マンションの改修工事とは?大規模修繕との違いや工事の流れ・費用などの注意点を解説
2024/04/25
マンションの改修工事とは、建物の老朽化を防ぎ、居住性を向上させるために、部分的な修繕や設備の更新を行う工事のことです。具体的には、外壁の塗装や防水工事、共用部分の改修、設備機器の更新などが含まれます。
改修工事を行うことで、建物の美観を維持し、居住性を向上させることができます。また、建物の価値を維持し、資産価値の低下を防ぐ効果もあります。
今回は、マンションの改修工事についてマンションの大規模修繕工事の違い、費用、メリット、準備と進行スケジュールなどについて解説します。ぜひ、マンションの大規模修繕工事の内容について理解を深め、適切な時期に適切な対応ができるようにしましょう。
目次
改修工事とは?
「改修工事」とは、マンションにおける建物の劣化や不具合を修復・改善するための工事を指します。大規模修繕工事と似た意味合いを持ちますが、「改修工事」はより広義で使われる言葉であり、老朽化対策だけでなく機能向上やバリアフリー化、省エネ改修なども含まれます。
たとえば、古くなったエレベーターのリニューアル、給排水管の更新、エントランスのリニューアル、共用部のLED照明化なども改修工事に該当します。また、建物全体の性能を向上させる「改良的改修」や、外壁や屋上などの不具合を直す「補修的改修」など、目的によって分類されることもあります。
大規模修繕との違いは、周期的・計画的に行われるのが「大規模修繕」であるのに対し、「改修工事」は必要性に応じて随時行われる点です。管理組合は、長期修繕計画と連動させながら、必要に応じた改修工事も検討していく必要があります。
大規模修繕工事とは?
大規模修繕工事は、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持・向上させるために非常に重要な工事です。
大規模修繕とは、経年劣化によって傷んだ建物の部分を補修し、新築時の機能を回復させる工事のことです。 12~15年ごとに、外壁の補修や塗装、屋上の防水工事などをまとめて行う大掛かりな工事となるため、足場を組んで行われることが一般的です。 工事の対象は、主にマンションの共有部分です。
大規模修繕工事は、建物の美観を回復させるだけでなく、安全性や快適性を向上させる効果もあります。 例えば、外壁のひび割れを放置すると、雨水が侵入し、鉄筋が錆びて建物の強度が低下する可能性があります。 また、防水工事を行うことで、雨漏りを防ぎ、建物の劣化を遅らせることができます。
さらに、大規模修繕工事は、時代の変化に合わせて、建物の機能や性能を向上させる良い機会でもあります。 例えば、バリアフリー化や省エネ対策など、現代のライフスタイルに合わせた改修を行うことで、より快適で暮らしやすい住まいを実現できます。
修繕工事と改修工事についての違い
修繕工事と改修工事は、どちらも建物の維持や改善を目的とした工事ですが、目的や内容にいくつかの違いがあります。
修繕工事
修繕工事は、建物の劣化や損傷を修復し、元の状態に戻すことを目的とした工事です。主に老朽化や経年劣化による不具合を修理するために行われ、建物の機能を維持することが重要視されます。例えば、外壁のひび割れ補修や、防水層の再施工、給排水設備の修理などが修繕工事に該当します。修繕工事は、建物の現状を保つために必要なもので、定期的に行うことが推奨されます。
改修工事
改修工事は、建物の機能やデザインを改善し、現状よりも良くすることを目的とした工事です。単なる修理に留まらず、設備の更新やレイアウトの変更、新たな機能の追加など、建物全体の性能向上を図るための工事です。例えば、古くなった設備の最新化や、内装デザインの変更、エネルギー効率の向上を目的としたリノベーションなどが改修工事に該当します。
修繕工事とは?
