2024.04.18
マンション大規模修繕工事・改修工事で活用できる補助金や助成金とは?
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マンションの大規模修繕や改修工事には多額の費用がかかりますが、国や自治体から支給される補助金や助成金を利用することで、経済的な負担を軽減することができます。
この文章では、マンション大規模修繕の補助金の種類や申請手順、活用する際の留意点などをわかりやすく解説します。また、補助金以外のコスト削減方法についてもご紹介します。
マンションの大規模修繕・改修工事を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
大規模修繕の補助金とは?
マンション大規模修繕には、国や自治体から様々な補助金の支援を受けることができます。
工事費用の一部を補助してもらえるほか、専門家派遣など技術面での支援も用意されています。
マンションの大規模修繕における補助金制度の目的は、以下の2点にあります。
- マンション資産の維持・向上
適切な修繕工事を行うことで、マンション資産の経年劣化を防ぎ、資産価値を維持・向上させることができます。 - マンション管理の適正化推進
管理組合による適正な修繕の実施を後押しし、マンション管理全体の適正化を図ることが狙いです。
東京都世田谷区では、分譲マンションの修繕設計費用の一部(上限100万円)を助成する「共同住宅等修繕設計助成事業」を実施しています。
国土交通省『マンション大規模修繕工事に関する実態調査』の要約
国土交通省が実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、実際にマンション管理組合が利用している公的支援制度の状況が明らかになりました。
この調査は、マンション管理組合を対象に大規模修繕の実施状況や課題を把握し、適切な施策を検討することを目的として行われました。
全国のマンション管理組合から約3,500件の回答が得られています。
調査の結果、マンション管理組合が利用した主な公的支援制度は以下の通りとなっていま
- 劣化診断補助事業: 28.2%
- マンションアドバイザー派遣: 20.0%
- 防災対策整備費補助金: 18.8%
- その他の補助金(アスベスト除去など): 13.1%
- 利用した制度はない: 38.8%
上位3つの制度を利用したマンション管理組合は全体の約67%に上り、公的支援制度が一定程度活用されていることがわかります。
一方で、約4割の管理組合は何らかの制度を利用していないことも明らかになりました。
この調査結果を踏まえ、国土交通省はマンション管理組合への支援制度の一層の周知や利用促進に取り組んでいく方針です。
管理組合側も、費用の負担軽減やスムーズな修繕実施のため、積極的に公的支援を活用することが求められます。
補助金と助成金の違い
マンション大規模修繕において、補助金と助成金は費用負担の軽減を目的に活用されますが、それぞれ以下のような違いがあります。
- 支出主体の違い
補助金は国や地方自治体などの公的機関から支出されますが、助成金は民間の財団法人などから任意に支出されます。 - 法的根拠の有無
補助金は法令に基づいて交付される義務的な性格を持ちますが、助成金は任意に交付される性格のものです。 - 対象範囲の違い
補助金は全国一律の制度が多いのに対し、助成金は地域や団体ごとに対象範囲が異なる傾向にあります。
例えば、国土交通省のアスベスト除去補助金は「補助金」に該当し(公財)マンション管理センターの共用部分補修費助成は「助成金」、東京都の耐震改修工事助成は「助成金」ですが、都内在住が条件となります。
このように、補助金と助成金は目的は同じでも、支出主体や根拠、対象範囲が異なります。
マンション管理組合は、大規模修繕の際に国や自治体からの補助金と併せて、民間の助成金の活用も検討する必要があります。
費用負担軽減のためには、幅広い支援制度を確認し、要件を満たすものを組み合わせて活用することが重要です。
大規模修繕工事の補助金・助成金の種類は?
