2024.03.19
パラペットとは?雨漏りの原因になりやすい?役割や防水工事の種類を解説
パラペットは建物の屋上や屋根の外周に設けられた立ち上がり部分で、防水性を高める重要な役割を果たしますが、同時に雨漏りの原因にもなりやすい箇所です。その形状や構造は、陸屋根や片流れ屋根など屋根の形状によって異なり、適切な高さと防水シートの使用が重要です。笠木、内樋、排水システムなど、パラペットの各部位には定期的なメンテナンスや修理、補修が必要とされます。そこで本記事では、パラペットの定義や役割、雨漏り対策としての防水工事の種類や施工方法、そして屋上での施工上の注意点などを詳しく解説します。また、効果的な雨漏り対策と適切な維持管理に必要な知識、パラペットに関する費用相場なども紹介しますので、最後までご覧いただき、建物の管理にお役立てください。
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パラペットとは?雨漏りとの関係は?
パラペットとは、建物の屋上や屋根などの外周に設けられている立ち上がり部分のことで、低い壁のようなイメージです。
パラペットは、建物の防水性を高める役割を持っています。
パラペットの役割によって雨水を屋上や屋根で堰き止められるため、雨水が室内に侵入することを予防できるのです。
このようにパラペットは、建物の防水性を高める役割がある重要な設備ですが、同時に雨漏りしやすい部分でもあります。
一時的に雨水を集めて排水溝から排出する仕組みになるため、排水溝や防水層など屋根や屋上の雨水が集まる部分に劣化や不具合があれば、雨漏りに直結してしまいます。
そのため、十分な防水機能を維持するためのメンテナンスが欠かせません。
パラペットがある屋根の形状について
パラペットは、すべての屋根に設置されているわけではありません。
パラペットが設置される代表的な屋根は「陸屋根」と呼ばれる平面の屋根ですが、そのほかにもパラペットを設置する屋根があります。
- 陸屋根
- 片流れ屋根
- 切妻屋根
- 寄棟屋根
上記のような形状の屋根には、パラペットの設置が可能です。
陸屋根は、防水性を高めるためにパラペットの設置が必須といわれていて、パラペットは外周すべてを囲むように四方に設置されます。
そのほかの屋根では、外周の四方に設置されることもあれば、外周のうち一面のみに設置されることもあります。
パラペットを設ける目的と役割とは?
パラペットは建物の防水性を高めるために必要な部材ですが、防水性をどのように高めているのでしょう?
屋上や陸屋根にパラペットを設ける目的や役割は以下のとおりです。
- 転落防止
- 防水性を維持し、外壁の劣化を防ぐ
- 意匠性を高める
下記ではさらに詳しく解説していきます。
パラペットを設ける目的|転落防止
平らな形状をしている陸屋根や屋上には、人が立ち入ることがあります。
屋上や屋根に立ち入ると当然転落リスクがありますが、転落を予防するために柵や手すりなどを設置することがほとんどです。
パラペットのほとんどは高さがないため、それだけでは転落防水にならないことが多いですが、パラペットは転落防水のための柵や手すりを設置するための土台になります。
また、パラペットの中には転落を予防できるほどの高さがあるものもあります。
パラペットを設ける目的|防水性を維持し、外壁の劣化を防ぐ
パラペットの大きな役割として、防水性を高め外壁の劣化を防ぐことが挙げられます。
屋上や屋根にパラペットがない場合、雨水が外壁を伝って流れることになりますが、そうすると外壁がダメージを受けて劣化が早まったり汚れたりしてしまいます。
外壁を伝った雨水は、少しでも隙間があれば室内に侵入してしまうため、雨漏りにもつながりやすいです。
パラペットがあれば雨水を屋上や屋根で堰き止められるようになるので、外壁を伝う雨水の量を大幅に減らすことができ、防水性を維持して外壁の劣化を防ぐことができるのです。
パラペットを設ける目的|意匠性を高める
意匠性というには、簡単にいうとデザイン性のことです。
パラペットを設けることで軒が出ないので、建物がスタイリッシュな印象になります。
パラペットは、陸屋根だけではなく傾斜のある屋根にも設置可能です。
傾斜のある屋根に対してパラペットを設置した場合、外見は箱型で陸屋根のように見えることになります。
傾斜のある屋根のメリットと意匠性のどちらも捨てがたいと感じる方にとって、大きなメリットとなるでしょう。
また、軒が出ないことで狭小地にも建設しやすいというメリットがあります。
パラペットが雨漏りの原因になる理由は?
