技術などに精通した建築士が関わることで、管理組合にとっても安心感があり、信頼性の高いコンサルティングが実現します。
中立的な立場から最適な修繕方法を提案し、第三者として工事の品質確保に尽力する姿勢が、多くの組合から支持されています。

信頼できる大規模修繕コンサルタントの選び方

大規模修繕工事の成否は、コンサルタントの選択にかかっていると言っても過言ではありません。
信頼できるコンサルタントを選ぶためには、以下の点を慎重に確認する必要があります。

コミュニケーション能力の高さ

管理組合と施工業者の間に立ち、双方の意向を正確に伝えながら調整を行うためには、高いコミュニケーション能力が不可欠です。

  • 管理組合と施工業者の間を取り持つ:両者の意見を丁寧に聞き取り、誤解がないように正確に伝える能力が重要です
  • 分かりやすい説明をしてくれるか:専門用語を避け、理解しやすいように説明してくれるかを確認しましょう

豊富なコンサルティング実績と高いリピート率

過去の大規模修繕工事のコンサルティング実績を確認し、特に自身のマンションと類似した物件の実績があるかを確認しましょう。
同じマンションからのリピート率が高い場合も、信頼できるコンサルタントである可能性が高いと言えます。
実績の数だけでなく、その質も重要です。

管理組合の意向の理解度

管理組合の方針や、工事に対する要望などをしっかりと理解し、それに沿った提案をしてくれるかを確認しましょう。
一方的に自身の得意なやり方を押し付けるのではなく、組合の考えを汲んで提案してくれるコンサルタントを選ぶことが大切です。
施工会社選定方法のメリット・デメリットをきちんと説明してくれるかどうかも、重要なポイントです。

実際の担当者がヒアリングに来るか

複数の候補者を選定する際のヒアリングには、実際に担当する予定の建築士などが参加するかどうかを確認しましょう。
営業担当者だけでなく、担当者の経験や人柄・提案内容などを直接確認することが重要です。

業務範囲の明確さ

委託する業務範囲を、事前に明確にすることが重要です。
管理組合としてどのようなスタンスでコンサルタントと付き合いたいのかを明確にし「管理組合が主導となって行うつもりだが専門知識がないので適切な金額・工事かをアドバイスしてほしい」のか「時間がないので自分たちの代わりにいろいろお任せしたい」のかによって、コンサルタントに求める役割が変わってきます。

マンション管理組合運営の知識の有無

大規模修繕工事の知識だけでなく、マンション管理組合の運営に関する知識も不可欠です。
管理組合の運営ルールや総会の決議事項などを理解しているコンサルタントであれば、円滑な合意形成をサポートしてくれるでしょう。

公平性・中立性の確保

コンサルタントが特定の施工会社と癒着している場合や、自社に利益誘導するような提案をする可能性がないかなど、公平性・中立性をしっかりと見極めることが重要です。
設計監理方式においては、設計者と監理者を兼ねる場合に、施工会社からのリベートを受け取るケースも指摘されています。
国土交通省も、管理組合と利益相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在と課題解決に向けた取組事例を公表しています。

「大規模修繕の実施ありき」ではないか

建物の劣化状況を客観的に診断し、必ずしも大規模修繕工事がすぐに必要でないという判断もあり得るコンサルタントを選びましょう。
コンサルタントによっては、その後の設計や工事監理の業務を受注したいがために、工事実施を強く勧めてくるケースもあるため注意が必要です。

見積金額だけで判断しない

見積金額は重要な判断要素の一つですが、安さだけで決めるのは危険です。
極端に低い見積金額の場合、必要な業務が省かれていたり、不適切な方法で業務が行われたりする可能性も指摘されています。
提示された見積金額と業務内容のバランスをしっかりと確認し、総合的に判断することが重要です。
調査や診断・修繕設計・工事監理などの業務では、業務内容に応じた人件費が必要となるため、それを考慮して判断しましょう。

大規模修繕コンサルタントを選ぶ際の注意点

信頼できるコンサルタントを選ぶためには、以下の点にも注意が必要です。

主体性のある工事にする

コンサルタントに全てを任せきりにするのではなく、管理組合自身も主体的に関与することが重要です。
「お任せすれば何でもやる」というコンサルタントは、 見えないところで施工会社と癒着し、談合を行うようなケースも存在します。
「すべてを任せるには一定のリスクがある」ということを覚えておきましょう。

不適切コンサルタントの手口と対策

  • 名義貸しや下請けへの丸投げ:コンサルタントに業務を依頼したにも関わらず、実際には経験のない下請け業者や施工会社の社員が業務を行っていたという事例があります。パンフレットに多数の技術者が所属していると書かれていても、実質的には少人数で運営している会社もあるため、注意が必要です。
  • 見積金額の操作:特定の施工会社の見積金額が低くなるように、他の候補会社にだけ少ない数量の工事内容を伝えるなどの操作が行われることがあります。
  • バックマージンの要求:コンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作を行い、割高な工事費や過剰な工事項目・仕様の設定を誘導するケースがあります。格安のコンサルタント料金で受託し、結果として管理組合に経済的な損失を与えることがあります。