マンション大規模修繕工事では、国や自治体から様々な補助金・助成金の支援を受けることができます。
主な制度は以下の通りです。
アスベスト除去等事業補助金
アスベストの適正な除去と処理に係る費用の一部を、国が補助する制度です。
対象工事にはアスベスト調査費用や処理費用、加算対象工事費などが含まれます。
補助率は定額制で、処理面積によって上限額が決まります。
劣化診断補助事業
大規模修繕工事の実施に先立ち、建物の劣化状況を専門家に診断してもらう費用の一部を、国が補助します。
建物の現状を適切に把握し、修繕計画を立案する上で重要な制度です。
防災対策整備費補助金
耐震改修工事や、避難施設の整備費用の一部を、国が補助する制度です。
マンションの耐震性向上や防災性能の強化を目的としています。補助対象は耐震診断、設計、改修工事費などです。
省エネ対策等補助金
省エネ対策等補助金は、環境省が実施しているもので、マンションの省エネ改修や再生可能エネルギー導入などを支援する目的で設けられています。この補助金は、マンションの大規模修繕工事において、工事費の一部を補助してもらえる可能性があります。
省エネ対策等補助金の対象となる工事は、外壁や屋根の断熱改修、窓ガラスの交換、LED照明への切替、太陽光発電システムの設置、蓄電池の設置などです。
補助金の額は、工事内容や規模によって異なりますが、最大で工事費の1/2が補助される場合があります
共用部分改修費用補助・助成制度
共用部分のバリアフリー化やユニバーサルデザイン化のための改修費用の一部を、自治体が補助または助成する制度です。
高齢者などが安全に移動できる環境整備が目的です。
これらの補助金・助成金は、以下の理由から設けられています。
- マンション資産の維持・向上
- マンション管理の適正化促進
- 居住者の安全性と利便性の向上
管理組合は早い段階から国や自治体の補助制度を確認し、積極的に活用することが重要です。
適切な補助金を受けることで、大規模修繕工事の費用負担を軽減できます。
マンション大規模修繕の補助金申請手順
まずは、マンションの管理組合で信頼できる業者に点検を依頼し、見積りを出してもらいましょう。
見積書をもとに、居住している地域の自治体が実施している補助金制度を確認しましょう。補助金の対象となる工事内容や申請条件などを確認します。
補助金の要件を満たしている場合は、工事前に必要書類を揃えて自治体に申請します。申請書類は自治体によって異なりますので、事前に確認が必要です。
業者に点検依頼し見積りを出してもらう
マンションの大規模修繕工事を行う前に、まずは専門業者に点検を依頼し、見積もりを出してもらう必要があります。点検では、建物の状態や劣化具合を調査し、必要な修繕箇所や工事内容を判断します。
見積もりは、複数の業者から取り、比較検討することが重要です。各業者の見積書には、工事内容、工期、費用などが詳細に記載されているはずです。また、業者の施工実績やアフターサービスなども確認しておきましょう。
見積もりを取得したら、自治体の補助金制度を確認し、申請が可能かどうかを検討します。補助金制度は自治体によって異なりますので、事前にしっかりリサーチをしておきましょう。
見積書を見て自治体の補助金制度を確認する
マンションの大規模修繕工事・改修工事には、自治体が設けている補助金や助成金を利用できる場合があります。補助金を利用すれば、工事費用の負担を軽減することが可能です。
自治体によって補助金の制度は異なりますので、まずは見積書を見て、どのような工事が行われる予定なのかを確認しましょう。そして、その工事内容に該当する補助金制度があるかどうかを、自治体のホームページや窓口で確認します。
補助金制度によっては、申請期限や必要書類などが細かく定められている場合もありますので、事前にしっかりと確認することが大切です。
契約前に必要書類を用意し申請する
そして補助金を申請するために必要な書類を自治体に提出します。地域によって異なりますが、一般的には以下のものが必要です。
- 補助金申請書
- 見積書
- 工事計画書
- 登記簿謄本
- 管理規約
- 総会決議録
これらの書類を揃えたら、自治体に申請を行います。申請が受理されると、審査が行われ、補助金交付の可否が決定されます。
交付決定後に事業計画書通りに着工する
補助金交付決定後は、事業計画書に沿って着工する必要があります。計画通りに工事が進められているか、定期的に確認することも重要です。また、工事中に変更が生じる場合は、事前に自治体に報告し、承認を得る必要があります。
工事完了後には、実績報告書や領収書など、必要な書類を自治体に提出します。書類に不備があると、補助金の交付が遅れたり、交付されなくなったりする可能性があるので、注意が必要です。
実績報告書など必要な書類を提出する
大規模修繕工事が完了したら、最後に実績報告書など必要な書類を自治体に提出する必要があります。提出期限は自治体によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
提出する書類は、自治体によって異なりますが、一般的には以下のようなものが必要です。
- 実績報告書:工事内容や費用などを報告する書類
- 領収書:工事費用の領収書
- 写真:工事前後の写真
- 図面:工事内容がわかる図面
提出書類が不備があると、補助金の交付が遅れたり、最悪の場合は交付されないこともありますので、注意が必要です。
補助金額確定後に補助金が振り込まれる
完了後に実績報告書を提出する必要があります。実績報告書が承認されると、補助金が振り込まれます。
補助金は、原則として交付決定通知書に記載された口座に振り込まれます。振り込み時期は、自治体によって異なりますが、一般的には工事完了後1〜2ヶ月後です。補助金の振り込みが遅れた場合は、自治体に問い合わせてください。
マンションの大規模修繕工事には、多額の費用がかかります。補助金制度を利用することで、費用の負担を軽減することができます。自治体によっては、補助金の申請期限が定められている場合がありますので、事前に確認することをお勧めします。
補助金を利用する際の注意
補助金はあくまで助成金であり、全額を補助してくれるわけではありません。補助金の対象となる工事費用範囲内で補助されますので、不足分はマンションの管理組合や住民が負担する必要があります。
また、補助金は交付決定されても、工事が完了して実績報告書を提出するまで振り込まれません。工事が完了するまで資金を確保しておく必要があります。
補助金を利用する際には、これらの点をしっかりと理解しておく必要があります。
まとめ
マンションの大規模修繕工事や改修工事は、多額の費用がかかるため、補助金の活用を検討することが大切です。補助金の申請には時間と手間がかかりますが、しっかりと準備を行うことで、マンションの大規模修繕工事の費用負担を抑えることが可能となります。
コスト削減方法を組み合わせて活用することで、さらに効果的にマンションの大規模修繕を行うことができます。