大規模修繕工事のアフターサービスが受けられる期間やアフター点検の流れや内容について解説
2024/04/01
大規模修繕工事は、多額の費用がかかるだけに、アフターサービスの有無は物件選びの重要なポイントとなります。
今回は大規模修繕後においてのアフターサービスについて解説します。
安心して暮らすためにも、アフターサービスの内容や期間をしっかり確認し、トラブルに備えておきましょう。
目次
大規模修繕のアフターサービスって何?
オフィスビルの大規模修繕工事後、施工業者が提供する「アフターサービス」とは、工事の品質と安全性を一定期間保証するサービスのことです。
適切な点検と補修を行うことで、大規模な修繕工事の効果を当面維持できます。
主な内容は以下の通りです。
- 定期的な点検の実施 大規模修繕補修の点検を定期的に行い、劣化や不具合の箇所を確認します
- 早期の修理対応点検で発見した軽微な不具合については、迅速に修理作業を行います
- 技術的なアドバイスの提供適切な維持管理方法について、専門的な立場からアドバイスを行います
このようなサービスにより、修繕工事後の品質が一定期間保証されるため、オーナー様は安心して建物を運用できます。
大規模修繕のアフターサービスを受けられる期間

大規模修繕のアフターサービス期間は、一般的に修繕工事の契約時に決められます。
その期間は以下の通りです。
- 原則1年間から3年間
国土交通省の調査によると、アフターサービス期間は1年が30%、2年が30%、3年が21%と、原則1年から3年が多数を対象としてます(参考:国土交通省「住宅瑕疵保障責任期間の運用状況に関する調査」) - 延長できるケースも施工業者によっては、別途費用を支払うことでアフターサービス期間を延長できる場合があります。5年間や10年間のサービスを受けられる業者も存在します
- 法定の瑕疵保障責任期間は10年間の悩みでは、建物の瑕疵については10年間の瑕疵保障責任が課されています。この法定の責任期間とは別に、アフターサービスが提供されるケースが多いがございます
サービス期間は施工業者やアフター工事の内容により異なりますので、契約時に十分確認する必要があります。
また、工事内容ごとに想定される目安は以下のような期間です。
| 下地補修工事 | 3~5年 |
| シーリング工事 | 3~5年 |
| 外壁塗装工事 | 5~7年 |
| 天井塗装工事 | 2~3年 |
| 鉄部塗装工事 | 1~3年 |
| 躯体補修工事 | 5年 |
| バルコニー防水工事 | 3~5年 |
| 屋上防水工事 | 7~10年 |
施工業者によって大きく変動することも想定されますので、しっかり確認しておく必要があります。
大規模修繕のアフターサービスの点検内容
大規模修繕のアフターサービスとして行われる点検の主な内容は以下の通りです。
- 構造体(基礎・柱・梁・壁)の点検
- ひび割れやコンクリートの剥離の有無
- 鉄筋の錆や腐食の存在
- 構造体の傾きや変形の人間
- 外装(外壁・サッシ・屋根)の点検
- タイルやクラックの存在
- サッシの開閉状態
- 防水層の劣化状況
- 設備機器の点検
- 空調機器の運転状況
- 上昇機の動作状況
- 配管・配線の損傷や劣化
- 内装(床・壁・天井)の点検
- 内装材のひび割れや浮きの存在
- クロス売却やクサリ跡の者
- 防災設備の点検
- スプラー設備の作動状況
- 消火設備の作動状況
点検では、目視やタッピング(打音)検査などのほか、必要に応じて測定器具を使用し、より詳細な診断を行います。施工業者の高い技術力が求められます。
大規模修繕のアフターサービスの流れ
大規模修繕工事後のアフターサービスの一般的な流れは以下の通りです。
- アフターサービス内容の確認
- サービス期間や内容を契約書以降で再確認
- 定期点検の事前連絡
- 施工業者から点検日程の連絡あり
- 立会いの要否を確認
- 現場での点検作業
- 各現場の状況を確認
- 不具合箇所の特定と修理の要否を判断する
- 補修作業(不具合があります)
- 軽微な修理は即日対応
- 大がかりな場合は別途工事を実施
- 監査報告書受領
- 点検結果と補修内容を記載
- アドバイスや提案事項もあり
- 次回点検日の確認
- 通常は3カ月~1年周期で点検してください
このように、定期的な点検と修理を行うことで、大規模修繕工事の品質が一定期間保証されます。
オーナー側もアフターサービス内容を十分確認し、適切な対応をとることが重要です。
実録!7階建てマンションの大規模修繕工事の流れと費用・施工事例
東京都墨田区にある7階建てマンションにて、ワンオーナー物件の大規模修繕工事を新東亜工業が対応しました。外壁の塗装やシーリングの補修、防水工事の必要性、見積比較の不安など、オーナー様の悩みに対しどのような提案と判断を行ったのか——その一連の流れを、実際の会話を交えながらご紹介します。
お問い合わせ〜現地調査|過去施工の確認と細部の劣化診断
工事のきっかけは「前回の色選びに失敗した」「屋上防水は5年前に済ませたが今回も必要か不安」といったメール相談でした。
お客様とのやり取り
お客様:「屋上の防水は5年前にやってるんですけど、それでもやるべきですか?」