マンション修繕工事とは、建物の老朽化した部分を元の状態に戻す工事のことです。
マンションは経年劣化により、様々な部分に損傷が生じます。
適切な修繕工事を行わないと、建物の安全性や資産価値が低下するためです。
主な修繕工事には以下のようなものがあります。
- 外壁や屋上防水の打ち替え
- 給排水管の更新
- エレベーター設備の交換
- 共用部分(廊下、階段など)の床やクロスの張り替え
このようにマンション修繕工事は、建物の寿命を延ばし居住環境を維持する上で欠かせない工事です。
計画的に行うことが重要です。
改修工事と大規模修繕どちらを選ぶべき?判断基準とおすすめケース
マンションの劣化に対して、改修工事と大規模修繕のどちらが適しているかは、状況や目的によって異なります。以下に判断のポイントとケース別のおすすめ工事を紹介します。
改修工事が適しているケース
- 一部の設備や箇所に明確な不具合がある場合(例:給水ポンプの故障、外壁の一部剥がれ)
- 緊急性のある修理が必要なとき
- 建物全体には問題がなく、限定的な改善で済む場合
部分的な対応で済むため、コストを抑えたい時や早急な対応が求められる場面に有効です。
大規模修繕が必要なケース
- 築12年以上が経過し、複数の部位に劣化が見られる場合
- 外壁・屋上・防水・共用設備など広範囲にわたる工事が必要
- 長期修繕計画に基づいた周期的な見直しの時期に該当
将来的な修繕コストの増加や劣化の進行を抑えるためにも、周期的な大規模修繕は計画的に進めるべきです。
大規模修繕工事の工事内容について
大規模修繕工事は、マンションやビルなどの建物全体を対象に、定期的に行う大規模な改修工事です。建物の老朽化を防ぎ、耐久性・安全性・美観を維持することが目的で、一般的には築12~15年を目安に実施されます。修繕内容は建物の状況に応じて異なりますが、マンション大規模修繕の工事内容には主に以下の工事が含まれます。
大規模修繕工事の工事内容1. 外壁補修・塗装工事
外壁は風雨や紫外線の影響を直接受けるため、経年劣化が避けられません。外壁のひび割れや塗装の劣化を放置すると、雨水の浸入によるコンクリートの劣化や鉄筋の腐食につながるため、適切な補修が必要です。
- ひび割れ補修(クラック補修):コンクリートやサイディングのひび割れを埋め、防水性を回復させる。
- 外壁塗装の塗り替え:耐久性や防汚性を向上させるため、劣化した塗膜を剥がし、新たな塗装を施工。
- シーリング(コーキング)打ち替え:サイディングの継ぎ目や窓枠の防水機能を確保し、ひび割れを防ぐ。
外壁補修は、建物の美観を保つだけでなく、防水機能を維持し、耐久性を向上させる重要な工事です。
大規模修繕工事の工事内容2. 屋上・バルコニーの防水工事
屋上やバルコニーは、雨水が直接当たり、経年劣化によって防水層が傷みやすい部分です。防水機能が低下すると、雨漏りの原因となり、建物内部の損傷を引き起こす可能性があるため、定期的な点検と補修が必要です。
- ウレタン防水・シート防水の施工:劣化した防水層を撤去し、新たな防水処理を実施。
- 排水口の清掃・補修:雨水の流れを確保し、排水不良による水溜まりを防ぐ。
- トップコートの再塗装:防水層の表面保護を強化し、耐久性を向上。
屋上やバルコニーの防水性能を維持することで、建物内部への浸水リスクを軽減し、長期的な修繕コストを削減できます。
大規模修繕工事の工事内容3. 共用部分の修繕・改修
マンションやビルの共用部分は、居住者や来訪者が日常的に利用するため、経年劣化による安全性の低下や美観の損なわれが気になる部分です。定期的なメンテナンスにより、快適な居住環境を維持できます。
- エントランス・ロビーの改修:床材や壁材の張り替え、照明設備の交換などを実施。
- 廊下・階段の補修:滑り止め処理や床材の補修を行い、安全性を向上。
- エレベーターの点検・更新:耐用年数が近づいたエレベーターの部品交換や制御装置のアップグレードを実施。
共用部分の改修は、建物の印象を左右するだけでなく、住民の安全性と利便性を向上させるために重要です。