パラペットは防水性を高める役割がある一方で、雨漏りリスクが高い場所でもあると紹介してきました。
雨漏りしやすいといわれているパラペットに、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
パラペットは、以下のような部材で構成されています。
- 笠木
- 立ち上がり部分
- 排水溝や箱樋
このようなパラペットを構成している部分は、すべてメンテナンスが必要となる場所です。
パラペットの雨漏りリスクが高い原因として、メンテナンスが必要な場所が多いことが挙げられます。
ここでは、パラペットからの雨漏りの原因となる場所や症状について、詳しく紹介します。
- 内樋(箱樋)や排水溝の詰まり
- 笠木の劣化
- 立ち上がり周りの壁の劣化・損傷
- サッシ廻りのコーキング材の劣化
内樋(箱樋)や排水溝の詰まり
パラペットからの雨漏りの原因として多くみられるのが、内樋・箱樋や排水溝の詰まりです。
パラペットが設置された屋根や屋上では、雨水を一度屋根や屋上に集め、内樋・箱樋を通って排水溝へと誘導することで、排水を行います。
この際、内樋・箱樋や排水溝が詰まってしまっていれば、屋根や屋上は排水機能を失うことになります。
傾斜のある屋根とは違い、パラペットのある屋根では自然に雨水が流れ落ちて排水されることがないからです。
土や砂、落ち葉などのゴミが飛んできたり雨水と一緒に流れてくることで、内樋・箱樋や排水溝が詰まってしまうことは少なくありません。
この状態に気づかず放置してしまうと、屋根や屋上に水たまりができて防水層の劣化を早めてしまいます。
防水層が劣化して防水機能を失えば、雨漏りが発生することになるでしょう。
笠木の劣化
笠木は、パラペットの上部を覆うように設置された設備のことです。
笠木にはパラペットを保護する役割があります。
笠木の素材はものによってさまざまですが、屋根や屋上ではガルバリウムやステンレスなどを使用した金属製のものが使われていることが多いです。
雨や風の影響を強く受ける屋根や屋上の笠木は、どうしても劣化してしまうものです。
笠木が劣化を起こすと、サビや変形が生じたり、ひどくなれば笠木が剥がれてしまったりします。
このような笠木の劣化によって、笠木の部分から外壁に雨水が侵入してしまうため、雨漏りにつながります。
立ち上がり周りの壁の劣化・損傷
パラペットの立ち上がり周りの壁は、外壁と同じ素材が使用されていることが多いです。
そのため、どうしてもクラックや割れ、目地の劣化などが生じてしまう可能性があります。
このような劣化症状が起きると、その部分にできた隙間から雨水が侵入してしまうため、雨漏りの直接的な原因となります。
サッシ廻りのコーキング材の劣化
パラペットのある屋根や屋上には、軒がありません。
屋上や屋根に降った雨は、パラペットが受け止めてくれることで外壁には流れ出ていきませんが、外壁に降る雨に対しては守るものがないので、直接外壁にかかってしまうことになります。
軒がある家は軒が出ている部分は雨をある程度避けることができますが、パラペットの場合はそのまま雨がかかってしまいます。
そのため、軒のある屋根よりもパラペットのある屋上や屋根のほうが、どうしてもサッシ廻りにかかる雨の量が多いです。
サッシ廻りに多くの雨がかかることによって、コーキング材の劣化が早い傾向があることに注意が必要です。
コーキング材が劣化しやすいということは、サッシ廻りからの雨漏りリスクも高いということになります。
パラペットの防水工事を解説
パラペットは、防水性を高める役割がある一方で、雨漏りしやすい部分でもあります。