新東亜工業:「一度状態を拝見してから判断しましょう。無理にやる必要がなければ省く判断もできます」
現地では図面をもとにバルコニーや外壁、庇などを細かく確認。シーリングの劣化が目立ったため、全撤去と打ち替えの提案を行いました。

お客様とのやり取り
新東亜工業:「ここのシーリング、かなりひび割れてます。全て打ち替えですね」
お客様:「これ全部やるとなると…かなりの距離ですよね?」
新東亜工業:「ざっと見ても1000mは超えてきます」
見積り提示|屋上防水の有無で2プラン提案+実数精算の説明
調査後は「屋上防水あり・なし」2パターンの見積を作成。各項目の違いと予算の幅をわかりやすく提示しました。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「下地補修は“実数精算”になります。今見えてない部分も足場を組んでから補修範囲を確定します」
お客様:「100万円とか一気に増えることもありますか?」
新東亜工業:「状態は悪くないので10〜20万円程度の上下です。むしろ減る可能性もありますよ」
他社と比較されることも想定し、工事項目の説明や「新規打設」のリスクも正直に伝えました。
契約成立|「新規打設」との違いを丁寧に解説し信頼獲得
価格では他社より若干高めだったものの、工法や保証内容の丁寧な説明でご納得いただきました。
お客様とのやり取り
お客様:「他社には“新規打設”って書いてあります」
新東亜工業:「それは既存シールを撤去せず上からかぶせる方法で、密着不良やひび割れの原因になります。当社では必ず撤去・打ち替えを行います」
結果、「屋上防水なしプラン(852万円)」でご契約いただきました。
着工前の打ち合わせ|色決め・足場・近隣への配慮も徹底
工事前の打ち合わせでは、オーナー様が特に重視されたのが「色の選定」。過去2回の失敗を経て、今回は慎重に。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「今回は色のイメージをどうされたいですか?」
お客様:「前の2回、どちらもイメージと違って…。今回は絶対に失敗したくない!」
色見本板を用意し、納得のいく色を選定。中学校敷地への足場越境や1階テナントのバイク駐輪スペース確保など、周辺環境への配慮も抜かりなく実施しました。
工事中の対応|トラブルの早期発見と柔軟な対応で信頼感
施工中には、前回業者が「増し打ち」を行っていた痕跡を確認。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「やはり前回は増し打ちでしたね。しっかり撤去してから打ち換えますのでご安心ください」
お客様:「やっぱり!最初に“それはダメ”って言ってもらえて良かったです」
さらにバルコニー防水ではガス配管の位置により仕上げ調整を行うなど、現場での判断力も発揮。仕上がりにはご満足いただけました。
お客様とのやり取り
お客様:「本当にイメージ通りの外壁色で嬉しいです。母も喜んでました!」
引き渡しと今後の対応|最終確認と事務手続きまで丁寧に対応


完工後は外回りも含めた最終チェックを実施。仕上がりの満足度は非常に高く、保証書や請求書もスムーズに手配されました。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「この庇も塗装・防水完了済みです」
お客様:「本当にきれいになってよかった。ありがとうございました!」
工事概要まとめ
- 契約金額:852万円(屋上防水なしプラン)
- 施工期間:約50日間
本事例を通じて、オーナー様の不安や悩みに寄り添いながら、適切な判断と施工を提供することの重要性が見えてきます。
「前回の修繕に不満がある」「見積内容が適正か判断できない」とお感じの方は、ぜひ一度ご相談ください。
大規模修繕のアフターサービスの注意点
大規模修繕のアフターサービスを受ける際の注意点は以下の通りです。
- サービス内容の確認が重要
- サービス期間や内容を必ず契約後書で再確認する
- サービスに含まれる点検項目や補償範囲を理解する
- 無償での修理には限界がある
- 軽微な修理は無償ですが、大規模な修理は有償になる場合が多い
- 正義サービスは瑕疵保障の範囲内
- 提案には疑問を持つ
- サービス期間終了後の大規模修繕などの提案はないかもしれない
- 必要性をよく検討し、複数業者の見積り見積り
- 立会いの検討
- 時に点検に立ち会う必要があるかどうか検討
- 立会いが難しい場合は、過去報告書で内容を確認する
- 維持管理体制の整備
- サービス後も日常的な保守点検が必要
- 体制を整える、建物寿命化を覚悟する
大規模修繕のアフターサービスを正しく活用し、工事の品質を少しでも維持することが重要です。
オーナー側の理解と適切な対応が大切です。
保証期間が3年を超えないものは、毎年点検を行うことが多く、5年を超えると10年目くらいまで間が空くことがあります。
保証期間の設定は業者によって異なるため、依頼する際は大規模修繕工事の保証期間を確認すると良いでしょう
大規模修繕工事でよくある質問
ここでは大規模修繕工事でよくある質問を紹介します。工事費用や施行中の疑問をまとめました。
Q
大規模修繕で10戸のマンションではどのくらいが費用目安?