大規模修繕工事の工事内容4. 給排水設備の修繕・更新
給排水設備は、配管の老朽化や水圧の低下、漏水のリスクを防ぐために適切なメンテナンスが必要です。特に築20年以上経過した建物では、給排水管の劣化が進んでいる可能性が高く、修繕計画を立てることが推奨されます。
- 給排水管の洗浄・更新:配管内部の錆や汚れを除去し、必要に応じて新しい配管に交換。
- 貯水槽・ポンプのメンテナンス:清掃や部品交換を行い、適切な給水機能を維持。
- 排水管のつまり除去:定期的な高圧洗浄で詰まりを防ぎ、水の流れを確保。
給排水設備の適切な維持管理を行うことで、住環境のトラブルを未然に防ぎ、快適な暮らしを支えることができます。
大規模修繕工事の工事内容5. 外構・駐車場・駐輪場の整備
建物の外構や駐車場・駐輪場も、時間の経過とともに劣化し、安全性の確保や利便性向上のために定期的な整備が必要です。
- アスファルト舗装の補修:駐車場や通路のひび割れや陥没を修繕し、歩行や車両通行の安全性を向上。
- 駐輪場の整備:ラックの交換やスペースの拡張を行い、利便性を向上。
- フェンスや外灯の交換:老朽化したフェンスの張り替えや防犯性の向上を目的とした照明の設置。
外構部分の整備は、建物全体の安全性向上だけでなく、資産価値の維持にもつながります。
大規模修繕工事は、外壁・屋上防水・共用部分・給排水設備・外構といったさまざまな工事を組み合わせ、建物の機能と美観を維持するために実施されます。
修繕計画を適切に立て、定期的に点検を行うことで、長期的なコスト削減や住環境の向上が可能になります。特に、劣化の初期段階で適切なメンテナンスを実施することで、大掛かりな補修を回避し、建物の資産価値を維持することができます。
マンションの改修とは?工事内容を解説
マンション改修工事とは、建物の性能向上や新たな機能の付加を目的とした大規模な工事のことです。
耐震性や省エネ性能が求められる現代において、マンションの価値を維持・向上させるには建物の改修が不可欠となっているためです。
主な改修工事には以下のようなものがあります。
- 耐震補強工事(筋交い工法や免震構造化など)
- バリアフリー化工事(段差解消、手すり設置など)
- 省エネリフォーム(断熱改修、高効率設備導入など)
- 共用空間のリノベーション(ロビーや集会室の改装など)
このように改修工事は、マンションの資産価値の維持・向上に大きく貢献します。
長期的な視点で計画を立てることが賢明です。
マンション改修工事のメリット
マンションは長年の使用により、設備の老朽化や内外装の劣化が避けられません。
そのため、一定期間ごとに改修工事を行うことがマンション管理の基本となります。
改修工事を実施することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 資産価値の維持・向上
マンションの居住性や設備性能が向上し、資産価値が維持・向上するでしょう。一般的にマンション価格は、新しい物件ほど高くなる傾向にあります。
改修工事をしない場合、経年劣化が進み、資産価値が下がることは避けられません。 - 長期的なコストの削減
適切な改修工事を行うことで、設備の寿命を延ばすことができます。設備を新品に交換する時期を遅らせることで、長期的にコストを抑えられます。また、改修工事は修繕積立金を活用できるため、一時の出費を抑えられます。 - 居住環境の改善
内装やリフォームを行えば、新築時の質を取り戻せます。最新の設備を導入すれば、高級賃貸物件に劣らない居住環境を実現できます。例えば、新しいキッチンの導入で、調理スペースの拡大、収納力の向上が期待できます。 - 省エネ・長寿命化による維持管理コストの低減
省エネ型の設備を導入すれば、光熱費の削減につながります。また、新しい設備は故障リスクが低いため、修繕コストを抑えられます。さらに、長寿命化を図ることで、設備更新のコストを先送りできます。
このように、マンション改修工事には様々なメリットがあります。
経年劣化は避けられませんが、適切な改修工事を実施することで、マンションの資産価値を維持・向上させながら、良好な居住環境と管理コストの低減を同時に実現できるのです。
