2024.04.19
アパートの中規模修繕の周期や費用の目安は?木造や鉄骨で費用は変わる?
アパートの中規模修繕は、建物の状態を維持し、居住環境を改善するために定期的に行われる工事です。一般的には、築10年から15年を目安に計画されることが多く、この時期に発生しやすい劣化や不具合を補修することが目的です。具体的には、屋根や外壁の補修、設備機器の交換、共用部分の改修などが含まれます。
木造と鉄骨のアパートの修繕ではそれぞれの建物の特性に応じた適切なメンテナンスを行うことが、長期的なコスト削減につながります。
この記事では、木造と鉄骨での修繕費用の違いや、最適な修繕周期について詳しく解説します。
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アパートの中規模修繕について
中規模修繕とは、建物の大規模な修繕工事を行わずに、部分的な修繕や設備の更新を行う工事のことです。
中規模修繕には以下の特徴があります。
- 建物の大規模な修繕ではなく、部分的な修繕や設備の更新を行う
- 建物の経年劣化を防ぎ、資産価値の維持につながる
- 費用は大規模修繕に比べて抑えられる
国土交通省「マンション修繕積立金に関するガイドライン」では、中規模修繕は「空調設備の更新」「給排水設備の一部更新」などが例示されています。
マンション管理業協会の調査では、中規模修繕の費用は平均で21万円/戸と大規模修繕の半額以下ほどとなります。
某マンション(築30年)では、エレベーターの更新と共用廊下の防水工事を行い、費用は1億円(60戸で167万円/戸)という実例があります。
アパートの中規模修繕の周期の目安は?
アパートの中規模修繕の周期には一般的な目安があります。
10年から15年に1度を目安に中規模修繕を行うのが一般的ですが、建物の状況や設備の耐用年数によっても周期は異なります
国土交通省の「マンション修繕積立金に関するガイドライン」では、中規模修繕の周期を「10年から15年程度の周期」としています。
一般社団法人マンション管理業協会の調査によると、中規模修繕の平均周期は13.2年となっています。
築20年のマンションでは、以下のように中規模修繕を行った事例があります。
- 10年目:給湯設備更新
- 15年目:エアコン設備更新
- 20年目:エレベーター設備更新
このように、一般的な目安はありますが、建物の状況や設備の更新時期を考慮して、適切な周期で中規模修繕を行うことが重要です。
アパートの中規模修繕の費用の目安は?
アパートの中規模修繕にかかる費用には、一般的な目安があります。
大規模修繕の概ね半額程度の費用がかかると想定され、マンション1戸当たりで平均21万円前後が目安です。
一般社団法人マンション管理業協会の調査によると、中規模修繕の平均費用は1戸当たり21万円とされており、同調査では大規模修繕の平均費用は1戸当たり40万円を超えています。
- 60戸のマンションで共用部分の改修工事を行った事例
工事費総額1億2,000万円 = 1戸当たり約20万円 - 80戸のマンションで給排水設備の一部更新工事を行った事例
工事費総額2億円 = 1戸当たり約25万円
このように、中規模修繕の費用は大規模修繕に比べると抑えられますが、戸数や工事内容によって変動します。
適切な修繕計画と見積りが重要になります。
木造や鉄骨アパートで修繕費用に差は出る?
木造と鉄骨アパートでの修繕費用の差については、実はあまりかかる金額は変わらないと言われています。経年劣化して部分修繕などの場合築30年まではどちらも同じくらいの金額がかかると言われています。
アパートの中規模修繕の工事内容について
アパートの中規模修繕では、主に以下の工事が行われます。
- 設備の更新工事
- 共用部分の改修工事
- その他、部分的な補修や改修工事
設備の更新工事の内容
設備の更新工事の内容ですと、下記のようなものとなります。
- 空調設備(エアコン)の更新
- 給排水設備(給水・排水管の一部)の更新
- 昇降機設備(エレベーター)の更新
- 受変電設備の更新
共用部分の改修工事の内容
共用部分の改修工事の内容ですと、下記のような内容です。
- 防水工事(屋上・バルコニーなど)
- 塗装工事(外壁・鉄部・廊下など)
- 建具(窓・ドア)の取替え
国土交通省の「マンション修繕積立金に関するガイドライン」では、上記の設備更新工事や共用部分の改修工事を中規模修繕の一例として挙げています。
中規模修繕では老朽化した設備の更新や共用部分の改修を中心に行います。
建物の状況に応じて、部分的な補修工事も含まれます。
アパートの中規模修繕のメリット
アパートの中規模修繕を行うメリットは以下の通りです。
- 建物の資産価値の維持につながる
- 大規模修繕に比べて費用が抑えられる
- 居住環境や設備性能が向上する
経年劣化を防ぎ、建物を適切に維持管理することができ大規模修繕ほど工事の規模が大きくないため、費用を抑えることができます。
設備の更新により、性能の高いものとなり快適性や省エネ性能を向上されことも可能です。
築25年マンションで空調設備を更新した事例ですと、冷暖房費が20%削減され、快適性と省エネ性が向上したケースも。
アパートの中規模修繕の進め方
アパートの中規模修繕を適切に進めるための手順は以下の通りです。
- 修繕計画の策定
事前に建物の現状を調査し、修繕工事の優先順位を決める
修繕積立金の残高と今後の修繕費用を確認する - 設計者や施工業者の選定
修繕工事の内容に応じて適切な設計者や施工業者を選定する - 区分所有者への説明と同意
修繕工事の内容と費用負担などを区分所有者に説明し、同意を得る - 工事の実施
設計図書に基づき、施工業者が修繕工事を行う - 検査と引渡し
完成した工事について検査を行い、適切に引き渡される - 修繕費用の精算
最終的な修繕費用を区分所有者に割り振り、精算する
アパートの中規模修繕の注意点
アパートの中規模修繕を行う際には、以下の点に注意が必要です。
- 適切な修繕計画の立案
- 費用の見積りと同意の取得
- 施工業者の慎重な選定
- 専門家による検査の実施
適切な修繕計画の重要性
事前に建物の状況を調査し、優先順位を検討することが大切です。
修繕積立金の残高と今後の修繕費用も確認しましょう。
計画的に修繕を行わないと、将来的に大きな負担になる可能性があります。
マンション管理適正化指針(国交省)では、修繕計画の重要性が強調されています。
建物状況の定期的な調査と修繕計画の見直しが求められています。
費用と同意について
複数の業者から見積りを取り、工事費を適正に算出する必要があります。
また、工事の内容と費用負担について、区分所有者に丁寧に説明し、同意を得ることが不可欠です。
施工業者の選定
実績と信頼性のある施工業者を選ぶことが重要です。
施工不良があると、建物の資産価値が下がる可能性があります。
検査の実施
工事完了後は、マンション管理士など専門家による検査を確実に行い、適切な施工が行われたことを確認しましょう。
このように、中規模修繕には適切な計画と準備、実施体制作りが欠かせません。
将来の建物の資産価値を維持するためにも、注意深く進める必要があります。
アパートの中規模修繕工事についてまとめ
今回はアパートの中規模修繕工事について解説しました。
中規模修繕は、アパートの快適な居住環境を維持するために欠かせません。木造と鉄骨のそれぞれの特性を考慮し、適切な修繕計画を立てることが重要です。
定期的な点検と計画的な修繕を行うことで、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持することが可能です。