パラペットからの雨漏りを予防するためには、適切なメンテナンスや修理が欠かせません。
ここでは、そんなパラペットのメンテナンスや修理の方法について、それぞれの部分ごとに詳しく紹介していきます。
笠木
笠木は、紫外線や雨風の影響を強く受ける位置に設置されています。
とくに劣化しやすい部分でもあり、雨漏りの原因にもなる場所なので、しっかりとメンテナンスや補修を行いましょう。
笠木の詳しいメンテナンスや補修の方法を、それぞれ詳しく紹介します。
塗装工事
笠木の材料は窯業系・ステンレス・アルミなど多岐にわたりますが、屋根や屋上ではガルバリウムやステンレスなどを使用した金属製のものが多く使われています。
ステンレスとアルミを除いた素材でできた笠木は、定期的な塗装によるメンテナンスが必要です。
つなぎ目部分のコーキング補修
素材にかかわらず、笠木には途中でつなぎ目ができてしまいます。
つなぎ目部分はコーキングで塞ぐ処理を行なって、雨水の侵入を予防します。
コーキングは経年劣化してしまうため、定期的なつなぎ目部分のコーキング補修が必要です。
交換工事
笠木の劣化がひどく、大きなクラックやサビによる穴などが生じてしまった場合には、笠木を交換する工事が必要です。
笠木の劣化を放置していると、雨水が侵入して内部の木材や鉄筋コンクリートを腐食させてしまうリスクがあります。
交換工事を怠ると、笠木だけではなく下地や内部まで広範囲の補修が必要となり、大規模な工事となる場合もあるので注意しましょう。
胸壁
胸壁とは、笠木の下の壁の部分です。
胸壁自体の劣化や、笠木の劣化の影響を受けた場合に、メンテナンスや補修が必要となるでしょう。
ほとんどの場合、胸壁は外壁と同じ素材で作られています。
胸壁の詳しいメンテナンスや補修の方法を、それぞれ詳しく紹介します。
塗装工事
胸壁の防水性を保つためには、定期的な塗装工事が必要です。
外壁塗装や屋上の防水工事と同じタイミングで、胸壁の塗装も行うことがおすすめです。
胸壁の素材が窯業系サイディングやALCの場合、塗装と合わせて目地のシーリングの打ち替えや増し打ちも必要になります。
漏水箇所の補修工事
外壁と同じ素材でできている胸壁は、クラックやひび割れが発生することも多いので、状態に合わせた補修が必要になります。
漏水箇所を判断し、適切な補修を行いましょう。
クラックを埋めるだけの補修で問題ない場合もあれば、張り替えが必要になる場合もあります。
防水シートの張替え
パラペットに施工されている防水シートに劣化や損傷が生じたら、張替えを行います。
防水シートの張替えは、部分的に行う場合と全面的に行う場合があります。
部分的に行う防水シートの張替えは、カバー工法と呼ばれる補修方法です。
パラペットにカバー工法を施工する場合、内側であれば問題なく施工できますが、外側から見える部分の場合は、形状によって全面を覆うか部分的に覆うかを判断する必要があります。
外壁を立ち上げた垂直のパラペットの場合は、外壁一面を覆うほうが見た目や性能的にもおすすめです。
一方で、外側に張り出しているパラペットの場合は、その部分のみをカバーすることもできます。
箱樋
箱樋とは、パラペットの内側に設置された雨樋のことです。
パラペットの内側に飛んできた落ち葉やゴミが溜まってしまうため、ゴミなどが箱樋に入り込んでしまうことでトラブルの多い部分でもあります。
箱樋のメンテナンスには、以下のようなものがあります。
- 掃除
- 塗装工事
- 交換工事
基本的には、飛んできたゴミや砂・土などを定期的に掃除して、溜まらないようにすることが大切です。
箱樋にゴミが溜まり詰まりが生じれば、雨水が溢れてしまうことになります。