マンション修繕工事のメリット
マンションの修繕工事は、発生した不具合への対応のみならず、以下のようなメリットがあるため、定期的に実施することが重要です。
- 事故や二次被害の防止
修繕工事を適切に行うことで、亀裂の拡大や部材の脱落など、事故が発生するリスクを低減できます。また、漏水が発生した場合は、二次被害の拡大防止につながります。 - 機能の維持・回復
経年劣化により、設備の機能が低下することがあります。修繕工事により機能を維持・回復させることで、居住性の確保や管理コストの増加を抑えられます。例えば、昇降機の不具合は高齢者の外出機会を奪うリスクにつながります。 - 団地全体の資産価値の維持
建物の一部が損傷していれば、団地全体の景観を損ねます。定期的な修繕工事で適切な維持管理を行うことで、資産価値の維持につながります。(赤坂エリアでの修繕事例より) - 大規模修繕費の平準化
小規模の修繕工事を適宜行うことで、大規模修繕の時期を遅らせられます。それにより、修繕積立金の増額を抑え、長期修繕計画に沿った大規模修繕費の平準化が可能になります。(国土交通省の調査結果より)
このように、マンションでは修繕計画に基づいた修繕工事を行うことが重要です。
具体的には、年次的に修繕工事を行い、建物の不具合発生時には速やかに修繕を実施する必要があります。
適切な修繕工事を怠れば、思わぬ事故や二次被害につながるリスクがあるのです。
マンションにおける補修工事について
補修工事とは、建物の劣化や損傷を修復し、機能や安全性を維持するための工事です。これには、外壁のひび割れや塗装の劣化、コンクリートの剥離などの修繕、防水処理、配管の修理、エントランスや廊下などの共用部分の補修が含まれます。また、老朽化した設備の交換や、バリアフリー対応などの改善工事も行われます。
「補修」と「修繕」は似た意味を持つ言葉ですが、ニュアンスに違いがあります。
- 補修: 主に軽微な損傷や劣化を修復する作業を指します。例えば、外壁の小さなひび割れを埋める、塗装の一部を塗り直すなど、部分的な修復が中心です。
- 修繕: より大規模で計画的な修復作業を指します。建物全体の耐久性や機能性を維持するために行う、外壁全体の補修、防水工事、設備の交換などが含まれます。
まとめると、補修は小規模な修復を意味し、修繕は広範囲または計画的な修復を含むことが多いです。
マンションの長期修繕計画と改修工事の関係
マンションを長期的に維持・管理していくためには、定期的な点検や修繕だけでなく、先を見据えた「長期修繕計画」と呼ばれる方針が不可欠です。この計画と改修工事をうまく連携させることで、資産価値を高め、費用面でも無駄のない対応が可能になります。
長期修繕計画とは何か?
長期修繕計画とは、マンションの共有部分について、将来的に必要となる修繕項目・時期・費用を見越して策定される計画書です。国土交通省のガイドラインでも12年〜15年ごとの大規模修繕を基本サイクルとしており、計画的な修繕が推奨されています。この計画に基づいて、修繕積立金の積立額も決定されます。
改修工事との整合性をとるべき理由
改修工事は、設備の刷新や利便性の向上を目的とする「機能改善」が中心ですが、長期修繕計画と連動していないと二重工事や非効率な費用支出の原因になります。たとえば、予定された外壁の修繕と同時にバリアフリー化を図ることで足場費用を共有できるなど、計画的に整合を取ることが重要です。
計画的に進めることでコストダウンが可能に
修繕や改修を場当たり的に進めると、都度足場設置や仮設対応が必要になり、総費用が膨らむ傾向にあります。逆に、長期修繕計画に基づき改修と統合的に進めることで、施工内容を集約し、資材調達や人件費の削減が可能になります。適切な計画管理によって、長期的な費用最適化が図れるのです。
マンションの改修工事における業者選定のポイント
大規模修繕や改修工事を円滑に進めるには、適切な業者の選定が非常に重要です。ここでは、信頼できる施工業者を選ぶための実践的なポイントを紹介します。
相見積もりは何社から取るべき?