A
10戸のマンションの大規模修繕の費用は、規模や建物の状態、修繕内容によって異なりますが、一般的には1000万円から1,500万円程度が目安とされています。具体的な費用は、外壁や共用部分の修繕内容、使用する材料の種類によって変動するため、詳細な見積もりを施工業者で確認しましょう
Q
マンション大規模修繕時にエアコンは使用できる?室外機はどうする?
A
大規模修繕中でも基本的にはエアコンの使用は可能ですが、外壁塗装や防水工事の際には一時的に使用を控える必要がある場合があります。室外機は、作業に支障がない限りそのまま設置された状態で保たれることが一般的です。ただし、工事の進捗によっては室外機を一時的に移動させる場合もあるため、管理組合や施工業者からの指示に従ってください。
Q
マンション大規模修繕の際のベランダの荷物やアンテナはどうすればいい?
A
大規模修繕の際には、ベランダの荷物は一時的に室内に移動させる必要があります。特に、外壁塗装や防水工事の影響を受けやすいものは、工事開始前に片付けてください。また、テレビアンテナや物干し竿も取り外しが必要になる場合がありますので、事前に管理組合や施工業者の指示に従い、適切に対応してください。
Q
大規模修繕の際に洗濯物は外に干せる?
A
大規模修繕期間中は、外壁工事や塗装の影響でベランダに洗濯物を干すことが制限されることがあります。工事用のネットやシートが張られるため、日光が遮られたり、塗料やホコリが付着する可能性があります。管理組合や施工業者からの案内に従い、洗濯物は室内で乾かすか、コインランドリーの利用を検討してください。
Q
大規模修繕の際に立ち会いや在宅が必要なことはある?
A
大規模修繕では、住戸内に立ち入る必要のある作業が発生する場合があります。例えば、配管の点検やベランダ側のサッシ工事などが該当します。その際には、居住者の立ち会いや在宅を求められることがあるため、事前に管理組合や施工業者からの連絡を確認し、予定を調整してください。それ以外の工事については基本的に在宅の必要はありませんが、作業内容によって異なるため、詳細は管理組合の案内を確認することが重要です。
この他、大規模修繕のよくある質問について知りたい方は以下の記事をご覧ください
大規模修繕工事アフターサービスについてまとめ
大規模修繕工事のアフターサービスは、工事完了後にも発生する可能性のある不具合や不備に対して、施工業者が対応するサービスのことです。アフターサービスの内容は施工業者によって異なりますが、一般的には定期点検、緊急対応、修繕対応などが含まれます。
アフターサービスは、長期にわたって快適な生活を送るために重要なものです。マンションを購入する際には、アフターサービスの内容をしっかりと確認することが大切です。
大規模修繕工事・防水工事・外壁塗装・外壁補修参引用、参考サイト
国土交通省
特定非営利活動法人集合住宅管理組合センター
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会
一般社団協会マンション管理業協会
一般社団法人日本防水協会
日本ペイント
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
一般社団法人 マンション大規模修繕協議会
日本ウレタン建材工業会
FRP防水材工業会
株式会社ダイフレックス(シーカ・ジャパン株式会社)