極端に低い見積金額に注意

他社の見積や周辺の相場より極端に低い見積金額には、注意が必要です。
施工内容をしっかりと確認し、なぜ低いのか具体的な理由を明確にしてもらいましょう。

誓約書の締結や損害賠償条項

不適切な行為を防ぐために、コンサルタントとの契約時に、施工会社との癒着や不正行為を行わないことを約束する誓約書を提出させたり、万が一そのような事態が発覚した際の損害賠償責任を明記した条項を盛り込むことも有効な対策の一つです。
これらの提出を渋る場合は、不正や手抜き工事を行う可能性が高いため、契約を控えましょう。

国土交通省の相談窓口の活用

不適切なコンサルタントに関する相談窓口が、国土交通省に設置されています。
不安な点があれば、積極的に相談してみましょう。

大規模修繕で問題となっている「談合」とは?

談合とは、複数の企業や個人が互いに協力して競争を避けることで、価格や条件を不正に調整する行為を指します。
通常は複数の業者が競争し、最も適正な価格やサービスを提供することが期待されていますが、談合が行われると、競争が制限されることで特定の業者が意図的に有利な立場を占めることになります。
これらのことから、以下のような弊害が生じるでしょう。

不正な競争による意図しない価格設定

談合により複数の業者が価格や条件を事前に調整することで、適正な競争が行われなくなり、工事費用が不当に高く設定される可能性があります。
これにより、管理組合が本来支払うべき金額以上のコストが発生し、住民に過剰な負担を強いることになります。

品質の低下

談合を行うと、コスト削減や利益追求のために施工の品質が犠牲にされることがあります。
修繕工事が十分に行われない、または低品質な資材が使われることもあり、最終的に建物の寿命を縮めるリスクが増大します。

市場の健全な発展が妨げられる

談合が常態化すると市場の競争が抑制され、業者間の健全な技術革新やサービス向上が阻害されます。
新規業者や低価格で質の高いサービスを提供する可能性のある業者が除外されることで、業界内の競争がさらに不健全なものになってしまいます。

大規模修繕のコンサルタント費用相場

大規模修繕工事のコンサルタント費用の相場は、一般的に総工事費用の3〜10%程度となることがほとんどです。
例えば、総工事費用が3,000万円の場合、コンサルタント費用は90〜300万円程度が目安となります。
ただし、コンサルタントの依頼範囲やマンションの規模・工事内容などによって実際の費用は大きく異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
複数のコンサルタントから見積もりを取り、実際の費用を比較検討することが重要です。

大規模修繕のコンサルタント選定方法

信頼できるコンサルタントを選ぶためには、以下のステップで慎重に進めていきましょう。

  1. STEP

    委託する業務内容の明確化・予算の検討

    理事会や修繕専門委員会などで、コンサルタントに委託する業務の範囲を具体的に決定します。
    また委託する業務範囲に合わせて、コンサルタント費用の概算予算も検討しましょう。

  2. STEP

    委託候補者の選定

    従来の付き合いのある信頼できる専門家がいる場合は特命で委託することも考えられますが、通常は複数の候補者を選定します。
    近隣マンションの管理組合による紹介や、インターネット検索・公募など、さまざまな方法から管理方針に合う候補を複数検討しましょう。

  3. STEP

    情報収集と書類審査・面談

    委託候補の実績や対応可能な範囲など、管理組合の方針と照らし合わせながら情報収集しましょう。
    候補者が多数の場合は、この段階で書類審査を行い、数社に絞り込みます。
    数社に絞り込んだあとは、理事会や修繕委員会と企業の面談を行い、コミュニケーション力や提案力などをチェックしましょう。

  4. STEP

    委託先の決定

    面談の結果や、場合によっては過去にその候補者が担当したマンションの管理組合からの情報なども参考に、見積金額・コンサルタントの専門性・実績・人柄・提案内容などを総合的に評価し、委託先を決定します。

まとめ

マンションの大規模修繕工事には、建物の劣化を補修し、長寿命化を図る重要な役割があります。
しかし、修繕計画や工事の進行管理には専門的な知識が必要であり、管理組合だけで進めるのは難しい場合もあります。
コンサルタントは、建物の状況を正確に診断し、適切な修繕計画を立てる専門家であり、工事の質とコストを最適化する役割を担います。

コンサルタントには、建築業界から独立した専門家や、既存の管理会社が提供する場合など、さまざまな種類があります。
信頼できるコンサルタントを選ぶためには、過去の実績や資格、業界での評判を確認することが重要です。
選定時には費用の透明性や談合の有無にも注意を払いましょう。
談合が行われていると競争が不正に制限され、工事費用が高くなる可能性があるため、注意が必要です。

選定の際は、費用だけでなく、提案内容やサポートの充実度を総合的に評価しましょう。
複数の候補を比較し、信頼性や過去の実績を確認し、修繕計画を履行できる最適な業者を選定することが大切です。

大規模修繕は、住民の生活に直結する重要な事業です。信頼できるコンサルタントを選ぶことで、工事の質や安全性・コストの最適化を図り、長期的な安心を提供することができます。
今回紹介した内容を参考に、満足できる大規模修繕工事を実現しましょう。