業者選定の第一歩は、相見積もりの取得です。一般的には3社以上の見積もりを取ることが推奨されます。多すぎても判断が難しくなるため、4〜5社程度が適切です。価格だけでなく、工事内容・保証・担当者の対応力を比較することで、信頼できる業者を見極めやすくなります。
価格だけでなく見るべき項目とは
金額の安さだけで業者を選ぶのは危険です。見積書に記載された工事項目が明確か、材料の仕様や工期が詳細に示されているかをチェックしましょう。また、施工実績、資格(建設業許可、防水施工技能士など)、アフターサービス体制も重要な判断材料になります。信頼性と施工品質の両立を意識する必要があります。
悪質業者を避けるチェックリスト
- 相場よりも極端に安い見積もりを提示してくる
- 契約を急かす、不安を煽る営業トーク
- 口頭説明ばかりで書面が不明瞭
- 工事の写真や事例紹介がない、もしくは他社の流用
- 保証やアフターサービスの説明が曖昧
このような特徴を持つ業者は要注意です。過去に行政指導を受けていないかを確認するなど、できるだけ情報を集めて判断しましょう。
マンションの改修工事と大規模修繕の費用相場
マンションの改修工事や大規模修繕工事にかかる費用は、規模や内容によって大きく異なります。
以下にそれぞれの費用相場をまとめました。
マンション大規模修繕工事の費用相場
マンション大規模修繕の費用相場はマンション全体のメンテナンスを目的とし、以下のような内容が含まれます。
| 工事内容 | 費用相場 (円) |
|---|---|
| 外壁補修 | 1,000,000 – 3,000,000 |
| 屋上防水 | 2,000,000 – 5,000,000 |
| 共用部分修繕 | 500,000 – 2,000,000 |
| 給排水設備更新 | 3,000,000 – 6,000,000 |
| 総合的な大規模修繕 | 10,000,000 – 30,000,000 |
マンション改修工事の費用相場
改修工事はマンションの価値向上や機能追加を目的とし、以下のような内容が含まれます。
| 工事内容 | 費用相場 (円) |
|---|---|
| 室内リフォーム | 500,000 – 1,500,000 |
| キッチン改装 | 800,000 – 2,500,000 |
| バスルーム改装 | 600,000 – 1,800,000 |
| エネルギー効率向上 | 1,000,000 – 3,000,000 |
| 全面的な改修 | 5,000,000 – 15,000,000 |
これらの費用相場はあくまで一般的な目安であり、実際の工事費用は物件の状況や地域、工事の内容によって変動します。具体的な見積もりを得るためには、複数の業者からの見積もりを比較することをお勧めします。
また、足場代や仮設トイレの設置費用、設計料や監理料などの諸経費もかかります。これらの諸経費は、工事費の10%程度になることが多いです。
さらに、工事中に追加工事が発生した場合、当初の見積もりよりも費用が高額になる可能性があります。そのため、マンションの改修工事や大規模修繕工事の計画を立てる際には、十分な予算を確保しておくことが大切です。
改修工事と大規模修繕で補助金制度について|違いとポイント
改修工事と大規模修繕では、利用できる補助金の対象や条件が異なります。どちらも自治体が提供する制度を活用できる可能性がありますが、工事内容や目的に応じて申請の可否が分かれる点に注意が必要です。
【改修工事で利用できる主な補助金】
- バリアフリー改修補助
高齢者や障害者の居住環境を改善するため、手すりの設置や段差の解消などに対して支給される制度。 - 省エネ設備導入補助
窓の断熱改修やLED照明の導入、給湯器の高効率化など、省エネルギー性能の向上を目的とした改修工事が対象。 - 耐震補強工事の一部
構造的な強度に関わる軽微な補強工事に限定される場合が多い。
※対象となるのは「建物全体」ではなく「特定の目的をもった改修」に限られる点が特徴です。
【大規模修繕で活用できる補助制度】
- 耐震化助成制度
旧耐震基準で建てられた建物を新基準に適合させるための工事に対して、国や自治体が費用を一部負担。 - 環境配慮型修繕への支援
断熱材の強化や高効率設備の導入を含む場合、省エネ化を目的とした修繕工事に補助金が出るケースも。 - マンション管理組合向けの修繕支援
一部の自治体では、管理組合単位で行う大規模修繕に対し、計画作成や工事費の補助制度を設けている。
【注意点と申請のポイント】
- 補助金の対象条件や補助率、申請方法は自治体ごとに大きく異なります。
- 対象となる工事内容や使用する設備に制限があるため、早めに制度の詳細を確認することが重要です。
- 申請時期や必要書類も厳格に決められているため、計画段階から施工業者と連携して準備を進める必要があります。
大規模修繕工事でよくある質問
ここでは大規模修繕工事でよくある質問を紹介します。工事費用や施行中の疑問をまとめました。
Q
大規模修繕で10戸のマンションではどのくらいが費用目安?