箱樋の多くは板金で作られていて、腐食した落ち葉が混ざったアルカリ性の雨水は通常の雨水よりもさらに雨樋を腐食させやすいといわれています。
腐食を防ぐためにも、掃除や定期的な塗装が重要です。
それでも箱樋の劣化が進んで腐食している場合には、交換工事を行いましょう。
排水溝(ドレン)
パラペットの内側に設置された排水溝のメンテナンスは、基本的に防水工事と同じメンテナンスになります。
ウレタン防水・シート防水・FRP防水など、さまざまな防水工法から適したものを選んで施工しましょう。
また、表面に塗布したトップコートが色褪せなどの劣化を起こしてきたら、塗り替えを行います。
トップコートの塗り替えは、5年に一度のタイミングが目安です。
パラペットのメンテナンス・修理にかかる費用
パラペットからの雨漏りを防ぐためには、定期的なメンテナンスと必要に応じた補修が欠かせません。
そこで気になるのが、メンテナンスや修理にかかる費用ですよね。
それぞれの工事ごとの費用相場を下記の表にまとめたので、チェックしておきましょう。
工事箇所 | 工事内容・費用相場 |
---|---|
笠木 | コーキング:約5,000〜10,000円/ m 板金交換 :約10,000〜20,000円/m |
内樋 | 清掃:約2,000〜5,000円/m 交換:約10,000〜20,000円/m |
防水層 | シート防水 :約4,000〜5,000円/㎡ FRP防水 :約5,000〜7,000円/㎡ ウレタン防水:約4,500〜5,500円/㎡ |
コーキング | 増し打ち:約500〜900円/m 打ち替え:約900円〜1,200円/m |
メンテナンスや補修にも費用がかかりますが、劣化症状を放置するとさらに大規模な工事が必要となることも多いです。
劣化を早期発見しすぐにメンテナンスすることが、結果的に工事費用の節約にもつながるでしょう。
パラペットは雨漏りリスクの高い場所でもあるので、劣化に気づいたらすぐに補修できるよう、相場を参考に費用を準備しておくと安心です。
パラペットの点検箇所
パラペットからの雨漏りを防ぐためには、定期的に点検を行って劣化症状を早期発見することが重要です。
パラペットの周辺は劣化や損傷が生じやすい部分が多いので、意識的にチェックするようにしましょう。
点検を行う際は、パラペットとその周辺の以下のような部分を確認してください。
- 笠木
- 箱樋
- 排水溝
- 外壁・サッシ廻りのクラックやシーリング材
笠木やシーリング材など、普段はなかなか気をつけて見ることのない場所も多いです。
定期的にパラペットとその周辺をチェックして、劣化を早期発見し雨漏りを予防しましょう。
防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
パラペットと雨漏りについてまとめ
今回は、パラペットについて詳しく紹介しました。
- パラペットとは、建物の屋上や屋根の外周に設けられている立ち上がり部分のこと
- パラペットには、防水性を高める役割がある
- パラペットとその周辺の劣化が雨漏りにつながるため、雨漏りリスクが高い部分でもある
- 外壁に伝う雨水の量を減らせるので、外壁の劣化も防げる
- 転落防止や意匠性の向上にも役立つ
- パラペットからの雨漏りを予防するためには、パラペットとその周辺のメンテナンスが必須
パラペットは屋根や屋上の防水性を高める重要な設備ですが、雨風の影響を受けて劣化しやすい部分も多く、劣化すると雨漏りに直結してしまうため注意が必要です。
今回の記事を参考に、パラペットを正しくメンテナンスして雨漏りを予防してくださいね。