A
10戸のマンションの大規模修繕の費用は、規模や建物の状態、修繕内容によって異なりますが、一般的には1000万円から1,500万円程度が目安とされています。具体的な費用は、外壁や共用部分の修繕内容、使用する材料の種類によって変動するため、詳細な見積もりを施工業者で確認しましょう
Q
マンション大規模修繕時にエアコンは使用できる?室外機はどうする?
A
大規模修繕中でも基本的にはエアコンの使用は可能ですが、外壁塗装や防水工事の際には一時的に使用を控える必要がある場合があります。室外機は、作業に支障がない限りそのまま設置された状態で保たれることが一般的です。ただし、工事の進捗によっては室外機を一時的に移動させる場合もあるため、管理組合や施工業者からの指示に従ってください。
Q
マンション大規模修繕の際のベランダの荷物やアンテナはどうすればいい?
A
大規模修繕の際には、ベランダの荷物は一時的に室内に移動させる必要があります。特に、外壁塗装や防水工事の影響を受けやすいものは、工事開始前に片付けてください。また、テレビアンテナや物干し竿も取り外しが必要になる場合がありますので、事前に管理組合や施工業者の指示に従い、適切に対応してください。
Q
大規模修繕の際に洗濯物は外に干せる?
A
大規模修繕期間中は、外壁工事や塗装の影響でベランダに洗濯物を干すことが制限されることがあります。工事用のネットやシートが張られるため、日光が遮られたり、塗料やホコリが付着する可能性があります。管理組合や施工業者からの案内に従い、洗濯物は室内で乾かすか、コインランドリーの利用を検討してください。
Q
大規模修繕の際に立ち会いや在宅が必要なことはある?
A
大規模修繕では、住戸内に立ち入る必要のある作業が発生する場合があります。例えば、配管の点検やベランダ側のサッシ工事などが該当します。その際には、居住者の立ち会いや在宅を求められることがあるため、事前に管理組合や施工業者からの連絡を確認し、予定を調整してください。それ以外の工事については基本的に在宅の必要はありませんが、作業内容によって異なるため、詳細は管理組合の案内を確認することが重要です。
この他、大規模修繕のよくある質問について知りたい方は以下の記事をご覧ください
まとめ|改修工事と大規模修繕の違い
マンションの改修工事とは、居住性を向上させることを目的とした工事です。大規模修繕工事と比較すると、規模が小さく、修繕箇所も限定的です。具体的には、給排水管の更新、内装の改装、バリアフリー化、耐震補強などが含まれます。
改修工事は、居住者のニーズや建物の状況に合わせて柔軟に対応できるのが特徴です。また、大規模修繕工事よりも費用を抑えることができます。
改修工事のメリットは、居住性を向上させることができる、大規模修繕工事よりも費用を抑えることができる、居住者への影響が小さいことです。
改修工事の費用は、工事内容や規模によって異なります。一般的には、1㎡あたり5,000円~10,000円程度が目安となります。
改修工事を行う際は、事前に計画を立てることが重要です。計画には、工事内容、工事期間、工事費用、資金計画などが含まれます。計画を立てることで、円滑な工事の実施と費用の抑制につなげることができます。
大規模修繕工事・防水工事・外壁塗装・外壁補修参引用、参考サイト
国土交通省
特定非営利活動法人集合住宅管理組合センター
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会
一般社団協会マンション管理業協会
一般社団法人日本防水協会
日本ペイント
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
一般社団法人 マンション大規模修繕協議会
日本ウレタン建材工業会
FRP防水材工業会
株式会社ダイフレックス(シーカ・ジャパン株式会社)

